[携帯モード] [URL送信]

カナヅチ
観察


涼稀先輩は早速あたしの隣りに座って勉強を教えてくれた。部活の時はすごい厳しいけど、今は分かりやすく優しく教えてくれた。


どんどんページが進む。さっきまで暗号文に見えた教科書も、今じゃほとんど理解できる。




涼稀先輩の細い指が教科書をなぞった。


綺麗な唇から紡ぎ出される声はよく透って、あたしの好きな話し方をしてくれる。


顔を上げると、そこには整った涼稀先輩の顔。肌は健康的に黒く、髪は痛んでいて茶色い。それほどまでに水泳が好きなんだと、見ただけで分かってしまう。


少しだけタレ目で優しい印象を与える。なのに瞳は真っ黒で強いまなざしな気がした。


確かに涼稀先輩は格好いい。けど恋愛対象には見れないし、見る気もしない。あまりにも綺麗すぎて人間じゃないみたい。




「そんなジロジロ見るなよ」


「!……す、すいません!」


どうやらあたしは勉強そっちのけで先輩を観察していたらしい。恥ずかしくなって慌てて顔を背けた。




[←][→]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!