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指を切る事は誰にでもあることで、その事に違和感を持つ事も嫌悪感を持つ事もなく、ただ 指を切った それだけであった。なのに目の前の小柄な、自分より背の低い男は目を丸くして嫌そうにその切った指を凝視している。なんだと聞けばなんでもないと答え、見るなと言えば見ていないと答える相手。矛盾しているソレを睨むと睨まないでよと頬を膨らませた。指からは小さな赤い水滴のように指を伝い床へと落ちた。落ちる瞬間をまじまじと見ていたら何だかスローモーションのように思え、珍しく思えた。指に貼るバンソウコウを探そうと立ち上がると服の裾を思い切り引っ張られ後ろによろめく。なんだともう一度聞くと座るよう促され、座ると切った指をまた見つめる。またかと思い溜め息をつくと同時に肩を揺らして身を引いた。指は相手の口に包まれ、生暖かいそのナカで柔らかいまた暖かなものに触れている。硬い歯も当たる。舌先で傷口を舐められ海堂の腰が揺れた。尋常じゃないと思い握られた手を引くが、それを許さず上目使いで海堂を見上げる。背筋に氷が突き抜ける。嫌悪を感じた海堂はあいた方の手で相手の顎をもち睨みを強めた。睨まれて睨まれて拒否を示しても笑う年下のこの男。不意に舌を見せる口元が海堂の顔を赤くした。血はまだ止まらずに口のナカへ、相手のナカへ消えてゆく。指を口から出すと舌だけを出して器用に舐める。傷口など関係ないように指の根元へゆくと海堂は身を引いた。大きい目を、とおった鼻筋を、整った唇を見ると酔ったように眩暈がする。シャツから開けた鎖骨がくっきりと形を見せて海堂を惑わす。自分の赤を相手の唇へなぞるようにつけると紅をしたように映えて綺麗だった。どうなのと言わんばかりに見つめ上げてくる。紅のように相手の唇にのった自分の赤を見て今度は電気が走る

堕ちた

と気付いた時には相手を力強く押し倒す自分がいた。性急なまでに唇を、咥内を犯し胸に手を這わす。腰を相手の腰へ押し付けると一瞬驚いた顔をし行為に夢中となっている海堂の耳元で小さく呟かれた

ヤラシーね

壊したいぐらい強く抱きしめる

殺してしまいたいぐらい深く愛する
切れた指からは尚、血が滲む

その血を相手の頬へ滑らせ、唇に押し付け、喉を優しく通過し鎖骨をなぞる小さく漏れる相手の快楽の声。聞いてしまえば最後。留めることはできない
ちょっと待ってと、制御の声と手を向ける相手の身体へ唇を落として舌を這わす
小さく揺れる身体と硬く閉じられた目、頼りない眉に濡れてゆく身体
軽く押し戻す手は制御を海堂にかけるが貧る海堂には伝わらない

いつからだろうか

のぼせる頭で海堂は思う

いつからだろう

こんなに自分が飢えているのは

ただ血をつけた相手を見ただけで性を感じてしまうのは


赤は欲深い飢えた者の胸を焦がす



あぁ


いつからだろう


もう


逃げられなくなってしまったのは







−−−−END−−−−






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