小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第106話 『Question Dream/今、罪を数え向かい合う時』
シオン・イン・ぺぺ『しゅごしゅごー♪』
シオン「ドキッとスタートドキたまタイム。今回はなぞたま編最終決戦の続きです」
イン「ナナはなぞたまにされ、ルルのなぞキャラなりドリーム・ドリームの能力によってキャラなりは解除。
ルルは暴走を続け、ナナは迷いの中に囚われ・・・・・・私達は、ここに来るまで何も出来なかった」
ぺぺ「だけど諦めるなんてまだ早過ぎでちっ! ここが正念場、全員で切り札出しまくって勝利を掴むでちっ!!」
(立ち上がる画面に映るのは、サムズアップなあの子にようやくお目覚めなあの子。・・・・・・そして)
イン「それじゃあ今日もいこう?」
シオン「えぇ。みなさんご一緒に」
ぺぺ「当然アレでち」
(せーの)
シオン・イン・ぺぺ『じゃんぷっ!!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文の声が響いた瞬間、足元がぐらついた。というか・・・・・・アレ、あたし落ちてる?
あ、ホントだ。あたし落ち・・・・・・え、なんでっ!? なんであたし落ちちゃってるのかなっ!!
あたしは慌てて自分の姿を見た。すると、キャラなりする前の私服姿に戻ってた。
キャ、キャラなりが解除されてるっ!? なんでっ! どうしてっ!!
「ラン、これってどういう」
落ちながら周りを見ると、そこには三つのたまご。・・・・・・うん、たまごだった。
ランもミキもスゥも、ずっと側に居たのにそこにあったのはたまごだけ。
「みんなっ! どうしたのっ!!」
「・・・・・・あむちゃんっ! その子達をっ!!」
そんなあたしの身体は、その声が響くと同時に大きな腕で抱えられた。
それで反射的に傍らにあったたまご達を全部掴んで抱える。
次の瞬間、緑色の何かの中に突入。その中を通り過ぎて鈍い衝撃が走る。
あたしの周囲は、木々と芝生と・・・・・・それで腕の中にはあの子達。
どうやら割れてはいないみたい。それに安心しつつ振り返ると、ヘイさんが居た。
というか、あの時着けていた仮面を装着している。それで軽く息を漏らした。
「え、あの・・・・・・ヘイさんっ!? いや、だって・・・・・・えぇっ!!」
ま、まさかあの高さからあたしかばって落ちたのっ!? ううん、そうなるよねっ!!
あたしはほとんど怪我ないけど、ヘイさん身体震えてるじゃんっ!!
「ヘイさん、大丈夫ですかっ!? というかあの・・・・・・すみませんっ!!」
「大丈夫・・・・・・だ。足を少しやられたが」
あたしはラン達を抱えたまま地面に降ろされる。ヘイさんは痛みを堪えながら、右足を見た。
右足は何かで深く抉られたかのようにジーンズごと切り裂かれて、血が流れ出ていた。
「あの、あたし治しますっ! というか、ありがとうございましたっ!!」
「いや、今はいい。それよりルルを」
ヘイさんは立ち上がろうとして、崩れ落ちた。あたしは咄嗟にヘイさんの身体を受け止める。
「無理しちゃダメですってっ!!」
「そうだよ、ヘイ。無理しないで」
そう言いながら傍らにインが降りてきて、心配そうにヘイを見ていた。・・・・・・アレレ、なんかおかしい。
「イン、やっぱりお前無事だったのか」
「うん。よく分からないけどなんとか」
「イン、アンタどうして・・・・・・だってラン達」
「分からない。でも無事だったから、キャラチェンジしてもらったの」
あ、もしかしてこの仮面装着はヘイさんのキャラチェンジ? また凄いもの装着するなぁ。
「それでヘイ、他に怪我は」
「木の枝と硬化コートとブーツが守ってくれたからな。深いのはこれだけだ」
「でもズボンは普通のだからダメだった。・・・・・・萬田と千々丸に感謝だね」
「そうだな。お礼が出来ないのが残念だ」
言いながらもう一度足をヘイさんは見る。それでコートを右腕だけ脱いで、自分のシャツを肩口から引きちぎった。
そこからあたしが止める間もなく素早く傷口にそのシャツを巻きつけて止血した。
でもそれだけで止まるわけがない。一種の応急処置なのはあたしにだって分かってる。
それでもヘイさんは立ち上がって、その足を動かして地面を踏み締める。
「ヘイさん、ダメですってっ! 傷かなり深いんですよっ!?」
「すまないが、それは無理だ。俺は・・・・・・あのバカを一発殴ってやらないといけない」
「でもあの・・・・・・とにかくあたしこういうの得意ですからっ! スゥっ!!」
『あむちゃん、ダメですぅっ!!』
たまごの中から声が聴こえた。とりあえずみんな無事ではあるみたい。でも、たまごから出てくる気配がない。
「アンタ達一体どうしちゃったのっ! 遊んでる場合じゃないってっ!!」
『違うからっ! 私達みんな、たまごから出られないのー!!』
『何度やっても全然ダメで・・・・・・これどうなってるのっ!?』
「いや、だからなんで・・・・・・あ」
まさか、さっきの光? そっか、アレがルルのキャラなりの能力なんだ。
「あむちゃん、感じなかったか?」
「え?」
「あの光を浴びた時、俺は一瞬目の前が真っ暗になるような感覚に陥った。
おばあ様と話して見つかった答えが分からなくなるような・・・・・・そんな感じだ」
そう言われて少し思い返してみる。確かにキャラなりが解ける直前、気分が悪くなるように感じた。
息が詰まるような、少し前にキャラなり出来なかった時みたいな・・・・・・うん、感じてる。
「そう言えば・・・・・・感じました」
「おそらくそのせいだよ。ヘイはどういうわけか大丈夫だったけど、ラン達とあなたはまともに受けた。・・・・・・ヘイ」
「このパターンだと、ルルを止めるまで君はキャラなりもキャラチェンジも出来ないぞ」
じゃあ、マズい。あたしは強烈な悪寒の従うままに、みんなの居る方を見た。
みんなはあたし達がルルをなんとかしようとしている間、なぞたまを止めてくれている。
当然だけどキャラなりした上で、能力を使った上でだよ。そうじゃないと危ないじゃん。
でももしも、あの光がみんなにも届いてしまっていたとしたら?
「それ、あたしだけじゃないかも知れないです。下手するとみんなも・・・・・・!!」
「・・・・・・ありえるな」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ややが必死に必死に集中していると、その集中が切れそうな事が起こった。
恭文が凄い声で叫んだと思うと、みんなのキャラなりが・・・・・・解けちゃった。
ややだけはどういうわけか無事だけど、みんなは元の私服姿に戻って混乱してる。
それでみんな、たまごの中に閉じ込められちゃったみんなに必死に声をかけてた。
「ど、どうなってるのコレっ! キセキ、大丈夫っ!?」
『なんとかな。だが・・・・・・くそ、出られんー』
「クスクス・・・・・・クスクスっ!!」
『りまー、これどうなってるのっ!? クスクスワケ分かんないー!!』
それで現在、やや達は巨大なぞたまに嘲笑うような笑みを向けられて絶賛ピンチ中です。
ど、どうしよ。この状況だと・・・・・・ううん、もうアレしかない。ややのキャラなりは解けてないんだし、ややしか出来ない。
「これ、考えるにあの光のせい・・・・・・だよね」
『それでオレ達がたまごの中に閉じ込められてって事か? くそ、バッドクールだぜ。
下手をすればあむ達も全く同じ状態になってる可能性があるぞ』
もう時間がない。こうなったらイチかバチかだけど・・・・・・ううん、出来る。
必要なのは思い出して刻み込んで、いっぱい伝える。ややの気持ちを、アルトちゃんに沢山沢山伝える。
それだけじゃなくてややはアルトちゃんの事ももっと知りたい。知って、刻み込んでいきたい。
ややはピンチなみんなに申し訳なくなりつつも、両手を強く握り締めて目を閉じた。
お願い、アルトちゃん来て。ややは・・・・・・ややはここに居るからっ!!
All kids have an egg in my soul
Heart Egg・・・・・・The invisible I want my
『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説
とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご/じゃんぷっ!!!
