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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第8話 『止まる訳がないダブル・ライナー・アクション』



・・・なんだろ、あの空中の爆発。いや、気にしてる場合じゃないけど。




みんなから離れて僕と金色の獅子は、いわゆるにらみ合いで互いに硬直してから少し経った。遠くから聞こえるみんなの戦闘音が、僕の耳を刺激し続けていた。











「・・・どうした、来ないのか?」

「いえ、行きますよ。そろそろにらみ合いも飽きてきたので。それで・・・」



ストラーダを構え直す。いつもの、突進する前の構えに。



「終わらせます」





獅子も構える。右のカギ爪を引き、左手に持ったロッドを前に出す。



・・・次で決まる。いや、決める。だから、僕はストラーダに魔力を込める。





「・・・終わるのは、お前だ」










魔力を込める。雷撃属性に変換された魔力を。





でも、それだけじゃ足りない。通常の魔力付与攻撃では、金色の獅子は倒せないから。もう知ってる事。

だから、ここからが違う。





・・・丁度、ストラーダの刀身を雷の魔力の刃で包むように纏わせる。

荒れ狂う雷撃を、圧縮。それを薄く、鋭く・・・研ぐようにする。そうして産み出されるのは・・・金色の雷の刃。それがストラーダの刀身を包み、その穂先が金色の獅子へと向く。





でも、キツい。コントロールがシビアだし、余裕もやっぱりない。恭文みたいに上手く出来てるか、自信ないや。

というか、恭文はこれを平然とやってるんだよね。それも、僕と同じくらいの歳から。・・・すごいよ。





これが、僕の答え。バリアもフィールドも、立ちはだかる全てを斬り裂く刃。攻撃力の追及というテーマの一つの答え。





・・・いや、僕のオリジナル技じゃないけど。でも、他に思い付かなかった。

手に残った硬さを撃ち抜けて、今すぐに使えるもの・・・となると、これだった。一応、恭文に見てもらって、太鼓判も押してもらってる。





そしてこれなら、今までの訓練の成果が・・・シグナム副隊長や、恭文との組み手での経験が、存分に生かせるっ!!










「・・・ストラーダっ!!」










カートリッジを2発使用。ストラーダの噴射口に火が灯る。・・・ブーストっ!!





飛び込む。獅子がカギ爪を振るう。・・・いや、僕に向かって突き出す。










「雷花・・・!」





爪と雷の槍の先が触れる。槍の切っ先は爪をスッと斬り裂く。



イマジンがすぐに爪を引き、僕にロッドを上段から叩きつけてくる。




僕はストラーダの補助ブーストを噴射。そうして空中で身体を前転させながら、その攻撃を回避。後ろ髪に、何かが掠める感触がした。



そしてそのまま・・・ストラーダを上段から打ち込むっ!!





「一閃っ!!」




















・・・雷の槍の刃は、獅子が咄嗟に刃を受け止めようと出してきたロッドを、その中程から真っ二つにする。





そしてそのまま、イマジンの身体に袈裟に食い込み、左下へその斬り口を進行した。





地面に着地。同時に、僕が斬り落としたロッドが地面に落ちた。










「・・・終わるのは、俺か」

「そのよう・・・ですね」



結果はもう出てる。その、少し危なかったけど。だって、髪・・・!!



「エリオ・・・だったな」

「はい」



イマジンは、ゆっくりと倒れながら・・・一言だけ口にした。



「強い・・・な」





そうしてイマジンは地面に伏して、爆発した。



・・・勝った。





「・・・ちょっと違うか。勝てたんだ」





僕一人の力じゃない。・・・ダメだな、まだまだだ。





「いや、そうでもないぞい」



声は後ろから。ハッとして振り向きそこを見ると・・・恭文より少し低い身長の、白髪で長髪のおじいさんが居た。

そして、腰には日本刀。長さも、アルトアイゼンと同じ感じ。



「あの術式は相当コントロールがシビアでの。ちょっとでも魔力の研ぎ方が甘いと、すぐになまくらになる。つか、ワシでもちょい難しいんじゃ。
魔力運用技術がアホみたいに高い恭文だからこそ、使えるもんじゃと思っとったんじゃが・・・。いや、坊主も中々じゃ」

「・・・あの、おじいさん。今、恭文って」



この人、恭文の知り合い? というか、どうしてこんな所に。



「なに、アイツがどんだけ腕を上げたか見に来たんじゃよ。お前さん方の邪魔はせんから、安心せぇ」

「は、はぁ・・・」

「・・・ま、及第点じゃな。また太刀筋が鋭くなっとる。アルトも元気そうじゃし、安心したわ」

「アルトっ!?」



アルトって・・・アルトアイゼンの愛称っ! でも、それってアルトアイゼンが呼ぶのを許した人間だけしか言っちゃいけなくて・・・!!

その人間は、フェイトさんの話だと二人だけ。一人は現マスターの恭文。それで、もう一人が・・・。



「あの、おじいさんもしかして・・・」



この人が、噂に聞く伝説の魔導師で、恭文の・・・。



「ところで坊主」



おじいさんが、僕に思いっきり近づいてきた。というか、今・・・一瞬で目の前にっ!!



「アレはなんじゃ?」



おじいさんが、みんなが戦っているであろう場所を指差す。というか、顔近いですよっ!!



「あ、アレとおっしゃりますと・・・」

「フェイトちゃんじゃよっ!!」



フェイトさんっ!? あの、もしかしてあの場にフェイトさんがっ!!



「なんじゃ、あの濃厚ハグとフラグ立っとる雰囲気はっ! いつの間にあんな風になっとるんじゃっ!!
つか、アイツ・・・フェイトちゃんの胸に・・・豊満でたわわな果実に・・・! ワシだってあんなのしてもらったこと無いと言うにっ!!」



・・・胸って何っ!? 恭文、フェイトさんと何してるのっ!!



「え、えっと・・・僕にはよく・・・」

「そんな言い訳が通用するとでも思っとるんかっ!!」

「言い訳じゃないですよっ! というか、落ち着いてくださいっ!! 顔っ! 顔近いですからっ!!」

「とにかくっ! 最近の恭文とフェイトちゃんについて、少し話を聞かせてもらうぞいっ!!」










えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?




















