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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第7話 『アップデート・エンドレス・チェイン』



「・・・あの、デカ長」

「なんですか、リインさん?」

「恭文さんとアギトちゃん、いったいどうやってユニゾンさせたですか?」



聞こう聞こうと思って、思いっきりタイミングを逃していたので、今聞くことにしました。



「あ、それは私も不思議です。・・・どうやったんですか?」

「ギンガお姉ちゃん、恭文とあの赤くて小さい女の子って、そういうの無理なんだよね」

「・・・えぇ。ユニゾンには、相性があるんです。なぎ君とアギトの場合・・・」



相性が悪くて、ユニゾンしようとしても無反応だそうですから・・・。



「やろうとしても出来ないって、凄いわね・・・」

「ハナさん、正解です・・・」



ここは六課隊舎のメンテナンスルーム。リインは、シャーリーとリュウタロスさんとデカ長さんと一緒に、秘密兵器の最終調整中です。

あと、ハナさんとギンガもですね。二人は待機です。

それで、リインはいちおう、あのベルトを使えばとは聞いてるですけど、今一つよく分からないのです。



「簡単です。彼の中には、ある特別な力があります。・・・リインさんとシャーリーさん、ギンガさんも、ご存知のはずですよ?」

「特別な力・・・?」

「でも、なぎ君にはレアスキルの類いは・・・」

「いえ、ギンガさん。一つありますよ。そうですよね、リイン曹長」



リインはシャーリーの言葉に頷きます。そう、恭文さんには瞬間詠唱・処理能力と、もう一つ特殊な力があります。



「・・・もしかして、なぎ君のリイン曹長とのユニゾン能力ですか?」

「正解です」

「そう言えば、リインちゃんはあの子とそう言うの出来るのよね」

「そうですよ〜」



リインと恭文さんを繋いでくれる、大切な力です。

・・・いいえ、ちょっと違うですね。私達の絆の一部分です。ただの能力じゃないです。



「あの力は、他者・・・リインさんと存在を同じくするための力です。今回はベルトを通して、その力に干渉している・・・というわけです」

「「「な、なるほど・・・」」」



というか、それ・・・凄いことなんじゃっ!? リイン達には、そんなこと出来ないですよっ!!



「いえいえ、そんな事はありません。本当なら、あまりお勧めは出来ない手ですし」

「デカ長、どうして?」

「恭文くんの中の力は、リインさんとしか適合しないように出来ているからですよ。いや・・・そう言う形で与えられたのでしょう」



与えられた? じゃあ、やっぱり恭文さんのリインとのユニゾン能力は・・・。



「そこは分かりませんよ?」



デカ長さんが、リインの方に瞳を向けて、そう言ってきました。というか、考え読まれてるですかっ!?



「彼の能力は、後天的とするには、あまりに安定し過ぎていますしね。ただ・・・あなた方には、あるはずです。
自分達で選んで、そう思ってきた真実が。なら、それで充分でしょう」

「・・・はい」



・・・そうですよね。事実が問題じゃないです。

真実は、リインと恭文さんにアルトアイゼンが過ごしてきた時間の中に、もうあるです。



「じゃあ・・・今なぎ君とアギトがユニゾンしているのって、もしかして・・・」

「少々危険が伴っています。長時間あの状態は・・・マズいです」

『えぇっ!?』

「ヒロリスさんとサリエルさん達にも、そこは説明したんですがねぇ・・・」



・・・押し切られたんですね、分かります。



「恭文くんとアギトさんにもですね。本当にヘイハチ一門は無茶が好きなようで・・・」

「正解です。どうもなぎ君やヒロリスさん達のアレは、一種の血筋みたいで・・・」

「私達も、止められないんです。というか、アギトまで・・・」

「恭文、おじいちゃんに似てるしね」










・・・うぅ、リインがすぐに出れればよかったんですが・・・というか、リインはダメダメです。

恭文さんのこと・・・大好きな人のこと・・・ちゃんと守れてないです。JS事件の時も、今も。





やっぱり、アルトアイゼンみたいに側に居ないと、守れないのでしょうか。なら、私は・・・。





・・・いえ、そこは後ですよね。私はなんですか? 祝福の風であり、古き鉄・・・恭文さんの一部、リインフォースUです。





迷っちゃいけませんっ! 私は今やるべき事を、しっかりとやっていくだけなんですからっ!!










「・・・・・・シャーリー、リュウタロスさん、急ぎましょう」

「はい。あともう少しですしね」

「うん、僕も頑張るっ!!」










本当に・・・あとちょっとです。だから、頑張ります。そして、アルトアイゼンと・・・恭文さんと一緒に戦うです。




恭文さん、アルトアイゼン。待っててくださいです。





恭文さんとアルトアイゼンとリインの新しい力・・・7つの剣、もうすぐ打ち上がりますから。




















「・・・あれ」

「ギンガちゃん、どうしたの?」

「いえ、これが落ちてて・・・」

「・・・羽根?」

「・・・・・・来ましたか」




















ー時の列車・デンライナー。次に向かうのは、過去か、未来かー




















『とある魔導師と機動六課の日常』×『仮面ライダー電王』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄と時の電車の彼らの時間




















第7話 『アップデート・エンドレス・チェイン』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・侑斗、俺も行くぞっ!!」





そう言って侑斗さんに向かって走り込んできたのは・・・デネブさんっ!?

そして、次の瞬間、デネブさんは光に包まれた。



その光は侑斗さんの手元へと向かい、あるものに姿を変えていた。





≪・・・ついでに言っておくっ!!≫



それは、銃と呼ぶには、いささか重武装な印象だった。伸びる銃身の先にあるのは、同じく二つのガトリング式の銃口。

金と黒、そして小さくなったデネブさんの顔。そう、これは・・・デネブさんのもう一つの姿。デネビックバスターっ!!



≪俺もかーなーりっ! やる気だっ!!≫

「・・・ずいぶん気合いが入ってるじゃねぇか」



黒鬼・・・ネガタロスは左手で自分の頭の角を下から上へと撫でながら、不遜な態度は崩さずにそう言ってきた。



≪当然だっ! まだフェイトさんに、道案内のお礼をしてないっ!!≫

「そこかよっ!!」

≪あと、生のトマト嫌いが直るレシピ、考えないとなっ!!≫

「・・・らしいぞ。覚悟しとけ」





どうして侑斗さんは僕を見て言うのっ!? つーか、フェイトとギンガさんは一体どんな会話をデネブさんとしてたのっ!!





「・・・ふん、相変わらず緊張感のない奴らだ」

≪ほらマスター、言われてますよ?≫

「ダメだよ恭文君。こういう時くらいしゃんとしないと」



僕じゃないよねっ!?



「まぁいい。・・・俺様もいくとするか」

「そしてさり気無く僕を無視して話を進めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

【・・・マジで緊張感ないよ、お前】





そして、動いた。目の前の黒い鬼は右手にパス。左手にベルトを持ち、そのベルトを自分の腰に巻き付ける。



どこか鈍い、重低音な音楽が流れる。つーか、音の具合が耳障り。





「変身」





そして、パスをベルトにセタッチ。





≪Nega Form≫





瞬間、ネガタロスの身体をアーマーが包み込む。

電王・ソードフォームと同じ。だけど、その淡い紫の色と浮かび上がる紋様によって、禍々しい・・・悪のイメージを僕達に与える。



そう、あれがネガタロスが変身した電王・・・ネガ電王だ。





「けっ! このパチモン野郎がっ!! また俺達の物真似かっ!?」

「本当に学習能力ないらしいな」



モモタロスさんがデンガッシャーを組み立てながら、どこか呆れ気味に口にする。侑斗さんも、それにのっかる。



「言ってろ。・・・俺様の方が強いのは、実証済みだしな」





ネガ電王も、腰のデンガッシャーを組み立て始めた。・・・だから、こうする。





「うっさい」



踏み込んだ。相手との距離は200メートルほど。それらが、一気に縮まる。



「アギト」

【おうっ! 烈火刃っ!!】










左手を鞘にあてる。右手をアルトの柄に。





そしてそのまま・・・アルトを抜き放つ。





そうして現れたのは、炎。・・・否、炎の刃。アギトとユニゾンしているおかげで使える、炎熱系技能の一つ。




それを、左下から右上へ斬り上げる形で、ネガタロスへ打ち込んだ。




















・・・アルトを通して感じたのは、手応え。でも、それは斬った手応えじゃなかった。










「・・・なに、やっとお出まし?」



目の前で僕の居合いの刃を止めたのは、一振りのシミター。それを持った黒いやつが、僕とネガ電王の間に割り込み、斬撃を防いだ。

よかった。姿が見えなくてちょい心配だったのよ。



「旦那、大丈夫ですかい?」

「問題はない」





そう、フェイトの記憶を喰ったイマジンが、目の前に居た。



そうこうしている間に、ネガ電王がデンガッシャーをソードモード・・・剣の状態に組み立て終わった。

デンガッシャーの先から生まれた刃は、電王の赤じゃない。アーマーと同じく紫色。うん、マジでパチもんだわ。



奇襲は失敗。僕はすぐに刃を引いて、後ろに下がる。





「逃げんじゃねぇよっ!!」






でも、それを黒いイマジンが追いかけてきた。速度に差がある。普通なら、追い付かれる。



そう、普通なら・・・!!