第106話 『Question Dream/今、罪を数え向かい合う時』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「・・・・・・駄目だ。辺里君、ここは一旦引こう」
「バカっ! 恭文やあむ達置いてけぼりにするつもりっ!?」
「でもややちゃんとリインちゃんだけじゃここはどうしようもないよ。どっちにしても距離は取らなきゃ」
「そうだね。でも、日奈森さんと蒼凪君達と合流してから・・・・・・ううん、みんなに撤退の意志を伝えてから」
「逃げなくていいっ!!」
うん、分かる。すぐ目の前にまでなぞたま達が迫ってるのは分かる。でも大丈夫。
だから焦るみんなにこんな事が言える。それで・・・・・・ようやく『思い出せた』。
「うん、大丈夫。もう、大丈夫。やや、ちゃんと思い出した。みんな、ここはややに任せて」
だからややは笑って、目を開ける。強く握っていた両手を前にかざせる。
ややはもう、ちゃんと思い出した。だからあとは、めいっぱい伝えるだけ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・・・・あのコンサートのちょっと前。結界の中でややはアルトちゃんを呼び出した。
でもでも、やっぱりアルトちゃんは休日のお父さんで・・・・・・お尻をポリポリかいてた。
「・・・・・・うわ、こりゃひどいわ。まさしく休日のメルビナそのものだし」
「だから違うと言っているだろうがっ! 私はこんな形で尻などかかんっ!!」
メルビナさんはどうやらそこは絶対納得出来ないらしくて、かなり全力で否定してくる。
うーん、でもでもそういうキャラでもメルビナさんはカッコ良いってややは思うけどなー。
「ですが、確かにこれは呼び出しただけで動けなくなりますね。というより、非常に邪魔なのでは」
「戦闘の時に毎回これなのよね。普通にこう・・・・・・目につくわよね」
「うぅ・・・・・・シャッハさんもカリムさんも、そこは言わないでもらえるとやや的には嬉しいです」
【最初の時以外、呼び出した数だけずーっとそのパターンでちからね。ホントどうするでちか、コレ】
メガーヌさんは未だにお父さんなアルトちゃんを、右手に口元を当ててジーッと見ている。
真剣な顔で見てたのに、すぐに表情を明るくしてそれでなにか納得したように両手で柏手を打つ。
「これはもうダメね」
『なんかあっさり諦めたっ!?』
やや、何気にショックなんですけどっ! それもすっごい明るく言われちゃったしっ!!
「ちょっとちょっとメガーヌっ! アンタなんでそうなのっ!? もうちょっとなんとかしなってっ!!」
「そうは言うけど、この子完全にややちゃんを見くびってるのよ?」
ややの胸に、鋭いものが突き刺さる。それがすっごく痛い。
「つまりややちゃんをマスターとして見ていない。
ややちゃんに自分を使うだけの力があると思っていない」
それで今度は背中にこう・・・・・・なんか削れるようなのがジャリジャリーってされた感じがする。
「その状態から頑張ろうと思ったら、本当に時間がかかるわよ? 私だってガリューを使役し始めた時は大変だった。
召喚魔法は二人で使う魔法な分、召喚師はともかく召喚獣はどうしても最初は契約相手にはシビアになるから」
「あー、知ってるよ。そういうとばっちりというかリバウンドが自分に来る事を本能的に恐れてだろ?」
「そうそう。しかも今まで一度も言う事聞いて・・・・・・アレ?」
メガーヌさんが言葉を止めて、ダウン寸前だったややの方を見た。というか、近づいてしゃがみ込んでくる。
「ややちゃん、ぺぺちゃん、お姉さん一つ確認したいんだ。
私すっかり忘れてたんだけど・・・・・・確か最初の時は言う事聞いてくれたのよね?」
「はい」
メガーヌさんに聞かれて改めて思い出すけど・・・・・・うん、聞いてくれた。
ややが『イクスちゃんの事お願いー』って言うと、ちゃんと優しく抱えてくれたし。
「じゃあこんな風にならなかったのよね? ちゃんと二人のお願いを聞いてくれた」
「ならなかったです。ややが『お願いー』ってしたら、ちゃんと聞いてくれて」
【だから次に呼び出した時これで、全員唖然としたでち】
メガーヌさんは少し視線を落として、また真剣な表情に戻った。それで改めてアルトちゃんを見る。
それからすぐにややの方を見る。でも真剣な顔は何も変わらない。
「二人とも、それなら・・・・・・なんとかなるかも」
「えぇっ!? ほ、ほんとですかっ!!」
【でもメガーヌさん、さっきはダメって】
「あー、さっきはあんまりな惨状にその事忘れてたしね。でも、そうなら多分大丈夫」
それでメガーヌさんはややの目の前で、右手の人差し指を上げる。
「まずややちゃん達がやるべき事はたった一つよ。特別な事なんて何もいらないわ」
「あの、それって」
「思い出して、刻み込んで・・・・・・たくさん伝えるの」
【「えっと・・・・・・はい?」】
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
メガーヌさんが教えてくれたのは、本当に簡単で・・・・・・ややでも出来る事だった。
思い出すのは、あの時のイクスちゃんを助けたいって思った時の気持ち。
刻み込むのは、思い出した気持ちを今の自分にしっかり覚えさせていくため。
伝えるのは・・・・・・あの時感じていた気持ち全部。メガーヌさんはそう教えてくれたの。
一度もコントロール出来ていないならともかく、あの時のややとぺぺちゃんはそれが出来てた。
あの時のやや達と比べるとこれまでのやや達は、決定的に足りないものがある。
それが無いからアルトちゃんはいつ呼び出しても休日のお父さんになっちゃう。
だったらその時の事を思い出せばいい。どうして呼び出せたか分からなくても、前後に何を考えてたかを思い出せばいい。
始めはうまくいかないだろうけど、それで何度でも何度でも伝えればきっと・・・・・・だから今まで頑張ってた。
全然ダメでも、いっぱい伝えて諦めなかった。メガーヌさんにもいっぱいいっぱい相談させてもらった。
それでやっと思い出せた。ややはあの時、本気で怒ってた。イクスちゃんの事道具扱いするみんなが許せなかった。
だけどややはとっても非力で、スバルさんも傷ついてて・・・・・・あの時、戦いたいって思った。
後ろで泣いてるだけじゃなくて、スバルさんや恭文やみんなみたいに前で戦いたいって思ってたんだ。
もちろん無意識にだけど、そんなキャラになりたいって思ったらアルトちゃんが出てきてくれた。
そうだ、必要だったのはややの『戦いたい』って気持ち。だけどややは・・・・・・やっぱり弱い赤ちゃんキャラ。
だからアヒルちゃんやアルトちゃんの力を借りないと、ややはなんにも出来ない。
それで痛い想いさせちゃうのも申し訳なくて・・・・・・だけど、それでもややは伝えたい。
ややに力を貸してーって伝える。悲しい事を止めたいんだーって伝える。
それでそれで、ややも一緒に・・・・・・アルトちゃん達と戦うって伝える。
【「・・・・・・・ゴーゴー!」】
ややはぺぺちゃんと声を上げながら、両足をしっかり踏みしめ突き出した両手を・・・・・・開いた。
その間に巨大なぞたま達はややの方にたまごと同じ色の風を吐き出す。
【「ノロウサ・・・・・・アルトちゃんっ!!」】
ややの手の中から光が溢れて、その風を全て吹き飛ばす。
光を放つ形になったややに衝撃が襲ってくるけど、両足を踏ん張ってそれに耐える。
耐えつつ前を見ると、巨大なぞたまの一体がややに体当たりしてきたのが見えた。
その動きは速くて、ややだと避けられない。・・・・・・ううん、動く必要なんてない。
胸の中が熱くてワクワクでドキドキで・・・・・・とにかくとにかく、避けなくていいってすぐに分かった。
「結木さん、下がってっ!!」
「ややちゃんっ!!」
更にややに衝撃が襲う。でもそれにも踏ん張って必死に堪える。
すると光の中からあの白い大きな身体のあの子が飛び出てくる。
それでややは、いっぱいの気持ちと一緒にお願いをする。
基本は、思い出して刻み込んで・・・・・・たくさん伝える。だからややはまた、それを繰り返す。
「・・・・・・アルトちゃん、その子をやや達から遠ざけてっ!!」
その子はそのまま巨大なぞたまに突撃しながら身体を時計回りに捻って、左足で後ろ回し蹴りを叩き込んだ。
周囲に鈍い衝撃と音が響く。巨大なぞたまはそれを食らって、たくさんのなぞたまに分裂して一旦やや達から距離を取った。
なぞたま達はまた合体して巨大なぞたまになる。それであの子はそのまま地面に伏せるように着地。
着地した時に発生した粉塵がまだ晴れない中、あの子はゆっくりと立ち上がる。
『・・・・・・ウサッ!!』
