幸せのかたち(ライヤナ)
幸せは猫の形をしている。
なんて思い始めたのはいったいいつの頃からだろう。
そして、猫と言えば青、を思い浮べる時点でまあ、俺の感覚はだいぶあいつに染められてしまっているんだろう、とは思う。
でも、仕方ないだろう?
「久しぶり」
あまり正直な感情を素顔に乗せないあいつが、顔を会わせるたび心底嬉しそうに相好崩して俺んとこに来るんだぜ?
「元気だった?」
見りゃわかんだろと言いたいけれど、あんな顔されたら突っぱねられなくなるだろうが。
なんて顔してんだよ。
そんなにふにゃふにゃになりやがって、恥ずかしい。
「相変わらず、かな」
何にも変わんねぇよ、今まで通りだよ。
若い兵士たちの世話焼いてティバーンの世話焼いてウルキの世話焼いて、周りの世話焼きまくりなんだよ。
充実してるよ、当たり前だろ。
俺は忙しいんだよ、なんたって王の信頼厚い側近だぜ。
あいつらみんな、俺がいないとダメなんだからな。
「……………、」
なんだよ、なんでそんな顔するんだよ。
「俺も、………」
なんだよ、わかってるってんだろ。
わかってるよ。
お前も、俺がいないとダメなんだろ。
時々こうやって会いに来て、ベタベタしないと。
わかってるよ。
わかってるから。
「………させてやるから、」
そんな顔するな、って、
……………バカ、なんて顔だよ。
しまりなさすぎ。
(俺だって会いたかったに決まってるだろ)
2012.8.4
今日の書き出し/締めの一文
【 幸せは猫の形をしている 】
http://shindanmaker.com/231854 より
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