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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第9話 『また会う日まで、どこまでも続いていくクライマックス・ジャンプ』:1



空から現れた電車に目を奪われていると、後ろで気配・・・。





というか、凄まじい殺気を感じた。





それで、僕達がそちらを見ると・・・。










「・・・あれ、なに?」





スバルが誰に言うでもなく、つぶやいた。声が震えている用に聞こえたのは、気のせいじゃない。





「ヤスフミ・・・!!」

「・・・どうやら合流は先送りだね」










そこに・・・僕達の眼前に現れたのは、異形の巨獣。全長で言うと10メートルほど。





銀色の身体に異様に長い腕。その右手には鎌。背中には何かのアニメでよく見る悪魔の翼みたいなのが二枚。










『グルゥゥゥ・・・!』










そいつは僕達を見下ろす。黒く、濁った瞳で。





瞳を濁らせているのは、単純な色じゃない。敵意・・・いや、圧倒的な殺意と暴力衝動。





理性や知恵という枷に縛られない、純粋なそれが見えない重力となって、僕達を襲う。










『グルァァァァァァァッ!!』










そいつは、天を貫くような雄たけびを上げ、僕達を・・・世界を威嚇する。





そして、その羽根を羽ばたかせる。










「りょ、良太郎さんっ! アレってもしかして・・・!!」

「多分、さっき倒したイマジンが暴走したんだと思う」

【ギガンテス・・・と言うのですね】


「でも、こんなの見たことないよっ! いつもは、もっと・・・!!」





なんつうか・・・銀色レッドアリー○ーみたいになってるし。というか、シルバーア○ーマー?

でも、全体の装飾や雰囲気が似ている。・・・いや、より凶悪さを増してる。つか、これ所見ならラスボスに見えるよ。



また厄介なのが暴走したもんだよ。・・・あれかな? 厄介なのが暴走すると、こうなるのかな。





『みんなっ! 悪いけどすぐにこっちに来てっ!!』

「なのはっ!?」



いきなり、なのはから通信が来た。それも、相当に血相を変えて。




『エリオが相手した例の・・・レオイマジン』




・・・あぁ、やりあってたね。僕達から離れて。



『暴走したみたいなのっ!!』


「はぁっ!?」






画面が切り替わる。そこに映るのは・・・まさしく金色の獅子。いや、そうとしか言い様が無いのよ。

こちらもやたらとデカく、10メートル程度に見える。それが四足で全力疾走してる。どっかのゾイ○みたいに。



あー、やけにあっさり片付くと思ったら・・・これですか。もうちょい頑張んないと駄目ってことっ!?





「・・・なのは、スバルと良太郎さんはすぐに向かわせる。そっちお願い」





言いながら、左手でカードを取り出す。数は三枚・・・それを同時発動。



瞬間、身体を青い光が包む。毎度おなじみ回復魔法のカード。それで、消耗した魔力と体力を回復させる。





『待って、恭文君とフェイトちゃんは?』

「こっちも同じお客様が来ててさ」

『・・・ホントに?』

「ホントに。だから・・・」





右手に持っていた七鉄アルトを、頭上に掲げ何回かくるくると回転させると、そのまま前へ構えた。





「相手してるわ」

【サクッと片付けるので、心配ご無用ですよ】

「ごめん、なのは。そっちは任せるね」





・・・デンライナーはネガデンライナーの相手をしなきゃいけない。まだ、こっちの最終プランは準備が出来てない。



なんにしても、こいつは僕達が倒さないと。ま、いいか。電車バトルしてる間、暇しなくてすむし。





『・・・わかった、こっちは任せて。二人とも、気をつけてねっ!!』





そうして、通信が終わる。・・・みんな、気をつけてね。





「スバル」

「良太郎さん、お願いするね」

「わかりましたっ!!」





フェイトも僕の隣で、ライオット形態のバルディッシュを構える。





「あの、でも・・・二人だけでっ!?」

【二人じゃないですよっ!? 良太郎さんっ! リインをお忘れなくですー!!】

≪私も居ますよ?≫





・・・まったく、この状況でもいつも通りに自己主張ですか。

ま、だから・・・僕もらしくいけるんだけどね。





≪・・・野上氏、私も居ます≫





バルディッシュが自己主張したっ!?





