支部 
【とうらぶ】【雅に茶を飲むまで】2


461 抹茶
は「復帰する、と言っても、君達に俺についてこいとは言わない」
鶴「…なら、なんでここに来たんだ…?」
鶴丸は表面上は冷静さを装っていたけど、握りしめた拳から血が滲んでいるのが俺のところからは見えた。

は「…俺がここで審神者として最後を迎えた時、俺は君達に未来を決めさせたつもりでいた。
 それが1番良い道だろうと、誰の言葉も受け入れなかった。
 けれど、それは違った。
 俺の決断が、君達の選択も、未来も、全てを奪った。
 もう取り返しがつかないことは分かっている。
 今更だということも理解している。

 けれど…出来るならば、改めて、進む道を選んでほしい。

 …他の本丸に向かうか、刀解か……俺と共に来るか。
 勿論、別の選択肢でもいい。
 …君達の選択を…全身全霊を持って、俺が叶える」

真っ直ぐに放たれた言葉に、全員が息を飲んだ。
その言葉には嘘偽りなどない。そんな風にさえ思ったよ。
けど、その中で唯一、苦虫を噛み潰したような顔をした鯰尾が、吐き捨てるように声を上げた。

鯰「叶えるって、あなたに何が出来るんです?」

はじめさんは、一瞬開きかけた口を、すぐにきゅっと結び、口を噤んだ。

鯰「何が出来るって言うんですか…?!
 別の本丸を探す?そんなひょろひょろの体で?
 刀解?歩くことすら難しいそんな状態で?
 別の選択肢?…あんたは死にかけてんだろ?!なんでそんなことに尽力しようと思うんだよ…!!」
一「鯰尾…」
隣にいた一期が、俯いた鯰尾の背中を静かにさすった。

はじめさんはその鯰尾をじっと見つめたあと、ゆっくりと口を開いた。

は「…俺は、一度死んだんだ」


462 名無しの審神者
死んだ…?


463 名無しの審神者
…鯰尾…
抹茶と話してる時とは、全然違うな……


464 抹茶
はじめさんの言葉に顔を上げた鯰尾を見たのは、あまりにも優しげな、はじめさんの微笑みだった。

は「半年前、ここを去った後、俺の心臓は止まったんだ。
 左腕が動かないのも、足の痺れも、その後遺症だ。
 俺は一度死に、生き返った。
 そして、今は君達の目の前にいる」
はじめさんは全員の顔をぐるりと見渡した。

は「…確かに、俺は何も出来ないかもしれない。
 こんな体で、こんな状況で、死にかけのただの男には、何一つ叶えてやれないかもしれない。
 …それでも、尽力することだけは、出来るから。
 だから、せめて…君達の背中を押すくらいはさせて欲しい」

鯰尾はぐっと奥歯を噛み締めて、俯いてしまった。
肩が揺れていたから、泣いていたのかもしれない。

それを横目に、宗三が手を上げた。

宗「僕からもいいですか?」
は「…。どうぞ」

宗「僕達は1振り目ではありません。
 背中を押したいというあなたの言葉に、僕達も入っているんですか?」
は「勿論。君達が許してくれるなら…」

宗三は納得したように頷いて、「それから、もう一つ」と声を上げた。

宗「折れてしまった…1振り目の僕達はどうするつもりですか?
 まだ、この本丸にありますけど」

はじめさんは目を見開いて、そして悲しそうに笑った。

は「出来るならば、俺と共に」

その言葉に、数名の刀剣が悲しげに顔を歪めた。


465 名無しの審神者
死んだって…本当に物理的に死んでるじゃないかぁ…!!
審神者としてとかだと思ったのに、違った!。゜(゜´Д`゜)゜。


466 名無しの審神者
背中を押させてほしい…か、
半年前に言ってたら、少しは変わったのかな


467 名無しの審神者
折れた刀剣達も連れていくつもりか…


468 名無しの審神者
>466 変わったかもな。
けど、今更、たらればを言っても仕方ないだろ


469 抹茶
はじめさんが他には何かあるかと問えば、鳴狐が手を上げた。

鳴「主は、この本丸に拠点を置くの?」
は「……。
 …俺はここにいたいけれど…時間遡行軍に場所がばれてしまっている以上、政府はここに拠点を置くことを許さないだろう」
鳴「審神者の持つ情報量の方が大切ってことだね…?」
は「あぁ」

鳴「主は、ここからどれだけのものを持って出られると思う?」
は「…分からない。
 最悪、一つも持っては出られないかもしれない」
鳴「…分かった。俺はその答えだけで充分だよ」

鳴狐は、それから。と言って、居住まいを正した。

鳴「…主、おかえりなさい。
 みんなに謝罪の機会をくれて、ありがとう」

その一言に、大広間の視線は一斉に鳴狐に向いた。
はじめさんを含め、驚きに満ちたものが多かった。
かく言う俺も、びっくりしたまま鳴狐を見てた。

は「…え…いや、謝罪って…。
 俺が謝ることはあれど、君達が謝る必要なんて…」
わたわたと手を動かしているはじめさんに対して、鳴狐はただ静かに微笑んでいた。
お供も鳴狐の肩の上で静かにはじめさんを見てた。


470 名無しの審神者
鳴狐は主って呼ぶんだな…


471 名無しの審神者
謝罪の機会か。
…鶴丸は謝りたいって言ってたけど、他の刀剣達はどうなんだろう…


472 抹茶
はじめさんは、慌てていた手を膝に下ろすと、そのまま下を向いてしまった。

は「…。本当に…君達が謝る必要なんてないんだよ。
 あの選択は、俺が決めたことなんだ。
 …1人で勝手に決めたんだ。
 責められるのが当たり前で、最悪、俺はここで切り殺されても仕方ないと思ってるんだ。
 謝罪なんて…」