叫びながらあの子はやや達を守るように、巨大なぞたまに立ちはだかった。
「アルトちゃんっ!!」
ややが声をかけると、アルトちゃんは顔だけ振り向いた。というか、右手でサムズアップしてきた。
それを見て嬉しくて、つい笑ってしまう。アルトちゃんが・・・・・・言う事聞いてくれてる。
「・・・・・・やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
【ややちゃん、やったでちねっ!!】
「うんうんっ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「・・・・・・ノロウサアルトが、ややの言う事聞いてる」
「もしかしてややちゃん、アルトのコントロールに成功したの?」
「ややちゃん、やったですよー!!」
あ、リインさんが結木さんに抱きついてる。結木さんもそれですっごく嬉しそうな顔してるね。
「うんうん、リインちゃんもありがとー♪」
それでそんな二人とノロウサに巨大なぞたま達がまた迫ろうとしていたその瞬間、なぞたまの一体に蹴りが入った。
それはノロウサアルトではなく、金色のポニーテールをした女性の蹴り。命中箇所はなぞたまの右サイド。
「・・・・・・加減はしたからっ!!」
蹴りを両足で叩き込んで、そのまま後ろに飛び退く。それによってなぞたまの一体が分裂した。
その女性は後ろに滑るように着地してから、すぐに僕達の方に飛び込む。
「ナナちゃん、お願いっ!!」
他のなぞたま達が女性を追いかけるように動いた瞬間、どこからともなく炎の奔流が飛んできた。
「フランメンランツェッ!!」
熱量が僕達の方にまで飛んできて、その炎の熱さが肌から伝わってくる。
炎の奔流が巨大なぞたま達の進行を止める。それで僕達の所に左から駆け寄ってくる人が居る。
その子はどこか異世界的な法衣を纏って、先が丸い赤いステッキを持った女の子。
それでさっきの蹴りは白のYシャツに黒のノースリーブのベストを羽織って黄色のネクタイを締めている女性。
そのどちらも僕達にとっては見覚えのある相手だった。
「ニムロッドさんっ! それにナインハルテンさんもっ!!」
「はーい、みんな。大ピンチみたいだけどもう大丈夫。
お姉さん達が助けてあげるわ。というか、ちょっとびっくりしちゃったわよ」
「早めにこっちに来て正解だったわね。いきなりコレなんですもの」
二人の声を聞いて、ようやく少し気が抜けた。それはみんなも同じらしく、安堵の表情を浮かべている。
「でもみんな、どうしてキャラなりしてないの? というかみんなのしゅごキャラは」
「そうよ。まさかキャラなりしないでこれに対処しようとか考えてたんじゃないんでしょうね? だったらバカ過ぎよ」
『バカ者っ! そんなワケがあるかっ!! 僕達全員閉じ込められてしまったんだっ!!』
「「はぁっ!?」」
巨大なぞたま達が不用意に飛び込んではいけないと感じたのか、こちらににじり寄りつつ警戒している。
ううん、三体は数十個に分裂。それでまるで雨が降り注ぐかのように僕達に体当たりを敢行してきた。
「・・・・・・うるさい」
そんななぞたま達の方は見ずにナインハルテンさんはステッキを向けて、数発の火の玉を放つ。
その火の玉はなぞたま達に着弾。あの子達はその宝石のような身体を炎に包んで、その場で身をよじらせもがく。
「あの、ナナちゃん。アレは」
「安心なさい、加減はしてるから。それでアンタ達、今の話はどういう事よ。時間も無いから簡潔に説明なさい」
「実は・・・・・・かくかくしかじかというわけで」
とりあえず『山本さんがなぞキャラなりして、そのすぐ後に発生した光を浴びたらこうなった』と説明した。
本当に簡潔な説明だけど、二人は表情を曇らせて僕達と僕達の手元のしゅごたま達を見た。
「あー、それでか。アンタ達から妙なエネルギー感じてたから変だとは思ってたのよ。
多分アンタ達、自分達の夢が分からなくなるような状態にされちゃってるのよ」
「夢が分からなくなる?」
夢が・・・・・・そう言われて思い出したのは、僕がおねだりCDを聴いてしまった時の事。
あとは日奈森さんとラン達がキャラなり出来なくなった時の事。それらに当てはめていくとすぐに分かった。
「・・・・・・なるほど。だからキセキ達がたまごに戻っちゃったんですね」
「夢が分からなければ、こうなるのも当然。もちろんキャラなりも維持出来ない・・・・・・なんて能力よ」
今までのなぞキャラなりの能力はどれも相当だったけど、コレはさすがに怖過ぎるよ。
藤咲君達共々苦虫を噛み潰したかのように表情を険しくしてしまうのは、本当に許して欲しい。
「本当にベストタイミングだったのね。でも、それならややちゃんはどうして大丈夫だったのかしら」
あ、それは確かに不思議だ。結木さんは僕達と違ってキャラなりが解除したりはなかった。
だから自然と前に出て、炎を消そうと必死になっているなぞたま達を見つめる結木さんに視線を向けた。
「状況から察するに、ややは何か相当集中したりしてたんじゃないの?
つまり能力をかけられても、それすら気にならないような状態だった」
「なら納得ね。あの子、ずっと後ろでアルト呼び出そうとしてたわけだし」
「ややちゃん、相当集中してたんだろうね」
「後で結木さんにお礼しないとね」
なら、蒼凪君とシオンも問題ないかも。蒼凪君はそういう洗脳というか、精神に作用する能力を無効化出来るそうだから。
でも僕達は・・・・・・あ、待てよ。ナインハルテンさんはどうもそういうの詳しそうだし、少し聞いてみよう。
「あの、それなら僕達は」
「アンタ達はちょっと難しいわね。もう能力の影響下に居るわけだし。
なにより解除するための手を探す時間もないし」
言いながらナインハルテンさんが巨大なぞたま達を改めて見る。
さっきの攻撃を食らってもあのたまご達は平気そうにしていた。
炎はナインハルテンさんの加減のためか、とっくに消えてしまっていた。
そしてなぞたま達は再び合体し、三つの巨大な『なぞ』に戻った。
「てゆうか、してもまた食らっちゃったら無駄でしょ」
「それは・・・・・・はい」
「まぁおとなしく下がってなさい。前に出られてもおちおち魔法も使えないんだから」
言いながらナインハルテンさんはニムロッドさんと共に、巨大なぞたま達の方に近づく。
僕は真城さんと藤咲君の方を見る。二人も悔しそうだけど、それでも・・・・・・下がる事にした。
本当に今の状態で前に出たらみんなの迷惑になる。だったら、ここはきっとこれが一番いい。
だけど、やっぱり悔しさは消えない。だって結木さんが能力を弾けたという事は、僕達も気持ち次第で出来たはずだから。
うん、そこは悔しい。ここは反省点かな。こんなところで今反省しても意味なんて無いと言う言い方もあるけど。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「それでナナちゃん、作ってくれた弾丸は」
「アレに対しては使っちゃダメよ? どうも×たまとはまた違う変質をしてるみたいだし。というか、なんだろ」
ナナちゃんは怪訝そうな様子で、ずっとなぞたまを見ていた。
私もその視線を追いかけるようにしながら、改めてあのたまご達を見る。
「なにかこう・・・・・・夢に別の何かが混ざり込んでいるような感じがする」
「別の何か?」
「えぇ。本来ならどんなたまごも宿主の力オンリーな感じなのに、これは違う。
妙な干渉を受けて変化させられたから? ううん、それも違う」
ナナちゃんの視線を嘲笑うように、なぞたま達が口を開いてせせら笑う。
それを見て更にナナちゃんの表情が険しくなっていく。でも、すぐに首を横に振った。
「まぁここは対処しながら考えましょ。でもこれはマジで出来るのは時間稼ぎだけね。大元はもっと奥だから」
「そっちはヤスフミが対処するみたいだから、多分大丈夫よ。引き時も弁えているでしょ」
ヤスフミはアレからすぐに地上に降りちゃったけど、それまでは私達を驚いた目で見ながら未だ空中に留まってはいた。
つまり魔法を使えるのは明らか。話に聞くルルちゃんがなぞキャラなりしたなら、うまく浄化に持ち込んでそのまま終われるかも。
「じゃあここからは」
ロングパンツの後ろポケットからいつも装着しているグローブを取り出して、素早く両手に装着。
私達が作戦会議している間、ずっと前に出て警戒してくれていたリインちゃんとややちゃんにやっと並んだ。
「壊さない程度に優しくエスコートという感じで」
「えぇ。でもアンタ、ご自慢のバカ力は使っちゃだめよ? 半精神物質的なものとは言え、壊れちゃうわよ」
「もう、それくらい分かってるわよ。適度に振り払う程度に留めるわ」
ナナちゃん、その真顔やめて。私本当に分かってるから。さっきだって言われた通りに加減はしたでしょ?
