風穴の向こう側 他のビーは教官たちに倒されました 大輝石のある広間は変わらず涼やかだった。妙な色合いの魔物が我が物顔で歩き回ってるけど。 あ、いや、どっちかってーと魔物のもんなのか? あれ? わかんなくなってきたから後でいいや。 「ラムダの遺した魔物が、例の魔物に従えられている……?」 「フーリエの予感は的中していたのか」 口々に呟きながらも、王子と教官が身構える。この人らも真面目にやってりゃただの有能なイケメンだってのに。あっ今すごくむかついた。くそう。 「よし、やるぞ」 アスベルの号令で全員がばっと散らばる。相手はトレント型とビー型の計五体。ビーがいると向こうのが高機動なんだよなー……ああくそめんどくさい。 「堅ぇしなこいつらなー! ビーいっぴきもーらい!」 ぱん、と召喚器でビーの一体を撃つと、ぐるんとこちらを向いて追っかけてきた。ぐるりと大輝石を回ってそいつだけ引き離す。一周してる間に、他のビーは教官たちの方に行ったようだ。 そのまんまアスベルの方に走ってって背中合わせ。トレントを相手にしてたアスベルが、ちらっとこっちを向く。 「スリーカウントな」 「わかった」 「んじゃ行くぜ。さんにーいち」 トレントが腕(?)を振るのに合わせてさっと身を屈める。突っ込んできたビーが、俺とアスベルの頭を越えてトレントの腕(?)に吹っ飛ばされた。よっしゃ! アスベルがビーの羽根を潰してる間にイカロスを呼び、メギドラオンを放ってトレントを怯ませる。その隙に周りを見ると、他のビーもかなり弱らせたようだ。みんな強いなぁ。 ビーを床に叩きつけて、振り返ったアスベルの左目が輝く。 「うおおおおお!」 駆け込んできたアスベルの周りにラムダの力が見えて場所を譲る。下がったついでに回復するかー、ってだからお前ら全員怪我しすぎだっつの! ぼしゅん、と魔物が塵と化して、構えを解いたアスベルが膝をついた。 [←][→] |