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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第1話 『俺達、参上っ!!』(加筆修正版)



・・・・・・全ての始まりは、もうすぐ2月になろうかという時の話。

現在ミッドでは、ちょっとした事件が起きていた。それは魔法能力者でも何でもない人達が大暴れするというもの。

しかも暴れた人達は、その時の記憶を全部失っていた。なお、薬物などによる洗脳の反応は無し。





かなり入念に検査したそうだけど、なにより犯人である人達も困惑し切っていて嘘をついている様子もない。

ただ、そんな人達には一つ共通点があった。それは全員が全員怪物に遭遇していたらしい。

そしてその怪物は、その人達にこう言っている。『お前の願いを言え。どんな願いでも叶えてやる』と。





で、ここまで言えば分かるだろうけど、みんなその怪物に願い事を言った瞬間から記憶が無くなってる。

被害関係も、その願い事に関係のあるものがほとんど。当然だけど管理局はこの事件を放置するはずがない。

ミッドの各地上部隊・・・・・・そして隊舎が先日のヒロさんの歌によって損壊した機動六課にもだね。





今回の事件について捜査するようにと、通達があった。僕とアルトも当然ながら軽く頭を抱えつつ動く事になった。

そして事件は始まる。それは本当になんて事のない一日からスタートした。

どこにでもある、なんて事のない一幕からだった。そこからこの事件は加速していった。





そう、ここから・・・・・・ここからまた、僕の世界は壊れて広がる事になった。





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



僕はハンドルを回して、交差点のカーブを勢い良く曲がる。

つーか、ドリフト気味。そうしてまた道を真っ直ぐに走る。

速度と回転数はいつもより三割増し。サイレンは最大音量。





気分はまさに逮捕しちゃうぞ的な感じ。でも、そうなると色々と楽しめなかったりする。










そこの車、ただちに停車してくださいっ!!



助手席の近くで浮いているリインが、両手でトゥデイに備え付けてあるマイクを両手で持って喋る。

当然、声は外のスピーカーを通して出るわけですよ。だからとっても大きい。



もう一度・・・・・・というか、何度も言ってるんだから止まるですっ!!

「リイン、落ち着いて。止まれと言われて止まるバカは居ないから」





・・・・・・あ、逆車線に突っ込みやがった。それで他の車が・・・・・・あぁもうっ!!

そうやって横道に入った前方車両を、僕も逆車線に突入して追いかける。

なお、逃走者を避けて横転したり壁にぶつかったりしてる車は一端無視する。



僕達の仕事は、アレを止める事だもの。今出来るのは、死者が出ない事を祈る事だけ。



ちなみに車のサイズは向こうよりこちらの方が小さい。向こうの車が行ける道なら、こっちも行ける。





「しかしさ。銀行強盗なんて、今どき古典的だよね」



トゥデイのアクセルを踏み込みながら、軽くそう口にする。最近のデジタルな犯罪と比べると、やっぱ古典的だ。



「確かにアナログ的ではありますよねっ! というか」



リインはマイクのスイッチを右手で器用に押しつつ、また叫ぶ。



ホントにホントに・・・・・・止まるですよー!!



現在僕達が追いかけているのは、目の前の白い車。いわゆる銀行強盗の車。

僕達は逃走してる車両を追跡中です。つーか、カーチェイス?