「あ、ごめん・・・って、そうじゃないよっ! いくらなんでも無茶」

「・・・良太郎さん」



そう言いながら、スバルが良太郎さんの腰に手を回す。



「行きましょうっ!!」

「えっ!? あの、スバルちゃんっ! あの、えぇぇぇぇぇぇっ!!」





・・・良太郎さん、スバルの脇に抱えられてなんかの荷物みたいにそのまま去って行った。

つか、スバル。良太郎さんを物扱いするのやめようね?



ま、ここはいい。とにかく僕達二人は、死神ギガンテスを真正面に見据える。自然とアルトを握る手にも、力が入る。

きっと・・・フェイトも同じだ。





「フェイト、まだいける?」

「もちろん。そうだよね、バルディッシュ」

≪Yes Sir≫



・・・いつも通りだよね。本当に・・・よかった。



「ヤスフミ達はどう? さっきカード使ってたけど」

「問題ない。まだまだクライマックスは継続中だし。・・・そうでしょ?」

【もちろんですっ!!】



返事は、僕の中から。その声の主は当然、大事な相棒。



【リイン、まだまだいけますっ!!】

≪同じくです。まだまだ楽しんでいきますよ≫





そんな会話をしながらも、僕達と死神ギガンテスとの間で、緊張感はどんどん高まる。



・・・でも、アルトの言う通りだ。楽しんで、いきましょうか。





「・・・うし、行くよっ!!」

「うんっ!!」










そのまま僕達は飛び出し、暴走死神とやりあうことになった。




















ー時の列車・デンライナー。次に向かうのは、過去か、未来かー




















『とある魔導師と機動六課の日常』×『仮面ライダー電王』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄と時の電車の彼らの時間




















第9話 『また会う日まで、どこまでも続いていくクライマックス・ジャンプ』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



良太郎さんを脇に抱えつつ全力疾走。でも、走りつつ状況を見ていた。というか・・・見えた。





紫の電王の偽者が、空から出てきた紫の電車に乗り込む。そのまま線路を設置しながら空へ・・・って、やっぱり不思議な光景。





だって、進行しつつ線路が地面に組みあがっていくんだから。

そして、それを追いかけるように二つの電車が空から現れ、地面へと向かっていく。

一度、地面すれすれを走ると、そのまま上空へと上がり、紫の電車・・・ネガデンライナー(なのはさんが教えてくれた)を追いかけていく。





一つはデンライナー。もう一つは、テレビで見た地球の蒸気機関車にどこか似ているデザインの電車・・・というか、列車?

あれ、ゼロライナー・・・だったよね。

そして、続けてまた電車が出てきた。ううん、電車じゃない。あれは車両だ。





青、金、紫の三つ。それも合わせて、デンライナーとゼロライナーが連結されていく。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・いつも通りの連結アクションだ。おデブっ! 先頭は任せたからなっ!!










『分かったっ! 任せろっ!!』










オデブの電車を先頭に、紫、金、青、デンライナーの順で連結されていく。





・・・そういや、この間は妙なやつが入ってこなきゃ負けてるとこだったな。





うし、リベンジと行くかっ! 行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・うわ、すごい。





金色の車両から、足が生えたり、紫の車両から竜の頭・・・というか、先頭がドリルにっ!? あ、プロペラっ! なんかプロペラ出てきたっ!!