大和守「あんたは…!」
がっと立ち上がったのは、大和守だった。

大「なんでそうやって勝手に決めつけるんだよ!!
 謝る必要なんてない?切り殺される?!
 ふざけんな!
 確かに、あんたは勝手に出ていった。
 でも、みんなの思いを、あんたが勝手に決めるな!!
 僕はあんたに顕現されたわけじゃない!この本丸では3振り目の大和守安定だ!
 けど、清光は…!
 清光はあんたに顕現された…!
 あんたと一緒にいた時間があった!!」
加州「安定…!」
大和守の裾を引っ張る加州を無視して、大和守は続けた。

大「清光はずっと悔いてたんだって、僕は知ってる!
 清光は何も言わなかったけど、時々庭の木を見つめては悲しそうに顔を歪めるんだ!
 それから、清光の爪紅の中に一つだけ大事に取って置いているものがある…!
 その爪紅が纏っている霊力はすっっごい薄いけど、あんたのものだって、今ははっきりと分かる!!」
加「安定!」
大「戻ってきたなら、あんたはみんなの思いを、真正面から聞いてあげてよ!!」
加「安定、やめて!!」
力ずくで大和守を座らせて、加州は大和守を押さえつけるようにぎゅっと抱きしめてた。


473 名無しの審神者
やばい、涙が…


474 名無しの審神者
安定も加州も辛かったな…(><)


475 抹茶
2人を見ていたはじめさんは、静かに、一つ頷いた。

は「ごめんな…。
 また勝手に決めつけてしまった。
 …うん、聞くよ。
 謝罪でも、叱責でも、俺が聞いていいなら、なんでも」

大「……頼むよ。もう、みんなのこと、手放さないであげて…」
は「うん。……ありがとう」
加「…主…」

加州は大和守を押さえつけていた手を離して、そそくさと座り直した。
大和守も座り直したんだけど、もじもじとしてる加州の背中を思いっきり叩いて、「はっきりしろ」と、ジト目で加州に圧力をかけた。
2人のそんな姿に、そこかしこから噛み殺した笑いが聞こえて、俺も少し笑ってしまった。

は「ゆっくりでいいよ」
加「……えっと…あのね、主。
 俺は、審神者交代の時、あんなにあっさり主が受け入れるなんて思わなかった。
 少しくらい、狼狽えるだろうって思ってた。
 だって…。
 その前のクリスマス、ちゃんとプレゼントくれたじゃない?
 サンタからって嘘ついてたけど、プレゼントの纏ってる霊力が主のものだったから…」

は「え…」
はじめさんはかっと赤面して、前田と燭台切を交互に見た。
2人は素知らぬ顔でそっぽを向いたけど。

加「俺さ。
 あの時、主が拒否したら、主の元に戻ろうって思ってた。
 けど、あっさり受け入れるんだもん。
 文句言う暇もなかった…。
 だから、今度は……文句も、言いたいことも言う。
 それでも、一緒にいてもいい…?」
は「…勿論。
 清光が一緒にいてくれるなら、俺は嬉しい」
加「…えへへ。ありがとう、主」

2人が笑って、一部の刀剣達も微笑んでた。


476 名無しの審神者
和睦した…!


477 名無しの審神者
清光、良かったねぇー!

うちの安定がガッツポーズしてるww


478 名無しの審神者
加州は、はじめさん側とφ(..)メモメモ


479 抹茶
でな。
加州がちらりと小狐丸を見た。

勿論、加州を見てた刀剣達やはじめさんも、吊られて小狐丸を見るじゃん。

小狐丸は、外を見つめてた。

加「小狐丸、言いたいこと、あるんじゃないの?」
加州に声をかけられて、小狐丸は加州の方を向いて、その後、ようやくはじめさんを見た。

小「何も」

無表情のまま、はっきりと言い切った小狐丸に、はじめさんは困ったように眉尻を下げた。

加「…何もって…」
小「ここを去ったのも、戻ってきたのも、ただ受け入れる。
 私はここで朽ちる」
何人かの息を呑む声が聞こえた。
は「…その決心の理由、聞いても良いか?」
小「理由も何も…。
 あなたから死臭がしていたのを知っている。
 私は何もしなかった。
 2人目の審神者からは死相が見て取れた。
 私は何もしなかった。
 …もう刀を振るう気力も、ない」

俺は思わず、はぁ?って声を上げてた。


480 名無しの審神者
Σ(゜д゜lll)えっ?


481 名無しの審神者
小狐丸…死臭とか死相って…ぇぇ


482 名無しの審神者
待て、抹茶
なんでそこで喧嘩腰Σ\(゜Д゜;)


483 抹茶
俺「刀を振るう意味って…俺には切りかかったのに?」
小「あの時とは、状況が違う」
俺「状況?
 はじめさんがここに来ただけだろ」
もう何も言うなという小狐丸の視線を見て、俺はピンときた。
だから、すっごい盛大にため息を吐いた。

俺「…成程な…、顕現した人間に似るとは聞いてたけど、そういう面で似るのか」
加「え?何?」
俺「小狐丸、君、誰のことを案じてるんだ?
 石切丸か?太郎か?岩融か?…鶴丸か?」
小「…何のことだ?」
じとりと睨まれた瞳に怯みそうになったけど、握る手に力を込めて言葉を続けた。
俺「選択を狭めたくないんだろう?
 確かに、加州に続き、小狐丸まではじめさんに着いたら……よその本丸に行きたいとか、ここで朽ちたいなんて、言いづらくなるからな。
 …けど、お前の選択はただの独り善がりだ。
 ここまで来たら、腹の底を見せろよ」

傍から見たら、一触即発の睨み合いだったらしいけど、俺はこの時、腰が抜けそうになるのを必死に堪えてた。


484 名無しの審神者
ひぇ…:(´;Д;`):


485 名無しの審神者
そこで喧嘩売っちゃうのが、抹茶だよな…


486 名無しの審神者
なんで小狐丸には喧嘩売っちゃうのさ…(´д`|||)


