カナヅチ
響く言葉
ハァと溜め息を吐かれてやっちの方を見たら、真剣な目と目が合った。
「お前なぁ、甘ったれんな」
いきなりの真面目な声に驚いた。
「なめてんなよ。そんなに嫌なら勝手にやめれよ。今お前が言ったのは、真剣に部活してる奴を侮辱してるのと一緒だぞ」
そのキツい言葉は胸にズシリときて、一瞬呼吸をするのを忘れてしまった。
やっちは本当にバスケが大好きだ。それなのに、あたしは対して執着もない水泳部に入って愚痴を零すばかり。
例え茜に連れられて入った部活だけど、やるなら本気でしなくちゃ。嫌なら辞めればいいだけの話。
やっちには申し訳ないことを言ってしまったという罪悪感が込み上げてきた。
「……ごめんね。軽率だった」
やっちは、目にはいつの間にか涙が溜まっていたあたしの頭をポンポンと叩いた。
「部長だって早く上手くなってほしいから厳しくしてるんだぞ。それだけ瑞葉は期待されてるんだよ」
「………」
優しく話してくれるやっちに堪えきれなくなった涙を解放した。そしたら声が出なくなってしまったから、頷いて返事をする。
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