≪Accel Shooter≫





僕の背後から飛び出すように出てきたのは、10数発の桜色の魔力弾。それらが速度を上げて、黒いイマジンに襲いかかるっ!!



そして、目の前で爆発が起きた。



その間に、退避完了。不屈の心を構える友達の傍らで、僕は動きを止める。





「なのは、あんがと」

「・・・恭文君、無茶し過ぎ」



にゃはは・・・。今回はそうかも。

で、僕達がこんなことをしている間にも状況は動いている。



「・・・効かねぇな」





爆炎の中からそう言いながら出てきたゴキブリもどきを見据えつつ、周りを見る。



良太郎さんにモモタロスさん、侑斗さんにデネビックなデネブさんは、ネガ電王とやりあい始めた。

で、スバルとティアナにキャロとフリード。ウラタロスさんにキンタロスさんは、ティアナの指示でモグラやらクジラやらイカやらタコが居るイマジン軍団相手に早速暴れてる。



一応は作戦通り。でも・・・。





"私達が早めにアイツを倒さないと、マズいかも"

"そうだね。予想よりも数が多いし、苦戦モード出まくりだし"



リュウタもリインも居ない。はやて達も、ここで出して消耗は出来ない。ヒロさん達も同じくだ。

ギンガさんはハナさん共々待機してもらってるし・・・こりゃ、速攻だね。



"なのは、場合によっては"

"うん、分かってる。・・・でも、その前に終わらせる。そうだよね?"

"もちっ!!"





・・・場合によっては、なのははティアナ達の方へ回す。

このシチュエーションで、空戦魔導師で砲撃と誘導弾による遠距離からの制圧戦が出来るなのはは、本来なら雑魚戦に回すのが正解。

でも、ここに居るのは・・・言わなくても、分かるよね?



つーわけで、速攻だね。





「おらおらっ! ボーッとしてんじゃねぇよっ!!」










イマジンが、走り出す。そうして一気に距離を詰め、僕に対して剣を袈裟に打ち込んでくる。










「あらまっ! 悪いねっ!!」










それを、後ろに飛ぶ形で少し下がって、ギリギリで回避。イマジンは、返す刀で左下から斬り上げてこようとする。





前に踏み込みつつ、身体を相手の右前方に滑り込ませる。その下から上がって来たシミターをアルトの刃で抑える。

そしてそのまま、シミターの峰から滑らせるようにして、アルトを相手の胸元目掛けて、右から横一文字に打ち込むっ!!










「・・・ボーっとしろと言ってるもんだと思ってた」










上がるのは火花。僕の一撃に、イマジンが僅かにたじろぐ。なのははその間に後方へ退避。





そして、僕は刃を返す。身体を捻りながら、左から袈裟に一撃を放つ。




イマジンは、それに対して自分も刃を打ち込み、炎の刃とシミターが激突した。










「言ってくれるじゃねぇかっ! このチビがっ!!」










瞬間、そこを視点に、ごく僅かな空間に衝撃がほとばしった。





ほんの数瞬、刃がせめぎあう。でも、僕はすぐに大きく後ろに飛んだ。




イマジンがそれを追いかけようとする。でも、甘い。僕は一人じゃないのよっ!!










≪Accel Shooter≫





再び襲いかかるのは、なのはのアクセル。カートリッジを使ったのか、先程よりも数が多い。




これらを、イマジンはシミターで斬り払っていく。その姿は言うなれば・・・斬撃の盾。

上下左右、袈裟に斬り上げ斬り下げ、なのはの誘導弾を寄せ付けもしない。



そこを狙って、僕は飛びかかる。





「誰が・・・!」




アルトを袈裟に振るい、打ち込む。





「ミリメートルだっ!?」

「誰もんな事言ってねぇだろうがっ!!」










それをイマジンは受け止め・・・いや、受け流し、勢い良く反撃の刃を僕に打ち込む。

でも、それだけ。そこに向かって、僕もアルトの刃を返し、横薙ぎに一閃。それをイマジンが受け止める。

そこからシミターの刃で前を押すように力を加えて、イマジンがアルトを弾く。





その場で何度も刃がぶつかり合い、いくつも煌めきが生まれる。

互いの刃を振るう手から生まれているのは、斬撃の盾であり矛。それが我が身を守り、相手を撃ち貫こうと周囲の空間を揺るがす。





そうやって僕もイマジンも打ち込み、離れ、走り、飛び込み、更に刃をぶつけていく。

斬撃の盾と矛は、何度も生まれて、何度も消えていく。





・・・やっぱ、強い。こりゃ、アギトが居て丁度良いくらいか?










【・・・手強いな】



そうだね。うん、手強い。



【でも、負けらんねぇぞ? お前はもう騎士なんだからな】










分かってる。こいつは・・・この場で絶対に潰す。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・アイツとなのはさんは大丈夫・・・じゃないかも。あのイマジンは相当強い。うちのエース二人を相手取ってこれなんて。





つか、なのはさんの遠距離攻撃がさっぱり効かない。誘導弾は斬られ、砲撃は避けられる。無茶苦茶動きいいし。





モモタロスとあのボクちゃんの方も同じくね。・・・いや、こっちは完全に圧されてる。あのネガ電王・・・だっけ? 余裕綽々だし。





エリオはシングルだけど、きっと大丈夫。うちの自慢のガードウィングだもの。





でも、こっちはどっかがピンチになっても、助けに行ける余裕、正直無いわっ!!










「・・・そこっ!!」










周囲に精製した12個の魔力弾が、一斉に飛ぶ。その行き先は、当然イマジン。





6個は、敵に囲まれつつ斧を振るってイマジンと斬り合っていた熊の死角から忍び寄ってた奴らに。

残りも、同じく槍・・・もとい、竿を持ってる青亀と斬り合ってる連中に。当然、全弾命中。





そうしてイマジンが怯んだのを見過ごすほど、熊も青亀もバカじゃない。自分の手持ちの武器で、しっかりと斬りつけていく。

熊は、斧を右手に持ち力強く打ち込み、一体一体に。青亀は、竿をまるで斬り払うように振るい、同時に何体もだ。










「ティアナちゃん、ナイスサポート」

「嬢ちゃん、助かったで」



・・・バカっ! そんなこと言ってる場合じゃないでしょうがっ!!



「青亀も熊も、前出過ぎっ! 私とキャロとの距離ちゃんと考えてっ!!」



本気で頼むわよっ! つーか、一体何のために打ち合わせしたのよっ!! 勝手やってたら意味無いでしょっ!?



「おぉ、嬢ちゃんすまんっ! すっかり忘れとったわっ!!」



忘れてんじゃないわよっ! このバカ熊っ!!



「いや、さすがにそれは冗談や。うん、僕は君の言うた事は、一字一句ちゃーんと覚えてるよ?」

「こんな状況でそんな冗談言うんじゃないわよっ! 心臓に悪すぎだからっ!! つーか、どこのキャラ崩壊よ、それはっ!?」



こんな会話もしつつ、必死にイマジン達とやりあってる。うん、本当によ?

でも、こいつらマジで緊張感0だしっ! 一体なんなのよ、これっ!!