487 抹茶
>486 分からん。
うちのコーギーと違いすぎるのに、似てるからかもしれん。

で。
俺達の睨み合いを咎めたのは、岩融だった。

岩「やめんか。みっともない」
俺達の視線が岩融に向いたのを確認してから、岩融ははじめさんを見据えた。

岩「…元主よ。俺は他の審神者の下へ行く。
 ここまで生き延びた命だ。ここで埋めては、他のものへの供養にもなるまい。
 …すまんが、お主の下へ帰ることは、俺には出来ん」
は「分かった。どのような審神者の下へ行きたいか、後で聞かせてくれ」
今剣「岩融!」
頷き合う2人とは対照的に、焦ったような今剣の声が響いたけど、岩融は今剣の頭を撫でて、にっかりと笑った。

岩「今剣、お前はお前の想う道を行け。俺は俺の想う道を行く。
 道は違えようと、いずれ再び合間見えるときが来るだろう。
 その時に、お前の武勇を聞かせてくれ」
今剣はくしゃりと顔を歪めて涙を零したけど、すぐに岩融を見上げて、深く頷いた。
そして、はじめさんを見やった。

今「ぼくは、主様といっしょにいきます。
 ずっと、てをにぎっていると、やくそく、しましたから…。
 いちどはたがえたやくそくですが、もういちど、むすんでもいいですか…?」
は「…無理はしなくていいのだよ?
 岩融と共に行くことも出来る。即決をする必要はどこにもない」
今「いいえ。
 ぼくは主様のおそばに」
は「……。分かった。今剣、もう一度、手を握ってくれ」
今「はいっ」
花が咲いたように笑った今剣は、ぴょんと飛んで、はじめさんの目の前に着地した。
はじめさんの手をぎゅっと握って、満足そうに微笑んでいた。


488 名無しの審神者
今剣ちゃんが…!!
良かったー。゜(/□\*)゜。わ〜ん


489 名無しの審神者
岩融は一緒に来てはくれないのか…。


490 名無しの審神者
小狐丸はどうするんだろう…


491 抹茶
次に声を上げたのは、石切丸だった。

石「…すまないが、少し、考えても良いかな?
 気持ちの整理も、決断も、今はまだ出来ない…」
は「勿論構わない。色々と終息してから、改めて考える時間を設けるよ」
石「ありがとう」
石切丸が頭を下げたすぐ後に、はじめさんは外を見た。
は「………みんな、悪いけど、話はまた後にしよう。
 外の敵がやって来る。それを否してから、また話し合おう。
 …時間はある。
 ゆっくりと、見定めてくれ」

そう言うと、はじめさんは緩やかに立ち上がった。
俺とミルクレープは、彼の言っている意味が分からずに思わず顔を見合わせたけど、次の瞬間すぐに分かった。

盛大な音を立てて結界が破壊され、本丸に時間遡行軍が入ってきたから。

人は死にかけると霊力が上がるって言うけど、はじめさんは正しくそれだったみたい。
人の張った結界の状況とか、外の様子とか、色々見えてたみたいだ。

で。戦闘の様子はざっくりと書く。
そこまでの文章力を俺に求めないでくれよ。(; ・`д・´)


492 名無しの審神者
すげぇ…
結界の外の状況まで分かるって…


493 名無しの審神者
文章力は求めてないが、事実を書いてくれ!!


494 名無しの審神者
強固にした結界も破るって、実は結構ヤバイ…??


495 抹茶
外の警戒をしてた刀剣達が最初に応戦。
ミルクレープが陣頭指揮を取り。中腹にはじめさんが立った。
はじめさんと一緒に行くと言ってた刀剣達ははじめさんの護衛に、他の刀剣はミルクレープの指示に従って戦闘を開始した。

尚、互いのやり取りはミルクレープが持ってきていた通信機を使用した。
首につけとくだけで、それぞれの声やら映像やらが全部見えるやつ!
すげぇ高性能だった!
ただ、詳細はあまり言うなと言われてるから、みんな脳内変換してくれ!(。-人-。)

でだ。実際の戦闘なんだが。
ミルクレープは刀剣に混じって戦ってた。
審神者って基本的に戦場に行けないはずなのに、何をどうしたらあそこまで戦えるんだろうな。(´・∀・`)
俺はそんなこと出来ないので、主に手入れ要員。
審神者10年生も一緒に。
はじめさんは…次々に来る時間遡行軍の数とそれぞれの刀剣の現状をミルクレープに伝えてた。
霊力が読めるってこういう時に便利だな。

増え続ける時間遡行軍を相手に、切っては切られ、手入れをしては出陣して、それを繰り返して数時間。

結局のところ、時間遡行軍2000体を相手にして、俺達は勝利した。


496 名無しの審神者
2000?!
めっちゃ増えてるじゃねーか?!


497 名無しの審神者
ミルクレープ…(´д`|||)
戦闘できるのか…すげぇな…


498 名無しの審神者
勝利おめ!!!(*'∇')/゜・:*【祝】*:・゜\('∇'*)


499 名無しの審神者
これでみんな無事に帰ってこれるっていうか、帰って来たんだよな?!


