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novel(一部腐向け)
恋心は殺した【青⇔桃←黄】
「あ"?さつき?…嫌いだよ」
なんてまたいつものように言って、バレバレなのに。
バレバレっスよ、なんて見透かしてもいいんだろう。小馬鹿にしてもいいんだろう。
そうすることで、自分は愛したくても愛せない、みたいな悲劇的状況を作れる。
俺だって好きなのに、好きな人の好きな人が好きな人なんてなんて滑稽だ、みたいなそういう悲劇みたいな喜劇みたいな状況を作れる。
なのになぜか喉は震えなくて、当然のように声は出なかった。
その代わりに漏れた言葉は無かった事にはならない。ヘマをしたわけではないけれど、それでも言いたかったこととは違った。
漏れた言葉はたった一言、あまりに淡白で簡単な言葉、「そうっスか」だけだった。俺はちゃんと笑えてるかな、なんて考えて。

***

あれから随分と時間が経って、二人は知らない間に進展して、ついに結婚することになったとか。
低い声で「嫌いだよ」なんて言っても感情を押し殺せなかったんだなって思うと、自分が案外大人に思えた。
あの日の自分は、楽しくないのに自分を偽って笑ったから。

あの日、恋心は殺した。


(ああ)(また置いてかれちゃったな)



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