「まぁまぁ、ティアナちゃん落ち着いて。これ、恭文風に言うと、僕達のいつものノリって奴だから」

「アイツの話はなしよ。つーか、アレの緊張感の無さもヒドいから」

「・・・いや、嬢ちゃんの言い方も相当やで?」

「でも、こういう本格的なチーム戦って言うの? 初めてだから、やっぱり不慣れではあるかな」





そう、エリオと隊舎に残ったリュウタロスを除いた私達5人は、即席でチームを作って対処していた。

ポジションは、意外と身軽な亀がガードウィングで、見るからにパワータイプの熊がフロントアタッカーね。

どうにかこれで、現状不足していた前衛の層の補填は出来てる。戦闘能力だけで言うなら、充分過ぎなくらい。



ただ、問題は亀も熊もチーム戦の練度が低い点。正直、後ろから二人の動きを見ているとヒヤヒヤする。つーか、してる。



でも、こいつら、これで今まで一体どうして・・・いや、きっとあの通りなんだ。ノリとか勢いでなんとかしていたわけね。



そりゃアイツもファンになるわと、私は一人心の中で納得した。





「なら・・・」





そのウラタロスの言葉に答える子が居た。スバルだ。

スバルは、しっかりと私達との距離を守りつつも、マッハキャリバーで敵陣を縦横無尽に駆けていく。

そうしながら、紫の剣を持ったやたらとクネクネしたのとかとやり合っている。



スバルの拳と足から突きや蹴りが放たれる度、イマジンはうめき、吹き飛ぶ。さすがにこっちは、見ていてヒヤヒヤしない。

ま、当然よね。青亀達とは、付き合いもチーム戦の練度そのものも違うし。





「私達の方が、こういうのは先輩ですねっ!!」

「そうだ・・・ねっと!!」



青亀が右足で相手の腹にミドルキック。そのまま近づき・・・。



「僕達、やっぱり勢いまかせなとこあるし」



竿を振るい、突きと斬り払いの連続コンボ。



「そういうの、本当にうちの先輩だけでいいんだけどなっ! 僕としては、もっとクールにいきたいのにさっ!!」



そうして、相手を圧倒し、追い詰める。・・・元々の能力はやっぱり高いのよね。うん、亀も熊も、動きはいいもの。連携に頭がいかないだけで。



「・・・スバルちゃん、今度その辺りに付いて詳しく教えて欲しいな。もちろん、個人授業で」



だからっ! またまたナンパしてんじゃないわよ、このバカっ!!



「フリードっ!!」

「きゅくっ!!」



そうこうしていると、隣に控えていたキャロとフリードが動く。



「・・・アルケミック」

「亀っ!!」



私は声を上げる。スバルはいい。もう退避に移ってるのは分かるから。



「はいきたっ! 金ちゃんっ!!」

「おうっ!!」



亀は竿を。熊は斧を振るいながら、スバルとは逆方向へ逃げる。

そうして二人が退避したのを見計らうように、イマジン達の足下に桃色の魔法陣が生まれる。



「チェーンっ!!」



そこから生まれた複数の鉄の鎖は、次と魔法陣上に居るイマジン達を縛りあげる。

当然、ここで終わりじゃない。フリードの口が目一杯開き、そこに炎の砲弾が生まれる。

そしてその砲弾を、放つっ!!



「ブラストフレアっ!!」





放たれた砲弾は、連中に着弾すると、地面からほとばしる炎となり、イマジンを火炙りにする。

まぁ、絵的にエグいけど気にはしていられない。



私はそれを見つつ、クロスミラージュのカートリッジをロード。数は4発。

身体に溢れるのは、カートリッジ4発分の魔力。そうして、それを元にして、私の周囲に2〜30発という魔力の弾丸が生まれる。



・・・大丈夫、あの時とは違う。練習もしてる。なのはさんから使用許可も出てる。





「クロスファイア・・・!」



今から使うのは、私がなのはさん達に鍛えてもらって、その中で磨きあげてきた、私だけの切り札。だから、迷いなく撃てるっ!!



「シュゥゥゥゥゥゥトっ!!」










放たれた私の弾丸達は、的確にイマジン達を貫く。そして、炎の熱でうめいて居た連中の時間を、終わらせた。




















「ティア、スゴいっ! スゴいよっ!!」

「・・・当然よ」



目の前で生まれた爆煙を見つめつつ、スバルの声に答える。ま、練習の成果はちゃんとあるし、成長も出来てるってことよ。



「ヒロリスさん達が来てからは、更に密度濃くなりましたしね・・・」

「きゅく・・・」



そうだったわね。つか、アレをこなしてきたアイツって・・・。



「死ねやこらぁぁぁっ!!」










その声に後ろを見る。すると、私とキャロの目前にイマジンが迫っていた。

ステッキを持った雪だるまっぽいのと、青いサイボーグっぽいモグラが。





ヤバい、気抜いてたっ! 回避・・・間に合わないっ!!





私は、すぐにクロスミラージュのダガーモードを起動。防御の用意を・・・。










「どすこいっ!!」





でも、必要無かった。



雪だるまは私の脇を通り過ぎ、スゴい勢いで熊が突撃して行って、張り手で吹き飛ばしたから。





「ティアナちゃんっ! キャロちゃんも、下がってっ!!」





モグラに竿が突き刺さる。するとその身体を、青い甲羅上のエネルギーが包み込み・・・いや、その甲羅に張り付けだわ、これ。



とにかく、私もキャロも大きく後ろに飛ぶ。飛びながら・・・見た。





「はぁぁぁぁぁっ!!」





亀がその甲羅に向かって大きく飛び、右足を出して・・・飛び蹴りっ!



それが命中すると、張り付けにされて居たイマジンは吹き飛び、爆発したっ!!





「うおりゃあぁぁぁぁぁっ!!」





熊もジャンプしていた。あの巨体でどうしてそこまで飛べるのかと、疑問になるくらいに。

両手で金色のエネルギーをほとばしらせている斧を持って、その刃を落下の勢いも合わせた上で・・・雪だるまの脳天から真一文字に打ち込んだっ!!



そうして、イマジンは一刀両断にされて、爆発した。





「・・・ダイナミックチョップ・生」



後から言うのっ!? というか、生ってなにっ!!



「後から言うんですね・・・」

「本当だね・・・」



あ、ツッコミ被った。



「まぁ、これは金ちゃんのお約束だから」

「なるほどね・・・。てか、ありがと。助かった」

「ええからええから。・・・アレや、ちったぁ連携出来てたやろ?」

「・・・少しだけね」





ま、息も合い始めたって事でしょ。さて・・・。





「・・・まだ来るようやな」

「・・・ですね」



そう、イマジンの団体が更に姿を表した。さっきよりも数が多い。これは・・・。



「これは・・・ちょっとヤバいかもね。というか、僕達って人気者?」



亀も、私と同意見らしい。つか、人気者は違うでしょ。



「そうですね。私達だけは、正直キツいと思います」





現に、今だってキツかった。魔力もカートリッジも体力も、無尽蔵じゃない。それは亀達だって同じ。

この調子でどんどん出てこられたら、こっちが潰れるのは時間の問題よ。



でも・・・なのよね。引けないのよ。コイツらここで潰さなかったら、どうなるか本気で分からない。





「・・・やりましょうっ! 大丈夫、きっと出来ますっ!!」

「そうやな。ほな・・・」

「いくわよっ! みんなっ!!」

『おうっ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・ヤバい。





「うおりゃっ!!」





俺とデネブは、電王に変身したモモタロスの奴と、例の物真似野郎と交戦中だ。

赤い刃と紫の刃が、何度もぶつかり合う。互いに袈裟に横に振るい、力と力が火花を散らす。



モモタロスは片手で剣を持ち、身体を相手に向け、左右にせわしなく移動する。





【モモタロス、気をつけてっ!!】

「おう、分かってるよ・・・!!」



野上の奴がこう言うのには理由がある。



「・・・そこっ!!」



俺はデネブを構え、銃弾を掃射する。もちろん、ネガタロスに向かって。

するとネガタロスは、剣を持つ手が、スゴいスピードで動いた。



・・・うそだろ、おい。こっちの銃弾、全部剣の刃で受け止めやがったっ!!





「・・・どうした、もうおしまいか?」

「くそ、調子に乗りやがって・・・!!」



モモタロスが、ネガタロスに飛びかかる。



「今すぐぶっ潰してやるぜっ!!」





つか、マジでヤバい。





「・・・ふんっ!!」





モモタロスの袈裟の斬撃を、身体を左に動かし避けつつ、自分は胴に打ち込む。



しかも、そこで終わらなかった。



胴へ打ち込んだかと思うと、刃を返して、左袈裟に右袈裟の連撃。



そして突き。



当然のようにその攻撃の数だけ火花が散る。最後の突きで、モモタロスが吹き飛び、そのままアイツは地面を転がる。



・・・こいつ、前よりパワーアップしてるっ!?