ー時の列車・デンライナー。次に向かうのは、過去か、未来かー




















『とある魔導師と機動六課の日常』×『仮面ライダー電王』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄と時の電車の彼らの時間




















第8話 『止まる訳がないダブル・ライナー・アクション』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・飛び込み、襲い来るイマジン軍団に一鉄・・・アルト本体を振るう。





いつもと違う両刃形態。でも、問題ない。右、左と斬りつけ、モグラやらクジラやらサソリだらけの軍団の陣形を崩して行く。










「ヤスフミっ!!」

「アタシらも混ぜろー!!」





フェイト・・・皆も飛び込んで来た。フェイトは、ライオット形態のバルディッシュを振るい、雷の刃でイマジンを斬り裂く。



動き・・・いつも通り。本当に、思い出してるんだよね。





「調子に・・・」

「乗るなぁ〜!!」





モグライマジンが、僕の周りを囲む。そこから5体ほど同時に襲ってきた。





「リイン、いくよっ!!」

【はいですっ!!】





アルトに魔力を込める。込めるのは、氷結系の魔力。凍れる青い息吹が刀身を包む。



それに怯むこと無く、イマジン達が飛びかかってくる。





【「氷花・・・!!」】





アルトを横薙ぎに振るい・・・いや、その場で回転するように、イマジン達を斬るっ!!





【「一閃っ!!」】





青い凍れる閃光が円となり、それがイマジン達を斬り裂く。





「・・・さ」

「寒い。というか・・・!」

「冷てぇぇぇぇぇっ!!」





そして、斬り裂かれたイマジン達が、その斬り口から凄いスピードで凍って・・・砕けた。





【やったですー!!】

「悪いけど・・・」





ホルダーから、左手で二鉄を抜く。そのまま一団へと突っ込み、二鉄を左から真一文字に振るう。



その斬撃を受けて、数体が後ろに吹き飛ぶ。





「かかってくるなら・・・覚悟、決めてよ。遠慮なくぶった斬るからさ」

≪当然、答えは≫

【聞いてないですよ♪】





・・・周りも始めてる。



モモタロスさんとデネブさんはネガタロスと。

ティアナとキャロになのはにアギト。ウラタロスさんにキンタロスさん、リュウタにジークさんは、雑魚イマジン達を引き付けてくれてる。

・・・というか、なんかその中にウラタロスさん達に似たのが居るんだけど。黒くて刺々しくて、ネガタロスに似てパチモンっぽいの。



で、残りの僕と良太郎さんにフェイトとスバルは・・・。





「良太郎さんっ!!」

「うんっ!!」





良太郎さんが、イマジンの一団へと突っ込み、両手で剣を右、左・・・と振るい続け、斬り付ける。



スバルも隣でナックル振り回してる。・・・元気だねぇ。と言うか、なんとなく嬉しそうに見えるのはどうして?





「・・・調子に乗るな」





そう言って、死神イマジンが鎌を振るい、また黒い衝撃波を地面伝いに打ち出してきた。進行方向には・・・良太郎さん達。



僕は走り出す。すると、サソリとモグラが行く手に立ちはだかる。邪魔を・・・。





【「・・・鉄輝」】





するなっ!!



・・・アルトと二鉄に魔力を込める。薄く、鋭く、研ぐように。

生まれたのは、全てを斬り裂く二振りの青い刃。走りながらアルトを右から袈裟に、サソリに向かって振るい、斬る。

そのまま踏み込みつつ身体を捻り・・・いや、回転させて、二鉄を右から真一文字にモグラの胴を斬るっ!!





【「双閃っ!!」】





そのまますぐに走り出す。二体の爆発の音を後ろで聞きながら、進行方向へ移動。





「リインっ!!」

【はいですっ!!】





アルトにリインのコントロールで魔力が宿る。再びアルトを青い光が包み込む。そのまま上段からアルトを振るう。





【鉄光撃っ! ですっ!!】





すると、青い刃が地面を走り、衝撃波へと向かっていく。



そして、それらは正面衝突すると爆発。・・・ギリギリだけど、防げた。



でも、まだ続く。死神イマジンがジャンプしながら飛び込んできた。当然、鎌を上段から打ち込みながら。



その攻撃をアルトで受け止める。瞬間、すごい衝撃が襲ってきた。

続けて連続で来る鎌の斬撃と衝撃。これを、アルトと二鉄で迎え撃つ。

互いに振るう刃がぶつかり合う度、火花が散る。空気が震え、金属同士がぶつかる耳障りな音が、耳を突く。



・・・足りないかな。





≪そうですね。アイツの攻撃、重いです≫

【なら、アルトアイゼン】

≪はい≫





後ろに大きく飛ぶ。当然奴は僕を追いかけてくる。





「こっちも」

≪セブンモードの本領発揮と≫

【いくですよっ!!】





二鉄をアルトの刃の部分に当てる。すると、二鉄がアルトに吸い込まれるようにしてくっつき、アルトと二鉄は一振りの剣になった。



形状だけなら、片刃の大剣に見える。それを両手で持ち・・・。





「・・・いくよ」





そのまま、死神イマジンへと踏み込み、アルトを上段から振るう。死神イマジンは、それに対して鎌を振るう。そして、また鉄と鎌がぶつかり合い、空気が震える。

先ほどまで若干力負けをしていた斬撃は、今度はそんな事もなく相手の斬撃と張り合う。



うし、これならいけるっ!!





【8時方向っ! 来ますっ!!】





横からクジラが槍を突き出してきた。死神イマジンとつばぜり合いをしながら、左手をホルダーに伸ばす。そして・・・逆手で四鉄を引き抜く。



それで槍を受け止める。・・・うわ、ギリギリだったし。

でも、ここで終わらない。他のが襲って来た。それぞれの獲物を構えて、こちらに走り出した。





「不意討ちなんて」




僕の背中を守るように、フェイトが現れた。そして・・・。




「させない」

≪後ろは私達に任せてください≫

「行くよ、バルディッシュ」

≪Yes Sir≫





瞬間、閃光が生まれた。それが敵陣を駆け巡ると、不意討ちかまそうとしたイマジン達が10数体、連鎖的に爆発する。



それを後ろ目で見つつ僕は、両手を少し引く。それから一気に押し込んで、二体のイマジンの獲物を弾く。

そして、四鉄をアルトの右側面に装着。





「はぁっ!!」





重さを増したアルトを左から横薙ぎに打ち込み、二体を吹き飛ばす。



そのまま少し後ろに下がって、フェイトと背中を合わせる。





「フェイト」

「なに?」

「・・・ありがと」

「・・・うん、大丈夫だよ」



その、色々とね。助けてくれた事とか、思い出してくれた事とか。



「あの・・・ね」

「うん」

「私、少しだけ分かったよ」



・・・こっちにやってきたモグラ4体に対して、アルトを左から打ち込む。そうして、また斬り払い、吹き飛ばす。



「なにが?」

「・・・内緒。でも、もうちょっとだけ分かったら、話すね」



フェイトがそう言いながら、バルディッシュからカートリッジが3発ロードされる。そうして生まれるのは、雷撃の砲弾に、前面の金色のミッド式魔法陣。

僕も、左手を前にかざす。ジガンからカートリッジを同じく3発ロード。こちらに生まれるのは、凍れる息吹の砲弾。



「すごく大事な事だから。ちゃんと分かってから、ヤスフミに話したいんだ。」

「そっか・・・。なら、楽しみにしてる」

「・・・うん」



つーわけで、僕達二人は前から迫ってくる雑魚連中に向かって・・・。



「アイシクルキャノンッ!」

「トライデントスマッシャーッ!」



それを・・・ぶっ放すっ!!