「良太郎さん」

「な、なにかな?」

「あれ、もう電車じゃないですよね」

「・・・ごめん、それよく言われる」





そっか、よく言われるんですね。それ分かります。だって、電車にドリルやプロペラはありませんから。



・・・やっぱり電王って、すごいよ。




「・・・って、そうじゃないっ! あの、スバルちゃん、お願いだから引き返してっ!!」

「駄目ですっ!!」

「でも、恭文君とフェイトちゃん達だけで暴走したイマジンの相手は、無理だよっ!!」

「大丈夫ですっ!!」



私は、一旦止まって、良太郎さんを降ろす。それから、良太郎さんの目をしっかりと見ながら・・・言葉を続ける。



「ユニゾンした恭文とリイン曹長は無敵ですっ! 誰が相手だって、絶対に負けたりしませんっ!!」



・・・ノリが本当にすごいことになるから。

そう言えば、さっきもそうだったしね。少なくとも、私の知る限り、あの二人が実戦でユニゾンしての負けは、一度もない。



「それに、フェイトさんだって居ますっ! なにより・・・」

「なにより?」



どうしよう。言うの躊躇うけど、ちゃんと言わないと。



「良太郎さん、空・・・飛べませんよね?」





話しながらも、上空では電車が激突を続けている。



そのままどこかへ逃げようとするネガデンライナーに、連結したデンライナーが追いつく。そしてそのまま併走し、横から車体をぶつける。

互いの車体がそれによって火花を散らしながら揺れる。空中に敷かれて行くレールの上から落ちそうなくらいに激しい衝突。



少しの間そうしていたかと思うと、互いに同時に距離を取った。

そして、空中で旋回して・・・相手の電車を真正面に捕らえ、直進する。





「そう言えば・・・少し飛んでたよね」

「はい。・・・二人はエース級の空戦魔導師です。空中戦なら、お手の物です。だから・・・安心してくれませんか?」

「・・・分かった」



よかった。納得してくれた。



「それなら、僕が居ても邪魔になるよね」



・・・良太郎さん。



「邪魔じゃないですよ」

「え?」





空中の電車は、そのまますれ違うようにしてぶつかる。ボディをこすらせながら、互いの質量をぶつけながら。



そのまま上空に上っていく上りながら、何度もぶつかっていく。私はそれを見ながら、良太郎さんに話を続ける。





「あの、さっきはきつい言い方してごめんなさい。でも、良太郎さんは邪魔なんかじゃないです。良太郎さん達が居たから・・・私達、ここに居るんです」





もしかしたら、そのまま消えていたのかもしれない。何も知らないまま、何も気づかないまま。

でも、そうならなかった。理由は、たった一つ。

まったく関係の無い世界のために。会ったこともない私達やこの世界の人達の記憶と時間のために。もう戦っているわけじゃないのに、それでも手を伸ばして、ここに来てくれた。



私、あの時からずっと思ってた。目の前の人は、凄く強くて・・・優しい人なんだって。

その人と、その人の仲間達のおかげで、時間は今に繋がった。消さないためのチャンスをこの手に掴めた。





「だから・・・『居ても邪魔』なんて、私は良太郎さんに言って欲しくないんです。私、少し嫌です」

「スバルちゃん・・・」

「・・・って、私が悪いんですけど。無理に引っ張ってきちゃいましたし」

「ううん、そんなことない。あの・・・ありがと」





・・・はい。





「それじゃあ、いきましょう。急がないと、なのはさん達だってピンチですし」

「うん。・・・あの、でも」

「はい?」

「脇に抱えるのはやめて欲しいな。あの、やりようが難しいけど」

「・・・ごめんなさい」










・・・良太郎さんを背負って、また走り出す。走りながら、空を見る。





幾度目かの交差と激突を終えた電車達は、今度はまるで円を描くように距離を取った。

そのまま、デンライナーの車両の武装が開放される。鳥っぽいミサイルや、犬の口にも見えるのが出てきて砲弾を撃ち込む。

ネガデンライナーも似たような感じの武装を撃ってくる。それが、二つの車両の円の中心点で、激しくぶつかり合う。





・・・まあなんですかっ!? あの、早くしてくださいっ! なんだか、さっき見た暴走イマジンっぽいのが、あの電車から出てきてるんですけどっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・二人同時に踏み込むと、死神ギガンテスの右手が少しだけ動いた。





それを見た瞬間、合図することなく僕は右に、フェイトは左に跳んだ。





次の瞬間、僕達が居た場所に鎌が打ち込まれた。地面が穿たれ、土砂が噴出すように宙に舞う。





そのまま距離を少し取りつつ、左右に回り込む。










【フリジット・ダガーッ!】

「プラズマランサー・セットッ!」





フェイトと、僕とユニゾン中のリインが同時に詠唱。



僕の周りに30ほどの氷の短剣が現れる。フェイトの周りにも、8本のランサー。

それを、同時に死神ギガンテスに向かって撃ち込むっ!!





