[携帯モード] [URL送信]

祝!烈火十周年
相棒に(ケント)





付き合いを年数にして数えると、いったいどれほどになるのだろうか。
騎士団に同期で入団したての頃からの付き合いだから、今傍にいる誰よりも長く付き合ってきたことになる。
お互いの性格が正反対だったためか、昔から二人で組まされることが多かった。
反発するというよりは補い合う関係になることを期待されていたらしい、とは後から騎士団の先輩に聞いた話。
始めこそ、あくまで同僚としての範囲内だけで付き合っていたのだが、セインの軽率さを嗜めたり叱ったりしているうちに、やがて二人の距離は近づいていった。
頭の堅いという自覚のあるケントには信じられない部類の言動をとることもあるセインだが、しかし、指摘は的を得ていたり鋭く矛盾をついていたりする。
それは、何事も真直ぐそのままに受け取りがちな自分にはできないことだった。
呆れたり嗜めたりするのと同じくらいに彼の個性に感嘆もして、そうしていたら、二人の距離はますます近づいた。
腐れ縁としか言いようのないほどに、二人で組んでは様々な任務をこなしてきた。
計らずとも呼吸を読むことができるようになり、背中で存在を感じられるようにもなり、いつしかそこにあることが当たり前になっていた。
軽薄な態度をとっているが、その実、与えられた使命にも、仕える主にも忠実だということも、自分は知っている。
その態度故に、彼は周囲から誤解されることもしばしばなのだが、本人はいたって気にするふうでもない。
自分らしく、とか、自分の信じるままに、という言葉がぴったりとくる奴だと、ケントは彼を見て思う。

一度、聞いてみたことがある。
少し態度を改めれば、誤解を受けることもなく、正当な評価を受けられるのに、なぜそうしないのだと。
はは、と、セインは笑った。
おかしそうに、それでいて少し嬉しそうに。
どうしてそんな顔をするのだろうと不思議に思ったケントの顔を、セインが覗き込んでくる。

「他の誰がどう思ってようが、ちゃんとわかってくれる奴がいれば、俺は平気なんだよ」

そう言って。

「お前はちゃんと、わかっててくれるんだろう?」

大事なやつにわかってもらえるならそれでいいんだよ、と、それは嬉しそうに笑ったのだ。





なんと返事をしたのだったか、自分が返したはずの言葉に関しては記憶が曖昧だ。
ただ、セインの透明な笑みを覚えている。
ここまで、共に来た。
補い合って、高め合って。
どちらかが欠けることなど考えもしなかった。
だから、これからも、どちらも欠けることはない。
この戦いを終えた後も。
それを信じて、今もまた、背中を預けるのだ。
唯一無二の相棒に。





2013.5.5


ことかたへの3つのお題は『信用は本物』・『言わなくても通じる』・『振り向けばそこに居る』です。 http://shindanmaker.com/135668 より

































[*前へ]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!