カナヅチ
広い心
「え…っ?」
ついつい聞き返してしまった。やっちも一緒に勉強なんて涼稀先輩がいいって言うとは思えないけど……
「別に構わないよ」
「……え!?」
涼稀先輩はにっこりと微笑んだ。今日初めて話して、さっきまで失礼なことを言っていたやっちを易々と受け入れた。
「本当に、いいんですか?」
「ああ」
あたしは確認の為に聞き返したけど、先輩の答えは変わらなかった。さすが先輩、心が広い!
「あざーっす!じゃ今道具持ってきます!」
やっちはご機嫌に図書室を出ていった。とんだ呆れた奴……。
「そう。そこはそれで合ってるよ」
「あー、じゃあこれは……?」
「はいはーい!そこ俺分かる!」
「やっちはいいから自分のやってよ!」
あたしが先輩に教えてもらってるのを見計らってか、タイミング悪く口を挟んでくる。これじゃ全然勉強が進まないよ!
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