【「ファイアっ!!」】





そのままそれをぶっ放すっ!!



氷の短剣と槍は、見事に対象に着弾。死神ギガンテスはそれが痛いのか、鈍い呻き声を上げる。

でも、それじゃあ止まらない。・・・僕の方を見たかと思うと、こちらへ襲って来た。



そいつは、右手の鎌を身体を回転させながら、横薙ぎに打ち込んできた。





「なんで迷いもせず僕達っ!?」





それを上に飛んで回避。そこに今度は下から逆袈裟に鎌を返し、襲ってくる。





≪挑発しまくってたの、覚えてるんじゃないですか?≫





それも右横に飛んで回避。・・・やっぱ、それかな?





【日ごろの行いですよね】





左手を抜き手で突き出してきた。それを、左からアルトを振るい、軌道を逸らして避ける。





≪正解です≫

「ちょっとっ!?」





・・・手が痺れる。つか、結構本気でやってこれかい。

あー、僕も電車欲しいよ。そうしたら楽なのに。



つか、ヒロさんに頼んで、電車作ってもらえばよかった。





【それはいくらなんでも無理ですよ・・・】

「それも・・・」





今度は鎌が右から。それを、右から打ち込んで弾くっ!!





「そうだねっ!!」


≪資金的にも、技術的にも無理ですよ≫










そのまま後ろに下がりつつ・・・というか、圧されながら、上に飛行しつつ襲い来る鎌の打ち込み、左腕の爪を弾き、流し、回避する。





・・・やっぱ、ドラゴンやらミミズやらとやり合ってたのは無駄じゃなかった。おかげで対処出来るし。





つーわけで・・・!





「・・・はぁぁぁぁっ!!」










もうちょい、飛ばしていくよっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



エリオが獅子に向かって走りこむ。それに対して、右の爪が振るわれる。





でも、それは空を切るだけだった。なぜなら、エリオはもう上空に居るから。










「雷花・・・!」





ストラーダの刀身に電撃属性の魔力が宿り、金色の刃となる。そして、イマジンの顔に向かってそれを・・・!





「一閃っ!!」





打ち込むっ!!





『グルァァァァァァァァッ!!』





・・・うそ、効いてないっ!?



そのまま、目の前のエリオに噛み付こうとする。それにストラーダを打ち込んで、その勢いを生かして後ろに大きく下がる。





「お供その5っ!!」

「この・・・バンバンっ!!」





リュウタロスが銃を乱射。鳥がブーメランを投げて、攻撃する。



だけど、それじゃあ効かない。ただ金色の装甲に弾かれるだけだった。



エリオは、なんとか着地するけど、すぐに動いた。眼前に、獅子の右の前足の爪が迫っていたから。

それを左に飛んで避ける。返す手で地面すれすれのなぎ払いが来るけど、後ろに大きく飛んで回避。

そこにまた顔が迫ってきた。エリオはまた大きく2度3度と跳躍して、どうにか距離を取る。



当然、獅子ギガンテスはそれを追いかけてくる。





「ギュアァァァッ!!」





そこを狙って、大きくなったフリードが空中から獅子ギガンテスの胴に、足の爪を突き立てる。



でも・・・すんなり避けたっ!? ちょっとちょっと、マジで素早いじゃないのよ、アレっ!!

とにかく、後ろに飛んで避けてから、そのままフリードに飛びかかる。





「・・・なのはさん」

「うん・・・」





結構やばいかも知れない。特に・・・上空のデンライナー。こっちのこともやりつつ、一応視界には入れている。



未だに空中でどんぱちしてるけど、相手の電車に圧されている。空中で、何度も電車や熱光線や砲弾が交差する。



大体は相殺出来る。でも、出来ないのも出てくる。それが被弾して、空のレールの上で白と黒の車体がが大きく、何度も揺れる。

やばい、マジやばい。あれ、あのままだと長くもたない。





「後少しだけ。本当に後少しで、準備が出来る。だから・・・!!」

「モモタロス、オデブそれまで絶対に持たせなさいよ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ちくしょぉ・・・! やっぱ簡単にはいかねぇか。