「まさか、これでホントにこんな事やる日が来るとは思わなかったし」

「そうねっ! ・・・・・・って、撃つつもりっ!?」



車の窓から犯人が身体を出してデバイスを構える。・・・・・・魔法能力者が居るのか。



「ティアナ」

「分かってるわよっ!!」



そうこうしている間に、魔力弾がばらまかれる。普通なら、避けたりするだろうね。

でも、甘い。こっちには優秀なガンナーが助手席在住。なのでこのまま直進。



「・・・・・・狙いが」



ティアナも、助手席の窓から顔を出して、クロスミラージュを構える。そして、魔力弾を大量生成。そのままシュート。



「甘いわよっ!!」





トゥデイと向こうの車との間で、魔力弾がぶつかり合う。

そんなやり取りをはた迷惑なのを知りつつも、狭いわき道を激走しながらも行う。

それを抜けて、目の前の白い車と僕達はまた大通りへ出た。



法定速度も交通ルールも無視なカーチェイスに辺りは混乱するけど、今は気にしてられない。



・・・・・・でも、このままじゃラチがあかないな。これで死人が出ても、僕は責任取れないし。





「ティアナ」

「モトコンポ、借りるわよ」



むむ、同じ事考えてたか。やっぱティアナとは、気が合うのかも。



「で、決めはアンタに任せるから」

「えー、ティアナが全部やってよー。僕はもう六課のためになんて働きたくないしさー」



言いながら、僕は周囲を確認した上でブレーキを踏む。



「お願いだからやる気出してっ!? アンタが局も六課も嫌いなのは知ってるけど、お願いだから今だけはやる気出してっ!!」



そうしてトゥデイを一旦止めると、ティアナがトゥデイから降りる。

それから手際よく後部ドアからあるものを取り出す。それは、後部座席のモトコンポ。



「ティア、気を付けるですよっ!!」

「はいっ!!」





ティアナがそれに乗って、追跡を再開。僕もそれに続く。そこからまたチェイス再開。

・・・・・・市街地から少し外れて、港湾部の工場地帯へと、入っていく。

それでも追跡は止まらない。というか、止まりたいけど止まれないという悲しい状況。



ティアナを乗せたモトコンポがアクセルを吹かしながら先行する。それを狙って魔力弾が襲ってくる。





「リイン」



運転しながら、リインに左の手の平を向ける。



「はいです」



リインは僕に両手で持っていたマイクを渡してくれる。それを持って、運転しながら喋る。



・・・・・・あー、そこの車。止まれ。止まらないなら止めるよ?



でも、それで止まる事も、攻撃を止めもしない。まぁまぁ分かってたので、もういっちょ。



つーか、止まれ。お前らがおとなしくしてくれれば、僕はこれ以上後部座席のランチボックスの中身の心配をしなくて済むんだよ
彼女候補と一緒に食べるつもりだったのが、なんでかそこのツンデレとランチしなきゃいけない悲しみにこれ以上触れんじゃねぇよ


「そこなんですね」

≪前日から頑張りましたから≫



ティアナは先ほどと同じように、自分に襲いかかる全ての弾丸を撃ち落とす。いや、更に自分も撃つ。

バイクと車との間で、激しい銃撃戦が始まる。当然、僕の警告など無視してだよ。



・・・・・・よく分かった。んじゃ、ケガしても知らないから



なので僕はマイクを元の位置に戻す。悲しいねぇ、言葉が伝わらないって。でもま、いいか。



「リイン、僕に捕まってて」

「はいです」





リインが肩に乗って、僕の頬に寄りかかるようにする。



それから僕は、運転席の左。『N』と書かれた四角いカバーを左手でさっと開ける。



それからその中にある赤いボタンを、親指で押す、





「ブースト・・・・・・オン」





するとトゥデイのエンジン音が、いきなり激しく大きいものになるなる。

アクセルを踏み込むと・・・・・・いつもより鋭い加速。

それによって、ティアナを・・・・・・そして逃走車両を一気に追い抜く。



で、回り込み、正面・・・・・・逃走車両の数百メートル前方に立ち塞がるようにして、急停車。



それからすぐにトゥデイから降りて、術式を詠唱。左手を逃走車両に向けて、それをぶっ放す。





≪Icicle Cannon≫





威力調整した上で車両の左前方に放たれた砲撃は、見事に着弾。



車は横転しながらも火花を散らしながらコンクリを滑り、トゥデイの脇を抜けた。



そうしてしばらく地面を転がって・・・・・・愚か者共を乗せた車は止まった。





「うし、これでよしっと」

「・・・・・・いや、良くないでしょっ!?」



聞こえた声の方を向けば、そこに居たのはモトコンポにまたがったティアナ。

どっか呆れてるのは、きっと気のせいだ。



「アンタマジで何してるっ!? さすがにアレは死ぬでしょっ!!」

「警告はしたじゃないのさ。本当だったら車ごと串刺しにしてやりたかったのに・・・・・・僕って優しいー♪」

「よし、ちょいマジで話そうかっ! アンタは絶対優しさの基準間違えてるわっ!! それもかなりよっ!!」

きさ・・・・・・まさぁっ!!