『ファイアッ!!』



放たれた氷と雷の砲弾は、前面のイマジン軍団達へと着弾。一方は凍れる嵐を巻き起こし、もう一方は荒ぶる雷撃の嵐を巻き起こし、それらを蹂躙する。

そして、一気に連中を砂へと戻してやった。・・・うし、決まったっ!!



「いや、これ楽しいね」

「・・・そうだね。私もそれ、少しだけ分かってきたよ。これがクライマックス・・・なんだよね」

「そうそうっ! いや、分かってもらえてうれしいよ〜」

【・・・ずいぶん楽しそうですね】



な、なに? この地の底から響くような声は・・・。というか、もしもしリインさんっ! あなたなんでそんなにお怒りモードっ!?



【なにリインを差し置いてラブラブしてるですかっ! というかっ!! リインの事完全に忘れてたですよねっ!?】



なんか理不尽な理由で怒ってるっ!?



「「いやいやっ! ラブラブなんてしてないからねっ!?」」

≪ハモっても説得力がありませんよ。というよりフェイトさん、本当に楽しそうでしたよ? そして、私のことも忘れてましたよね?≫

【ですですっ!!】





・・・と、とにかくっ! ここからは更にノリよく行くよっ!!





「そ、そうだね。ヤスフミ、あれ使おうよっ!!」

「よし、それでいこうっ! プランBだプランBっ!!」

【・・・ごまかそうとしてるです】

≪してますね≫

「「いやっ! してないよっ!?」」





とにかく僕は左手から、サウンドベルトを取り出す。それを腰に巻く。アルトを一旦地面に突き刺す。





「さて・・・せっかくだし」



既にベルトに装着されていたケータロスのエンターボタンを押す。そして、右手に持ったパスを開く。



≪派手に行きますか≫

【・・・もういいです。リインもノっていくですっ! フェイトさんには負けないですよー!!】

「お、お手柔らかに・・・」





開いた状態のパスを、ベルトにセタッチ。そして、それを閉じてからもう一回セタッチ。





≪Change and Up≫

「それじゃあ、見せてあげるよ」





僕達と良太郎さん達にしか出来ない、もしかしたら最初で最後の・・・!





≪The song today is "DEN-O&StrikreS Climax medley"≫

「正真正銘のっ! 最高のクライマックスってやつをねっ!!」










そうして、また僕達は飛び出した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪The music today is "俺、参上"≫










「ま、またアイツはっ!!」

「なぎさん、またすごく楽しそう・・・」

「・・・アソコまで来ると、もう感心するしかねぇな」



いや、アギト。感心しちゃだめだから。



「でも、効果はあるみたいだよ? ・・・ほら」





なのはさんが言う方向を見る。・・・え?





「これ、意外と面白いなぁっ! 力がどんどん沸いてくるでっ!!」





変身してスリムになった熊が、張り手をかましながらイマジン達と、黒い刺々しい熊とやり合ってる。というか、押してる。





「でしょでしょ〜? やっぱり楽しいよねっ!!」





リュウタロスは、敵陣を踊るように駆け回り、銃を乱射してる。つか、こっちも黒い竜っぽいのと・・・。





「・・・・ふむ、悪くはない。あの少年、中々の働きだ」





あと、鳥。腰の後ろに両手を回して、攻撃をひらりと避け。





「後で誉めてつかわそう」





後ろからチョップかましてる。つか、本気であのキャラはなにっ!?


そして、音楽が流れ出して一番暴れてるのが一人。





「・・・よっとっ!!」





亀だ。こっちも自分のパチモンと言うべき黒亀とやりあってる。攻撃をひょいっと避けて、相手の背中に裏拳かましてる。





「こっちもいくよっ! ティアはウラタロスさんとっ!! キャロとアギトはリュウタロスさんの方をお願いっ!!」

『了解っ!!』










そして、私達もまた動き出した。・・・あの黒いのが中隊長みたいに指示を出してるっぽい。





なら、ここでそいつらを潰せば、あとは勢いでいけるはずっ!!





・・・ってっ! なんで私はアイツみたいなこと言ってんのっ!? もしかしなくても影響されてるんじゃっ!!










≪The song today is "Climax Jump Rod Form"≫










・・・あ、音楽変わった。





つか、これ・・・歌っ!? つか、亀の声っ!!










「てめぇっ! チョロチョロ避けんなっ!!」

「あーあ、これだから偽物は嫌だよ」





そう言いながら、亀が右から回し蹴りを黒亀にかます。





「大体さっ!!」





腰のデンガッシャー(なのはさんに教えてもらった)を両手で外す。それを組み合わせながら、もう一度蹴り。





「デザインからして、安直過ぎると思うんだよねっ!!」





そうして、残りの二つのパーツも組み合わせる。





「もうちょっと捻ってきなよっ!!」





蹴りを最後に一発かまして、黒亀を吹き飛ばす。もう、手元に出来ていた。亀の獲物・・・竿が。





「それじゃあティアナちゃん」



隣に来た私に亀が声をかけてくる。



「えぇ、いくわよ」

「見せてあげるよ。僕達の愛の」

「何が愛よっ!!」



ゴーンっ!!



「い、痛いよ。ティアナちゃ・・・え、どうして首を絞めるの・・・!?」



気にすんじゃないわよ。つか、こいつは・・・!!



「つーか、アンタマジでアホでしょっ! こんな時にんなこと言うんじゃないわよっ!!」

「で、でもっ! 恭文は戦闘中にフェイトちゃんにプロポーズしたって・・・」



・・・あぁ、したらしいわね。アイツから聞いたわよ。ぶっちぎりでスルーされたらしいけど。



「つーかっ! あのバカを見習ってんじゃないわよっ!!」



あのバカ見習ったら、何でもありでしょうがっ! そんなのあり得ないわよっ!!



「お前ら・・・俺達を無視してんじゃねぇっ!!」



黒亀を筆頭に、モグラが大量に来た。・・・なんかどたどたとっ!!



「うっさいっ!!」





私は瞬間的にカートリッジをロード。魔力弾大量生成。左手で亀の首を絞めつつ、右手のクロスミラージュの銃口を向け、引き金を引く。



勢いよく放たれた魔力弾が、私と亀に近づいて来たイマジン達を貫き、黒亀以外を全て砂に返す。





「・・・なっ!?」

「ティ、ティアナ・・・ちゃん?」



私は亀を離し、黒亀に狙いを定める。つーか、睨む。どういうわけか、震え出したけど。



「・・・アンタ達、キレてんのがアイツとなのはさんだけと思ったら、大間違いよ。人が大人しくしてれば付け上がってくれちゃって・・・潰すわよ?」





危うくこっちは解散後の就職先が無くなるとこだった。そして・・・あのバカが本気でヘコむ所を見る羽目になりかけた。



・・・そういうの、好きじゃないのよっ! 借りは、しっかり返すっ!!