「当然だ」





声が目の前からした。・・・ヤバいっ!!



そう思った瞬間、俺の身体は痛みと衝撃と共に、宙を舞ってた。





【侑斗っ!!】

「オデブっ!!」





おい、嘘だろ? 動き見えなかったぞっ!!





「俺様は学習してんだよっ!!」




吹き飛ばされ、地面に身体が叩きつけられる。痛みがきつい・・・。



≪侑斗、来るぞっ!!≫





デネブの声に、俺は再び視線をネガタロスに向ける。



すると・・・いつの間にかデンガッシャーは剣から銃へと姿を変え、その銃口が俺に向けられていた。





「本当に勝てる悪の組織の首領の力は・・・まだまだこんなもんじゃねぇっ!!」





引き金が絞られる。そして、ネガタロスの持つ銃から、弾丸が何発も放たれる。俺はとっさにデネブを構え、引き金を引く。



俺とネガタロスとの間で、弾丸がぶつかり合う。ほんの30メートルほどの距離の間で、火花がいくつも生まれる。





「・・・ほう」

≪・・・侑斗、いけるっ!!≫

「分かってるっ!!」



そうこうしている間に、モモタロスが立ち上がって、再びネガタロスに斬りかかる。

俺も立ち上がって、射撃の構えのまま、ネガタロスに走りよる。



「・・・ふん」



すると、銃はとっさに竿へと姿を変えた。左手には・・・パスっ!?

それを奴は、ベルトにセタッチする。



≪Full Change≫



槍に赤が若干混じった紫のエネルギーがほとばしる。それを奴は、左から片手で振り払う。

その切っ先に、俺もモモタロスも攻撃に自分の攻撃に移る前に斬られた。



「うおっ!!」

「く・・・!」



そう、理由はこれだ。

コイツ・・・! マジで前より強くなってやがるしっ!!



「・・・さて、そろそろおしまいか?」





それをそのまま、モモタロスに投げつけた。



竿が突き刺さり、紫の甲羅にアイツが囚われたのを確認すると、飛び上がった。





「はぁぁぁぁっ!!」





そしてそのまま左足で・・・蹴りを放つっ!!



それを食らい、モモタロスは・・・いや、アイツと、衝撃で変身が解除された野上が吹き飛ばされる。



二人はそのまま地面に転がり、うめく。





「野上っ!!」

≪モモタロスっ!!≫

「・・・大丈夫」

「こっちも・・・だぜ」



バカっ! 全然大丈夫じゃねぇだろうがっ!! すぐに立てねぇしっ!!



「・・・やっぱり、お前らおしまいだな」

「ふざけんなっ! 俺はまだまだ」

「だが、あっちは終わりだぜ?」










ネガタロスが、顎である場所を指す。するとそこには・・・。





あの姉ちゃんの記憶を食ったイマジンの手・・・爪が、あのチビの顔面に食い込む寸前だった。










「恭文君っ!!」

「・・・青坊主っ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



斬撃と誘導弾に砲撃が飛び交う。その中で忙しなく踊る影は・・・三つ。





僕となのはとイマジンだ。





ここだけ別作品の如く、僕となのはは暴れまくっていた。でも、そこまでしても・・・イマジンを仕止め切れない。





つか、なんなんだコイツはっ!?





マジで動きが速いし力強いし攻撃は的確だし・・・!!










「うおりゃあっ!!」

「はぁっ!!」





そうして、斬撃がぶつかる。後ろに飛び、また走る。

互いに見計らったようなタイミングでまた近づき、刃を振るい、斬撃を生み出し、空気を、空間を斬り裂く。

でも、互いに斬りたいものは・・・相手は斬れない。



・・・正直、ヒロさん達に鍛えてもらって無かったら、ついていけなかった。それくらい、コイツは強い。

つか、これを部下にするネガタロスって・・・いや、今はいい。





"なのは、一気にいくよ"

"・・・うんっ!!"



付き合い長いので、作戦会議なんてこれくらいでいい。なので、僕は再び飛び出した。



「うぉっとっ!!」





上段からの一撃を、イマジンは右に回避。そのまま、僕の顔目掛けて斬撃。

それをしゃがんで回避。そのまま僕も右から横薙ぎに打ち込む。

でも、ヒョイっとバックステップで避けられた。



そして奴はそのまま踏み込み、僕に上段から刃を振るってきた。それを、アルトで受け止める。



・・・今っ!!





≪Struggle Bind≫





青い縄が、イマジンを一瞬で縛り上げる。僕は後ろに飛ぶ。

瞬間、イマジンの右真横から迫って来た桜色の魔力の奔流が、奴を包み込んだ。



これは当然、なのはの砲撃魔法っ!!



・・・さすがにこれで





≪マスターっ!!≫



アルトがそう言った瞬間、背筋を走ったのは、凄まじい寒気。それと同時に、後ろに殺気。

振り返ると、刃が真上から打ち込まれていた。そして・・・右の肩口から斬られて、吹き飛ばされた。



「恭文君っ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「恭文君っ!!」

「・・・ねーちゃんよ、ボーっとしてる場合かっ!?」



倒れる恭文君を尻目に、イマジンが私に迫ってくる。いや、空中に居るからまだ安全圏だけど。

とにかく、コイツはすぐに倒そうっ!!



「アクセ」



目の前から、イマジンの姿が消えた。・・・いや、違う。



「遅ぇんだよ」



イマジンは高く跳躍して、私の目の前に居た。・・・うそ、速過ぎるっ!!



「うおりゃあっ!!」



さっきと同じように上から打ち込まれた斬撃。私は、それをレイジングハートでなんとか受け止め・・・いや、地面に叩き落とされた。

身体に伝わるのは、凄まじい衝撃。というか、身体・・・地面にめり込んで・・・。



「・・・つかよ、お前ら頑張りすぎ」



イマジンが、着地しながらそう言ってきた。うぅ・・・身体、動け・・・!!



「そんなにあのねーちゃんの記憶が欲しいのか?」

「そんなの・・・」




当たり前だよっ! あのままなんて、私は絶対に嫌っ!!





「無駄だぞ?」

「なにがっ!?」

「喰ったもんは、吐き出せねぇんだよ。あのねーちゃんは、ずっとアレだ」










・・・・・・・・・・・・そんな。





それは、心のどっかで否定したかった可能性。でも、その願いの方が否定された。




フェイトちゃんの記憶も・・・今も・・・もう、取り戻せないんだ。










「・・・関係ないね」





・・・え?





「フェイトどうこうは関係ない」





私が、そしてイマジンがその聞こえた声の方を見ると、立ち上がっていた。



その声は、想いは、まだ足を止めていなかった。揺らがず迷わず、眼前の敵を見据えていた。





「僕が、お前をぶっ潰したいのよ」





斬られたジャケットが半壊状態で、足取りがフラフラしてるけど。それでも、あの子は立ち上がっていた。



恭文・・・君っ!!





"恭文君っ! 大丈夫なのっ!?"

"・・・あぁ、なんとかな。アタシの方で防御硬くしといたから。一応は無事だ"



私の声に答えたのは、アギトだった。



"全く、アギト様々だよ。居なかったらどうなってたか"



そっか、一人じゃ・・・無かったんだよね。



"あと、なのは"

"うん?"

"迷うな"



それだけで、言いたい事がなにか分かった。



"フェイトの話は全部終わってからだよ。今どうこう言う話じゃない"

"恭文君・・・でもっ!!"

"迷うなっつってるでしょうがっ!!"



思念の怒号が、私を貫く。いつもの意地悪やツッコミとは違う、本気の叱咤。



"・・・信じてなよ。僕達とフェイトの過去を。僕は、信じてる。過去は・・・"

"希望を・・・くれる"

"そういうこと"



・・・こんな話をしつつも、事態は進展していた。



「・・・お前、まだ生きてんのかよ」

「当然。最後までクライマックスじゃなくちゃ・・・」





恭文君は、アルトアイゼンを鞘に納める。




「つまらないでしょ」

【そういうこった。もう終わらせてやるよ。つーか・・・】

≪正直、ウザいですよ。おとなしく消えてください≫



そして、構えた。



「うし、もう殺すわ。つか、ウザいのはてめぇらだしよ」



居合いに構えた恭文君に向かって、イマジンがスゴい速度で飛び出した。



「それは、こっちのセリフだ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・アルト、アギト、いけるね?





