復活BLDSS
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「ヒバリ、さん…」
小さく呟かれた彼の名前は雲雀本人に届くことなく、広い廊下に吸い込まれていった。
忘れかけていた涙が再び頬を濡らしていく。
ここに来ると、あのキスの現場が鮮明に思い出され、名前の胸を締め付けた。
なのに、その場から立ち去ろうとしても、足がびくともしないのだ。
「ねぇ、何泣いてるの?」
「っ…ヒバリさん…」
不意に掛けられた言葉に一瞬肩を震わせたが、それが誰の声かなんて、涙で歪んだ視界でもすぐに理解できた。
好きな相手の声を間違えるはずがない。
「そんなとこで泣いてないで、入れば?」
「ぇ? えっと…」
雲雀の申し出に名前は悩んだ。
彼に招かれたのは嬉しいが、これ以上あのキスのことを思い出したくない。
このまま応接室に入れば、今まで隠してきた想いまで全て言ってしまいそうで怖かった。
「いえ…僕は…」
「いいから、入って」
断って帰ろうとしたが、それよりも早く雲雀に腕を捕まれ、そのまま中へと連れて行かれてしまった。
久しぶりに入る応接室は何も変わっていなくて、少しだけ安心する。
名前が最後にこの中に入ったのは半年前。
雲雀への恋心に気づく前、名前も風紀委員として応接室へと通っていた。
だが、雲雀への恋を自覚してから、彼にどんな顔をして会えばいいのかわからず、風紀委員を辞めたのだ。
「あの、ヒバリ…さん…」
「ねぇ、ここに入るの半年ぶりだよね?」
「ぇ?…ぁ、はい」
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