「・・・やっぱ、釣られてるのかな」



言いながら、亀が竿を担いで黒亀に近づく。



「どういう意味よ」

「さぁ、どういう意味だろうね」





黒亀が身体と同じ色のグレイブを振り上げ、上段から打ち込む。



それを亀は左に体を動かし、避ける。そして、そのグレイブの柄を、竿で押さえ・・・蹴る。





「・・・ま、ここからが先輩風に言うと」





吹き飛んだ黒亀に一気に走り寄り、竿を突き出す。その穂先は、黒亀の胴に命中。火花が散る。





「僕達のクライマックスって」





そこからがすごかった。突き、なぎ払いの連続攻撃。普段の飄々と言うかスケベな亀の印象が無かった。その攻撃の全てが苛烈で、的確。



アイツ・・・こういう部分もあったんだ。





「やつかなっ!?」

「意味わかんないわよっ! このバカっ!!」





火花が散る。黒亀が怯む。でも、亀はそれでも攻撃をやめない。

でも、黒亀もそれで終わらない。黒亀が突き出してきたグレイブを、竿の穂先で受け止め・・・いや、絡めて、上に上げる。



すると、面白いようにグレイブが上空へ飛んでいった。





「ティアナちゃんっ!!」

「了解っ!!」




私は飛んでいったグレイブに狙いを定める。で、カートリッジロード・・・!



「シュゥゥゥゥゥトっ!!」



私の周りで複数生成された髪と同じ色の魔力弾が、そのグレイブへと飛んで行き・・・全て着弾。グレイブは見事に金属片となった。



「あぁっ! 俺のお気にがぁぁぁぁぁっ!!」

「・・・あ、あれ君のお気に入り?」



で、当然亀はそいつの腹に向かって突きを打ち込む。黒亀は、それに押されて一気に後ろに吹き飛んだ。



「ごめんごめん、それは悪いことしちゃったね」

「お、お前ら・・・卑怯だぞっ!?」

「よく言われるよ」



亀が竿を右肩に担いで、ゆっくりイマジンに近づきながら、そう言った。・・・つーか、ちょっとまったっ!!



「私は言われないわよっ!!」



勝手に数に入れないでよっ! つーか、卑怯って言うなっ!! 武器破壊は常套手段の一つでしょっ!?



「ま、そうらしいから諦めてよ。さて・・・」



亀が、右手でパスケースを持つ。それを・・・。



「そろそろ下ろして亀鍋に・・・いや」



私の方を振り返って一回見た後、言葉を続けて、パスケースをベルトにセタッチした。



「たたきにしてあげるよ」

≪Full Change≫



そのまま、パスをパッと手放す。ベルトの中央部分から、竿に向かって青い電気のようにも見えるエネルギーが走っていく。

そして、黒亀の周りに6体の亀が現れる。



「・・・な、なんじゃこりゃっ!?」

「・・・あれ、聞いてなかったの? 僕言ったじゃないのさ」

「・・・せっかくだし、私達二人でたたきにしてあげるわよ」





なお、これは全部私の幻術。・・・ま、せっかくだしね。

あぁ、だめだ。やっぱりアイツに毒されてる。前だったらこんなバカな真似、絶対しなかったのに。



6体の亀が同時に竿を黒亀に投げる。その穂先が突き刺さると、同じく数の青い甲羅が黒亀を包み、動きを止めた。



・・・亀っ! 行ってっ!!





「了解っ!」



そのまま亀は走り出す。そして、跳ぶ。



「はぁぁぁぁぁぁっ!!」



6体の亀が黒亀に向かって右足で飛び蹴りをぶつける。そしてそれは、同時に命中。



「うわぁぁぁぁぁっ!!」



・・・本物の蹴りが命中すると、他の亀も甲羅も消えた。黒亀はその蹴りで吹き飛び・・・爆発した。

亀は着地して、太ももを払うような仕草を見せて、私の方へと歩いてくる。



「ティアナちゃん、ナイス」

「・・・ありがと」

「というか、魔法ってホントにすごいよね〜」



やたらと感心した風に言ってきた。・・・ま、それ言えば私はアンタの方がすごいと思うけど。色々さ。



「・・・だって、僕も君の魅力という魔法に釣られて」

「さ、他行くわよ。まだまだ劣勢に変わりは無いんだから」

「ちょっ! ティアナちゃんっ!? 無視ってひどくないかなっ!! というか、首っ! 首つかむのはやめてー!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪The song today is "Climax Jump Ax Form"≫










・・・今度は演歌・・・というか、私達の番っ!?





ま、そこはいいよね。とにかく・・・!










「レイジングハートっ!!」

≪はい、いきましょうっ!!≫





上空から、レイジングハートを構える。・・・数が多い。みんなも居る。思いっきり乱戦だから、あんまり派手な砲撃は使えない。





・・・いや、フェイトちゃんと恭文君はいいの。うん、もうあっちは敵しかいないような状態だから。スバルが、良太郎さん引っ張って当たらないようにしてたし。




なら、ここは的確に潰していくっ!!





≪Accel Shooter≫

「キンタロスさんっ!!」






キンタロスさんが、サイのイマジンに張り手をかましている所に声をかける。その声に気づいたのか、後ろに飛ぶ。





「シュゥゥゥゥゥトっ!!」





それを確認してから、私はアクセルを発射。12個の魔力弾をしっかりとコントロールして・・・イマジン達を穿つっ!!

でも・・・倒せないっ!? ・・・あ、なんか硬そうなのばっかり居る。





「嬢ちゃん、十分や。後は俺に・・・」





キンタロスさんが、腰のデンガッシャーを手に取る。それを組み立てて・・・斧が生まれた。





「任せときっ!!」





キンタロスさんが、ゆっくりと歩いていく。それに向かって、サイや鉄球を持ったアルマジロのイマジンが襲いかかる。





「・・・ふんっ!」





それに対して、キンタロスさんは斧を振るって、イマジン達を斬っていく。すれ違うように胴に一発。

相手が攻撃してくれば、それを受け止め、弾き、左から袈裟に薙ぎ払う。





「・・・知っとるかぁっ!?」





黒い棘々しい黒い熊・・・キンタロスさんの偽者っぽいイマジンが、両手で大きい斧を持って走りよってくる。そうして、その斧をキンタロスさんに打ち込む。



その斧を、キンタロスさんはこれまた斧で受け止める。でも・・・足元が沈んでる。というか、押されてるっ!?





「人の恋路を邪魔するやつは」





そこに、一斉にサイとアルマジロ達が襲ってくる。



私は、すぐにレイジングハートを構える。・・・これでっ!!