【おうっ!!】

≪当然でしょう≫

【でも、悪い。多分、次が最後だ】



だろうね。だって、ベルトも斬られて、亀裂入っちゃってるし。



≪ですが、一撃あれば充分です≫

【だな。で、どうすんだ?】



フルドライブ、いくよ。アギト、コントロールよろしく。



【・・・了解っ!!】





さーて、いきますかっ!!





「・・・必殺」





身体を低く沈める。痛みは一時的にでも思考の外に追いやる。





【フルドライブっ!!】

≪Ignition≫





それと同時に、身体を光が包む。赤い・・・炎のように揺らめく光が。



・・・迷うな、躊躇うな。今やらなきゃいけないことは、それじゃないっ!!





【アタシ達のっ!】

「必殺技っ!!」

≪特別版っ!!≫





そして、飛び出して・・・アルトを抜く。




















「・・・バカだろ、お前」










イマジンがそう言ってきたのには理由がある。









「こんなチャチな攻撃、もうとっくに見切ってんだよっ!!」










・・・アルトの刃は、イマジンに止められた。





抜きかけたところにイマジンが僕に自分の身体を密着。刃を右手に持ち、途中まで抜かれたアルトの刃を止めている。





そして左手が、抜き手となる。










「つーわけだから」










確実に一撃で仕留めようと思ったのか、それが僕の顔へ迫って・・・。










「死ねっ!!」










そして、一つの存在がその命を断たれた。





そう、この日・・・終わりを告げた。




































































































「・・・なっ!?」










生まれたのは、一筋の紅き閃光。いや・・・極光。





それは、剣も、イマジンも、見事にその真ん中から断ち斬った。










≪・・・言ったはずですよ? 特別版だと≫










僕は、刃を紅蓮に染めるアルトを一気に鞘から引き抜いた。





その刃は接触していたシミターを一瞬で引き斬り、その後でイマジンの身体に食い込む。




そこで詰んだ。先ほどと同じ要領でアルトを振り抜くと、イマジンを横一文字に両断した。





そう、断ち切ったのは僕の命じゃない。






相手の・・・イマジンの、命だ。










【そういうこった。・・・これ、正式名称は何て言うんだ?】

「蓮華一閃・断(れんかいっせん・たち)・・・だよ」










・・・蓮華一閃は、フルドライブの瞬間使用を用いた文字通りの必殺技。なお、アギトの協力のおかげで、炎熱攻撃となっている。






魔導師は通常、自身の魔力と使用デバイスの出力を60%まで抑えている。これは、術者とデバイスの安全のため。

フルドライブは、その安全リミッターを術者・デバイスの意志で解除した状態を指す。

で、この場合は瞬間的にそれを解放。上昇分を用いて普段より強力な攻撃をぶっぱなしたのだ。だから『花』じゃなくて『華』なのよ。





まぁ、フルドライブは体力魔力共に消耗激しいから、魔力量が並みな僕は、常時解放出来ないんだけどね。だからこその麒麟仕様ですよ。

ただ、それでもスターライトと同じく僕の切り札。これならユニゾンしなくても使えるし、使っても怒られないし。





そして断(たち)は、瞬(またたき)や砕(くだき)と同じく先生と僕の剣術の技。なお、本邦初公開。





この技を簡単に言えば・・・超零距離抜刀術。





刀の刀身を『鞘から途中まで抜いた状態』で、斬りたい対象に刃を当てる。

そこから、一気に刀を抜き放ちそのまま対象を斬るのだ。






日本刀独特の反り故に起こる『引き斬り』の現象とそれを一つの技として用いる技術。それがあって初めて、この超零距離抜刀術は使える。

ま、引き斬りは恭也さん達との訓練で御神流の『斬』を盗ませてもらってるしね。うん、これくらい楽勝よ。





なお、先生曰く・・・これはとある居合いの流派にあった技らしい。そこから拝借したとか。





いや、今さらだけど示現流じゃないし。本気でベースですよ、先生。










「ちく・・・しょお・・・!!」



イマジンの胴に・・・僕が斬ったところから火花が散り、一気に二つに分かたれた身体が炎に包まれる。

紅蓮の炎は激しく燃え盛り、容赦無くイマジンを焼く。



「僕達の勝ちだよ。死ぬのは・・・お前だ」

≪そのまま、吹き飛んでください。私達を敵に回した我が身を呪いながらね≫

【ま、答えは聞いてないけどな】

「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」





そしてそのまま、黒きジョーカーは炎をあげて爆散。こっぱ微塵に吹き飛んだ。





「・・・アギト、ありがと」



そこまで言って、ベルトを・・・と、その前に。



【別にいいさ。けど、これで貸し借りなしだからな?】



左手からマジックカードを一枚出す。で、発動。

青い光が僕達を包み込む。消耗した魔力に体力が回復し、傷と痛みが少しだけではあるけど、癒される。もち、中のアギトも。



「僕、アギトに何か貸しあるっけ?」

【・・・色々とな】





どーもそうらしい。さて・・・モモタロスさんと侑斗さんが苦戦中だし、アギトとユニゾン解除した上で応援に・・・。



・・・アレ? えっと、うんしょっ! こらしょっ!! どっせいっ!!



・・・おかしい。





【おい、どーした?】

≪マスター?≫



さて、どーしようかこれ。つか、これは思念通話だよね。



"いや、身体・・・動かない"

≪【・・・・・・はぁっ!?】≫





そう、ベルトに手をかけようとした瞬間、気付いた。というか、そこからそうなった。

動かないのだ。身体が、頭から足の先に至るまで、ピクリともしない。痺れたような感覚さえ覚える。うん、全く。口もアレなので、思念通話です。



え、あの・・・これなにっ!?





【ユニゾン・・・ヤバい。こっちからも解除出来ねぇっ!!】

≪というか・・・ベルトから火が吹いてますよ≫



うん、みたいだね。なんかバチバチ言ってるし。

・・・もしかしてこれ、ベルトが損傷したせいっ!? あぁ、やっぱ無茶だったのかもっ!!



≪・・・ベルトから凄まじいエネルギー量を感知しました。このままいくと・・・≫

"【いくと?】"

≪爆発しますね≫





あぁ、ヤバいじゃんそれっ! つか、なのはっ!!





"恭文君、逃げてっ!!"

"逃げられないのよっ! つーか"

"すぐ行くっ!!"

"・・・だめ、来ないでっ!!"



もう・・・遅い。なんかお腹から臨界点っぽい匂いと気配がプンプンと・・・!!



「・・・今日」



へ?



「お前達はここで」





ソイツは僕の視覚内に突然竜巻と共に現れた。10数隊のモグラを従えた上で。

棒の両端に小さな鎌が付いた武器を持った死神っぽいいまじ・・・。



って、TVの最後に出てきた大ボスイマジンじゃないのさっ! こんなのまで居るのっ!?





「・・・死ぬ」





ソイツが鎌を上から振るうと、地面を黒い衝撃波が走る。それは真っ直ぐに僕に向かって・・・。



ヤバい。ヤバいヤバいヤバいっ!!





【も、もう・・・ダメだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!】




















・・・その瞬間、僕の前に白い壁が生まれた。










・・・いや、壁じゃない。電車・・・デンライナーっ!!










そして、変化は続けて起こる。腰が軽くなった。いや、そうとしか言いようがない。










その瞬間、身体を縛っていた何かが外れたのを感じた。




















「はぁっ!!」





声は僕の左横から。それが聞こえた数瞬後。頭上で大爆発が・・・。



あれ、僕・・・生きてる?





「・・・らしいぞ?」



その声は右横から。見ると・・・!!



「アギト・・・!」

「アタシら・・・生きてんだよっ!!」



そうだよ、僕生きてるっ! ジャケットもリーゼフォームにちゃんと戻ってるしっ!!



「つか、マジで怖かった・・・」

「僕も今回は・・・」

「恭文・・・!!」

「アギトっ!!」





二人抱き合って、つい喜びも含めて泣き出す。



いや、ベルトが爆発して死ぬなんて、ゴメンだし。・・・良かったー!!





「・・・貴様、なにをしてる」





デンライナーがいずこかへ去ると、イマジン軍団がこっちに走ってきた。



くそ、休む間無しかいっ! こうなりゃヤケクソで・・・いや、その前にアギトをっ!!





