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カナヅチ
白い紙、2枚



「ちょちょ、ちょっと!分かったから!」


「…分かったって言った?もう苦情は受け付けないからね!」


「あーはいはい!だからそんなに引っ張んないでよ!」


あたしたちが揉めているのは職員室の前。


まだ少し迷ってしまう学校の中、友達の茜(あかね)に引きずられて来た。


茜の右手にはあたしの腕。


左手にはこれから渡しに行く白い紙2枚。


あたしたちの未来はこの紙に託されている。


…なんて大袈裟に考えてみたけど、嫌ならサボっちゃえばいいんだよね。


「失礼します」


コーヒーと煙草の匂いがする職員室に足を踏み入れる。


デスクの上はプリントだらけで、いかにもやる気のなさそうな太めの男の先生の近くまで行く。


「伊藤先生」


茜が声をかけた。


「んー、なんだ?」


気の抜ける返事を聞きつつも緊張はなかなか解けない。


左手にもっていた入部届をデスクの上に重ねた。


「高砂茜と帆柁瑞葉(ほだ みずは)、水泳部に入部します!」



そう、あたしは茜の頑固な誘いに負けて無理矢理水泳部に入部することになった。



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あきゅろす。
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