「熊に張り手かまされて・・・!」





覆いかぶさるようにしていたイマジン達に、バインドをかける。・・・一瞬、それだけ止められれば十分っ!!



キンタロスさんっ! 行ってっ!!





「泣いてまうでぇぇぇぇぇぇっ!!」





キンタロスさんが、その全てを回転して斧で斬りつける。そうして、イマジン達が吹き飛んだ。



そのまま、左手でパスケースを持ち、ベルトにセタッチする。





≪Full Change≫





キンタロスさんが斧を上空へ放り投げる。私はまたレイジングハートを構える。





≪Excellion Buster≫





カートリッジをロード。黒い熊がこちらに気づいた。でも、遅いっ!!





「エクセリオン・・・! バスタァァァァァっ!!」





威力と範囲は調整して、今戦ってる一団のみを狙って、バスターを発射っ!!



瞬間、キンタロスさんが上に跳ぶ。・・・砲弾が地面に着弾。サイやアルマジロを吹き飛ばす。



キンタロスさんは、上空で斧を右手でキャッチ。そのまま・・・。





「うぉりゃぁぁぁぁぁっ!!」





斧を、黒い熊に打ち込むっ!!



黒い熊は、斧を自分の斧で受け止めようとする。だけど、それごとキンタロスさんの一撃は、黒熊を一刀両断にした。



そして、黒熊と硬そうなイマジン軍団は、見事に吹き飛んだ。





「・・・ダイナミックチョップ」

「・・・やっぱり後から言うんですね」

≪マスター、うれしそうですよ?≫



だって・・・生で見れたんだもんっ! やっぱりうれしいのっ!!



「いや、そないに喜ばれると・・・照れるで」

「にゃはは・・・すみません」

「・・・なのはさんっ!!」



声のした方を見る。・・・ティアだ。あ、そっちも一応片付いたんだね。



「はい、なんとか。・・・この後は」




・・・そう言いかけた時、また一団がやってきた。どういう訳か、キャロの居る方から必死に逃げながら、モグライマジンだけが。



「もちろん、もっと暴れるよ。せっかくのクライマックスだもの。・・・ティアっ! 一緒にっ!!」

「はいっ!!」



・・・私達は互いの相棒を構える。そして、狙いはモグラのご一行様。



「クロスファイア・・・!」

「アクセル・・・!!」



・・・やっぱり私、恭文君に影響されてるな。でも、いいか。

今、すっごく楽しいからっ!!



『シュゥゥゥゥゥゥゥトっ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪The song today is "Climax Jump Gun Form"≫










・・・また音楽変わった。というか、なぎさんがまた楽しそうにしてる。





うーん、未来の妹としては、あの勢い任せな部分は少し不安だよ。フェイトさんも影響され始めてるし。




とにかく・・・だよね。私は言いたい事があるの。










「アギトっ! ちょっと暴れ過ぎじゃないかなっ!?」

「きゅくー!!」

「気にすんなよっ! てか、アタシは出番少なかったから、ここで活躍・・・」



アギトが、自分の周りに炎の玉をいくつも出す。それを・・・。



「したいんだよっ!!」



イマジン達に、投げつけるっ! 瞬間、金属の・・・本当に雑魚キャラと言うばかりに大量に居るモグライマジンが、炎に包まれる。



「あ、熱いっ!!」

「おい、早く逃げ・・・なんだっ!? この鎖っ!!」



・・・私です♪



「・・・ね、フリード」

「きゅく」

「モグラって、美味しいよね」

「きゅくっ!!」



・・・保護隊に居た時に、そこの世界で『モグラ』と呼ばれている、お芋に似た根菜を食べた事がある。すごく・・・美味しかったなぁ。

ホクホクしてて、とっても甘くて・・・。



『・・・・・・・・・・・・・・・え?』

「特に、しっかり焼くと・・・美味しいんだよね」

「きゅくきゅくっ!!」



皮が火に当たると、パリパリになるの。それと中の甘くてホクホクとの食感がまた幸せで・・・。

なんというか、そういうお菓子食べてるみたいなんだよね。



「というわけで・・・」

「きゅくっ!!」



フリードの口に、火球が生成されていく。当然それは・・・モグライマジンに向かって。



「しっかり・・・焼いてみようか」



私は、にっこり笑ってモグライマジンに言う。・・・あれ? なんでみんなあんな風に怯えてるんだろ。おかしいね、フリード。



「お、おいっ! 俺らは食っても美味く」

「ブラストフレアっ! フルバーストっ!!」

『やぁぁぁめぇぇぇてぇぇぇぇぇぇっ!!』



そうして、放たれた火球数発は、イマジンをこんがりと焼いた。

・・・でも、さすがにあれは食べられないよね。



「きゅくきゅくっ!!」

「・・・お前、マジ怖ぇよっ! あんな話されたら誰だってビビるぞっ!? つか、お前にアタシの行動をどうこう言われたくねぇっ!!」

「そんなことないよ? なぎさんイジめる時より、優しくしたつもりだけど」





・・・あれ、どうしてアギトはそんな顔を引きつらせてるの?

というか、私達を見てるイマジンの目が、どこか怯えて・・・。



あ、逃げ出した。・・・ま、いいか。





「・・・ま、そこはいいか。で、あっちはどうするよ」

「当然・・・援護だよ」





アギトが言ったのは、銃撃戦に入っているリュウタロスさん。戦ってるのは・・・リュウタロスさんに似た黒いイマジン。でも、ちょっとおかしい。





「あははははははっ! 死ねっ!! お前ら全員死ねっ!!」





なんて言いながら、両手の銃を乱射してる。なんていうか、女の人のイマジン? 胸っぽいのもあるし、ティアさんに声が似てるし。





「うー、お前怖いよっ!!」





なんて言いながら、右へ横走りしながら、イマジンに向かってリュウタロスさんが銃を撃つ。





「・・・なんつうか、トリガーハッピーか?」

「・・・かも」

「きゅく・・・」





・・・結構余裕のある会話してるけど、ここには理由がある。



リュウタロスさんは、今まで一発も銃弾に当たってないから。





「ほらっ! 当たれよっ!!」





イマジンが、両手の銃・・・いや、キャノンと言ってもいい大きさのものを乱射する。当然それは、リュウタロスさんに向けられて。





「嫌だよっ!」





リュウタロスさんは、それをくるりと回転しながら避ける。そしてそのまま、銃口をイマジンに向ける。





「というか、下手くそっ!!」





そのまま引き金を引くと、銃弾が撃ち込まれ、イマジンに全て命中する。





「きゃぁぁぁっ!!」

「おまけだよっ!!」





そのまま、走りこみながらイマジンに向かって銃を乱射。それが命中して、イマジンの体に火花が発生する。



一気に至近距離に近づく。イマジンが左手の銃を振り回して、リュウタロスさんに叩き付けようとする。それをしゃがんで避ける。

今度は、右の銃を上から撃ち込んでくる。そのまま体を回転させながら左に回避。



そして、銃を至近距離で構え・・・。





「バンバンっ!!」





そのまま乱射っ!!



