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心を守るための力
「じゃーん!
繭を切り裂く秘密兵器、その名もデリスビット!」

パスカルが得意気に両手を広げる横で俺は崩れ落ちていた。金づち…わざわざ握りつけてまで金づちにする意味は…!?

「……さっきの音はパスカルの仕業か」
「まったく…今更あなたの行動が止められるとは思いませんが、せめて一言言ってから始めて下さい」

ヒューバートって丸くなったよね。今更だね。あああああアンマルチア族のセンスって一体…。

「これは……!」
「さっきソフィに反応して光ってる石があるのを見てあれって思ったんだけど、エメロードの説明でやっぱりそうかって思って作っちゃいました」
「そーゆー軽いノリで始めてほんとに作れちまうのがすごいよな」

いい加減「なんで座ってるんだろう」的なソフィの目線が痛いので立ち上がる。

「素晴らしい……!
流石はアンマルチアの子孫です」

エメロードさんに言われてパスカルは嬉しそうだ。この人が他人褒めるとか珍しい…ってのは、ちょっと偏見かな。

「そんで今ならなんと!おまけにこんなものもつけちゃうよ!」
「お前どこの悪徳商法の回し者?」

俺の疑問はさっくり無視されてパスカルは教官に何かを渡した。

「ねぇ教官、この指輪つけてみてよ」
「指輪?」
「余ったデリス鋼で作ったの。しかもお揃いだよ」

過剰反応したのはシェリアだった。

「えっ!?二人ってそういう関係だったの!?知らなかった…」
「オレは身に覚えがないのだが」
「何が?はい、これゆきみちの分ね」
「何がってお前な…」

空気読まないのもいい加減にしろよ。

「つか俺の分?俺と教官とパスカルとあって他のやつにはないわけ?」
「これを身に着けていれば、あたしたちもみんなと同じ力を使えるようになるかもよ」

あ、研究所出たときの会話…「ソフィと同じ力」っての、あそこからの派生か。
パスカルに促されて指輪をはめた。あっこのやろサイズてきとーだな、親指しか入らないんだけど。
指輪が光を帯びた。
体が暖かい。…これ知ってる、S.E.E.S.のときも稲葉特捜隊のときも感じた。後でリーダーたちに聞いたら、決まってコミュランク上がったときだって。
ペルソナは心の力、心の力を増すためには絆を深めることが不可欠。

───俺たちにはこういう表れ方なんだな

「そうだね…」

やっぱりみんなとは力の源そのものが違うから指輪の効果も同じではないらしい。

「やった〜、大成功〜」
「って成功するかどうかわかんなかったのかよ」

ぺし、とパスカルの頭を軽くはたいてから、「ありがとな」と囁いた。


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