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樹脂木
最期      正竜

ねえ正くん。
もし僕が死んじゃったら、
どうする?


____最期__

「どうしたの、いきなり」

不思議そうな顔して、僕を見つめてる正くんが、凄く、凄く、愛しい。

「なんでもないよ。少し、疑問に思っただけ」

そっか、って正くんは笑った。

「竜ちゃんが死んじゃったら、悲しいし、寂しいよ。後追っちゃうかも」

本当に?
僕が死んだら、後追ってきてくれるの?
絶対?

「絶対に」

だめだよ、正くん。
そんな風に言われちゃ、切り出せないじゃないか。

何が、って不思議そうな顔。
正くんは、どんな表情でもかっこいいね。

「僕ねえ、もうすぐ死んじゃうんだって」

なんかよく解んないけど、難しい名前の病気なんだって。
今の医学じゃ治せないんだって。
病院行ったのも遅かったみたい。

だからね、僕、死んじゃうんだって。

「やだなあ、竜ちゃん。そんな冗談、笑えないよ」

嘘じゃないよ。
今日ね、病院で結果聞いてきたんだ。
なんなら、書類見る?

「、嘘だ・・・ね、竜ちゃん、嘘だよね・・・?」

ああ、泣かないで、正くん。
泣いてる顔もかっこいいけど、見たくないよ。
死にたくないって思っちゃう。

「本当だよ、正くん。僕、死んじゃうの」

「りゅ、ちゃ・・・、おれ、一緒に、死・・・」

「だぁめ」

正くんは、死んだら駄目なの。
死なないで、お願い。

呆然としながらもちゃんと頷いてくれる正くんが、大好きだよ。

「最期にね、お願いがあるんだ」

「な、に・・・?」

僕が死ぬまで、そばに居て。
まだ、いつ死ぬかわかんないけど、ずっとそばに居て。
仕事なんてどうでもいいから。
正くんだけに、僕の最期を見せたい。
だから、仕事も休んで、旅行にでも行こう?
海外はちょっと厳しいから、温泉なんかいいなあ。
日本中の温泉、巡ろうか。
ねえ、正くんはどう思う?

「いい、ね」

沢山涙を流しながら、正くんは笑った。


END


ありがち、かな

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