乱射しながらまた近づき、右足で蹴って、イマジンを吹き飛ばす。イマジンは、後ろに転がるようにして倒れる。





「・・・よくも恭文やフェイトお姉ちゃん達をいじめてくれたね」



リュウタロスさんはそう言いながら、銃を左手に持ち替えて、右手にパスケースを持つ。



「僕ね、すっごく怒ってるんだ・・・!」



瞬間、イマジンの体を鎖が縛り上げた。・・・私です♪



「・・・リュウタロスさん、奇遇ですね」

「キャロちゃんっ!?」

「私も・・・すっごく、怒ってるんです」



・・・うん、怒ってるよ? キレてるの、なぎさんやなのはさん、ティアさんだけじゃないんだから。



「お返しは、ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁんとっ! ・・・しないと、いけませんよね?」

「そうだね、しちゃおうか。というわけで、お前・・・」

「倒します。いいですよね?」

「ま、待ってっ! あの女の記憶を奪ったのは私じゃないしっ!! というか、それならネガタロスさ」

「答えは」





リュウタロスさんが、パスをセタッチする。





≪Full Chage≫

「聞いてません」

「きゅくっ!!」





リュウタロスさんは、銃口の先に紫の砲弾が生まれる。私は、フリードの口の先に、また炎の砲弾。

それら二つは、当然イマジンに向けられている。大きく・・・大きくなっていくそれらを見て、イマジンが怯えたような震えを見せる。



・・・もう、遅いよ。





「バァァァァァンっ!!」

「ブラスト・・・フレアっ!!」





紫と炎の砲弾はほぼ同時に放たれ、交じり合い・・・一つの大きな力となった。それは、見事にイマジンへと着弾し・・・。





「い、いやぁぁぁぁぁぁっ!!」





そんな無駄な叫びを残して、爆発した。・・・よし。





「少し・・・スッとしました」

「僕も〜」

「きゅくきゅく」

「・・・いや、マジでお前ら、怖すぎだからなっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪The song today is "Double-Action Wing Form"≫










・・・ようやくおじいさんを振り切って、主戦場に戻ってきた・・・んだけど・・・。





あの、なんですかこれっ! なんで戦闘中に音楽っ!?





・・・いや、考えるまでもない。恭文だ。それ以外にない。というか、またなんか楽しそうだし。





でも、その中で暴れているフェイトさんの姿を見つけて、一安心する。つまり、これって・・・記憶が戻っているってことだと思うから。





まぁ、そこは後でしっかり確認するとして、問題がある。










「・・・あの、あなた誰ですか?」



そう、目の前に居る電王っぽい人・・・。でも、この人は見たことない。というか



「我が名はジーク」



その人は、後ろに忍び寄って居たモグライマジンに裏拳をかまして、怯ませつつ、言葉を続ける。



「呼ぶときは、気軽にプリンスと呼ぶがいい」

「はい・・・って、それは全然気軽じゃないですからっ!!」

「問題はない」



その人は言いながら、腰のデンガッシャー(アルトアイゼンが教えてくれた)を組み立て・・・。



「世界は私のために、動いているのだからな」



小さな斧と、ブーメランのようなものを作り、それを両手に持ち、構えた。

と、というかほんとにこの人・・・なんなのっ!?



「ごちゃごちゃ・・・」



青いコブラみたいなイマジンが、後ろから襲ってくる。・・・って、危ないっ!!



「くっちゃべってんじゃねぇぇぇぇぇっ!!」



振りかざされた剣を、その人は左手の斧で受け止め、右手のブーメランで斬る。



「・・・無礼な」



そして、その人は走り出した。そのまま、右手のブーメランでそのイマジンを斬り抜ける。



「こちらの世界に来ても」



イマジンが振るってくる剣を、右に、左に避ける。そして、イマジンの右脇に行くと、そこから斧を左から打ち込む。



「無礼なものは、無礼なままか・・・」

『わけわかんねぇこと、言ってんじゃねぇぇぇぇぇっ!!』



その言葉に激怒してか、イマジン達が一気に襲ってきた。でも・・・。



「・・・ふんっ!!」



白い人は、その中を駆け抜け、ブーメランと斧でどんどんイマジンを斬りつけて・・・無傷。というか、強い。



「・・・そこのお供その5」



・・・え、なんで僕を見て言うのっ!?



「こやつらは任せる。・・・よいな?」

「は、はい・・・」



と、とにかく・・・いこうっ!!



「ストラーダっ! フォルムドライっ!!」

「・・・我が刃の前に、ひれ伏せ」



その人は、右手のブーメランを青いイマジンに投げる。イマジンは、それをしゃがんで避けた。

僕はその間に、カートリッジを3発ロード。そのままイマジン達に向かって、突撃するっ!!



「サンダァァァァァっ!!」



白い人が、空いた右手からパスを取ると、ベルトにセタッチ。



≪Full Chage≫





白い人が投げたブーメランと、斧にベルトからエネルギーが伝わっていく。そして・・・青い光に包まれたブーメランがコブライマジンの背中を斬り裂く。

それだけじゃない。金色の光に包まれた斧が、イマジンの前へ飛び、その体を穿つ。



そのまま白い人が走り出し、突き刺さった斧を手に取る。それを引き抜き、振り向くと、手元にブーメランが戻っていった。



そして、イマジンは背中に青い傷後と、前に金色の傷を残したまま倒れて・・・爆発した。




「レイジっ!!」





僕も続く。・・・イマジン達に向かって、ストラーダを叩き付けるっ!!



瞬間、場に雷撃が荒れ狂い、イマジン達の体を貫き、焼く。そうして、10体以上が爆散した。





「・・・ふむ、お供その5。よい働きであったぞ」



白い人が僕に近づきながら、そう言って・・・いや、あのですから。



「僕、お供じゃなくてエリオ・モンディアルと言いまして・・・」

「問題は無い。大儀であった」










・・・いや、あの・・・話聞いてくれています?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪The song today is "Real-Action"≫










「・・・さて、ようやくやってきたよっ! 僕達のターンっ!!」

「恭文、誰に言ってるのっ!?」





気にしないで。・・・とにかく、現在僕達は大暴れ。いや、楽しいねぇ〜。





「と、というか恭文君・・・」



良太郎さんが、イマジンに斬りつけながら、戸惑い気味に話しかけてきた。・・・どうしました?



「これ、やめないっ!? 結構恥ずかしいんだけどっ!!」

「嫌です」

「即答っておかしくないかなっ!?」

「大丈夫ですよ、良太郎さん」





スバルが、キャロの居る方からどういうわけか大量に逃げてきたモグラをぶん殴ったり蹴ったりしながら・・・。



つか、キャロ。なにやった? モグライマジンだけが来るっておかしいでしょうが。





「私は大好きですよ?」

「・・・えぇっ!?」



・・・お、こんな所で愛の告白?



