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カナヅチ
丁寧な泳ぎ



「って道草食ってる場合じゃなかったんだ!じゃ、またね!」


ここに来た理由を思い出し、やっちに別れを告げて目的地を目指す。


茜は少し遅れてあたしの後を着いてきた。




目的地の屋内プールは蒸していて、むわっとした空気に包まれる。


塩素の匂いと少し濡れた床に、水泳部に入部したという実感が湧いてきた。


上靴と靴下を女子更衣室に置いて、腕を捲る。


あまりの暑さにもうじとっと汗をかいた。


茜と2人でプールを見に行くと、1人の男子が綺麗なフォームで泳いでいた。


水泳に詳しくないあたしでも、この水しぶきのたたない丁寧な泳ぎを綺麗だと思う。


クロールでこっちに向かってくる男子は、あたしたちの存在に気付いているのか分からなかった。


けど端に着いた時あたしの心配は杞憂に終わった。


黒くて細い身体がプールから出てくる。


水泳帽とゴーグルを外した彼は、一目惚れするくらい格好いい顔をしていた。


塩素で痛んだんであろう淡い茶色の髪に、日に焼けた黒い引き締まった身体。


半裸で水を滴らせてるその彼に、少しドキドキさせられた。



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あきゅろす。
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