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きみ発見レーダー
「流房灘、あだ名は流でーす。よろしくっ」

 軽めのノリで言うと、笑うの数名。うち嘲笑三名。よーしあの三人ロックオン、機会があったら復讐確定。笑われるの覚悟でやってはいるけど嘲笑うのはないだろ。残りは人の話聞こうぜー。
 転校三回目、いい加減慣れたからキョドることもなく、指示された席につく。変な位置で安定したひとつ括りの髪を後ろへ流して、隣の席のやつににこりと笑った。

「席変えまでよろしく」
「………」

 隣の席のグラサン男子中学生は、俺をちらっと見ただけで窓の外を眺めた。
 …その態度はないだろ、おい。
 窓際最後尾とその隣の席なことを利用して、先生の話は聞くだけ聞いて目はグラサンを睨んでいた。
 やってけるのかね、これ。






 やあやあ皆さんこんにちは、知ってる人も知らない人も、ちょっと注目。
 るふさなだです。漢字はこう書く。
[流房灘]
 小学生なんか絶対読めないから、一文字取って「流」ってのがあだ名。隣のクラスのやつなんかそっちが本名だと思ってたし。本名教えたときの顔はすごく笑えた。脱線。
 ちょっと特殊な力持ってる中学生。前に住んでたところの神社のひとに訓練されて、一通り使えるようになったんだぜ。この話は長くなるから割愛な。
 俺結界能力者なのよ。似たような名前の漫画あるけど違うぞ? あれはちゃんと由来のある立方体形、俺のは突然変異かものすごい劣性遺伝の球形。
 その能力を買われて頼み事されたんだ。
 あるやつを護ってくれって。






 それがこのグラサン少年、名前は椋名白里。
 グラサンは目の色素異常を隠すためらしい。コンタクトつけられないんだってさ。体質ならしょうがないとはいえ、これなら外してもあんま変わんない気ぃするよな。
 その後も観察してみたけど、朝から帰りまで挨拶どころか少しも視線を合わせずに椋名は席を立ってしまった。
 収穫は本が好きそうだってことくらいだ。鞄の中身がちょっと見えた。文庫じゃなくてハードカバーだった(図書館〇争だった、一応伏せとく)。
 ほんと言うと、護れって言われてるのに椋名のことはよく知らない。教えてもらえなかった。ここらへん放任主義だよなあの人。
 とりあえず残りは明日に回すとして、俺も帰ることにした。






 前に椋名がいた。

(あ、帰り道同じですか)

 尾行じゃないよーたまたまだよー、念じながらついていく。聞こえるわけないけど。
 ふと椋名が立ち止まった。なんだ。
 しばらく止まった後で、椋名は左に折れた。それで横目で、

「この先行かない方がいいよ」

 言った後は振り向かなかった。

「……なにごと?」

 好奇心に駆られてそのまま進んだ。ら、

「……あらー」

 人相の悪い人達がぼこぼこにされて転がってるところに行き合った。

「…救急車は呼ばない方がいいんだろうね」

 自分とこのひとたちに迎えに来てもらってね、言い残して立ち去りながら、椋名はなんでわかったんだろうとか考えた。
 勘がいいとかそんな感じかな。先見とかの感じではないんだけど。ちゃんと俺に教えてくれるあたり、いい奴そうではあるな。



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