JUNK BOX
驚愕
 
骸はゴロリと転がって、ベッドから落ちそうになっている綱吉の横に移動した。
くーかーと寝息をたてて眠っている顔のなんと幸せそうなことか。
ぱかんと開けた口からたれる涎を拭ってやりながら、少しちょっかいをかけることにした。

くいくい。髪を引っ張ってみる。

「ほう」

焦茶色のそれは思ったより指通りが滑らかだった。というか柔らかい。自分の髪とは全然違う。同じ男のはずなのだが、と腑に落ちない思いを抱きながら今度は生っ白い頬に手を伸ばした。

さすさす。

「!」

びっくりした。すべすべだった。
あまりにも引っ掛かるものがない滑らかさと指に吸い付くようなしっとり感に、手がビクリと震える。あまりにも繊細そうなので、一瞬自分が触ってもいいものかと躊躇した。
しかし好奇心には勝てない。
こうなったらもう、沢田綱吉の秘密を全部暴いてやる気持ちで、ゴクリと唾を飲み込み、恐る恐る頬をつまんでみた。

ぷに。

「!!」

骸はぴしゃーん!という雷鳴を背後に轟かせながら固まった。
ぷにっぷにだったのだ。そりゃあもう。
カッと目を見開いたまま、一心不乱に指でつまんでは緩めてを繰り返す。

ふにふにふにふにふにふにふに。みょーーん。

「っ!!!」

思わず空いてる方の手で口を覆った。
もっちもちだった。ありえない程に伸びた。

「な、なんなんですか‥‥これ」

頬から指を離して、驚愕の眼差しでもって綱吉を見つめる。
これは本当に男なのか。はたまた人間なのか。自問自答して、いや、と首を振る。
男の頬がこんなにすべすべでふにふにしてて柔らかい訳がない。こんなに景気よくみょんみょん伸びるはずがない。
そうか、分かった、なるほど。
沢田綱吉の正体は、



「初めて知りましたよ。君は‥‥君はもちの化身だっt」
「オレも初めて知ったよ。お前ってアホだったんだな」

目を覚ませと頭に一発もらった。


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