500 名無しの審神者
時間遡行軍2000体はやべぇな((((;´・ω・`)))
よく無事だったな、まじで


501 抹茶
時間遡行軍が来ないことを確認してる最中に、ミルクレープのこんのすけが政府からの通達を受けた。

結界内に入り込んだ時間遡行軍は殲滅が完了。
また、結界の修復が完了。
ゲートの使用を許可。

本丸の穢れは流石に凄いことになってたけど、俺達の気持ちは晴れやかだったよ。

そうして、俺達はようやくその本丸から、政府本部へ帰還したんだ!*\(^o^)/*
ミルクレープもはじめさんも、みんな一緒にな。

…まぁ、その後が色々と大変だったんだけど。


502 名無しの審神者
生還おめ!!(○´3`)ノ"┌iiii┐ヾ(´ε`○)


503 名無しの審神者
良かった!と思ったら、何があったし


504 名無しの審神者
大変だろうな。
…だって、鶴丸とかどうするか話せてないし…。


505 抹茶
>504 それもあるんだけど。。。
それ以外にもな。

じゃー、その話からな。

本丸から政府に戻った俺達を待ってたのは、the医療班って感じの人達だった。
ミルクレープや俺は勿論、はじめさんや2人目の審神者も、全員が身体検査を受けたよ。
『怪我の治療と穢れの除去』ってやつ。
穢れの多い場所に留まっていればいるほど、穢れが体に染み付いてしまうからって。

刀剣達も手入れを受けて、全員が1箇所に集まった。
集められた部屋は待合室って感じの場所。
ソファーがそれなりに置いてあったから、それぞれ座ってた。
一部は立ったままだったり、床に座ったりしてたけど。

そこに現れたのは、政府の役人だろうなって人。
高級スーツに身を包んでいる、ぶっくぶくに太った豚。
いや、それは豚に失礼か。
とりあえず、生活習慣改善しろよ。って言いたくなるような奴が、足音をどすどすと立てながら部屋に入ってきた。
少し薄い頭と口元に生えた髭がなんか不快感を煽った。
はじめさんの前に立つと、その禿はやけにイライラした様子で口を開いた。

禿「あの本丸は既に廃棄が決まっていた!
 それなのに、勝手に復旧させやがって!!」

俺は、何を言ってるのか、意味が分からなかった。


506 名無しの審神者
え?




507 名無しの審神者
廃棄…?


508 名無しの審神者
何だよ、それ


509 抹茶
は「…廃棄を決定したのは一部の独断で、本格始動ではないと聞きましたが?」
禿「反対する者など、いつの時代にもいる!
 貴様は政府の意思を無視して審神者になった!処罰は覚悟してもらうぞ!」
この言葉を受けて、こんのすけがはじめさんの前に飛び出た。

「審神者様は、私の要請を受けて審神者になったのです!
 処罰など、私が受けます!この方に罪はない!!」
は「こんのすけ。
 大丈夫だよ。それに、まずは相手の要望を聞こうじゃないか」
右手を広げたはじめさんはにっこり笑ってて、こんのすけは渋々といった感じではじめさんの膝の上に飛び乗った。
こんのすけの頭を優しく撫でて、はじめさんは禿を見た。
ぞくりとするほど、真っ直ぐに。

は「処罰とは、具体的には?
 政府の決定であるなら、もう書状が出ているのですよね?
 よろしければ、見せていただきたいのですが」
禿「書状は私は持っていないが…これは決定事項だ!
 処罰を受けさせると決定が出ているはずだ!」
は「…。そうですか。
 では、あなたはお帰りください。
 正式な使者が来るまでは、あなたにも俺にもどうにも出来ませんから」

そう言うと、はじめさんは禿から視線を外した。
興味もない。と、暗にそう言っていたんだと思う。


510 名無しの審神者
はじめさん、肝据わってんな…


511 名無しの審神者
こんのすけは気が気じゃなさそうだ(;;)


512 名無しの審神者
つか、この禿なんなの??(゜Д゜)


513 名無しの審神者
処罰って平気なのか…?


514 抹茶
>512 それな。
会話から政府の類だって分かってたけど、今更何しに来た?って感じだったし。

んで。
禿ははじめさんの言動に怒りを爆発させたみたいで、ドスドスと歩いて、はじめさんの胸ぐらを掴み上げた。
前田と燭台切が瞬時に抜刀の構えを取ったけど、はじめさんが軽く視線を向けて制した。

禿「お前なんかがいるから…」
はじめさんは首が絞まってるはずなのに、一切抵抗しなかった。
ただ、相手を見つめていた。

禿「お前なんかがいたから、俺達は不幸になったんだ…!
 お前がいるとすぐに悪いことが起きる!
 離れれば更に不幸なことばかりだ!お前が俺達を呪ったんだ!!
 そうだろう!!」
は「…そう思うなら、殺せば良かった。
 10年前も、現世に戻ってきた時も、延命治療を無理にでも止めてしまえばよかったんだ。
 そうすれば、俺はここにいなかった。
 そうだろう?

 …兄さん」


嘘だろって声が微かに聞こえた。


515 名無しの審神者
は?


516 名無しの審神者
兄弟?!


517 名無しの審神者
…ふざけんな…!
点滴で命を繋いでた人を無理やり審神者にしておいて、更には自分達の不幸を人のせいにするのかよ…!

それのどこが家族だ!


518 抹茶
俺は驚きすぎて、何も言えなかった。

けど…禿はその言葉を聞いてはじめさんを投げ飛ばした。
ソファーに叩きつけられたはじめさんは咳き込んで、前田は傍に走りよった。
燭台切からは並々ならぬ殺気が漏れだしていて、完全に抜刀寸前だったけど、はじめさんが止めるよりも先に鶴丸が燭台切の肩を掴んで止めた。

は「…もう、お帰りください。
 あなたと俺は家族ではありません。
 10年前から、あなたとは縁が切れていたと俺は思っていました。

 俺の家族は、ここにいる刀剣達です。
 あなたと俺には何の縁もない。

 これだけの神がいる前で話すことです。
 これで、俺とは完全に縁が切れますよ」

瞬間、場の空気がガラッと変わった。
…そう、糸が切れたような、そんな感じだった。

その後すぐに他の政府役人が来て、禿を取り押さえて連行していった。
滅茶苦茶騒いでたけど、役人…警察?が罪状をずらずらと読み上げて、それが一通り読み終える頃には禿は真っ青な顔をしていた。

なんでも、あの禿は、横領、不正と、色々やらかしてたらしい。
それに加えて、時間遡行軍と通じていたことが、更に罪を重くした。

…後から聞いたことだけど、あの本丸に時間遡行軍を仕向けたのは、あの禿だった。
はじめさんの病室にも時間遡行軍を差し向けてたみたいで、こんのすけが迎えに行ってなければ、はじめさんはそのまま殺されてた可能性が高かったって…。
更に、10年前の…審神者になる前のはじめさんにまで時間遡行軍を差し向けてたみたいだけど、これは誰かが阻止してくれたらしい。


519 名無しの審神者


520 名無しの審神者


521 名無しの審神者
…まじギルティ…


522 名無しの審神者
実の兄が、弟の命を狙ったっていうのか?