「貴様・・・! ずいぶんと余裕があるなっ!!」



死神イマジンが後ろからそう言いながら鎌を振り下ろしてきた。それをアルトで受け止める。



「・・・あ、ごめんごめん」



右手で三鉄を引き抜き、イマジンの腹部に突き入れる。死神イマジンが、後ろに吹き飛ぶ。



「いやぁ、楽しくて楽しくて、ついつい遊んじゃったわ。でもさ・・・」



三鉄を、アルトの側面に装着する。



「マジで行ったら、お前すぐ負けちゃうじゃん。そんなの可哀想で可哀想でさ〜」



・・・続けて、五鉄を引き抜く。



「フェイト、スバル、後ろ任せたよ」

「うん」

「こっちは任せてっ!!」



僕は、ゆっくりと歩み寄りながら、五鉄をアルトの側面にまた装着する。・・・これで、あと1段階。



「舐めてくれるな・・・!」

「舐めるさ。ただ強いだけのお前達に・・・僕達が負けるとでも?」

「その減らず口、すぐに黙らせてやるっ!!」





アルトを右手に持ち替え、最後に残った一本・・・六鉄をホルダーから抜く。





「良太郎さん、いきますよ」

「うん」





そのまま、二人でイマジンに向かって走り出す。まず、僕が右手に持ったアルトで、上段から撃ち込むっ!!

それをイマジンは鎌で受け止める。すると・・・。腹部ががら空き。そこを狙って、六鉄の切っ先を突き出す。





「うおっ!!」



火花が散り、イマジンが後ろにたじろぐ。・・・良太郎さんっ!!



「はぁぁぁぁっ!!」





イマジンへと走りこみ、良太郎さんが左から横薙ぎにデンカメンソードを振るう。それはイマジンを斬り裂き、火花が散る。



そのまま斬り抜けると、イマジンが良太郎さんの方を向いて、鎌を振るい斬りつける。

袈裟に、横薙ぎに、何度も来る斬撃を、良太郎さんは剣に付いている四つの仮面を盾に、なんとか防ぐ。





「・・・つか」



こっちを忘れてもらったら、困るんだけどねぇ・・・!!

僕は六鉄を左から袈裟に振るい、死神イマジンに斬りつける。



「背中がら空きっ!!」





良太郎さんが、その隙に数歩下がる。そして、もう一度イマジンに向かって横薙ぎの一閃っ!!

で、僕もアルトを右から打ち込んで、斬り抜けるっ!!



そのままイマジンを間に取るようにして、僕と良太郎さんは距離を取る。





「恭文君っ! 行くよっ!!」

「了解っ!!」





良太郎さんは、柄尻に付いているグリップを四回引く。1回引く毎に、仮面が90度ずつ回転する。そうして、1回転した後に、剣に入れているパスを押し込む。





≪Full Chage≫





こっちも同じく。六鉄をアルトに装着。瞬間、アルトから青い光が生まれた。

・・・これがセブンモードの真の姿。いわゆる一つの合体剣っ! その名も・・・『七鉄っ!!』





「リインっ!」

【はいですっ! フルドライブっ!!】

≪Ignition≫





僕とアルトを、青い魔力光が包み込む。そして、それをリインが氷結魔力へと変換して、アルトに纏わせる。



僕は、それをいつものように薄く、鋭く・・・研ぐようにしていく。



そしてそのまま・・・飛び出す。



良太郎さんが、どこからか現れた金色の線路に飛び乗って、そのままイマジンに向かって突撃。体の回りには、デンライナーの形のオーラが見える。



・・・そう、ここから出される必殺技はたった一つっ!!





「・・・行くよ、僕達の必殺技っ!!」

【凍華一閃っ! ・・・いえ、ここはやっぱり】

≪あれですよね≫





というわけで・・・僕達はそのまま、前後からイマジンに向かって、右から互いの相棒を振るい、斬撃を・・・打ち込むっ!!





【「「電車斬りっ!!」」】










そうして二つの斬撃は、挟み込むようにして死神を斬り裂いた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・は? いや、今何っ!? 電車・・・斬りっ!?





場所は離れていても、それを聞いた私達の感想は、たった一つだけだった。そう、この一言で全てが語れる。





『・・・センス無っ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・僕達の非常にかっこいい必殺技を受けて、死神イマジンは見事に爆散した。





でも・・・なんていうかさ、なに? 今の無駄な電波。










「・・・ヤスフミ」

「・・・フェイト、その残念そうな顔はなに? あれだよ、24話よりヒド」



バシッ!!



「い、いひゃい・・・。いきなりビンタってひどいよ?」

「・・・ヤスフミが変なこと言うから、お仕置きだよ。それで・・・あのね、好きなのはわかるの。でも、アレは無いんじゃないかな」



・・・はい?



「・・・良太郎さん」

「スバルちゃん、お願いだからその顔やめて。なんだか辛いから」

「ダサいです」



あ、なんか突き刺さった。



「いや、電車斬りはかっこいいじゃないのさっ! ね、良太郎さん?」

「あ、あのね・・・。俺の必殺技パートなんちゃらよりはいいと思うんだ」

「なに言ってるんですかっ! あっちの方がかっこいいですよっ!?」

「スバルっ! それもちょっとおかしいよっ!! これはどっちもどっちなんだよっ!?」



・・・フェイトもスバルも、ちょっとセンスを疑うよ。両方ともかっこいいのに。



≪そうですよね。両方ともかっこいいですよね≫

【それに、楽しいです〜♪】

「「いや、そういう問題じゃないからっ!!」」

「・・・ダサいかな。ダサいのかな、やっぱり。僕、センス無いのかな」










・・・あ、良太郎さんがダウナー入っちゃった。あーあ、スバルが泣かせた。










「私のせいなのっ!? というか、泣いてないよねっ!!」



















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪The song today is "Climax Jump Sword Form"≫










「つかよ・・・」



左から打ち込んできたパチモン野郎の攻撃を、下がって避けて・・・上からぶった斬るっ!!

だが、返す刀で俺も斬られて、相打ちになった



「俺の出番遅すぎだろっ!!」

「・・・何をくっちゃべってやがる」



パチモン野郎が上から打ち込んできたのを左から切り払う。そのまま、左に走る。パチモン野郎も追っかけてきやがる。



「俺ももっと出番・・・欲しいっ!!」





そこに向かって、オデブが飛び込む。剣を上から振るうと、パチモン野郎がそれを弾いて、剣筋を逸らす。

そこを狙って胴に打ち込んで来たのを、オデブは剣で受け止める。



だが、力が強かったのか、火花が散ると同時にオデブがのけぞる。





【バカっ! んな話してる場合かっ!?】

「・・・確かになっ!!」



俺も飛び込んで、上から剣を打ち込む。パチモン野郎はそのまま後ろに下がって、逃げようとするが、逃がさねぇっ!!

