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カナヅチ
お兄ちゃんみたい


「さっきも言ったけど、嫌なら辞めればいい。けど、少しでもやりたい気持ちがあるんなら頑張ってみろよ」


確かに涼稀先輩は厳しい。けどそれだけあたしに期待してくれてるんだと思うと、なんだか苦痛じゃなくなった。


浮かぶこともできなかったあたしが、今じゃ少しずつ泳げるようになってきた。それはただ純粋に嬉しかった。


……まだ、頑張ってみようかな。


さっきまで流していた涙を拭いて鼻をすする。


「やっちには励まされてばっかりだね。
……いつもありがとう」


あたしがお礼を言ったらやっちはいつもつられて笑う。そしてそのあといつも茶化すんだよね。


「おう!いつでもこの俺に相談してこい!」


…ほら。


「なんかやっちってお兄ちゃんみたい!」


「なんだそれ」


きっと女の子同士だったらこんな風にキツく叱ってはくれないでしょ?男子だから、やっちだから叱ってくれたんだって思ってる。


やっちにはいっぱい感謝してるんだよ。あたしはありがとうって心の中で何回も呟いた。



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