「ややちゃん、リインちゃん、ちょっとお手伝いさせてね。あ、それと」
私は左隣のややちゃんの方を見て、キョトンとする顔のややちゃんに優しく笑いかける。
「ちゃんと頑張ったのね。・・・・・・おめでと」
「・・・・・・はい、ありがとうございます」
「じゃあ、頑張りついでにもうひと踏ん張りね。いける?」
「当然っ! ややもアルトちゃんもまだまだ元気いっぱいですからっ!!」
そう笑顔で言ったややちゃんを見て、私は一安心。さて、そうなるとあとは奥か。
ヤスフミ、分かってるとは思うけど絶対に無茶はしないで。最悪撤退してもしょうがない状況だから。
もちろんヤスフミがそこを読み違えるとは思ってないけど、それでも心配なものなの。
だって私、ヤスフミの事をめいっぱい愛してるんだから。
愛してるから、ここまで来ちゃった。・・・・・・息を深く吐いていく。
吐きつつゆっくりと腰を落とし、私は両腕を顔の上辺りまで上げる。
構えたところで、隣のアルトと一緒に一気に巨大なぞたまに踏み込んだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
≪・・・・・・主様、向こうは大丈夫そうなの≫
≪というかあの方達、なんでここに居るんでしょう。私達は普通に聞いてないんですが≫
「た、確かにね。改めて考えると本当にびっくりかも。連絡もらうまでマジで何も聞いてなかったし」
ただ、それでもかなり助かった。これで最悪撤退でもシルビィとナナ達が向こうはなんとかしてくれる。
僕はあむとヘイも居る以上、こっち側担当だ。でも最悪の場合はすたこらさっさと逃げようっと。
「・・・・・・そうだ、シオンはどこ? シオン・・・・・・シオンっ!!」
「お兄様、大声を出さなくとも私はここに居ます。安心してください」
そう言いながら、シオンが僕の左側に姿を表した。それで安心して息を吐く。
「シオン、無事なの?」
「えぇ。お兄様が咄嗟に向こうの能力を弾き返してくれたおかげで。・・・・・・ただ、キャラなりは少し控えたいですね」
≪そうなの。セイントブレイカーはシオンちゃんが表に出て戦うキャラなりなの。
もしそれでアレを食らって、主様みたいに能力を弾けなかったら≫
「下手をすればキャラなり解除だけで済まないかも知れません。
もちろん弾ける自信はありますが、無事だったみなさんに追い打ちをかけるかと」
周囲への被害の問題もあるから、改めてキャラなりするのは極力控えて・・・・・・と。
それで改めて状況を見ると、一気に劣勢にされたね。てーかなんだよ、あの能力。
「おそらくですがモルセールさんのアレは、夢を分からなくする能力です」
「夢を分からなくする?」
「えぇ。キャラなりが解けたのも、結局はその延長線上の事に過ぎません」
あ、だからラン達もたまごに戻って、みんなのキャラなりも解けちゃったのか。
夢が分からなければ、『なりたい自分』を見失えば当然・・・・・・と。
つまり今のみんなは、いつぞや唯世がおねだりCD聴いちゃった時のキセキなんだよ。
あの時と違って意識ははっきりしてても能力の影響下ではあって、だからたまごからも出られない。
「ドリーム・ドリーム・・・・・・例えば今までのなぞキャラなりの能力も、その持ち主の迷いに応じた形でした」
「そして能力もそれに合わせる形ではあった」
例えばファンシー・ドリーム。アレは岩垣の可愛い物に関しての迷いがあんな恐ろしい能力を発現させてしまった。
その結果、世界そのものを可愛いものに・・・・・・アレレ? いや、ここはとりあえず置いておこう。
例えばフレイム・ドリーム。アレはシグナムさんがロードとして認められない自分への迷いからあの能力が発現した。
ロードとなるだけの力があれば、僕をも超える力があれば・・・・・・アレレ? やっぱおかしい。
よくよく考えたら、今までのなぞキャラなりの能力は他者を強制的に自分の意に染める能力ばかりだった。
それで色んな人達を蹂躙して、その成果を出して喜んで・・・・・・それは、ルルも同じ。
ルルはなぞキャラなりした人が暴れてる時、大体嬉しそうにしてたとか。そこはヘイから聞いた。だから言い切れる。
「あー、そういう事か。つまりルルの迷いは」
「夢に関してです」
そこは分かってる。でももう一つ考えて分かった事がある。
元々なぞたまにされるのは、そういう迷いを持った人を対象にしてた。
そして発現するのは、相手を自分色に染める能力ばかりと言っていい。
あくまで自分ではなく、相手に変化を強いて自分の夢が叶ったと定義する。
当然本当の迷いや悩みから目を背けた状態だし、周囲にもいい迷惑だよ。
それでその原因となるのはルルが作った・・・・・・うん、やっぱりそうだ。間違いない。
ようやく分かったよ。なんでなぞたまが普通にオープンハートで浄化出来なかったり、こんなに特殊なのか。
「なぞたまになった所を見ると、元々迷いがあったのかも知れませんね。
日奈森さんの説得で裏目に出たのではないかと」
「だから人の『夢』に干渉する能力を発動出来るって・・・・・・なんつう能力だよ」
もしくはなぞたまプラス10個分のエネルギーのせい? それともルル自身の迷いが強いから?
いや、ここは後でもいい。問題はこんな能力を度々使われたらみんなは完全に無力化されるって事だ。
僕はともかくヘイとややも効いてないみたいだけど、後がどうなるかは分からないもの。
そしてみんなは多分こっちをどうにかする余裕はない。ならここは・・・・・・やっぱり僕がやるしかないのか。
「お兄様、お心を強く持ってください」
「というと?」
「ヘイさんや結木さんも無効化出来るところを見ると、この能力は自己催眠無しでも無効化出来ます。
でも相当に集中してないとみなさんの二の舞ですから、そこだけはご注意を」
「分かった。んじゃ・・・・・・そろそろケジメをつけてもらおうか」
僕はバルディッシュを改めて強く握り締める。
そして息を吐き、声を上げてバルディッシュに一つお願いした。
「バルディッシュ、ライオット・・・・・・発動」
≪Riot Form≫
バルディッシュが青色の光に包まれて、片刃の刀剣になる。その形状は以前のライオットそのまま。
ただしその刃の中心には魔剣X。そしてその色は当然ながら蒼色。
「・・・・・・あら、作戦会議はもう終わり? というか、しつこいわぁ。その上味方がピンチなのに、冷たい子やわ」
「あぁ、冷たいよ?」
僕を見上げながら不敵に笑うルルを見下して、僕は・・・・・・ライオットを両手で持つ。
「でも他人の夢や自分のしゅごキャラを道具扱いするお前よりは、1000倍マシだ」
ルルは僕を不愉快そうに睨みつける。・・・・・・お前にそんな目をする権利はないっつーの。
「人の夢の次は自分の夢・・・・・・とことん何かを道具扱いするのが好きな女だね」
「ふん、それの何がいけないわけ? どうせ自分の夢も分からん子ばっかりだがね。みんなあやふやな夢しかないんだわ」
「そうだね、お前と同じでさ」
ルルは周囲に合計8個の宝石を展開。感じからして・・・・・・魔力弾のような感じ?
「お前、自分の事が分からないでしょ。自分の夢も、『なりたい自分』も分からない。
どんな風になればいいのか分からなくて、だから怖くて仕方がない」
「何をバカな事を・・・・・・私は完璧を目指すのよ。だからママの輝きを取り戻すの」
「だから昔描いた夢をみんなに投影して、なぞたまにしてた」
ルルが言葉を止めて目を見開く。そしてその瞳が揺れ始めた。
「空港で『夢を叶えてあげただけ』って言ってたけど、それは違う。お前は自分の夢を叶えただけだ。
昨日は歌手、今日は画家、明日は女優・・・・・・毎日のようにころころとなりたいものが変わっていた頃の夢をね」
「・・・・・・やめて」
「ヘイはそんなお前の事を、『夢の宝石箱でもあるようだ』って言って嬉しそうに笑ってたよ。
だからお前はどこかで『夢を叶えた』みんなに自分を自己投影していた」
そう言いながらもゆっくりと地面に降りて着地。ルルとの距離は約30メートル前後。
林の中だから障害物は多めだけど、一応注意が必要なシチュ。
「僕はヘイの話を改めて聞いて、そういう風に感じてた」
そんなルルの作ったジュエリーだからこそ、なぞたまに変わる触媒になるとしたら?
宝石は夢・・・・・・つまりルルは、今までなぞたまにしてた子達に自分の夢の一部を預けていた。
「自分の夢を、自分ではなく他者に変化を強いる事で叶える。
そのためのツールであり、そういう能力に特化した存在・・・・・・それがなぞたまなんでしょ?」
「・・・・・・あぁ、なるほど。つまりなぞたまは」
「そうだよ。なぞたまはルルの叶えたい夢を押しつけられて、そのために自分の夢が分からなくなってる状態なんだよ」
ルルが僕を更に強く睨みつける。そして右手を握り締めて敵意を鋭くぶつけてくる。
≪じゃあ主様、アレ全部・・・・・・ルルちゃんの夢なのっ!?≫
≪では私達はもしや今まで≫
「ずっと勘違いしてたって事になるね」
僕達が対処してたのはみんなの夢に対してじゃない。全部コイツの夢に対してだ。
なぞたまの能力が全てあんな形になるのは、ルルの持っている能力が本来はそういう形だから。
ルルの本来の能力は、こころのたまごをなぞたまにする事なんかじゃない。
それはあくまでも能力を発動した際の結果に過ぎない。ルルの本来の能力は、宝石を媒介にして他人の夢に干渉。
そこに自分の夢を注ぎこんで、みんなの夢を自分の夢にすり替えてしまう事だと思う。
他の人の宝石を、自分の中の宝石とすり替えてしまう・・・・・・と考えてもらえれば正解かも。
だからなぞたまにされてたみんなは、どこかで歪んでしまった。それを平然と受け入れてしまった。
みんなが楽しそうに笑っていたのは、自分の夢が叶ったからじゃない。すり替えられたルルの夢が叶ったから笑ってただけの話。
その結果として、たまごにハテナが付く。自分の夢と他人の夢の境界線が分からなくなってしまうから。