≪Sonic Move≫





左腕を捕まれた。というか、引っ張られて思いっきり後ろに下がる。



その状況に驚いていると、連中の周囲に羽が舞い、小さな爆発がいくつも起こった。

いや、それだけじゃない。ネガ電王も同じだ。何かが着弾した。その隙に、良太郎さん達がこちらに駆け出した。





「・・・降臨」





聞こえてきたのは、優雅なハープの音色。・・・えぇっ!?



白い、白鳥のような優雅な印象のイマジンが空からゆっくりと・・・本当に降臨してるしっ!!





「満を持してっ!!」





ジ、ジークさんっ!?





「・・・おい、なんだよ。あのナルシーっぽいの」

「・・・デカ長の言ってた増援」



とりあえず、ハグは解除しつつ答える。つか、そうだよね。増援なら、やっぱジークさんくるよね。


「聞こえているぞ、そこの娘。無礼であろう。・・・まぁよい。
まずは自己紹介だな。我が名はジーク。呼ぶときは、気軽にプリンスと呼ぶがいい」

「おう、よろしくな。・・・って、どこが気軽なんだよ、それっ!!」



アギト、いいツッコミだよ。つーか、そこは思うよね。



「・・・でも三人とも、無事で良かった」

「ギリギリでした〜」

≪・・・いえ、むしろ遅いくらいですよ。特にあなた、一体なにしてたんですか≫

「ゴメン。ちょっと休み過ぎちゃったね」





すぐ横で聞こえた声に、胸が震えた。だから、そちらを見る。





「・・・恭文さん、アルトアイゼン、お待たせですっ!!」





そう、リインが居た。でも、リインだけじゃない。





「恭文ー! 僕も来たよー!!」

「リュウタっ!!」





そう、リュウタもデカい専用銃を抱えながらこちらに来た。





「・・・あ、今の攻撃って」

「そうだよ。僕と鳥さんっ!!」

「納得した」





でも問題は、リインの隣に居る子。それは、一人の女の子。





「・・・ヤスフミ、本当にゴメン」





揺れる金色の髪。紅くて優しさを感じさせる瞳。

制服然とした服に白いマントを纏い、右手には片刃の雷光の剣。



・・・うそ。というか『ヤスフミ』って・・・うそ。





「・・・嘘じゃないよ」



そこまで言って、その子は僕を抱きしめ・・・って、えぇっ!?



「消えなかった。私の中のヤスフミと・・・なのはやはやて、皆と過ごしてきた時間は、何も消えなかったよ。だから、思い出せた」



・・・力、強くなった。苦しいくらいに。



「もう大丈夫だよ。その、クライマックスには少し乗り遅れたかも知れないけど、ここから一緒に・・・戦おう?」










・・・・・・フェイトっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



一瞬だった。





金色の影が恭文君のベルトを斬ったかと思うと、その影はベルトを掴んで、空高く放り投げた。





そして、恭文君とハグしながら私の前に・・・。










「・・・フェイトちゃんっ!!」

「うん」



えっと、セットアップしてるって事は・・・記憶がっ!?



「そうだよ。・・・ヴィヴィオ曰く、過去が希望をくれたんだって」



・・・良かった。何にも、消えて無かったんだ。本当に・・・良かったっ!!




「フェイトさんっ!!」





私達の所へ、良太郎さん達だけじゃなく、ティア達も来る。で、当然・・・。





「金髪ねーちゃんっ!?」

「フェイトさんっ! あの、えっと・・・」



みんな、当然・・・戸惑う。



「フェイトさん、あの・・・」

「・・・なのは、キャロ、それに皆もごめん。心配かけちゃって。でもね、もう大丈夫だよ。全部思い出せたから」

「フェイト・・・さん・・・!!」





うん、みんな嬉しそうなのは、気のせいじゃない。だって・・・私も、嬉しいから。





「つか、鳥野郎っ!?」

「増援って、やっぱりジークだったんだね・・・」

「久しぶりだな。我がお供よ」

「誰がお供だ、この野郎っ!!」





・・・本当にこのキャラなんだね。





「・・・フェイトちゃん、リイン」

「えっとね、隊舎来てくれたらしくて、それで・・・」

「いきなり降臨してきて、ビックリしたですよ・・・」



うん、分かるよ。・・・私もビックリしたから。



「あの、良太郎さん達も・・・すみませんでした」

「けっ! なに謝ってんだっ!! 別に気にしちゃいねぇよっ!!」

「そうや、気にすることない。なんや・・・めでたいしな」

「ま、先輩や金ちゃんの言うように、僕達は大丈夫ですよ。というか、早めに思い出してもらって助かりました。
・・・恭文となのはさんのキレっぷりがもう凄くて凄くて。近くの魚も逃げ出す勢いだったんですから」



にゃにゃっ!?



≪・・・ところでフェイトさん≫

「はい。・・・というか、あなたが、その・・・ゼロノスさんですよね。ギンガから聞きました」

「まぁな。で、そこはいいからもう離してやれ」

「え?」

「そいつ、窒息するぞ?」

≪というか、もうしてる・・・≫





侑斗さんとデネブさんに言われて、全員が気付く。フェイトちゃん、恭文君を抱きしめたまま。



で、恭文君の顔はフェイトちゃんのむなも・・・って、なんか両腕がグッタリしてるっ!?



だからフェイトちゃんも、慌てて恭文君を放す。というか、グッタリしてる恭文君に謝り出した。





「ヤスフミっ! あの・・・しっかりしてっ!!」

「フェイト・・・力込めすぎ。というか、酸素ぷりぃず・・・」

≪なるほど、フェイトさんに人工呼吸して欲しいと≫

「違うわボケ・・・!! つか、フェイトも赤くなるの無し。そんな思惑無いから」

「だ、だって・・・!!」



・・・ま、こっちはいいか。いつも通りだし。みんな拳を握ってるけど、ここはいい。



「・・・リイン」

「はいです?」

「プランは変わらず?」

「変わり無しです。あ、フェイトさんもこっちに参加ですね」










なら、私もこのままだね。もうちょっとだ。しっかりいこう。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「あの、ヤスフミ。これ」



そう言って、フェイトはあるものを渡してきた。



「あ、ありが・・・あれ?」

≪形・・・違いませんか?≫



うん、違う。設計図では、もうちょい地味なデザインだったのに。



「僕がデザインし直したんだ。かっこいいでしょ〜」

「・・・バッチリ。リュウタ、ありがと」

≪リュウタさん、同じく感謝します≫

「うんっ!!」





それは、白と青で彩られた幅広い金属製の鞘。そう、これがヒロさん達と作っていた物。

その名もアルトの拡張用デバイス・『ナナタロス』っ!!





「・・・ヤスフミ、そのネーミングはやめない?」





アルトをナナタロスに納める。すると、鞘口近くの四角いスロットが扇状に開く。





「なんで?」

≪一応ヒロさん達との協議の上ですが≫

「なんでって・・・その・・・」





で、ここに・・・。





「恭文さん、ハイです」

「ありがと」





そのスロットは、トランプサイズのカードを入れるためのもの。そのカードが、今リインから受け取ったもの。





「なんつうか、マジでダサいわよ」

「なぎさん、もうちょっと・・・こう、考えようよ」

「そうだよ。せっかくのパワーアップなのに・・・」





太剣を掲げる巨人の絵が描かれたそれをスロットに差し込み、そのまま閉める。

さて、準備完了かな? なぜか皆の視線が微妙だけど。



「え、僕はかっこいいと思うけどな」

『良太郎さんっ!?』

「リインも同じくですっ! かっこいいですよっ!!」

『毒されてるっ!?』



どういう意味だ。全く、失礼な。



「あ、それと良太郎さん達にも」

「デカ長さん達から、届け物ですよ〜」



そう言って、フェイトが出したのは、3つのパス。

それを見て全てを察したのか、モモタロスさん達が手に取る。リュウタとジークさんは・・・うわ、もう装着してるし。



「・・・え? なんでパスを追加っ!? というか、モモタロスさん達はどうしてそれでベルトを腰に巻くんですかっ!?」

「あの、もしかして・・・」

「いや、でもそれだと良太郎さんがっ!!」



ティアナ達、驚きまくってるね。そういや、言ってなかったかも。



「大丈夫だ、問題ねぇ。・・・いいからそこで見てろ。俺達の変身をなっ!!」





そして、モモタロスさん達は良太郎さんを中心に並び立つ。



こっちもいくよっ! アルト、リインっ!!