僕達は三人である方向を・・・・・・聴こえて来た声の方に視線を向ける。

そこは横転した車の方。そこから、フラフラとした足取りで男が二人降りてきた。

というか、はい出てきた。ついでに砂だらけで・・・・・・砂だらけ?



ううん、違う。なんでか男達の身体から砂が吹き出してる。

フラフラとこちらに一歩ずつ近づく度に、砂が辺りに撒き散らされる。

でも、問題はここからだった。男達は前のめりに倒れる。



でも、吹き出す砂は勢いを止めない。そしてその砂は、あるものを二つ形作る。





≪・・・・・・あの、アレ≫

「いや、まさか」



それは人と似ている。でも、人じゃない。一つはピンク色のウサギ。

もう一つは赤いタコっぽいの。というか、見覚えがある。すっごく見覚えがある。



「・・・・・・なによ、アレ」



ティアナの声が、少し掠れてる。当然だ。あんなの見た事ないだろうし。



「・・・・・・まさか、イマジンッ!?」

≪いや、そんな≫

「・・・・・・ほう。俺達の事を知っているのか」



そんな風に僕の言葉を肯定したのは、赤いタコのイマジン。

え、まさか・・・・・・本物っ!? じゃあここ最近の事件、やっぱり・・・・・・!!



≪・・・・・・色々お聞きしたいんですが。あなた達がどうして実在してるんですか≫

「いや、ちょっと待って。なんでアンタ達はアレを見て普通にしてられるのよ。イマジンって何よ」

「・・・・・・簡単だよ。僕もアルトも、アレが何か知ってる」

「はいっ!? どういう事よそれっ!!」

「イマジン・・・・・・イマジンッ!? まさかあのイマジンですかっ!!」



イマジンは僕とアルトの好きな特撮番組に出てくる敵役。それ以上でも、それ以下でもない。

こんなところで、TVで見た通りに出てくるようなものじゃない。でも、見たところ着ぐるみという感じでも無い。



「待て待てっ! これはどういう事っ!?」

「気にする必要はない。お前らはどうせここで・・・・・・死ぬんだからなっ!!」

「いやっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



どうやら考えてる暇はないらしい。二人揃って一気に突撃してきた。

・・・・・・あーもうっ! 考えるのは後っ!! とっとと交戦開始して。



ずいぶん楽しそうだなっ!!

『・・・・・・え?』





突如響いた声は後ろからのもの。そちらを見ると、一台の白いバイクがこちらに突っ込んで来ていた。



そこに乗っているのは、ジージャンとジーンズに身を包み、白いジェットヘルをかぶった男。



男はそのまま僕達とイマジンの間に割り込む。そして、どこからともなくショットガンを取り出し。





「俺達も遊ばせてくれ」





銃口をイマジン達に向け、乱射した。たまらず、イマジンは後ろに下がる。

・・・・・・待って待ってっ! この声にこの喋り口調にこのバイク・・・・・・えぇっ!?

だけど、変化はそれだけじゃなかった。今度は、黒いワゴンが走り込んできた。



それはトゥデイのすぐ近くで停車する。で、後ろのドアから続々出てきた。





「よっと」



まず運転席から、青い甲羅っぽい装飾をつけた亀っぽい人。



「ふんっ!!」



ワゴンの後部ドアから出て来て右手で顎を持ち首を動かしているのは、金色でガタイのいい熊っぽい人。



「いぇいいぇいっ!!」



紫でロングコートを着たようにも見える、ヘッドホンをつけた竜っぽい人。なんか両手でピースしている。



「・・・・・・よしっ!!」





そして10歳前後の黒いスーツを来て、黒い髪を後ろで一まとめにした女の子。

バイクの男はヘルメットを脱ぐ。逆立った黒髪に、赤いメッシュと赤い瞳が見えた。

ワゴンから降りてきた彼らは、まるで並ぶようにして男の元へと歩く。



男はそれが当然であるかのようにバイクから降り、彼らが自らの傍らへ来るのを待つ。



そんな時、どこからともなく声が聞こえた。





(時の警察電車・デンライナー。時の犯罪者・イマジン達が起こす事件を、徹底的にクライマックスで解決する刑事達)



いや、あの・・・・・・え、これなに?



(彼らに、警察手帳や捜査礼状はいらない。彼ら自身が手帳であり、礼状である。彼らに逮捕出来ないものは・・・・・・ただ一つ)



いや、聞いた事ある。めっちゃ聞いた事あるけどこれはなに?