だからこその×ではなくハテナ。なぞたまはそもそもの成り立ちから×たまとは違っていた。
あれはその手前・・・・・・そもそも何が自分の夢かすら分からなくなってしまった状態なんだよ。
だからハテナになるし、平然と自分の夢を押しつけて他者に変化を強いてしまう。
そう考えていくと、なぞたまが最初からオープンハートなんかで浄化出来ないのも当然と言えば当然。
浄化技がその子の夢に干渉出来るとしても、そもそもその夢がどれかが分からなくなってるわけだし。
つまりアレだよ、射的で的そのものが無いのにゲームしてるようなもの。それじゃあ浄化出来るはずがない。
だからルルの夢の影響を減らして改めて自分の夢に、自分と他人の夢の境界線に改めて気づかせなくちゃ浄化出来なかった。
自分の夢がすり替わっていたと気づいて、初めてそこでオープンハートが通用するようになる。
でも元々迷っちゃったら×が付く状態に近いから、影響を減らすとそのままたまごに×が付いて・・・・・・って感じかな。
それでどうやら、今までの反応を見るに当たらずも遠からずと言ったところらしい。
しかも確信は得られた。ここでルルを浄化して止められれば・・・・・・勝てる。
多分今唯世達が必死で対処してる巨大なぞたまも解放される。なら、このまま戦闘継続だ。
「お前がみんなのキャラなりを解除・・・・・・夢を分からなくさせたのだって、別に不思議はない。
お前は今、みんなに自分の迷いや不安を押しつけてるだけだ。だからそういう能力になるだけ」
そう考えると、ややのキャラなりが解けなかったのも理由が思い当たる。
多分さっきのややは、理由はともかく自分の夢というかやりたい事に揺らぎがなかった。
少なくとも能力の影響を受けても平気なレベルで意志を強く持ってた。
だから能力が弾けたと考えれば、一応は納得が出来る。やっぱシオンの言うように気持ちからなんだよ。
≪今までのなぞキャラなりした被害者と同様に・・・・・・確かに先ほどそれらしい事を言っていましたね。
みんな自分の夢もよく分からない子達ばかりだと。みんなあやふやな夢しかないと≫
≪でも話通りならそんなの嘘っぱちなの。この子が夢を押しつけたせいで分からなくさせているだけなの≫
ジガンの言うように、そのために被害者は『自分の夢を誰かに押しつけてもいい』と勘違いしてしまう。
それがなぞたまの本当の恐ろしさ。ホント、もっと早く気づいてよかったくらいだったのに・・・・・・やっぱ不抜けてるなぁ。
≪それとんでもない自己中なの。自分が分からないからってみんな分からなくするなんて、最悪なの≫
「そうだね。それで僕的には、そんな自己中に振り回されてたのかと思うと腹が立って立ってしょうがないよ」
呼吸を整えて、改めてだけど覚悟を決める。コイツにはやっぱ、罪が大量にあるわ。
「だから、一体なんの話をしとるかよう分からんだみゃあ」
「いいや、その通りだ」
そう言いながら仮面を着けた男がルルの後ろから跳びかかる。
「だからルル、もうやめろっ!!」
でもルルはそちらを見ずに、生成した宝石を撃ち出した。
仮面の男は・・・・・・ヘイは両腕でガードするけど、宝石が身体を撃ち抜く。
「ヘイっ!!」
しかも宝石はそれだけじゃない。次々と生成されてヘイを撃ち続ける。
射撃音と着弾音が響く中、それでもヘイは揺らがずに前を目指す。
「もう、分からない事から」
それでもヘイは前に進もうとするけど、突撃の勢いは弾丸によって殺されてしまう。
コートは弾丸を弾きながらも破けていき、ジーンズは肉と共に切り裂かれていく。
仮面も突然砕けて弾け飛ぶ。右目の辺りに直撃して、白い破片が周囲に撒き散らされる。
ただ、その弾けた箇所からヘイの鋭い眼光が見えた。ヘイの目は、仮面に守られて無事だった。
「迷う事から・・・・・・目を背けるなっ!!」
仮面の破片が弾け飛ぶ中、ヘイはルルに向かって走り続けて右手を伸ばした。
ルルがため息を吐きながらヘイの方に振り返る。その距離、約5メートル。
でもきっとヘイにとっては非常に遠い距離だ。・・・・・・その動きを見て、即座に術式詠唱。
僕からはルルが振り返る直前にどういう目をしていたか見えた。だからこそここは介入。
「本当に・・・・・・ウザいわぁ」
宝石の数が一気に倍に増える。僕は左手を地面についてブレイクハウトを発動。
ヘイとルルを遮るように壁を作り、次の瞬間に撃ち出された弾丸からヘイを守った。
「ヘイ、下がってっ! その傷じゃ無理だっ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あたしが止める間もなくヘイさんは瞬間的に突撃して、呆れたような顔のルルに撃ち抜かれ続けた。
あのコートでも宝石での射撃は完全に止められないらしく、弾いた瞬間にコートが破けた。
コート以外の所はまるで切り裂かれるように傷が増えて・・・・・・ヘイさんは壁の前で膝をついた。
ヘイさんを追いかけて走っていたあたしはすぐにヘイさんに近づいて、無理矢理に左の腕を取って肩に回した。
「・・・・・・あむ、ちゃん」
「バカっ! 無茶し過ぎじゃんっ!! こんなに傷だらけになって・・・・・・!!」
「そうだな。だが、それでもアイツは俺の妹なんだ」
「その妹を裏切った人の言うセリフとは思えんわぁ」
言っている間に、恭文が作ったと思われる壁が粉砕。その礫があたし達に飛ぶ。
ヘイさんはとっさにあたしをかばって、あたしを抱き締めて背中を盾にした。
ヘイさんに頭を抱えられながら、何かが弾くような音がいくつか聴こえる。
そんな状態だから何も見えないけど、多分ヘイさんのコートが礫を弾く音。
ゆっくりとヘイさんが力を緩めて、ルルの方を振り向く。あたしもヘイさんの肩越しにルルを見た。
まずヘイさんは礫を全部背中で受けるようにしていたから、今度は傷が増えなかった。
それでルルは・・・・・・そんなあたし達を見ながら、哂っていた。
「ルル、アンタ・・・・・・あんたこんな事してどうするのっ!?
ナナも傷つけて、ヘイさんまでこんな・・・・・・意味ないじゃんっ!!」
「兄さんはうちの事裏切ったからしゃあないわ。守ってくれる言うたんに嘘ついた方が悪いんよ」
臆面も無く言い切った事が衝撃的だった。それだけじゃなくてルルの目が信じられなかった。
ルルの目は・・・・・・ううん、出している空気は、最初に会った時の月夜やマリアージュと同じ空気だった。
人を、大事なものを何かのゴミみたいに見ているような目。そういう風に感じている空気が出ている。
これは、なぞキャラなりしたせい? だからルル・・・・・・こんな悲しい目をしちゃってるのかな。
「ナナは・・・・・・えぇんよ。だってうちの夢のために力貸してくれたんやから」
「嘘だよっ! ルル、目を覚ましてっ!! ルルはみんなに夢を押しつけてるっ!!
恭文が言ってた事、ホントだよっ! みんなに自分の夢を押しつけるのがなぞたまなんじゃんっ!!」
「はぁ、ほんま好かんわぁ。ダダをこねる子どもは」
ルルはそう言いながらまた宝石を周囲にさっきと同じ数生成しようとした。でも・・・・・・すぐに上に大きく跳んだ。
ルルのそれまで居た方向を、蒼色の閃光が斬り裂く。それは後ろから突撃した恭文の右薙の斬撃。
恭文の事を飛び越えながら、また宝石で射撃は放つ。恭文は振り返りながら魔法を詠唱したらしい。
ちょうどルルの居る方に向かって魔力スフィアが出来て、声とともにそのトリガーが引かれた。
≪Icicle Cannon≫
「ファイアッ!!」
放たれた凍れる息吹を内包した砲撃は、撃ち出された射撃を全て飲み込みルルに迫る。
ルルは軽く目を見開くけど、それはルルに着弾。冷たい風が周囲に吹き荒れる。
その間に恭文は振り返って、あたし達に背中を向けた。・・・・・・さっきの攻撃、当てる事が目的じゃなかったらしい。
当てるよりまず、ルルをあたし達から引き離す事が目的だった。それでそこはなんとか成功。
なぞたまは普通に浄化は無理だし、継続的に攻撃されても厄介だと踏んでああしたんだと思う。
あとはあたし達のカバー? 不用意に突っ込んで至近距離に来ちゃったから。
「恭文、ありがと。なんとか助かった」
「いいよ。あむ、ヘイの事お願い。てーか少し下がってて」
空中で発生した爆煙の中を突っ切って地面に降り立つ影があった。それは・・・・・・やっぱりルルだった。
「僕はもう少しあの分からず屋の相手をしなくちゃいけないから」
「・・・・・・マジその方が良さそうだね。ルルの能力の影響、解いたり出来ないみたいだし」
「お願い」
ルルは傷一つついていなかった。今降りたのも墜落とかじゃなくて、普通に着地だもの。
それでまた宝石を周囲に生成して、恭文と・・・・・・・その後ろに居るあたし達を狙っていた。
「・・・・・・お前、マジで超えちゃいけない一線を超えたらしいね」
恭文はルルを警戒しながら、左手を軽くスナップさせた。
「でも、もうそんな茶番は終わりだ。・・・・・・テメェの夢だろうが。だったら責任持って、テメェで覚悟決めて叶えろ」
「うるさいわ。私、あなたみたいな人の心を見透かして分かった振りしてる子どもは・・・・・・嫌いよ」
「奇遇だね。僕もお前みたいに夢を道具扱いするクズは・・・・・・嫌いだ」
そのまま恭文はルルに向かって突撃。ルルは周囲の宝石を僕に向かって発射。
こうしてみんながやられない内に決着をつけるという、時間制限付きの最終決戦は始まった。
だけど揺らがず、恭文は加速を続ける。踏み出し続ける足を絶対に止めない。
全力でアクセルを踏み締める恭文は、あっという間に光に包まれた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あの何も知らない子どもに向かって宝石の弾丸を撃つと、黒い光があの子から発生。
それが周囲に広がるように展開して、私の弾丸を全て打ち消した。
一旦後ろに跳んで、あの光から遠ざかる。それで改めてあの光を見た。
「・・・・・・なんなのよ、アレ」