523 名無しの審神者
なんだよ、それ


524 名無しの審神者
刀剣達とのことも不安だったけど、なんか、色々吹き飛んだぞ、おい…


525 名無しの審神者
私、弟にそんなこと出来ない…


526 名無しの審神者
普通の神経じゃねぇよ…!


527 オカン109
マジかよ…
あのクソ野郎、もっと殴っときゃ良かった…


528 名無しの審神者
ひとまず無事で安心したけど、めっちゃモヤる…(ノω・、)
これ、はじめさんへの処罰は無しってことでいいんだよな??


529 名無しの審神者
ん?


530 名無しの審神者
>オカン109
もっと、ってどういう意味?


531 名無しの審神者
おい、まさか


532 オカン109
つい半日前だが、10年前に飛んで時間遡行軍倒したんだよ。
チラ見した病室にいた青年と写真で見た前田の霊力が似てたし、多分間違いない。

そんで、その禿の若かりし頃?の奴が妙に殺気立ってたから、1発殴ってきた。
弟に向けるもんじゃねぇだろって。


533 名無しの審神者
はぁ?!
それ、過去に行ったってこと?!


534 名無しの審神者
ここで繋がるとか、なんだお前ら?!


535 オカン109
俺だってビビったわ!!

時間移動出来る特殊体質の審神者だから、白羽の矢が立ったんだろうけど。
本当にこんなことってあるんだな…( ̄▽ ̄;)ハハ……


536 名無しの審神者
時間移動出来る審神者って、都市伝説じゃなかったのか?!


537 名無しの審神者
何なんだよ、このスレ…
凄いやつ集まりすぎだろ…(((((((( ;゜Д゜)))))))ヒィィィィ


538 名無しの審神者
オカン109すげぇな…。
時間移動できるとかなんなの


539 オカン109
俺は一緒に出撃するものだと思ってたんだよ…。
違うって気づいたのは、審神者が増えて、同じ時代に派遣されてる奴らに出くわした時だな。

まぁ、その特殊体質のおかげで、今回の派遣要請が来たし、抹茶達の未来が守られたなら、良かったと思う。


540 抹茶
>528  処罰は無し!
当時の担当さんがまた担当になるらしいんだけど、めっちゃ喜んでた。
「全力でサポートしますからぁ!!」って泣いてたし…(´・∀・`)

>オカン109
圧倒的感謝!!!!
10年前のはじめさんが殺されてたら、俺達がどうなってたか、まじで分からなかったからな!!

本丸自体無くなってたろうし、このスレだって立ってないから!


541 名無しの審神者
あ…!!
そうか、スレを立てるのは、まずあの本丸があってこそか…!!:(;゛゜'ω゜'):


542 名無しの審神者
はじめさんの担当ww
仲良さそうで安心したわ…


543 ミルクレープ
いい加減、刀剣達の話に戻せ。

あんまり裏事情を話すとBanされるぞ


544 名無しの審神者



545 名無しの審神者



546 抹茶
すんません。
戻ります。


547 オカン109
これ…話したらダメなやつだったか?


548 ミルクレープ
戦場に立ちたがる奴が出てくると、無駄な被害が出るだろ?


549 オカン109
あ…
悪いm(_ _)m


550 名無しの審神者
いや、、戦場行きたくねぇけど…(; ・´ω・`)


551 名無しの審神者
長谷部に絶対ついてこないでください!!って、豪語された。


552 名無しの審神者
うちは秋田に。

主君はここにいて下さい!!!って泣かれてるんだが。

行かないから。大丈夫だから( ̄▽ ̄;)


553 名無しの審神者
お前らのとこ良いな…。
和泉守に「行くか!」って親指立てられたぜ…

行かねぇけどな!!

戦う力なんてねぇよ!!
完全なる足でまといだわ!!


554 オカン109
みんな悪い!!(((((((( ;゜Д゜)))))))ヒィィィィ

俺が特殊体質なだけで、時間移動は体に激痛が走るらしいから止めとけよ!!


555 名無しの審神者
555ゲットー

>オカン109 やらんから安心しろ。

>抹茶 続きいけるか?


556 名無しの審神者
555おめ!
久しぶりのキリ番書き込みだな。


557 抹茶
>555 おめ
>556 色々それどころじゃなかったからな(笑)

よし!
んじゃ続き!

