◆Title
05(アカネイアトリオ)
よく晴れた日の空の中心、それは、大事な人と大事な友人、二人の強い瞳と同じ色。
ミディアの幸福は、つまりこの色に凝縮されている。
頭を突き合わせて啀み合っている二人は、相変わらずどこかその状況を楽しんでいるように見える。
おそらくきっと、絶対にアストリアは否定するだろうが。
自然に足が動いた。
ミディアが目指す場所はいつも決まっている。
突然間に飛び込んできたミディアに、二人は面食らった顔をしたが、捉えた腕はどちらも逃げ出さなかった。
「ミディア?」
呼び掛けるアストリアを見上げる。
「空が綺麗ね」
「…?そうだな」
よくは分からないがとりあえず頷いたという態の恋人は、少し首を傾げている。そして、ミディアの上を通り越した彼の視線は友人にむいた。
ジョルジュは肩を竦めただけで、それから空を見上げた。ああ確かに、と眩しげな声。
「いい色だ」
ミディアの大切な場所。
あの青をそのまま移したような二対の瞳に挟まれて、ミディアは笑った。
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