(神のみっ!! それがっ! チィィィィム・デンライナァァァァァァァっ!!)



な、なんですかっ! このナレーションはっ!? ま、まさか・・・・・・本当にっ!!



・・・・・・俺達っ!





中心に立った赤メッシュが、自分を右の親指で差す。

そして歌舞伎役者が見栄を張るように、左手を前に出す。

右手を後ろに下げてポーズを決めると、他のメンバーもそれに倣う。



それから全員で・・・・・・そうだ、全員であの言葉を叫ぶ。





参上っ!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱりなのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?



【だぁぁぁかぁぁぁらっ! みんななにやってるのっ!?】



また別の声がしたその次の瞬間、男の身体から赤い鬼が出てきた。

すると、男の外見が変わった。髪は下ろされ、メッシュがなくなる。瞳は栗色になった。



「どうしてまたまたこれなのっ!? というか、またハナさんまでっ!!」



というか、声や口調も変わった。さっきまでの荒々しいものから、穏やかで優しいものになった。いや、今は声張り上げてるけど。



「あはは・・・・・・ごめん良太郎。でも、やっぱり楽しくて」



え、というか今『良太郎』って・・・・・・マジ?



「まぁいいじゃねぇか。・・・・・・刑事って、やっぱ最高にかっこいいしよっ!!」

「というか、アイツら逮捕していいよね? 答えは聞いてないっ!!」

「そういう問題じゃないからっ! というか、リュウタロスも落ち着いてっ!!」



赤鬼や紫竜が、どこか楽しそうにそう話す。というか、赤鬼・・・・・・さっきまでの男の声。



「まぁまぁ。先輩じゃないけど、せっかく面白そうな所に来てるんだしさ、少しくらい楽しもうよ」

「・・・・・・・・・・・・あの、野上良太郎さん・・・・・・ですか?」



さすがに見かねて話しかけてみる。すると男の人はこちらの方を向いて頷いた。



「あ、はい」



やっぱり。じゃあ赤鬼に青亀、金熊に紫竜に、この女の子は・・・・・・当然あの方々だ。



「じゃあほかはモモタロスさんに、ウラタロスさん。キンタロスさんにリュウタロスさんと・・・・・・ハナさん」

「おぉ、そうやで。・・・・・・つか、坊主誰や」

「金ちゃん、忘れたの? 管理局って言うのだよ。ほら、例の機動六課ってのもそれなんだしさ」



僕の驚きは気にせず青亀・・・・・・ウラタロスさんは、ティアナ達に近づき、話しかける。



「やぁ、初めまして。麗しいお嬢様方。いや、この世界に来てさっそく君達みたいな可愛い子に出会えるなんて、嬉しいなぁ」

「あ、初めましてです」

「てか・・・・・・アンタ達何者っ!?」

「・・・・・・って、いきなりナンパしてるんじゃないわよバカっ!!」



青い亀さんがナンパしてるけど、気にしない。ハナさんが止めてくれてるし。



「というか、僕いくつ? うわ・・・・・・可愛いね〜」

「・・・・・・撫でないでください。てか、僕はこれでも」

「おい、俺達の事忘れてんじゃねぇっ! つーかそんなクソチビの事なんざ」

≪Stinger Ray≫

「スナイプショット」



そして、蒼い光が空間を切り裂き、一直線に赤いタコの頭に直撃。そのまま地面に倒れた。当然僕が撃った。

あ、なんか頭振りながら起き上がった。・・・・・・ち、生きてやがる。意外と丈夫だな。



「お、お前いきなりなにし」

・・・・・・誰が豆粒だ



僕はイマジンコンビに視線を向ける。



「つーか、こっちは今、大事なお話中だ。ガタガタ抜かさずに黙って・・・・・・いや、待たなくていいや。お前ら今すぐぶっ潰すから」



僕は優しく、本当に優しくバカ共に笑いかけていく。するとどうしてかバカ共の身体が一気に震え上がった。



「良太郎さん、まぁ事情はアレですけど、アイツら止めなきゃいけないんですよね?」

「う・・・・・・うん。そう、だよ? というかあの、ちょっと落ち着こうよ。僕、怖いし」

「いや、俺も怖ぇ。お前視線だけでイマジン殺せるくらいの顔してるぞ」



アレ、なんで全員ブルブル震えてるんだろ。うーん、おかしいなぁ。僕は普通なのに



「リイン、悪いんだけどティアナとちょっと下がってて。僕、良太郎さん達とあのバカ共潰すから」

「はいです。というか恭文さん・・・・・・大丈夫ですね」

「・・・・・・え、恭文さん? まさか君、蒼凪恭文って名前じゃっ!!」

「えぇ、そうですけど。あ、それと後でサインください。よろしくお願いします」

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?