私のなぞキャラなりと同じ能力? ううん、違う。それならもっと広く展開してもいい。
でもあの光は、あの子だけを包み込むような形で広がった。
そしてそのままの形を留めている。まるで・・・・・・そうだ、まるであの子を守ろうとするように。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
加速していた僕は、急停止。というか、周りが真っ白な世界に変わってた。
空も地面も木々も風も何も無い世界の中で、僕はそこに居た。
自分の姿を見ると、どういうわけか何も着てない。光に包まれたような状態で真っ裸だった。
な、なにこれ。というか・・・・・・ここはどこ。
『・・・・・・お前には、数えるべき罪がある』
何もない目の前から、声が聴こえて来た。それでそこにまるで瞬間移動でもしたかのように一つのたまごが現われる。
黒い無地で蒼い星の輝きの柄が描かれた・・・・・・僕のスターライトのたまごだった。
『小さい頃のお前は、今目の前に居る子と同じだった。
他者に期待し、自分からその殻を壊す気持ちを無くしていた』
その言葉が一気に胸を貫いた。それで・・・・・・僕は静かに頷いた。
「・・・・・・うん」
『そうして世界を壊す事を望んだ。その願いはあの子が叶えてくれた。
だがその対価にお前は、あの子に一つのとても大きな重荷を背負わせてしまった』
「・・・・・・・・・・・・うん」
それは最初の時の事。リインと初めて会った時に起こった・・・・・・僕のビギンズナイト。
今でも忘れられない、忘れてはいけないと思っている僕の罪。だけど、僕の始まり。
『それがお前の最初の罪。自分の手で、その足で自分の世界を壊す事から逃げた。
だが罪はまだ続く。お前が今でも愛している、金色の髪のあの子』
僕はまた、静かに頷く事しか出来なかった。というか、もう何を言いたいか分かってしまった。
『あの事件の時、お前は沸き上がる怒りの余り彼女に自分の感情を押しつけていた。
自分が描く理想を、自分が魅入られた輝きを押しつけて、それに当てはまらないから見限った』
・・・・・・それはJS事件の時の事。そして六課に入ってからのアレコレの事。
今言っているのはきっと・・・・・・あのカリムさんの予言の話を聞かされた時の事だ。
『見限った結果後悔を背負い、願いを受け取り、そしてまた罪を数える。
お前はあの時、自分の世界を変える事が出来なかった』
「そうだよ。僕は、何も変えられなかった。何をどう変えていいのかすら分からなくなった」
そうだ、僕もルルやヘイと同じだった。疑問はあったのに、それを解くために踏み出そうとしなかった。
ぶつける事も出来ず僕は・・・・・・分かった振りで一人カッコつけてた。
『お前は弱い。間違えて、取り零してばかり。そしていつもそんな自分を恨んでいた。
そしていつもあの彼女達を羨んでいた。何の憂いも無く、真っ直ぐに道を進める彼女達を』
「うん、知ってる」
もっと・・・・・・もっと力があれば、もっと大人になれれば、フェイト達みたいになれるのかなって考えてた。
そうしたらーってさ。でもそこを考える度に、やっぱり納得出来ない部分がある。だから・・・・・・意地を張る。
『だがだからこそお前は、自分を変えたいと願った。だから私達が生まれた。
・・・・・・時間もないのでひとつだけ問う。お前にとっての『魔法』は、なんだ?』
その質問は唐突で、だけど・・・・・・だからこそ胸に突き刺さる。でも、その痛みが改めて答えを確信させてくれる。
今までの日々と、今日のルルとヘイを見て・・・・・・ようやく一つ、完璧じゃないかも知れないけど答えが見つかった。
「・・・・・・勇気」
胸を張って、胸に湧き上がる確信を確かめるように僕は・・・・・・右手を胸元まで上げて、握り締めた。
「何かを守りたいって思った時に、何かを壊したいって思った時に、その一歩を踏み出し・・・・・・手を伸ばせる勇気。
僕は肝心な時でそれが無かった。だから罪を重ねて、失敗ばかりで・・・・・・自分でも笑っちゃうくらいのダメキャラでさ」
あの灰色の時間は、別に僕の両親だけが悪いわけじゃない。・・・・・・僕もダメだったんだ。
変えたいと思いながら、一歩を踏み出す勇気がなかった。それはJS事件の時も同じ。
このままでいいのかと疑問に思いながら、ぶつけようとしなかった。話そうともしなかった。
それでフェイトがあの時、ラトゥーアで抱き締めてくれるまでずっとそういうのを隠そうとしてた。
フェイトは僕に勝手なイメージを押しつけてたって言うけど、それはフェイトだけじゃない。
僕だって同じなんだ。フェイトに押しつけて、大丈夫だって思って・・・・・・その結果がアレだ。
だからその後のリンディさんの言葉に頷けなかった。だってそれは、JS事件の時と同じだから。
フェイト達に押しつけてたのが、管理局にすり替わるだけ。それじゃあ意味なんてない。
それでたくさんフェイトと話して、二人で少しずつ決めて・・・・・・そうだ、きっかけは少しだけの事なんだ。
ほんの少しの事で世界は変わる。誰かに壊してもらう必要なんて・・・・・・まぁ状況次第だけど基本的にはない。
全部は一つの決断から、そして一つの勇気から変わる。それが、『魔法』なんだ。
あぁそうだよ。今なら本当に全部分かる。どうして今まで分からなかったんだろ。ううん、理由なら分かる。
僕はずっとゴールしか見てなかった。でも本当の答えは、その逆・・・・・・スタートにあった。
「そうだ、僕は・・・・・・ずっとこれが欲しかった。こうなりたかった」
情けなくて臆病な僕からすると、それは『魔法』だ。別に特別な事じゃなくてもそう。
ただ誰かと話して、分かり合おうとする事だって勇気だ。知ろうとする事だって勇気だ。
そんな『魔法』を使った上で、僕は・・・・・・自分の今を変えたかった。
出来る事なんてほんのちょっとでも、その決断から何かを変えられる人になりたかった。
だから言える。迷いなんてなく僕はこのたまごに向かって、笑って言い切れる。
「僕はその勇気から、決断から・・・・・・今を覆したかった。
自分を変えていきたかった。それが僕の目指す魔法の形だ」
『あぁ、そうだ。私が・・・・・・私達が、お前の答えだ。だから貫け、突きつけろ』
たまごの中心にギザギザ模様のヒビが入る。それからたまごはゆっくりと割れた。
『自信を持って、その足を踏み出せ。その手を伸ばせ。本当の奇跡は、ここから始まる』
その中から出てきたのは、銀色の髪に赤い瞳。ノースリーブの黒のシャツにミニスカート姿のしゅごキャラ。
その姿に驚くヒマもなく、世界は再び切り替わる。それでも僕は・・・・・・まずは一歩、自分なりの『魔法』を使って踏み出した。
「僕のこころ・・・・・・アン」
『解錠』
「ロック」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あの子の身体を包んでいた光が弾けて、中から女の子が出てきた。当然ながら一瞬唖然としてしまう。
というか、格好まで変わってる。両手には銀色の黒の指出しグローブ。手の甲の部分に六角形の蒼い宝石が埋め込まれている。
上半身に黒を基本色として、真ん中に黄色のラインが入ったインナーを装備。あと、胸がやたら大きい。
それで腰には黒のフードを装着し、スカートもミニスカで黒。右足にだけのハイソックスに、両足には黒のブーツ。
その上からまたまた黒色の半袖のジャケットを羽織っている。
あとは髪型と瞳よ。髪は銀色になり、腰まで伸びている。それで瞳が・・・・・・つや消しの赤。
それでもその子は微笑みながらゆっくりと、左手を左薙に振るう。
すると背中に黒い4枚の翼が生まれる。左右の上下に二枚ずつで、上の羽がやや大きい。
【「・・・・・・キャラなり」】
口から出てきた声の中に、私の知らない声があった。どこかハスキーな感じのする声だと思う。
でも同時に蒼凪恭文の声も聴こえる。それで余計にワケが分からなくなる。
【「ライトガードナー」】
弾けた光の粒子があの子の周囲に舞い散る。それはとても綺麗で・・・・・・同時にとてもシャクに障った。
「アレ、何よ?」
私知らない。あんなキャラなり・・・・・・ううん、ひとつだけ分かる。
あれが私の夢を邪魔する驚異だという事は分かった。
「だから」
私は瞬間的に能力を発動。また周囲に紫色の光が瞬間的に広がる。
「邪魔せんでよっ!!」
それをあの子はマトモに受ける。だけど・・・・・・姿が変わらない。
あのキャラなりは変わらず、解除されない。
「無駄だ。もうお前の手品のネタは見抜いている」
口から出た声は、その知らない声。というか、嘘。蒼凪恭文が・・・・・・全然違う声で喋ってる。
それが気色悪くて、私は右手を上げて周囲に宝石を8個生成。それを一気に撃ち出す。
「・・・・・・ライト」
そして同じ数の黒い短剣があの子の周囲に発生。あの子は左手をかざした。
「ダガー」
次の瞬間、持ち手も何もない刃だけの短剣も鋭く撃ち出される。
私達の間でその全てが正面衝突。小さな爆発が衝突の数だけ起こって、私達の間を遮った。
「今のコイツに、そして私にそんなまやかしは通じない」
【あのややにだって防げたんだ。気持ちを強く持てば、それほど驚異じゃないよ】
やっぱりそうだ。あのキャラなりは、日奈森あむや他の子のキャラなりと全く違う。何かもっと別な、異質なものだ。
苛立ち気味に舌打ちをする。どうして私の・・・・・・ママの幸せの邪魔をするの。許せない、本当に許せない。
【・・・・・・って、またこのパターンかいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!】
「えぇい、いきなり叫ぶなっ! 仕方ないだろうがっ!! お前の感情が強過ぎる余りこうなるんだっ!!」
苛立ちのままに私はまた周囲に7個の宝石を生成。それらが輝き、その光が私の前に集まる。
それは巨大な輝きとなり、バチバチと弾けるように膨れ上がる。
≪というかというか、ちょっと待つのっ! あなた誰なのっ!?