≪えぇ、いきましょう≫

「見せてあげますっ! 新しい古き鉄の、本当の姿をっ!!」

「うん、恭文君達も一緒に・・・行くよ」





良太郎さんが、赤い携帯・・・ケータロスを、デンオウベルトに装着する。で、それだけじゃない。



どこからか持ち出したデカい大剣。赤い刃に、柄の所に赤・青・金・紫の仮面。引き手のようなグリップが付いている独特の形の剣。



その剣の峰に、パスを差し込む。





「変身」





そう言って、良太郎さんが差し込んだパスを押し込む。





≪Liner Form≫





良太郎さんの身体を、光が包む。その光が弾けた瞬間、生まれたのは・・・電車の中の電車王。



モモタロスさん達は憑依してない。良太郎さんが変身して、良太郎さんとして戦う電王。





「・・・電、王? でも、モモタロスやリュウタロスのとは、違う」

「仮面も、なんかアンテナ付いてるし・・・あれ、なにっ!?」





赤・青・金・紫の色を持つ仮面に、黒と赤と白のラインが入ったアーマー。どこか、ヒーロー的なデザインだったりする。



その名も・・・ライナーフォームっ!!





「・・・変身」

≪Wing Form≫





モモタロスさん達もそれに続くように、パスをベルトにセタッチしていく。



まず、ジークさんの身体を、ソードフォームと同じ形状のアーマーが包む。ただし、その色は白と金。

頭の銀の線路を走り、青い羽の白鳥が現れる。それが一鳴きすると、すかさず変形して、青い仮面へと変化した。





「変身っ!!」

≪Gun form≫





リュウタの身体を包むのは、二つの宝玉の付いた銀のアーマー。紫の仮面を付け、変身を終える。





「変身っ!!」

≪Ax Form≫





キンタロスさんは、今までの電王の中で一番厚い金色のアーマーを纏う。そして、特徴的なのがその仮面。



・・・斧なのだ。あれで頭突き出来そうな斧が付いている。





「変身」

≪Rod Form≫





ウラタロスさんは、青。そのままだけど、青いアーマー。

仮面は、角付きで赤い、丸い瞳をしたもの。というか・・・ロッドフォームきたぁぁぁぁぁぁっ!!



僕、ファンだしっ! ロッドフォームが一番好きだしっ!!





「青坊主っ! ボーっとしてんじゃねぇっ!! ・・・行くぜっ!!」

「はいっ!」

「・・・デネブ、俺達も行くぞ。つーか、変われ」

≪分かったっ!!≫



そうして、侑斗さんもこちらに来る。左手にデネブさんを持ち、カードを一旦ベルトから抜く。



「リインっ!!」

「ユニゾ・・・いえ、ここはやっぱり、これですよね」



そう言って、リインはニコリと笑って、言葉を続けた。



『変身っ!!』





モモタロスさんはベルトにセタッチ。





≪Sword Form≫





侑斗さんは、カードのを裏返し、黄色のラインが入っている方を表にして、再びベルトに挿入。





≪Vega Form≫





僕も、リインが身体に吸い込まれ一つになる。





≪Vinculum Form≫





でも、これだけじゃ・・・足りないよねっ!!





「アルトっ!」

≪行きますよ・・・!!≫

「コード・ドライブっ!!」

≪Z Mode Ignition≫





モモタロスさんの身体を、再びアーマーが包む。赤い桃も銀の線路を走り、顔に装着される。

侑斗さんの手にあったデネビックなデネブさんが、元の姿になる。

そのまま侑斗さんの後ろに回り込むと、腕を交差させて、侑斗さんの両肩に自分の両手を乗せる。



侑斗さんの装着していた錆びたアーマーと仮面は外れて、別の形のアーマーと仮面が装着されていく。

アーマーは先ほどの物とは比べ物にならない分厚く、デネブさんの顔が胸にある物に。

デネブさんの手がそのまま、銃口を前に向けた肩当てになる。



仮面は、金の線路を走って銀色のドリルが付いたかと思うと、そのドリルが中から割れて仮面になる。

現れたのは、赤い瞳。全体の空気が震える。その姿から感じるのは、圧倒的な力強さ。

・・・これはゼロノスの形態の一つ。ベガフォームっ!!



そして、僕も青い光に身体を包まれながら、変化していく。

身体を包むマントと制服デザインなジャンバーが外れる。

左肩に青い肩当てを装着。肩当ての根元に丸い銀色の金属製のパーツ。



その丸の中に、雪の結晶の形が刻まれる。

そして、肩当てから左の二の腕を包むように白いケープが現れる。腰にはリインと胴型のフード。

それと白のインナーとジガンスクードと右のガントレットと足の具足が、薄い氷に包まれたかと思うと、それがすぐに剥がれ、空色に染まる。



そして、アルト。青い光に包まれた瞬間、姿を変えた。

黒い大型のホルダーを、僕の背中に装着。そこに、6降りの剣が収められていく。

二本の片刃の短剣。・・・六鉄に五鉄。



同じく二本の片刃の直剣。・・・四鉄に三鉄。

片刃で、持ち手が刃に埋め込まれている形の直刀。・・・二鉄。

そして、両刃で二股のようになっている剣。・・・一鉄。つーか、アルト本体。



これが、アルトの新形態・・・セブンモードっ! 『7振り』の剣へと姿を変えた古き鉄の新しい力っ!!

ま、これもフルドライブやらなんやらじゃない。でも・・・強いよ?

最後に僕の髪と瞳が、色調の異なる空色になり、光が弾けた。



弾けた光は、青い氷の羽根となり、僕達の周囲を舞う。





「・・・降臨っ! 満を持してっ!!」



ジークさんが右手で天を指しながら、舞い散る白い羽根の中で高らかに声をあげる。



「お前達、倒すけどいいよね?」



リュウタは身体をゆらゆらさせながら身体を一回転。



「答えは聞いてないっ!!」



連中をビシっと指差し、そう言った。



「俺の強さは・・・泣けるでっ!!」



キンタロスさんも、言いながら右手で顎を動かす。



「お前達・・・僕に釣られてみる?」





ウラタロスさんが右手の指を弄りながらそう口にする。



というか、やっぱりロッド好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!



・・・あ、なんか視線が痛い。





「・・・最初に言っておくっ!!」



ゼロノス・・・侑斗さんに憑依したデネブさんが



「特に言うことは無いっ!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よし。



『だったら言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』



その場に居た全員が一丸になってこうツッコんでも、きっと罪じゃない。



「だ、だって・・・」

「・・・モモタロスさん、お願いします」

「おぉ、バシッ決めるぜー! オデブ、お前は特によく見とけっ!!」



決めてくださいっ! バシッとっ!!



「俺っ!」



当然例のポーズ付きっ!!



「再び参上っ!!」



なので、当然のように僕達も続く。



【「・・・・・・さぁ」】



僕は右手を胸元に持って行き、それから腕を伸ばす。そうして、連中を真っ直ぐに指差した。



【「お前達の罪を数えろあなた達の罪を数えなさい」】









・・・つーか、楽しいよこれっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・うそ、電王が・・・! ティア、電王が沢山いるよっ!!」

「うっさいっ! 分かってるわよっ!!」



赤に青に金に紫に白に・・・つか、良太郎さんはなんで亀達が付いてないのに変身が出来るのっ!?



「なのは、あの・・・良太郎さんも? というか、一人で戦えるのっ!?」

「・・・デカ長から聞いてなかったんだね。
そうだよ。あの形態なら、良太郎さん一人でも戦えるの」



驚いた。つか、あんな隠し玉があったとは・・・。

もしかして、だから熊が『めっちゃ強い』って言ってたのっ!?



「というか、なぎさんがちゃっかり混じって・・・・・・というか、決め台詞まで。あれ、いつの間に考えてたんだろ」

「キャロ、違うの。ヤスフミ、魔導師になった頃から時々言うの」



はぁっ!? え、じゃあ・・・・・・嘘ぉっ!!