…残念ながら、あの本丸は、閉鎖になることが決定した。
穢れが強いのと、時間遡行軍に座標がバレてるから、準備が整い次第、廃棄だと。
けど、中に残ってるもので、持って行けそうなものは持っていけることになった。
今分かってるのは、離れにあるはじめさんの物、折れた刀剣達、それから、桃の木。

はじめさんには新しい本丸が用意されることが確約された。
刀剣達についても、希望に添えるようにするって。
破格の条件すぎて裏があるのかと俺は勘ぐったんだけど…。
ミルクレープや審神者10年生、それから、現世組やはじめさんの親戚の833、はじめさんの担当、他にも色んなところから、支援があったみたい。
このスレ民の中にも、高ランク審神者やら政府の人が潜んでたらしいよ……(ーー;)

それで刀剣達のことなんだが…
これがな!
結構さくっと決まったんだよ(*゜▽゜ノノ゛☆パチパチ

あの本丸での話し合いと、手入れ、はじめさんと禿の話。
まぁ、考える時間はあったからな。

…とはいえ。
どうやら、刀剣達が家族だって言い切ったはじめさんの言葉、あれがみんなの心を決めたみたいな感じだった。

というわけで、ざっくり発表するぜ!!(*ゝω・*)ノ


・はじめさんと一緒
前田、燭台切、鳴狐、加州、大和守、今剣、長谷部、小夜、宗三、江雪、山姥切、鯰尾、骨喰、乱、御手杵、太郎、獅子王、小狐丸、鶴丸、三日月

・他の本丸へ
石切丸、蛍丸、一期、蜂須賀、和泉守、堀川、五虎退、薬研、岩融

・うち
秋田


てな感じに決まった(*`ω´*)ドヤッ


558 名無しの審神者


559 名無しの審神者


560 名無しの審神者


561 名無しの審神者
はっ?(*´°ω°)


562 名無しの審神者
まてww


563 名無しの審神者
ちょっと、待てww


564 名無しの審神者
秋田の『うち』って何ww


565 名無しの審神者
三日月って名前が見えるんだが、どういうこと?!


566 名無しの審神者
鶴丸も小狐丸もはじめさんのこと行くのか!!


567 名無しの審神者
役人wwここにいんのかよww
嘘だろww


568 名無しの審神者
話を端折るなww
経緯寄越せww


569 抹茶
(´∀`*)ケラケラ

みんな驚いてるな!
いや、俺も驚いたけど!( ̄▽ ̄;)ハハ……

んじゃー、それぞれの理由…というか、確信的な言葉の抜粋な。
鶴丸と小狐丸はラストにする。
ここがやっぱり1番拗れてたから(´・ω・`)

前田「勿論主君と一緒に」
燭台切「行けるところまで主と一緒に」
鳴狐「一緒」
加州「一緒に行くよ!今度は離れないからね!」
大和守「清光のこと心配だし…家族っていい響きだしね。僕も一緒に連れて行ってよ」
今剣「主様といっしょにいきますよ!」
長谷部「共に行かせてください」
小夜「後悔したくないから、主が嫌がっても一緒に行くからね」
宗三「籠の鳥になんて、させないで下さいよ」
江雪「…共に」
山姥切「俺は…あんたと一緒に行く」
鯰尾「…主は頑張りすぎるからね。見張っててあげる」
骨喰「兄弟も頑張りすぎるからな。こっちは俺が見張っておこう」
乱「僕、主さんと家族になりたい」
御手杵「あんたが良いなら、連れてってくれ」
太郎「私はあなたに償いたい」
獅子王「いろいろと一緒に頑張ろうぜ」

石切丸「許されるなら、新しい道を歩ませてほしい…」
蛍丸「俺の分まで、みんなのこと撫で撫でしてあげて」
一期「弟達をよろしくお願いします。私は共に行くことは出来ません」
和泉守「あんたと一緒には…行けねぇな。悪いが、俺は違う本丸に行くぜ」
堀川「僕も…あなたと一緒には行けないかな…ごめんね。兄弟のこと頼みます」
五虎退「新しい場所で、頑張りたいです…!」
薬研「前田のこと、甘やかしてやってくれや」
蜂須賀「すまない…。俺は、別の本丸へ行くよ」
岩融「今剣のこと、よろしく頼むぞ」

秋田「僕は…抹茶さんのところに行きたいです!!」


570 名無しの審神者
ん?!


571 名無しの審神者
秋田?!


572 名無しの審神者
うちってそういうことか!!!!


573 名無しの審神者
まさかの懐かれてたー!!(*´艸`)


574 名無しの審神者
秋田、思い切ったなぁ…Σ(゜ロ゜;)


575 名無しの審神者
まんばちゃんが、一緒に行くって言ったのは、少しびっくりかも


576 名無しの審神者
薬研ニキ、男前な言い回しだなww


577 名無しの審神者
宗三ww
なんでそんなに挑戦的なのww

つか、左文字兄弟は全振りはじめさんのところか


578 名無しの審神者
乱にそんなこと言われたら、ころりといっちまうよ…


579 名無しの審神者
ばみは鯰尾と一緒なのか、なんかホッとした!


580 抹茶
俺も秋田の言葉に反応できなかった(笑)

思わず、えぇ?!って叫んだけど、
「駄目ですか…?」って捨てられた子犬の様な目をされたら…断れないよな!!
速攻でうちの本丸にいる一期に経緯を話して、承諾もらったよ( ̄▽ ̄;)ハハ…

秋田曰く、あの本丸で手入れした時に、俺のところに行きたいって思ってくれてて、はじめさんが背中を押してくれるって言ったから、決心がついたってさ。

他のメンバーは前述の通り。
思ったよりはじめさんと一緒にいく刀剣が多かったなって思ったよ。
はじめさん自身も少し戸惑ってた。

さて。
じゃ、小狐丸と鶴丸の話にいこうか。


581 名無しの審神者
秋田可愛いな(*´ー`*)


582 名無しの審神者
目をうるっとされたら、そりゃ断れないわ…


583 名無しの審神者
小狐丸と鶴丸!
結果が分かっているとはいえ、ちょっと緊張するな!!