しかも巨乳で大人っぽくて・・・・・・主様の好みっぽいのっ!!≫
「そうじゃんそうじゃんっ! アンタ何っ!? てーか・・・・・・あー! なんか凄い見覚えあるパターンだしっ!!」
「それでお前達も少し黙れっ! そこを説明している余裕は」
えぇ、ないわよ。だってここであなた達は叩き潰されるんだから。私はトリガーを引こうとした。
でもその瞬間、オレンジ色の光弾が鋭く飛んで私の周囲を通り過ぎる。それに撃ち抜かれて光を放っていた宝石達が砕け散った。
「・・・・・・え?」
唖然とする間も無く、踏み込む影があった。それは私と蒼凪恭文の間に入り込んで・・・・・・ティアナ・ランスター!!
「いつぞやのお礼よ。しっかり受け取りなさい」
そう言いながらノースリーブのベストにミニスカ姿の彼女は、両手を動かして銃口を私に向ける。
その銃は手の平よりもずっと大きく、銃身の下には白色の刃が埋めこまれていた。そしてその刃と同じ色のナックルガード付き。
あの銃は以前キャラなりしていた時のものに似ている。でも、形状がそれよりどこか直線的で一回り大きい。
そして周囲に10数個のオレンジ色の弾丸が生まれ・・・・・・私はまた弾丸を生成しようとした。
「いくわよっ! クロスミラージュ・・・・・・ファンタズムッ!!」
≪Yes Sir≫
でも、間に合わないらしい。私が力を発動している間に、ティアナ・ランスターはトリガーを引いていた。
「シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥットッ!!」
放たれた弾丸が一気呵成に私に降り注ぐ。私は両腕を盾にして、その弾丸を受けるしかなかった。
衝撃と痛みが連続的に襲ってきて、腹部に撃ち込まれた一発でたたらを踏む。
その瞬間、下からすくい上げるようにもう一発。それで私の顎は撃ち抜かれて、身体が宙を舞った。
私は宙返りをして空中で体勢を立て直して、あの女を睨みつける。
でもそんな私の目の前に突然赤いロングスカート姿の女が現れた。
その女は蒼に輝く片刃の二刀を私に向かって振りかぶっていた。
この女も蒼凪恭文の関係者。どうやらとことん私の邪魔をしてくれるらしい。
目を見開きながら驚いている間に女は、栗色の髪を揺らしながら両の刃を唐竹に振るう。
「・・・・・・斬り裂け」
大きく後ろに下がって、その刃を避けようとする。
刃はスレスレだけど私の肩先を通り過ぎようとしていた。
「ツインブレイズ・・・・・・デュアリティ」
次の瞬間、刃が分裂した。まず横に10数個に別れて、切っ先の部分以外が真ん中から縦に割れる。
そしてその分裂した刃は、赤いエネルギーで繋がっているように見えた。
ううん、あのエネルギーを包み込んで隠すため蒼色の刃があるようにも見える。
その刃はまるで鞭のようにしなり、回避行動を取ったはずの私の肩に叩き込まれた。
刃は斬り裂くというより、まるでのこぎりのように私を削り斬る。その衝撃と振動、そして痛みが身体中を支配した。
声をあげる事も出来ない一瞬の間に二色の混じり合った閃光は私に刻まれ、私の身体を吹き飛ばす。
吹き飛ばされた私は木々の間をすり抜け、みっともなく土をかぶりながら転がって舗装された場所に出る。
そこはちょうどなぞたまと残りのガーディアンがやり合っていた場所の近く。
それでうつ伏せになった身体を起こしながら、そちらを見た。それで苛立ちが更に募る。
・・・・・・見た事もない女の子とあの金髪の女が、なぞたまと戦っていた。
それだけじゃなくあの寝っ転がって役に立たなかったうさぎまで・・・・・・私は唇を噛む。
「・・・・・・どうしてよ」
力が強過ぎて噛み切ってしまい、唇を軽く切る。でもそんな痛みなんて気にならないくらいに私は、怒り狂っていた。
そんな私の前に、あの女が降り立つ。女は元の形に戻った刀を持って・・・・・・私に向かって一歩踏み出す。
「どうしてどいつもこいつも・・・・・・私のやりたいように、やらせてくれんのよっ!!
私の何が悪いのっ!? 夢を叶えてあげて、それでママの輝きを取り戻そうとしているだけじゃないっ!!」
苛立ちのままに私は右手をかざし、弾丸を連射。数十というレベルであの女に迫る。
でもあの女の姿が消えた。私の弾丸はただ虚空を通り抜けて近くの木や地面に着弾するだけ。
そして背後に気配が生まれた。でも振り返るより速く、背中に衝撃が走る。
そのまま前のめりに吹き飛んで、私はみっともなくまた地面を転がる。
それで衝撃が襲ってきた方向を見ると、あの女が刃を振り下ろしていた。
「・・・・・・えぇ、悪いわ」
一息に言い切った女を睨みつけながら能力を発動。光が女を包み込む。でも、女は揺らがないで私に踏み出す。
・・・・・・キャラなりとは違う能力ってわけ? ホント、そういうのが好きな連中ね。
「私はあなたのやった事が許せない。私はあなたと同じような人達をよく知っているから。
それが間違いだと、大切な人達に・・・・・・愛するあの人に教えてもらったから」
「そう、それでその人達の夢も踏みつけたってわけ? こんな風に」
立ち上がりながら挑発のためにそう言い放って女を見る。
それでも女は私を冷たい・・・・・・ううん、どこか憐れんでいるような目で見ている。
「踏みつける? あなたはどうも勘違いをしているようね。
・・・・・・無いものはどうあがいても踏みつけようがないでしょ」
いいや、訂正だ。この女は私を憐れんでいる。かわいそうな存在として扱っている。
その言葉で何かが切れた感じがして、私は怒号をあげながら力を更に放出していく。
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
周囲になぞたまと同じ色の光が迸り、空気を揺らしていく。それでも女は・・・・・・その目をやめろっ!!
私の夢はここにあるっ! ママを・・・・・・ママを完璧にするのっ!!
あの時の輝きを、あの時のママを取り戻すのっ! それが私の夢っ!!
なのに、なのに・・・・・・どいつもこいつも私を否定するっ! 踏みつけるっ!!
大した夢もないくせに、自分の夢も分からないくせに偉そうな顔をする奴らの味方をなんで続けるのよっ!!
許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せないっ!!
壊してやるっ! コイツらの夢全て壊して、それを糧に私の夢を叶えるっ!!
コイツらは無価値だっ! 私の夢を叶える邪魔をするなら・・・・・・全員無価値な存在なんだっ!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
≪はわわわわ・・・・・・ティアナちゃんなのっ! それにディードちゃんも居るのっ!!≫
「えぇ、そうよ。しかしアンタ・・・・・・またそれ? また相変わらず面白い事ばっかするわよね」
・・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! なんかすっごい見られてしまったー!!
その呆れた目はやめてー! 僕だってマジどうしてこうなるか分からないんだからー!!
「まぁいいわ。今そんな話してる場合じゃないっぽいし。それで・・・・・・これ」
ティアナは懐からあるものを取り出した。それはすっごい見慣れた蒼色の宝石。
その宝石は浮かび上がって、僕の目の前にまで来た。・・・・・・あぁ、ようやくワイハから帰って来たんだ。
≪・・・・・・やっぱり女装趣味があったんですね≫
【第一声そこっておかしくないっ!? てーかそんな趣味ないからー!!