「でも、それで普通に混じるって・・・・・・私、アレは真似出来ない」

「しかも、楽しそうですよ?」



そりゃそうでしょ。本物のヒーローと肩並べて戦ってるわけだし、そりゃ楽しいわよ。



「バッテンチビもだぜ・・・。てか、アタシより派手ってどういうことだよっ!?」

「つか、リイン曹長もアイツらと絡むとキャラが・・・・」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ようやく終わったか。待ちくたびれたぜ」

「へっ! 待ってくれるたぁ、ずいぶん余裕じゃねぇかっ!!」

「変身に手を出さないのは、世界の原則だ。俺様はそういうのにはうるさいんだよ」



・・・え?



「・・・へぇ、意外と古風なんだね」

「コダワリはあるっちゅうことやな」

「恭文、そういうものなの?」

「うん、お約束よ? まぁ・・・」

≪分からない方は、全く分からないんですよね≫





そ、そういうものなんだ・・・。



というか、なんで恭文君はジト目でなのはさんを見てるのっ!?





「・・・特異点、お前も物好きだな」





ネガタロスは、嘲笑いながらそう言ってきた。



・・・なにがおかしいの?





「この世界がどうなろうと、貴様には関係無いはずだ。
なのに、貴様は首を突っ込み、その為に死ぬ。物好きな上に・・・バカだな」

「関係無くなんてないよ」



・・・そうだ。もう、関係無くなんてない。もちろん、死ぬつもりもない。



「ここで知り合った人達が居る。ほんの少しでも、一緒の時間を過ごしてきた人達がいる。もう、関係無いで済ませる事なんて出来ない」



うん、僕はそう思ってる。ここでの時間も、大事なものだと思うから。



「それに、世界が変わったって、変わらないものがある。
記憶が、時間が、本当に大事なものだってことは」



・・・スバルちゃんの事で本当に分かった。時間に、記憶に、世界がどうとかは関係無い。無かったんだ。



「だから消させない」



きっと、これはやらなきゃいけない事だから。やらなきゃいけないと思うから。

だから、それをやるだけ。



「悪いけど、君達の好きにはさせない」

「ま、そういうことだよ。それじゃあ、とっとと始めようよ。ここまでナメてくれた礼もしたいしさ」





恭文君が、両刃の剣に変化したアルトアイゼンを腰のホルダーから抜く。





「てーか、言わなかった? お前達の罪を数えろってさ。・・・・・・さぁ」





その切っ先をネガタロスに向けながら、言い放つ。





「ここからは全員まとめてクライマックスだっ! ぶっちぎっていくよっ!!」

≪もちろん、答えは聞いてませんがね≫

【さぁ、大暴れしていくですよっ!!】










表情はどこか不敵に笑い、楽しげにも見える。でも・・・なんだろう。

それを見ていると、この状況もなんとかなるって心から思えるから、不思議だよ。ううん、違うね。

なんとか、なるんだ。一人じゃないから。僕達だけでも、恭文君達だけでもない。うん、きっと・・・大丈夫。





そうして僕達は走りだし、また剣を振るい始めた。




















「・・・おいおいっ! そりゃ俺のセリフだろうがっ!!」

「というか、アルトアイゼンも僕のセリフ取らないでー!!」

「先輩、リュウタ、抑えて抑えて・・・。恭文達は主役なんだから、仕方ないよ」

「ふざけんじゃねぇっ! つーか・・・主役は俺だぁぁぁぁぁっ!!」

「・・・泣けるでっ!!」




















(第8話へ続く)




















『次回予告ですっ!!』





「良太郎さんっ!!」

「うんっ!!」



「・・・ティアっ! 一緒にっ!!」

「はいっ!!」



「へへ・・・楽しくなってきたぜっ!!」





第8話 『止まる訳がないダブル・ライナー・アクション』





「・・・電車斬りっ!!」

『・・・センス無っ!!』




















あとがき



古鉄≪さて、なんだかんだで前回と同じ感じで終わった第8話、皆さんいかがだったでしょうか?
今回のお相手は私、古き鉄・アルトアイゼンと・・・≫

恭文「蒼凪恭文と・・・」

フェイト「一山越えた・・・のかな? とにかく、そんな私、フェイト・T・ハラオウンです。
でも、まだ戦闘は継続するようです。・・・劇場版だから?」





(盛大なファンファーレが鳴り響く。もう、どうしてここまでって言うくらいに)





フェイト「・・・正解みたいです。でも、今回も色々・・・詰め込み過ぎじゃないっ!?」

恭文「まぁ・・・色々とね」

古鉄≪もうここが限界点ですけどね。これ以上は作者のキャパがオーバーテイクですよ。・・・さて≫

恭文「早速ですが、今回登場した色々なアイテム・技や魔法の解説ですっ!!」




















蓮華一閃



恭文とアギトのユニゾン形態の必殺技。フルドライブ状態で放つ炎熱斬撃。

制限の多いスターライトよりもローリスク且つ非常に強力な、古き鉄の新しい切り札。

なお、リインとユニゾン時や、通常時の場合は氷結系斬撃の『凍華一閃』となる。










断(たち)





日本刀特有の引き斬りの現象と、それを最大限に用いる技術を使用した超零距離抜刀術。恭文とヘイハチ・トウゴウの剣技の一つ。

斬りたい対象物に、鞘から途中まで抜いた刀の刃を当て、そこから一気に抜刀して斬るという技。

なお、某流派で実際にあるらしい技がモチーフ。










斬(ざん)





恭也や美由希、士郎と言った面々が扱う御神流の基本技法の一つ。

攻撃対象をただ斬るのではなく『引き斬る』事で、斬撃の威力を高める技。

引き斬りを技術として教えている流派も存在しているが、御神流の斬は、刃が無くても斬れるほどに技能の完成度が高い。

今回は、断(たち)にこれを組み合わせることで、威力を高めている。

なお恭文は、恭也達との組み手を通して、御神流の技をいくつか盗んでいる。理由は『魔法無しで戦えるようになるため』。

ただし、神速なんて使えません。えぇ、貫も無理でした。










ナナタロス




アルト専用の鞘型拡張デバイス。なお、ネーミングはヒロリス。デザインは、リュウタ。

作成途中であったが、今回はデカ長とリュウタの協力の元、突貫作業で完成した。










セブンモード



ナナタロスを装着した上で発動出来るアルトアイゼンの新形態。

合計『7振り』の剣となる形態。モチーフは、FF7ACでクラウドが用いた合体剣。というか、そのまま。

なお、ネーミングは色々かけてます。(元ネタのあれこれとか、フェイトの中の人の名前とか)










リインとの新ユニゾン形態(ヴィンクルムフォーム)





恭文がリーゼフォームに変化したために、こちらも合わせてマイナーチェンジ。

モチーフは、またまたFF7ACから、クラウドが来ていたコスチューム。

ヴィンクルムは、ラテン語で『絆』の意。




















恭文「・・・いや、劇場版パワーアップ、しまくったね」

古鉄≪派手にやりましたね≫

フェイト「反響・・・怖いね」

古鉄≪まぁ、大丈夫でしょう≫





(そんな話をしつつも今回を振り返っっていく)





恭文「・・・って、バトルしてばかりで、振り返ってどうこうって・・・フェイトの話?」

≪でも、どちらかと言えば本編中でやりたいですよね≫

恭文「・・・まぁね」

フェイト「あ、私は気になってることがあるの。・・・良太郎さん、一人で戦えないんじゃ」

恭文「ライナーフォームなら問題ないよ? いや、初登場のお話も名作だよね〜」

フェイト「とにかく、そことか、エリオの話も次回・・・だよね。そういうわけで、まだまだバトルは続くようですけど、お楽しみに」

恭文「それでは、本日はここまでっ! お相手は蒼凪恭文と」

フェイト「フェイト・T・ハラオウンと」

古鉄≪セブンモードは無敵ですっ! 古き鉄・アルトアイゼンでしたっ!!
それでは、またっ!!≫










(三人で手を振り、いつもの・・・いや、嬉しそうにフェードアウト。
本日のED:『Double-Action』)




















恭文「ということで、本邦初公開っ! セブンモードとヴィンクルムフォームっ!!」

リイン「次回はこれで大暴れですよ〜♪」

古鉄≪派手にいきましょう。なんと言っても、劇場版ですし≫

モモタロス「・・・青坊主達、燃えてんな」

フェイト「そうとう楽しみにしてましたから・・・。
あ、でも私も活躍するよ? うん、すっごく

良太郎「いや、なんでフェイトさんも対抗しようとするんですかっ!?」

ジーク「・・・私を忘れるでないっ! 次回は私の話だぞっ!!」










(おしまい)







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