アレ、なんでこんなめっちゃ驚くんだろ。あ、サイン要求されたからかな。分かります。



「いや、予想よりかなり小さ」

「ダメだよハナさんっ! あの、お願いだから撃たないでっ!? サインは後で必ず書くからっ!!」



・・・・・・僕に対してどういう認識を持っているのか、小一時間ほど問いただしてやりたい。

お願いだから、人をそんな危険人物みたいに言わないで。それも全員揃ってだよ。



「ありがとうございます。さー、というわけで待たせたねー。今からハザードタイムだ」



言いながら足を踏み出していく。すると、なぜか連中は怯えたように後ずさりだよ。



「お前らはジェノサイドでデストロイでレイダーでフォビドゥンでブレイカーだ。OK?」

『分かるかぁっ! 横文字だらけで意味不明じゃねぇかっ!!』



そこの辺りは無視して、僕は胸元のアルトを右手で掴んで持つ。



「良太郎、アイツに先越されるなっ! 俺達も行くぜっ!!」

「わ、分かった」



良太郎さんもイマジンに向き直って、どこからともなく左手であるものを取り出す。

それは鈍く銀色に輝くベルト。バックル部分の中心はクリアパーツで、時計を思わせるパーツが組み込まれてる。



「ちょっと待ちなさいよっ!!」

「アンタ、こんな得体の知れない連中と戦うつもりっ!? つーかコイツらもそのイマジンよねっ!!」

「ティア、問題ないのです。だってこの人達・・・・・・テレビの中のヒーローですから」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」



騒いでいる二人はそれとして、良太郎さんが、そのベルトを腰に巻き付ける。

そして、バックルの赤いボタンを押してから。



「変身」



良太郎さんは、右手に持った黒いパスケースを、バックルにかざす。

その瞬間、ベルトから音楽が流れ始める。というか、効果音。



≪Sword Form≫

「・・・・・・変身っ!!」

≪Riese Form≫





僕とアルトは良太郎さんに続く形で、いつものように白と青の騎士甲冑を身に纏う。

モモタロスさんが良太郎さんに吸い込まれるようにして消える。

その身体を銀と黒で構成されたスーツが包む。その周りを、虹色のレールが囲む。



そのレールの上には、赤いプレストアーマー。それが良太郎さんの纏うスーツに一気に装着されていく。

そして最後に頭の銀色のレールのような部分を走るようにして、赤い桃が現れる。

それは顔の正面に火花を走らせながらも来ると、パカッと真ん中から割れてその動きを止めた。





「・・・・・・俺」



先ほどと全く同じ動きで、良太郎さん・・・・・・いや、良太郎さんに憑依したモモタロスさんは叫ぶっ!!



「参上っ!!」



・・・・・・決定だ。もう決定だ。疑いようがない。本当に・・・・・・電王なんだ・・・・・・!!