「おいっ! オデブっ!! そっちはどうだっ!?」

『・・・ごめん、結構やばいかも』



だろうな、俺の方も同じくだ。さっきから、火花でまくってやがる。



『とにかく、もう少し持たせよう。俺達のやることは、あいつを時間の中に逃がさないことだ。それさえ出来れば・・・』



・・・ったく、まどろっこしいな。ま、また復活されても困るから、しっかりやらねぇとなんねぇけどよ。



「ま、その前に・・・」



デンバードを左にパンク。電車を大きく左に動かす。そのままアクセルをひねって・・・突撃だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!



「俺達だけで倒しちまうかっ!!」

『・・・そうだなっ! 頑張ろうっ!!』




あのパチモン電車も突っ込んで来る。そうしてすれ違い様に・・・。

俺は、デンバードの右グリップの近くにある、砲撃スイッチを押す。



「食らえっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



すれ違い様に、空中に走る二つの電車は武装解放。至近距離で攻撃が乱射され・・・爆発の赤が、空を染めた。




そして、空からデンライナーとゼロライナーが落ちてくる。





つか、あのバカっ! うかつに突っ込んでんじゃないわよっ!!



とにかく、目の前もやばい。フリードが飛び込みを空中に上がって回避した。そして、そのまま上に逃げる。

さすがにキャロが背中に居るし、無茶はしないか。なお、エリオはこの間に安全圏に退避してる。





「・・・あぁもう、あの電車が無ければ、僕や金ちゃんだって戦えるのに」

「駄目よ。さすがにあんた達飛び込ませるわけにはいかない」

「くそ、俺らも魔法が使えたら・・・!!」





いや、使えてもそれはそれで嫌だけどね。とにかく・・・私となのはさんは、相棒を構える。



カートリッジロード。周囲に魔力弾を多数生成。しっかり狙いを定めて・・・いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!





「「シュゥゥゥゥゥトっ!!」」





私となのはさんの魔力弾が空を切り裂き、暴走獅子へと飛んでいく。

数十個の桜色とオレンジ色の弾丸達は、その巨体を穿ち、揺らす。





・・・やった?





爆煙が張れる。・・・いや、それを切り裂いて獅子がこちらに飛び込んできた。なのはさんはすぐ上に。私と亀達も、左右に大きく飛ぶ。





私達の居た場所に、右の前足爪が襲い掛かり、地面を抉った

獅子が私に視線を向けようとしている。沈んでいた身体を、ゆっくりと起こしながら。

それを見て私は大きく後ろに飛び下がった。





『グルァァァァァァァァ!!』










獅子がこちらに飛び込んできた。速度で言えば向こうが上。すぐに追いつかれる・・・そう思った。





そうして、牙と爪がゆっくりと目の前に迫ってきて・・・!!










「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」










そんな叫びと同時に、青い道が獅子ギガンテスの顔の真横まで伸びた。










「お願いしますっ!!」










それは、背中に抱えていた何かを放り出す。





・・・って、あれ良太郎さんじゃないのよっ!!





それを見た青亀が、全力で走り寄って・・・受け止めた。





とにかく、その子は青い道を全力で駆け上がりながら・・・飛んだ。





前面に青い環状魔法陣に包まれた魔力の砲弾が現れる。










「ディバイン・・・!」










そのまま顔へと近づく。左手で魔力の砲弾を保持しながら。





獅子がその子の方を向くけど、気にせずに・・・右こぶしを、その砲弾に向かって突き出すっ!!










「バスタァァァァァァァァァァッ!!」









そうして、青い魔力の奔流が生まれる。獅子ギガンテルはまともに顔に食らって、その場で転げ、のた打ち回る。

・・・つか、あれでも倒れないの?





「ごめんっ! 遅くなったっ!!」

『スバルっ!』

「あの・・・一応僕も居ます」





・・・大丈夫です、忘れていませんから。





「・・・キャロっ!!」




エリオが上空に居るキャロに声をかける。その言葉に頷いて、キャロが魔法詠唱に入る。



「アルケミック・・・!」




獅子が立ち上がろうとする。でも、少しだけ遅かった。



「チェーンッ!!」



起き上がろうとした獅子の身体を押さえつけるように、鎖が幾重にも縛り上げる。

いや、それだけじゃない。手足に桜色のリング。・・・なのはさんのバインドっ!!



