暴君と不運
「なぁなぁ文次郎、夜間訓練しに行かないか?」
「…構わんが、またバレーとか言わないだろうな」
「え、嫌なのバレー!?良いじゃん!!あんなに面白いのに」
「いや、面白いとかそういう問題じゃないと思うんだが…。まぁ別にバレーでも良いが、たまには他のことをやらないか?」
「んじゃ、マラソンにしよっか」
「何処まで?」
「裏裏山で!」
「解った、良いだろう」
わいわいと騒ぐ二人を尻目に、伊作と食満は団子を口に頬張りながら茶を啜った。
ちなみにこの団子は、食堂のおばちゃんが内緒で二人にくれたもので、伊作は何時に無い幸運に感激して涙した一品だ。
「よくやるよね、あの二人も」
「小平太は未だしも文次郎は暑苦しいな」
「留さん、男の嫉妬は醜いよ」
「なっ……げほっ、ごは、誰が!」
食満が茶に噎せ、抗議したところで、何やら不穏な物音がした。
空気を裂く音だ。
「いさっくん、避けて―!」
声がした方を向いたと同時に、伊作の顔面にバレーボールが直撃、伊作はそのまま目を回して後ろに倒れた。
「ごめーん、大丈夫?誰かがバレーボールをレシーブしたもんだから、ついトスしてアタック!」
悪気のない笑顔に、勝てるもの無し!
暴君と不運 080829
でも、ホントは小平太は食満を狙ったんだよ。法則無視してまでも狙われる不運伊作☆←
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