本当にそこは絶対無いからー! そしてやっぱりって言うなっ!!】
≪大丈夫ですよ、趣味は人それぞれじゃないですか≫
【だから違うって言ってるでしょっ!? ・・・・・・てーか、おかえり】
≪えぇ、ただいま戻りました≫
目の前に居たのは、アルトだった。どうやらぎりぎりなとこで間に合ったらしい。
なら・・・・・・あとちょっとだ。形勢逆転は形勢逆転返しで問題解決だもの。
「・・・・・・お兄様」
左横から、シオンが出てきて右の髪をかき上げた。それから僕の方に笑いかける。
「せっかくですしみんなで一緒にいきましょう」
【いや、みんなでって・・・・・・シオン、それに】
・・・・・・あ、僕この子の事を知らない。なにも知らないから名前も分からない。
「何を戸惑う。お前はもう、私の名前を知っているはずだが?」
こっちの心情を読み取ったかのように、いきなりそう言ってきた。
すぐに『無茶言うなっ!!』とでも返そうとした。でも、僕はそこで言葉が止まってしまった。
止まって少し考えて・・・・・・あぁ、そうだ。僕は名前をちゃんと知ってる。
だからすぐにこの子の名前が言えた。それにシオンのさっきの言葉の意味も・・・・・・分かった。
【ん、そうだったね。・・・・・・ヒカリ】
「そうだ、それが私の名前だ」
【それで、シオン】
「えぇ、それが私の名前です。お兄様、もうお分かりですよね」
・・・・・・守る事にも、壊す事にも、勇気が必要。でもその勇気を使うためには、もう一つ別の勇気が必要になる。
【うん、だから開けられる】
それは知ろうとする勇気。守りたいものを、壊したいものを知ろうとする勇気。
この世界にある全てのものは相対的なもので、絶対的じゃない。みんな変わっていくし動いていく。
だから今を知っていかなきゃいけない。本当に守りたいなら、そのための勇気を抜かしちゃいけない。
それはきっと・・・・・・あの子も同じだ。だから、ありったけで伝えていく。
そして壊す。あの子を縛りつける幻想を壊して、突きつけて・・・・・・貫く。
【ティアナ、事情は聞いてるんだよね?】
「フェイトさんからザッとはね」
【だったらあむとヘイの事お願い。僕は・・・・・・全部、砕いてくる】
ティアナは僕・・・・・・というか、ヒカリの方を見ながら頷いてくれた。
それに安心しつつ、僕は意識を集中。それで一気に鍵を開く。
【・・・・・・僕達のこころ、アン】
『解錠』
【ロックッ!!】
身を包むのは翠と黒の螺旋の光。その中で僕は身体の感覚を少しずつ取り戻していく。
当然ながらその姿を変え・・・・・・僕は今、自分の中にある『勇気』の一つの形と向き合っていく。
(第107話へ続く)
おまけ:シャーリーの世界
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
シャーリー「はいはーい、シャリオ・フィニーノです」
やや「結木ややでーす。シャーリーさん、今回はどうしたんですか?」
シャーリー「うん、新登場なアイテムが出たから一応解説かな。具体的にはあの二つだね。
クロスミラージュ・ファンタズムとツインブレイズ・デュアリティ」
やや「あ、新開発なアイテムですよね。でもでも、どんなところが変わったんですか?」
シャーリー「まずはクロスミラージュ・ファンタズムからだね。どうぞー」
クロスミラージュ・ファンタズム
魔剣X・第5世代デバイスシステム搭載型のクロスミラージュ改修型。
形状はより大型化し、銃身下部に魔剣Xを搭載。形状はナックルガード付きのGNピストルビット的。
運用方法は某黒猫のハーディスを想像してもらえると分かりやすいかも知れない。
カートリッジ搭載方式も見直されており、それまでの銃身ごと交換式ではなくグリップ部分へのマガジン挿入式になっている。
カートリッジの搭載弾数は15発。今までよりは長持ちになっている。
形状変換は基本形態であるガンモードにライフルモードの二種。ダガーモードは今回は廃止。
接近戦の際は銃身下部の魔剣Xで対応。殴りつけるなり受け止めるなりする。
ティアナが所持した場合の魔剣Xの色は白。ちなみに某IKIOKUREと・・・・・・ゲフンゲフン。
ファンタズムの意味は『幻想』。なお、名称や詳細は読者からのアイディアです。
やや「わわ、結構変わってるんですねー」
シャーリー「うん。基本構造そのものから見直したから、ほとんど別物だよ。
別のボディ作ってAIのコアだけ移植してって感じかな。時間かかったよー」
やや「おつかれ様でしたー。あ、でもでもこれってまだ本当の形じゃないんですよね」
シャーリー「実はそうなんだよねー。まだまだ頑張るところが・・・・・・というわけで、次はディードだね」
ツインブレイズ・デュアリティ
ツインブレイズの魔剣X搭載型。基本形状は変わらず、以前のツインブレイズから多少大型化した程度。
最大の特徴は、以前のツインブレイズと違って実体剣になったところ。
正確には本来のツインブレイズを包み込む形で魔剣Xの刃を形成している。
伸縮時には刀身が内部のエネルギー剣を軸として分裂し、実体とエネルギーでの複合攻撃を可能とする。
イメージとしては武装錬金のサンライトハートUを想像してもらえると分かりやすいかも知れない。
ディードが所持した場合の魔剣Xの色変化は蒼。そのため伸縮機能使用の際には二色の刃となる。
デュアリティの意味は『二面性』。なお、こちらも読者からのアイディアを元に構築させていただきました。
やや「・・・・・・うぅ、ディードさんもパワーアップなんですよね。というかというか、恭文と同じって」
シャーリー「二面性を強調すると、色が違った方が面白いという判断なんだけど・・・・・・ディードは喜んでたね」
やや「ですよねー。でもでも恭文、これなら余計にディードさんとお話しないと」
シャーリー「絶対そうしないとダメだと思うね。ほら、今回そういう話なわけだし。
・・・・・・というわけで、アイテム解説は以上です。みんな、アイディアありがとねー」
やや「あ、そうだよそうだよ。みんながアイディアくれたからなんとかまとまったんだもんね。
みんな、ホントにありがとー。あとややのノロウサアルトちゃんもありがとー」
シャーリー「そう言えばややちゃんのあの子も元は読者アイディアだったよね。とにかくみなさん」
シャーリー・やや「「ありがとうございましたー」」
(おまけ・・・・・・おしまい)
あとがき
恭文「というわけで、なぞたまという存在と僕が追い求めた『魔法』の本当の意味。
それを受けてヒカリが本編でようやく爆誕。ややもノロウサアルトが」
あむ「・・・・・・恭文、話逸らさないの。今回でおしまいだったんじゃ」
恭文「・・・・・・ごめんなさい。書き込むだけ書き込みまくったらこうなりました」
あむ「バカじゃんっ!? テンポ遅くなっちゃうから極力サクサク進めるとか言ってたのにっ!!」
(・・・・・・いや、この後の大暴れまで書いたんだけど、そうしたら・・・・・・えへへ)
あむ「だからバカじゃんっ!! ・・・・・・とにかく、本日のあとがきのお相手は日奈森あむと」
恭文「蒼凪恭文です。いや、とにかく次回で一応決着がつく・・・・・・はず」
(うん、出来るはず。少なくともエピローグには入れるから。それで次々回にはついにあの展開・・・・・・現・魔法少女、死なないでね?)
あむ「いやいや、なんでっ!? いきなりそれっておかしいじゃんっ!!」
恭文「でもさ、ドキたまならではの差異は出るとしても・・・・・・あむ、下手したら『nice boat』だよ?」
あむ「そ、それは否定出来ないかも。だって・・・・・・アレじゃん?」
(詳しくはしゅごキャラ原作の8〜9巻のくだりをご覧ください。この会話の意味が分かると思います)
恭文「それでなぞたまの解釈に関しては、アニメの話をふくらませた感じなんだっけ」
あむ「あー、あたしはそう聞いてる。アニメでも『ルルが夢を叶えたくて、それを人に押しつけてただけ』って話があったし。
つまりアレでしょ? ルルが夢を押しつけるためのジュエリーで、それを使って押しつけた結果がなぞたま」
恭文「だから今までのなぞキャラなりはその本人が夢を叶えようとしていたように見えて実は違う。
全部ルルがその人の夢に乗っかって、自分の描いてた夢を叶えようとしていたって解釈になるのか」
(とりあえずこの話では膨らませた結果そうなりました。そもそもなぞキャラなりの能力全てが『誰かや何かに夢を押しつける』という共通点があります。
もちろんそれぞれに形もやり方は違いますけど、その根っこはたまごをなぞたまにしていたルル自身に原因があります)
あむ「で、そこの話を入れて決着とエピローグは次回に持ち越しだっけ」
(・・・・・・・ごめんなさい)
恭文「だからこそ、劇中でも言ってたけどルルの能力がアレなんだよね。今度は直接的に自分の迷いを押しつけてきた」
あむ「それであたしはキャラなり出来なくて・・・・・・うぅ、悔しいー! というかヘイさんはなんで平気だったのっ!?」
恭文「ヘイはこの前段階でいろいろ考えて、一歩踏み出したからでしょ。あとルルとは家族だから思い入れも強いし」
あむ「あ、そのせいで能力弾けたのか。でも・・・・・・いよいよ次回かぁ」
恭文「うん。というわけで、次回いよいよ決着でエピローグです。暴走を続けるルルはいったいどうなるのか。
そこの辺りは次回お楽しみにしていただくとして、本日はここまで。お相手は蒼凪恭文と」
あむ「日奈森あむでした。それじゃあみんな、またねー」
(さ、次回はコンパクトにすっきりと・・・・・・うし。
本日のED:火野映司(CV:渡部秀)『Regret nothing 〜Tighten Up〜』)
ヒカリ(しゅごキャラ)「・・・・・・ついに私、爆誕だ。もうデジモンなあのキャラばかりに活躍はさせんぞ」
シオン「でもお姉様、お姉様はいつの間にか大食いでビビリなキャラだという印象になっています」
ヒカリ(しゅごキャラ)「気のせいだ。私は常にクールで華麗でヒラメとカレイの違いが分かるしゅごキャラだ」
シオン「そうですか。では・・・・・・どうぞ」
ゴース「ゴースー♪」(すりすり)
ヒカリ(しゅごキャラ)「・・・・・・・・・・・・キュウ」(パタン)
ミキ「即行で気絶したっ!? というか、泡吹いてるよっ!!」
シオン「ここまでとは・・・・・・さすがの私も驚きです」
(おしまい)
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