いや、感動するのは後だ。後でサインもらった時に改めて感動する。というわけで、僕も続く。



「・・・・・・さぁ」



右手を顔の高さまで上げて軽くスナップ。それから一気に下に下ろしてすぐに前に突き出しながらも上に上げる。

そうして右手の人差し指で連中を指差し・・・・・・決しては忘れてはいけない罪を突きつける。



「お前達の罪を、数えろ」

≪・・・・・・私達、生きてて良かったですね。電王と一緒に決め台詞なんて奇跡でしょ≫

「そうだね。世界は不思議が・・・・・・くぅ、涙出る」



僕は右手を下ろして左手で鞘の鯉口を持って、アルトを一気に抜き放つ。

モモタロスさんは腰のベルトに付けてあった4つのパーツ・・・・・・デンガッシャーを組み合わせていく。



「お前ら、マジで俺達のファンなんだな。てーか」

【僕達がヒーローって言うのも、今ひとつ信じられないね】

「だなぁ。で、お前ら・・・・・・ここからどうするかは、分かってんだろうな?」





デンガッシャーはパーツの組み合わせで、5つの形態へ変化する万能ツール。

今の電王・・・・・・ソードフォームではその名の通り剣の形態を取る。

というわけで、デンガッシャーは4つのパーツが組み合わさりソードモードとなった。



その形状は鍔のない巨大な柄と言っていいかも知れない。

そのデンガッシャーの先から、赤く白で縁取りされた刃が生まれた。

モモタロスさんはそれを右手に持って、右肩に担ぐ。





「つーわけでよく見とけっ!!」



そう言ってモモタロスさんが組み上がったデンガッシャーの切っ先を、イマジン達に向け言い放つ。



「いいかっ! 俺達に前振りはいらねぇっ!!
俺達は・・・・・・最初から最後まで、クライマックスだぜっ!!」



そういうわけなので、僕達は言葉通りに駆け出した。僕が狙うは・・・・・・赤タコっ!!



「行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「さぁ、ぶっ飛ばしていくよっ!!」

≪えぇ≫




















ー時の列車・デンライナー。次に向かうのは、過去か、未来かー










『とまとシリーズ』×『仮面ライダー電王』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄と時の電車の彼らの時間


第1話 『俺達、参上っ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



前に踏み込む僕に向かって赤タコは触手を何本も出して、僕を捕らえようとする。





けど無意味だ。僕はアルトを抜き放ち、その全てを一閃で斬り落とすから。





銀の煌めきが生まれた数瞬後。空しく地面に、何本も触手が落ちる。










「なにっ!?」



そうなるとは予想して居なかったのか、赤タコが驚く。つかさ・・・・・・驚いてる暇、あるの?

何かに気づいたように赤タコがこちらを『振り向く』。当然だ。今僕はコイツの後ろに居るんだから。



「トーシローが・・・・・・! 敵からっ!!」



まず背中から、袈裟斬りに斬りつける。放たれる火花は気にせずに、続けていく。



「ぐあっ!!」

「目を離してんじゃっ! ないよっ!!」



そして左からもう一撃。右からも一撃。最後に左からまた袈裟に一閃。・・・・・・あ、これはお釣りね?



「つーか、ヌルいんだよっ!!」





そして右足で背中を思いっきり蹴り飛ばす。それで、赤タコは面白いように吹き飛ぶ。

当然僕はゆっくりと歩き、追いかける。アルトの切っ先を向けながら、ゆっくりとだよ。

・・・・・・でも、こいつ硬い。結構気合い入れないと、真っ二つに斬れないかも。



あとはコイツらの身体の作り、ブレイクハウトで解析しておくか。場合によっては物質変換使った方が楽かも知れないし。





「さっきはよくもミジンコって言ってくれたね」

「待て待てっ! そんな事誰も言ってないだろうがっ!!」

≪Stinger Ray≫



またまた蒼い光が赤タコに向かって飛ぶ。それは今度は奴の頬を火花を散らしながらも切り裂き、地面を穿つ。



「ひぃっ!!」



・・・・・・魔力攻撃は普通に通るみたいだね。うん、ダメージ設定はガジェットとかで同じ感じでいいかも。

あと身体も・・・・・・うーん、解析がうまくいかない。精神体に近い形だからこうなるのかな。



「細かい事を気にするな。・・・・・・大丈夫」



そこの辺りは後で考えるとして、僕はニッコリと優しく笑ってあげる。

なのに、なぜか怯えた表情を見せている。不思議だねぇ。



「すぐに酢ダコにしてあげるから」

「く、くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」










零距離から触手を出して僕を捕まえようとしたので、左に動いてその全てを避ける。





避けた上で左薙に斬撃を叩き込んだ。なお、叩き込んだ箇所は顔面。顔面から派手に火花が走った。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・オラオラっ!!」



