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庭球BLSS

「のぅ、柳生」

「なんですか?」

部活の帰り、前を歩く柳生比呂士を呼んでみれば、素っ気ない言葉が返ってきた。
いつものとこながら食えないやつだ。

「なぁ、キスしとおない?」

「したくありません。というか、いきなり何を言いだすんですかっ」

からかったつもりはないが、頬を赤らめる柳生を見れば、仁王雅治の中に悪魔が舞い降りる。
少しからかってみるか、と。

「いきなりもなんも、他にどのタイミングで言えっていうんじゃ?」

「…そう言われても……分かりません」

「しゃーないのぅ。じゃあ…」

何かを企んだように、にやっと笑い、未だ考えている柳生の唇に自分のそれを重ね合わせる。
かちんっと眼鏡が顔に当たるが、気にしなかった。

いきなりの仁王からのキスは柳生を固まらせるほどの威力があったようで、彼は眼をぱちくりしながら、真っ赤な頬をさらに赤らめていく。

「な、何をっ」

「タイミングが分からんから、俺のタイミングでしたんじゃ」

「あ、あなたって人はっ! 何、挨拶するみたいに当たり前にキスしてるんですかっ」

勝手な理屈を並べる仁王に呆れながら声を荒立てる。
だが、仁王は謝るどころか、何かを閃いたように眼を輝かせた。

「それええのぅ。挨拶か。そんじゃ、これから柳生への挨拶は毎回キスにするかのぅ」

顎に手をあて、楽しそうな声で言ってくるのが憎らしい。
当然挨拶でキスなんて出来ないので怒ってやったが、仁王ならやりかねない、と身の危険を感じる柳生だった。
*END*


*あとがき*
思いつきな完全突発作です。
仁王に振り回される柳生が可愛らしいと思いましたっ!
執筆:2010/11/26
神奈樹じゅん


あきゅろす。
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