「・・・行きますっ!!」



・・・エリオがストラーダでブースト。一瞬で上空高く舞い上がった。



「ケリュケイオンっ! スピード&パワーブースト・フルドライブッ!!」



キャロが、舞い上がったエリオに右手をかざす。瞬間、ストラーダの刀身に桃色の魔力の刃が宿った。

そしてそのまま・・・。



「・・・今度こそ、終わらせます」



ストラーダのブーストをかけた。



「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」



そのまま、急降下して獅子の背中に刃を突き立てた。



『グルアァァァァァァァァッ!?』



獅子の叫びが方向する。でも、これじゃ止まらない。




「ストラーダっ! フォルムドライっ!!」



エリオはストラーダを変形させる。そしてどうするか? 簡単よ。




「サンダァァァァァァッ! レイジッ!!」



体内に直接、電気攻撃を仕掛ける。一通り終わった後、すぐにその場から退避する。

・・・続きが来る。それは、先ほどと同じように上空から。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・今度は私の番だね。うん、ちゃんと見せ場有ったよ。





少しだけ、昔の私に戻って、無茶・・・するねっ!!










「いくよ、レイジングハートッ!!」










そうして、私はそのまま飛び出した。目指すのは、眼前で震える獅子。





そうして、虹色の魔力の杭が、先ほどエリオが明けた傷口に深々とささる。










「エクセリオンバスター・・・!」













そう、これはA.C.S.による零距離射撃。こいつの装甲は無駄に硬い。時間もあんまりかけられない。だったら・・・!





中に直接砲撃を叩き込んで、ぶっ飛ばすっ!!










「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」










6発の連続発射。それは確実に、獅子ギガンテスの体内へと入り込み、魔力の奔流が生まれ、蹂躙していく。





そして、全弾撃ち終えると、すぐに私は退避。次の瞬間、金色の獅子は大爆発を起こした。





そして・・・吹き飛ばされた。でも、なんとか姿勢制御で体勢を整える。





うぅ、距離が近かった。やっぱり昔の私、無茶な子だよ。これ普通にやってたんだもん。










「・・・やったぁぁぁぁぁっ! なのはお姉ちゃんもエリオもすごいよっ!!」

「みんなの強さも・・・泣けるで〜」

「「あはは・・・。どうも」」

「ふむ、さすがは我がお供その5だ。誉めてつかわそう。それに、そちらの物も・・・なかなかだ」





ほ、誉めてもらえて・・・嬉しいです。なんというか、まだキャラになれないけど。





「・・・僕、こっち来る必要あったのかな」

「良太郎、そこは気にしちゃだめだから。それ言ったら、僕と金ちゃんも途中からは観戦席だったから」





すみません。さすがにティアの言うように危なかったので・・・。





『・・・なのはちゃん、聞こえる?』

「・・・ヒロリスさんっ!?」

『いや、遠目から見させてもらったけど、また無茶するね〜。やっさんウィルスが感染したんじゃないの?』

「あはは・・・多分」





うん、間違いなく恭文君の影響だ。私・・・恭文君と居るときは、いつもの教導官としての私じゃ、局員としての私じゃ、居られないもん。

高町なのはとして・・・昔と変わらない私として居られる。それがなんだかおかしくて、でもうれしくて・・・。



・・・べ、別にっ! それで恭文君の事が好きとか恋してるとか、そういう話じゃ・・・ないんだからねっ!? 私、フェイトちゃんとのこと、ちゃんと応援出来てるんだからっ! ヤキモチとか、嫉妬とかしてないんだからっ!! ほんとだよっ!?





『いや、誰に言ってるのさ、誰に。あと、そういう事言うのはその通りですって認めてるようなもんだからね?』

「気にしないでくださいっ!! あの、それで・・・」

『うん、もう大丈夫だよ。待たせちゃってごめんね。・・・あのパチモンライナーは、私達に任せて』







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