584 名無しの審神者
鶴丸は謝りたいっていってたし、それ程苦にはならないと思ったが…


585 抹茶
みんなの意向を順々に聞き、最後に残ったのは、鶴丸と小狐丸だった。

2人とも黙ったまま下を向いてたけど、御手杵が「おふたりさん」って声をかけた。

杵「黙ってても気持ちは通じないから、思ったことは口に出した方がいいと思うぜ。
 2人が色々抱えてたってのを俺らは知ってるけど、主は知らないし。
 あの人も言ってたけど、腹の底を見せた方がいいと思う。
 今しか言うタイミングは無いぜ?」

淡々と告げた御手杵は、うちの楽天的な御手杵とはやっぱり違って、しっかりしてる…!と妙に感動した。


586 名無しの審神者
抹茶の所の御手杵は、どんだけふわっとしてるんだよww


587 名無しの審神者
抹茶の御手杵へのその偏見なんなのww


588 抹茶
うちの御手杵は、可愛いよ( *°∀°* )
短刀達曰く手のかかるお兄ちゃんだそうです!
よくやらかすから日本号にどやされてるけど、めっちゃ良い奴!!

何より、あいつの懐は凄く落ち着く!!


589 名無しの審神者
悪口かと思ったら、自慢されたm9(^Д^)プギャー


590 名無しの審神者
懐とか言うから、信濃君が御手杵のところに走って行っちゃったじゃんか!

主の懐、寒いですよー((>д< ;)))


591 抹茶
えぇ…、なんかごめん??

>590 ( ´・ω・`)つ[五虎退の虎(極)]


592 名無しの審神者
>590 ( ´・ω・`)つ[博多]


593 名無しの審神者
>590 ( ´・ω・`)つ[氷]


594 590
お前ら(#)Д`;;)…ヒドイ…


595 名無しの審神者
博多ww
お駄賃取られて懐がさらに寒く…ww


596 名無しの審神者
抹茶の虎が1番優しいww
デケェけどww


597 ミルクレープ
脱線しすぎだ
早く話進めろ(o≧口≦)o

>590 ( ´・ω・`)つ[新品の財布]


598 590
>ミルクレープ
慰め方が斜め上過ぎて反応しづれぇよww


599 名無しの審神者
はい抹茶ーそろそろ戻ってー!!ww
ミルクレープまで遊び始めたら収集つかなくなる!!


600 抹茶
ハ━━━ヾ(。´囗`)ノ━━━イ


えっと…先に声を上げたのは小狐丸だった。

小「あなたの不調に気づいていたくせに、何もしないでいた私が、今更何を望めというのか…」
は「…あの時の俺に、何を言ったところで、変わりはしなかっただろう。
 …気づいていて何もしなかったというなら…俺のわがままを、無意識に汲み取ってくれたんだと思うよ」
小「そんな大層な話では…」
は「そう思っておこうよ。それで良いだろう?」
ふわりと笑ったはじめさんに、小狐丸は目を丸くした。

小「……鶴丸、すまん。先に行く」
鶴「…」
立ち上がって背筋を伸ばした小狐丸は、はじめさんを見て微笑んだ。
小「……主様、不逞の私が、共に行くことをお許しください」
小狐丸は深々と頭を下げた。

は「あぁ。…小狐丸。これからもよろしくな」

これで残りは鶴丸だけになった。


601 名無しの審神者
和睦


602 名無しの審神者
抹茶の言っていた通り、小狐丸は鶴丸のことを案じてたのか…


603 名無しの審神者
小狐丸もはじめさんのこと大事に思ってたんだな…。゚(゚´Д`゚)゚。


604 名無しの審神者
鶴丸…大丈夫かな


605 抹茶
残った鶴丸は、ソファーに座ったまま下を向いて動かなかった。

は「鶴丸」

はじめさんがそう呼んだ瞬間、室内がざわついた。
俺はみんながざわついた理由なんて検討つかなかったんだけど、うちの歌仙に聞いたら、「彼は進退を決めた刀剣しか名前で呼んでないんだよ」ってさ。
なんでも、はじめさんは霊力が強いから、名前だけで相手を縛ってしまう可能性があるんだって。
「主のいない刀剣は、特に不安定だから、名前を呼ぶのは避けていたんだろう」ってのが歌仙の解説。

鶴丸も皆と一緒に驚いていて、顔を上げてはじめさんを凝視していた。

は「驚かせてすまない。けど、鶴丸には、謝罪ではなく、お礼が言いたかったから」
鶴「礼…?」
は「……皆を、率いてくれてありがとう」
鶴「なにを…」
は「審神者交代の時、皆を纏めたのは鶴丸だと聞いている。お前は皆をよく見てくれていた。
 誰の言葉も受け入れて、お前はいつも皆のためにと動いてくれた」
鶴「…その結果が、これだ。半数以上が、折れてしまった」
は「そうだな…。
 けれど、俺は、お前が皆をどれだけ大切にしていたか知っている。
 辛いことがあっても笑って、泣くことすらできないお前のことを知っている」
鶴「…っ!」
は「お前は優しすぎる。それがお前の美徳だと思うし、大切な一面だと思う。
 けれど、今は、その優しさを捨てなさい。
 お前はお前の望みを願って良い。どんな未来だろうと、俺が絶対に叶えてやる。

 お前の気持ちを、心に貯めた全てを聞かせて欲しい」

鶴丸の目から、涙が零れたのが見えた。


606 名無しの審神者
鶴丸…


607 名無しの審神者
あぁいっぱい我慢してたんだな…(´;ω;`)


608 名無しの審神者
はじめさんは、ちゃんと鶴丸を見ていたんだな…


609 抹茶
鶴丸はその涙を慌ててぬぐったけど、次から次へと溢れてくるそれに困惑しているようだった。

近くにいた加州が横に付き添って背中をさすって、少しして、まだまだ落ち着いたとは言えない面持ちだったけど、鶴丸は顔を上げて、はじめさんを見上げた。

鶴「俺は…俺は、ずっと、主に謝りたかった…。
 病気だと知らなかった、知ろうとしなかった、思えなかった…思いたくなかった。
 ずっと、俺達を真っ直ぐに見てくれた主を、俺は見ようとしてなかった…。
 …俺は、あの時……主が主でなくなった時、あの横顔を見たあの時…!
 知ってしまった気がしたんだ…。
 …主は、もう俺達の元には決して戻らないのだと…!
 俺達を捨てていくのだと…!
 …受け入れ、られなかった…受け入れられなかったんだ…。
 だから…主を投げ飛ばした…」

