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novel(一部腐向け)
黒子くんと黒子くんのおばあちゃんの話※ホモなんていないよ
時々、思い出したら祖母と出かけるようにしている。
幼い頃から祖母によく懐いていただったから小さい頃からよく祖母と出かけているのだ。
父方の祖母なので─顔は母に似ていたからである─、似ていないとよく言われた。


自分が見ていた祖母の姿─家で見る姿とはまるで別だった─は、背筋をピンと伸ばして凛とした表情─家ではのほほんと笑っているような人だったのだが─で自分より先を行くその後ろ姿だった。
それに追いつこうとして、必死にペースを合わせて歩いていた自分を今では懐かしく思う。
どんなに早足で歩いてもいつかはまた先を行ってしまって。
何で待ってくれないのだろう、なんて毎回少し膨れっ面になっていたのだった。


***
今では自分の方が前を歩いていて、あんなに背筋をピンと伸ばして歩いていた祖母も少し猫背気味になってしまって、凛とした表情なんてものはなくて、時間が正常に─それでいて残酷に─動いていることを教えてくれた。

「テツヤ、先に行っていいのよ?」
寂しげな表情で祖母は笑う。
「いいんです。待ってますから。」
それにつられて自分の眉も下がったのに気づく。
同情しているのだろうか。悲しいのだろうか。よく分からないもやっとした感情が胸の中で渦を巻いた。


その渦を消し去ろうとしたのかいまいちよく分からなかった。が、息をするかのようにごく自然に喉から言葉が溢れた。


「置いていかれる人の気持ちはよく分かりますから。」

涙が溢れる時の感覚によく似たそれは、きっと必要のない自分の涙だったのだろう。



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