[携帯モード] [URL送信]
 



ありえないような…というかさ
先輩は二重人格だろうか



『先輩が好きなんだ』

そう告げたのは数日前で、その時の先輩の顔は一生忘れない。嫌とかそんなの通り越して激怒ともとれる凄まじい顔。好きな相手だけど、さすがの俺も引いた

『きもちわりぃなテメェ』

そんな一言を吐かれて、それでも俺はめげずにこの数日アタックアタックしまくって、なんとか先輩を丸めた
大変と言わずになんて言えばいいのか……

海堂先輩は男で、男すぎた

手を繋ぎようものなら小突かれて
抱き着きようものなら殴られて
キスしようものなら蹴られて

テニス以外で生傷が絶えなくなったのは初めてで


困った


好き といえば 気持ち悪い と返ってくるし
この人は本当どうしようもないって

でも

先輩はこういう人で存在で、そんな先輩を好きになって、そんな先輩が好きなんだと


なんだけど………………


「あの…先輩」
「あぁ?」
「俺、あの本見たい…んだけど」
「テメェで取れ」

”そ………うじゃなくて……さ………”

先輩に囲うように後ろから抱きしめられて、背中が熱い
ここ最近の先輩はオカシイ
吐かれる言葉は変わらないけど行動がオカシイ

先輩から手を弄ってくる
指を絡めて遊んでくる
髪を触ったり
頭を撫でてきたり(乱暴だけど)
今みたいに抱きしめてきたりする

どうやら無意識らしぃし

「先輩、俺のこと好き?」
「……好きじゃねぇ」
「ちぇ」

表情はいつもいつでも険しい
まるで不本意でやっているようでオモシロイ

「先輩、先輩」
「あ?」
「もっとぎゅってしてよ」
「……………」

そう言うと
自分のしていることにやっと気付いたようで、顔まっかっか
なにナニ?そんな俺のこと好きなんだ
甘えるなんてバカバカしいことだけど、先輩の表情がガラリとかわるからバカになってみてもいいよ

「先輩」
「……っこれ…は」
「寒いからほら」


もっとつよめにぎゅとしてくんないと


「ふしゅー」

一息吐くと体を締め付けられて、肩に先輩の顔が埋められた


あぁ


先輩もう俺にデロデロだね

さすが俺

でも


そんなデロデロの先輩に俺はデロデロだよ

余裕なんてないね

悔しいけどさ


「先輩、」
「………なんだ」
「好きだよ」
「………」
「大好きだよ」

もぞり、と身体を反して先輩の顔を覗きこむようにして見上げる
困惑して顔をまっかっかにして俺を見る先輩

「かいどうせんぱい」


自分より大きな身体をせいいっぱいの想いで抱きしめる

ふたりで
デロデロになってしまおうよ



END





第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!