モモタロスがいつも通りに、楽しげに、暴れるように剣を振るう。それはあの子も同じ。

・・・・・・魔導師ってやっぱり凄いね。あんなに速く動けるんだ。



「というか、やっぱり怖いってっ! あの子の殺気でイマジンが完全に怯えてるしっ!!」

「そうだなっ! でもよ」



斬りつけられながらも、ウサギイマジンは反撃を試みる。右拳をこちらに打ち込んで来た。



「あのジジイはっ!!」



モモタロスは、それをひょいっと左へ避ける。

それからすぐにがら空きの相手の右側面に、左から剣を打ち込む。



「もっと速えしっ!!」



それによってイマジンが怯む。そこを見逃すモモタロスじゃない。どんどん踏み込み、どんどん斬りつける。

右、左に袈裟斬りにしたかと思うと、今度は左下から斬り上げ。そして真上から振り下ろす。



「おっかねぇよっ!!」



規則性も、形もない。そんな剣撃の嵐。でも、いつも通りのモモタロスの戦い方。

その締めと言わんばかりに剣の切っ先を勢いよく突き出す。すると、たまらずイマジンは吹き飛ぶ。・・・・・・よし。



【モモタロスっ!!】

「分かってるよ。・・・・・・おい、青坊主っ!!」



そう口にするとモモタロスは剣を放り投げるようにして、右手から左手に持ち変える。



「必殺技だっ! バシッと決めるぞっ!!」










そうして空いた右手には、いつのまにか黒いパスケース・・・・・・ライダーパスが握られていた。





あの子もこちらに視線を向けて、頷いてくれた。・・・・・・話に聞いてた通りだね。あの、通り過ぎてびっくりかも。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「はいっ!!」

「せっかくだ。知る人ぞ知る、幻の必殺技を見せてやるよ」



そう言って、モモタロスさんがパスをベルトのバックル部分に通す。

僕もそれを見て、アルトを正眼に構える。



≪Full Charge≫





それはベルトからの声。するとベルトから赤い電気のようなものが、デンガッシャーに走っていく。



そして刃の赤色が輝いていく。それはアルトも同じく。刀身を包むのは、蒼い魔力の刃。



・・・・・・いける。もうコイツの硬さは、イマジンの身体は・・・・・・覚えたっ!!





「必殺・・・・・・俺の必殺技っ!!」

「鉄輝」



モモタロスさんはウサギに、僕は赤タコに向かって踏み込む。

そのまま・・・・・・二人でお揃いに右からの横薙ぎ一閃を打ち込んで切り抜けた。



「パートT!!」

「一閃っ!!」



赤と蒼の閃光が僕達の手で生み出され、イマジンはそれを胴に食らう。



「「がはっ! そ・・・・・・そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」



僕達の後ろでイマジン達は倒れ、爆発する。うん、楽勝楽勝。



≪まぁこの人チビ呼ばわりしたのが、そもそもの間違いかと≫

「全くもってその通りだ。僕は平均的な身長だっつーの」

「いや、お前それ・・・・・・なんでもねぇわ」



なんて言いながらも、ソードフォームの電王はベルトを外す。それにより変身は解除されて、良太郎さんからモモタロスさんが出てくる。

というか・・・・・・TVで見たまんまだ。・・・・・・あ、憑依物や転生やらトリップ物の主人公って、こんな気分なのかなっ!?



「あぁ、今日は記念すべき日だ。きっと今日はインデペンデンス・デイなんだよ」

≪そうですねぇ。まぁそこは置いておいて・・・・・・あなた達、なんでここに居るんですか≫

「あはは・・・・・・そうだよね。うん、言いたい事はよく分かるよ」





あ、それは僕も思った。まず電王は創作物の中のもの。良太郎さんやモモタロスさんも同じ。

現実に存在しているはずがない。・・・・・・普通ならってのが付くけど。

でも、良太郎さんもモモタロスさんも電王もイマジンも居た。というか、目の前でマジに戦った。



現にミッドでは今、イマジンの仕業と思われる事件が起きている。



待って待ってっ! 改めて考えると本気でどういう事さっ!! なんかおかしくないっ!?





