小説
五十七話
じゅぷじゅぷと音を立てて陰茎を舐られながら、五十鈴は喉でくうくうと鳴き声を上げ、必死で持ち上げた裾を噛みしめる。
（御前はこの意地悪をようなさる……っ）
五十鈴に裾を咥えさせ、甘く責め立て続けて五十鈴が裾を落としてしまえば今度は仕置と称して一層責められる。
ジェイドとの交歓は望むところであるけれど、求められるのはこの上ない悦びであるけれど、それは甘やかされている間、余裕がある間に言えることで、ジェイドが偶にでもなく……それなりの頻度で意地悪を始めると五十鈴はすぐにでも音を上げてしまいたくなる。
いまだって、もう何度吐精したことだろう。ジェイドにはしたない音を立てて飲み下されてしまっただろう。
もう無理だ、もう出ないと言葉にすれば裾を落としてしまう。首を振りたくっても危うい。せめて、せめてとジェイドの頭に伸ばした手は快楽に負けて引き離すことはおろか、逆に自身へ押し付けてしまって自ら五十鈴を追い込む結果になるのだ。
内腿が震える。腰が抜けそうだ。
限界を訴える視線をジェイドに向ければ、五十鈴の背筋に震えが走る。
ドラゴンよりも余程獣欲に濡れたジェイドの翡翠色の目が、ぎらぎらと五十鈴を見つめ返し、挑発するように舌先で五十鈴の鈴口を抉った。
「ぃうッ」
ぷしゃりと噴いた潮がジェイドの顔を濡らし、前髪から滴る。
羞恥と謝意に目を揺らす五十鈴に喉で笑い、ジェイドは節くれだった指で作った輪を五十鈴の陰茎に通す。
視界が真っ白になるような刺激。
じゅこじゅこじゅこじゅこと素早く扱かれて、五十鈴は頑是ないこどものように首を振りたくり、とうとう裾を落として叫んだ。
「もうやぁっ、もうやらぁッ！ 御前挿れて、ナカ挿れて……ッ」
ジェイドがこどもをあやすように五十鈴を抱き寄せ、揺らしながら、慈悲深く微笑む。
「だぁめだ」
五十鈴が童女のように泣き声を上げるより早く唇を奪われ、咥内を蹂躙される。引っ込む舌は絡め取られ、溢れる唾液を飲み交わし、飲みきれず顎を伝った唾液を追うようにちゅ、ちゅ、と唇を落とされて、首筋、鎖骨、装束を割り開かれて胸元へと続く。
「そういえば……溜まると辛いらしいが、奥は大丈夫か？」
「ひぇ……？」
これ、と周囲ごと摘まれた乳嘴から、ぴゅくりと乳白色の雫が散った。
「絞らねえと大変なときもあるらしいが……男の胸で張ってるもなにもまでは分かんねえなあ……奥、なんか分かるか？」
「ひっ、あ、あ、やぅっ」
「……俺の奥は感じやすい」
ぐにぐにと薄い胸を揉まれるだけで、五十鈴は胎の奥底に熱が溜まるようなじんわりとした快楽を感じていた。時折噴き出る乳もそれに拍車をかけているような気がして、五十鈴はジェイドに縋っていやいやと首を振るしかできない。
「御前……挿れて……ナカ、ナカ熱いぃぃ……！」
「こーら、やめろ」
とうとう自らあわいに手を伸ばし、くちゅくちゅと孔を抉り始めた五十鈴の手をジェイドは押さえてしまう。中途半端にいじった分だけ疼きは酷く、五十鈴の後孔はひくひくと震えて番の来訪を待ち焦がれた。
「御前の、御前の欲しゅうてっ、も、狂う、狂うっ」
「……可愛いなあ、奥」
ジェイドが寝台に五十鈴を押し倒し、ぴったりと膝を閉じさせる。
「子ども産まれるまで我慢な」
言いながら、ずるん、と五十鈴の内腿の間を通り、五十鈴の陰茎を擦りながらジェイドの陰茎が差し込まれた。
ごちゅ、ずる、ずるん、と行き来するジェイドの陰茎に五十鈴は「くるる、きゅるっ、きゅるるっ」と歓喜の鳴き声を上げ、仰け反って白い喉を晒す。
荒くなるジェイドの呼吸、小刻みに変わった律動。ずるとジェイドの陰茎が五十鈴の内腿から去り、その後孔へと押し当てられる。
「あ、っ、あぅ、はいって、くる、ぅ……」
むちゅう、と押し付けられた亀頭から噴き出す白濁が、五十鈴の後孔を濡らし、僅かにナカをも濡らした。
ジェイドがどけば、五十鈴はしどけなく足を開き、再びあわいへと手を伸ばして白濁をナカへと塗り込める。
「ん……ン……」
「孕んでも中に出されるのが好きだな」
五十鈴の隣に横たわったジェイドが揶揄するように言えば、濡れた指先をちろりと舐めて、五十鈴は恥ずかしげに瞼を伏せる。
「御前のものは……全て身の内に欲しいのだ……」
故に、と五十鈴は身を起こし、寝転がるジェイドの股ぐらに顔を寄せる。
ぬらぬらと濡れ光るジェイドの陰茎に頬を寄せ、長い舌を伸ばしてちらりと舐める。
「残りも……おくれな……」
あーんと開けられた口がくぽん、とジェイドの亀頭を咥え、ずる、ずるる、と僅かに残っていた精液を啜り上げた。
「っく……」
「あは……上の口であれば、食めるの……？」
五十鈴は良いことに気づいたとばかりに夢中になってジェイドの陰茎を深くまで飲み込み、窄めた口で扱くようにずるずると出してはジェイドがしたように鈴口を舌先で抉る。
勃ちあがり、硬さを取り戻した陰茎を美味そうに舐めしゃぶる五十鈴は吐き出された精液をごくごくと飲み、残滓まで啜ってようやく胎の熱が落ち着いた心地でジェイドに言う。
「御前……今度からは吾もたくさんしたい」
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