なんだか、小さな子供を見ているようだった。
ぼろぼろと泣きながら、それでも、必死に立っている、そんな気がした。

鶴「…酷い奴だろう?
 俺が主を追い出したのに、その実、俺は主に捨てられたのだと、腹を立てた…。
 俺は、こんな醜い奴なんだ…。
 …それを、みんなに押し付けて巻き込んで…。
 そのせいで、みんな折れた…。
 …俺の、せいなんだ……。

 ………主、すまない……みんな、折れてしまった……」

鶴丸とは思えない、か細い声だった。


610 名無しの審神者
あぁ…。゜(゜´Д`゜)゜。


611 名無しの審神者
…無体を働いたことを謝りたいって言ってたけど、本当はみんなを折ってしまったことを謝りたかったんだな…


612 名無しの審神者
うちの鶴もこんな風に色々抱えてるのかな…


613 名無しの審神者
ちょっと鶴丸抱きしめてくる


614 抹茶
はじめさんは、無言のまま立ち上がると、歩き始めた。
ビクリと肩を震わせた鶴丸は、無表情で近づいてくるはじめさんを見て、静かに目を瞑った。

鶴丸の前に辿り着くと、鶴丸を見下ろして、はじめさんは口を開いた。

は「確かに、沢山折れてしまった」

鶴丸の肩がまたビクリと震えた。

は「これは、俺も同罪だからね。盛大に、自分達を責めよう。
 ……けれど、みんな折れたわけではないだろう?
 鶴丸がいる。前田だって光忠だって、小夜だって長谷部だって加州だって…みんないる。
 亡くしてしまった者を弔うことも大切だが、生き残った者達にも目を向けよう。
 お前達が生きていてくれて、俺は嬉しい」

はじめさんを見上げた鶴丸の瞳が、少しだけ輝いた気がした。

鶴「俺は……。
 …主と……いや…なんでもない…」
ぐっと奥歯を噛み締めた鶴丸は下を向いて首を横に振った。
気持ちを我慢しているのは俺でも分かった。

そしたら、小狐丸が「主様」って、はじめさんを呼んだ。
その声に振り返ったはじめさんに向けて、小狐丸は一つ頷いた。
他の刀剣達もちらほらと頷いて…みんなの顔には「頼む」って、そう書いてあったように思う。


615 名無しの審神者
…本当…こじらせてんな…


616 名無しの審神者
ここまで来ても自分を許すことが出来ないんだ…(´;ω;`)


617 名無しの審神者
もう、一緒に行きたいって行動が語ってるじゃないか…!!


618 抹茶
はじめさんは、静かに息を吐くと一歩前に出て、鶴丸の前に膝をついた。
少しよろけたけど、咄嗟に鶴丸がはじめさんの肩を掴んで支えて…。
はじめさんは鶴丸が支えてくれたその手に、自分の手を重ねて、真っ直ぐに視線を合わせた。

は「…鶴丸。
 ここでは、何の矜持もいらない。
 ただの一つも我慢しなくていい。

 ……だから、鶴丸の願いを、教えてくれ」

鶴丸の瞳が微かに震えて、突き動かされるように、口を開いた。

「……俺は…。……主と…一緒にいきたい…」

また鶴丸の瞳から涙が零れた。


619 名無しの審神者
遂に言ったか…!


620 名無しの審神者
一緒に生きればいいよ!!。゜(/□\*)゜。


621 名無しの審神者
鶴丸ぅぅ…!!。゜(゜´Д`゜)゜。


622 名無しの審神者
視線合わせてるのが……もう…!!


623 名無しの審神者
…これ、名前で縛って言わせたってことにならん??
大丈夫かな…(´・ω・`)


624 名無しの審神者
うちの鶴が赤面して転がってるww
良かったなー!


625 オカン109
>623
名前で縛ってても、これは本人の心だろ。
それに、小狐丸達ははじめさんにそれを望んだんだ。

鶴丸を一番近くで見てきた奴らの言葉なら、信用できるんじゃないか?


626 抹茶
>オカン109
ほんとそれな。
その後すぐにはじめさんは鶴丸のことをぎゅって抱きしめて、「無理に言わせてごめんな」って謝ってたよ。

でも、多分、言えたことで何かが吹っ切れたんだろうな。
鶴丸もはじめさんのことを抱き締め返して、
「泣き終わったら、君を驚かしてやるからな…。……主、ありがとう」
って小声で言ってた。
まぁ、室内がしんとしてたから、丸聞こえだったけど、みんな安心したように笑ってたよ。


627 名無しの審神者
おぉ!
本当に和睦した!!ヽ(;▽;)ノ


628 名無しの審神者
良かった…!!(*´∀`*)


629 名無しの審神者
幸せになるんだぞ…!!( ;∀;)


630 名無しの審神者
良かった…!けど…
なんか忘れてる気が…(*´・д・)?


631 名無しの審神者
ん?何かあったっけ??


632 名無しの審神者
三日月の件かな?


633 名無しの審神者
あΣ(゜д゜;)
そういえば、書いてあったな…。
鶴丸の衝撃がデカすぎて、忘れてたが。


634 抹茶
…三日月な…( ̄▽ ̄;)

うん…。
この件が一段落して、政府の人達が別の本丸に行く刀剣達にどんな本丸に行きたいのかとか、あの本丸から何を持ち出すのかとか色々相談し始めた時にね。

急にバンって扉が開いたんだよ。
俺達的には禿の件もあったからさ、今度は何だよ?!って振り返ったら、そこには三日月宗近が息を切らして立ってた。


635 名無しの審神者
は?


636 名無しの審神者
え?


637 名無しの審神者
急に登場してきた…だと?!






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