追いかけて、上下左右から、剣を振るい、打ち込む。ま、全部避けられたり弾かれたりしてるが・・・。



「・・・へへ」

「なにを笑っている」



パチモン野朗もただではやられねぇ。俺に対して散々っぱら攻撃してきやがる。

突きに上下左右からの打ち込み。あと、蹴りも来るが、全然効かねぇっ! 何発食らっても、さっきみたいに倒れる気がまったくしねぇっ!!



「当たり前だろうがっ!!」



やっぱあのベルト、俺も欲しいぜ・・・。身体の中から、どんどん力が沸いてきやがる。

だから俺も、どんどん踏み込み、更に斬りつけていく。



「へへ・・・楽しくなってきたぜっ!!」

「・・・そうか」



突きが来た。それを俺はひょいっと避ける。そこから胴に打ち込むっ!!

瞬間、目の前からアイツの姿が消えた。



「だったら、それが間違いだと教えてやるぜ」



背中からすごい衝撃が来て、俺は吹き飛ばされ、地面を転がる。転がりながら・・・やば、武器が銃に変わってやがるっ!!



「させるかぁぁぁぁっ!!」



オデブがそこに飛び込んできた。パチモン野朗は上からの攻撃は避けたが・・・。



「うおりゃぁぁぁぁっ!!」





そこに俺も飛び込み、わき腹を狙って剣を突き出すっ!!

・・・けっ! そうやって地面転がってろっ!! さっきの仕返しだっ!!





「・・・悪いが、一気に決めるぜ」





俺は、パスを右手に持つ。オデブも・・・カードをベルトから引き抜き、自分の武器に差し込む。





≪Full Chage≫

「・・・せっかくだ」





俺はもう一度、パスをベルトに通す。





「知る人ぞ知る特別編っ! いっとくかっ!!」

≪Full Chage≫





ま、青坊主にばっかカッコつけさせるわけにはいかねぇしなっ!!





「・・・うぉぉぉぉぉぉっ!!」





オデブが立ち上がりかけたパチモン野朗に走り出す。





「・・・必殺っ!」





そのまま、アイツの胴に斬りつける。俺はそれを見ながら、剣を片手で構える。





「俺の・・・必殺技っ!!」





剣の先が、いつもより強い輝きを放つ。そのまま空中へ飛ぶ。



だから俺は・・・あの野郎を、ぶった斬るっ!!





「特別編っ! パートUッ!!」





右、左、もう一回右っ! 俺の手の動きに合わせて、剣があのバカを斬るっ!!



そして、手を上に上げて・・・打ち込むっ!!





「うぉりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」





縦からの赤い閃光が、パチモン野朗を斬り裂き・・・爆発した。



・・・へへ、どんなもんだ。さっきの借りは・・・返したぜ?

俺はそのまま、膝をついた。





「モモタロスっ!?」

【おいっ! 大丈夫かっ!?】

「・・・おう、なんとかな」





・・・ま、あっちやらそっちも片付いてきてるみてぇだし、これで終わりか?





「・・・ま・・・だだ」





その声に、俺もオデブも驚く。声は・・・あの野郎だったからだ。



声の先は、あのパチモン野朗が爆発した場所。





「・・・てめぇ」

「まだ・・・終わってはいない」





まだ電王のパチモンに変身しっぱなしの奴が右手をゆっくりと上げる。





「・・・悪の組織は・・・不滅だ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ヤスフミ・・・!!」

「やっぱ・・・出てきたね」

≪ま、予想はしてました≫





空から空間を歪めて出てきたのは、紫色の電車。デンライナーに似たデザインだけど、色が違う。



つか、気味の悪い紫色の紋様があっちこっちに・・・。





【あれが・・・デンライナーのパチモンですか?】

「正解。・・・さて」

≪どうしましょうかね、アレ≫




















(第9話へ続く)










『次回予告っ! というか・・・最終回っ!!』





「さて、ようやく・・・」

「私らの時間だね」



「俺達っ!」

『参上っ!!』

【ですっ!!】



「いくぜ・・・! 必殺っ!!」

【「俺達の・・・必殺技っ!!」】





第9話 『また会う日まで、どこまでも続いていくクライマックス・ジャンプ』





「また会おうぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」




















あとがき



古鉄≪さて、勢いまかせで大暴れしたのに、ジョーカーが出てきて台無しで終わった第9話。みなさん、どうでしたか?
今回のあとがきは古き鉄・アルトアイゼンと≫

恭文「電車斬りはかっこいいっ! そう思う蒼凪恭文ですっ!!」

古鉄≪その通りです。かっこいいのですよ≫





(二人の中では、そうらしい)





古鉄≪さて、たまには後書きらしくしてみますか≫

恭文「最近、雑談多かったしね。・・・またまたサウンドベルトが大活躍ですよ」

古鉄≪見事に戦場の空気を支配しましたね。それと・・・あの人、なにやってるんですか≫

恭文「・・・知らない。つか、後が怖いなぁ。思いっきり質問責めにされそうだ」





(突然鳴り出す盛大なファンファーレ。・・・正解だと、言いたいらしい)





恭文「・・・覚悟しておく」

古鉄≪次回でいよいよこの話も決着ですね。・・・どうなるんでしょ≫

恭文「ちょっと寂しくなる。・・・いや、追加エピソードはまたあるけど、それでも・・・ね」

古鉄≪そうですよね・・・≫





(古き鉄コンビ、二人でため息を吐く。やっぱり、お別れは寂しいのだ)





恭文「でもさ、次回までに噂の『超Climax Jump』、聴きたいね」

古鉄≪またどうしてですか≫

恭文「作者のモチベーションが上がる。あと、サウンドベルトで流しても問題なくなる」

古鉄≪いや、あるでしょ。時系列でいえば、今年の2月間近の話ですよ?≫

恭文「・・・それもそっか。とにかく、次回で一応に最終回ですっ! 皆さん、ご期待くださいっ!!
それでは、本日のお相手は蒼凪恭文とっ!」

古鉄≪古き鉄・アルトアイゼンでしたっ! それでは、また次回にっ!!≫










(カメラ、手を振る二人を映しながらフェードアウト。
本日のED:『俺、誕生っ!!』)










リイン「・・・恭文さん」

恭文「なに?」

リイン「リイン、あんまり活躍してないです」

恭文「・・・そんなことはないでしょ」

リイン「もしくは、ラブラブしてないです」

恭文「それはしなくていいからねっ!?」

リイン「嘘ですッ! 恭文さんはフェイトさんとラブラブしてたじゃないですかっ!!」

恭文「してないからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」










(おしまい)






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