「とにかく、その辺りはちゃんと説明します。・・・・・・ただ一つだけ言えるのは」



良太郎さんは真剣な顔で僕を真っ直ぐに見て・・・・・・こう口にした。



「僕もモモタロス達も、イマジンも電王も全て現実のものです」

「そっかぁ。それは・・・・・・幸せだなぁ」

「幸せなのっ!? あの君、それはコメント違うんじゃないかなっ!!」










これが全ての始まり。うん、ここから始まった。





僕達と良太郎さん達との時間と線路は、ここで繋がった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



それは、本当に突然だった。八神部隊長に前線メンバー全員と、ヒロリスさんとサリエルさんが呼び出された。





あ、恭文とティアにリイン曹長は別だね。外回り・・・・・・というか、銀行強盗捕まえてその後処理中だから。










「それで八神部隊長。話と言うのは?」



切り出したのは、さっき戻ってきたばかりのフェイトさん。そしてその言葉に部隊長は、こう返した。



「うん、みんなも知っての通りここ最近ミッドで妙な事件が起きてる。で、その事件の詳細が判明した」



その言葉に会議の場は騒然となった。その話は、一応知ってはいる。

ただ、全くの詳細不明で捜査は難航しそうって言ってたのに。



「六課の後見人であるクロノ提督経由で回ってきた情報です」

「クロノ提督から? でもどうして」

「この事件の犯人に心辺りのある人達から情報提供をもらったとか。
それでその人達が、これからここに来ます。もち捜査協力のためにや」



なんでもその人達は、今回の一件の専門家。で、犯人ともやり合った事も相当数あるらしい。

だからこそ六課に協力してくれる事に・・・・・・あれ、でもどうして六課?



「了解しました」

「その人達と協力して、事件を早期に解決します」



なのはさんとフェイトさんがそう返事をすると、八神部隊長は満足そうに頷いてくれた。

でも次の瞬間、表情が曇った。うん、それはもう見事に。頭痛いんじゃないかって言うくらいに。



「・・・・・・はやてちゃん、またどうしたの」

「あー、具合悪いんですか? なら、シャマルさん」

「はい、すぐにベッドの準備を」

「あー、大丈夫です。いや、その協力者の人達がちょおなぁ」



・・・・・・はい? いや、八神部隊長? どうしてまた頭を抱えるんですか。私達みんな分かりませんし。



「・・・・・・ヒロリスさん、サリエルさん」

『うん、何』

「デンライナー署の人達と上手く付き合う方法があったら、教えてくれへんかな?」

『・・・・・・はい?』

「いや、せやからデンライナー署や」



あんまりな発言が飛び出した直後に、会議室のドアが開いた。そうして入ってきたのは・・・・・・えぇっ!?



「ほいほい〜。失礼するよ」

≪ただいま戻りました≫



恭文と・・・・・・やけに疲れてるティアとリイン曹長。でも、三人だけじゃない。



「おう、邪魔するぜー!!」



なんでか狼の着ぐるみを着ている頭だけ赤鬼の人に。


「どうも、初めまして」



こっちは青いペンギンっぽい着ぐるみを着た青い・・・・・・亀?



「今日から世話になるでー!!」



ごめん、こっちは何か分からない。でも金色の顔をしたでっかい人だ。



「うわ・・・ちっちゃい子も居るんだねっ! ね、ボク達いくつっ!?」

「え、えっと・・・・・・一応11歳です」

「僕もです」



なんか、近くに居たエリオとキャロに話しかけ始めた紫顔の人。でもこの人達・・・・・・なにっ!?



「えっと、どうも。失礼します」

「おなじく、失礼します」



続けて入って来たのは、どこか気弱そうな男の人と、エリオとキャロと同い年くらいに見える女の子。



「・・・・・・恭文君」

「ん、横馬なに?」

「いや、なにじゃねぇだろっ! 正直に言えっ!! いくら使ったっ!? いくら好きっつたて、これはねぇだろっ! これはよっ!!」

「いや、師匠も何を・・・・・・あぁ、この方々ですか?」



恭文の言葉にさっき八神部隊長から妙な質問をされたヒロリスさん達とそれ以外の方々も、力いっぱい頷いた。

でも、私やエリオとキャロにはさっぱり。なんでこうなるのかが分からない。



「・・・・・・本物です」

「いや、そりゃ分かるから」

「いや、だから・・・・・・『本物』の電王なんです。野上良太郎さんにハナさん。
モモタロスさんにウラタロスさんに、キンタロスさんにリュウタロスさん」

≪ついさっき、『本物』のイマジンと交戦してきました。良太郎さんも電王に変身しましたし≫



恭文がそう言った瞬間、空気が凍りついた。うん、ピシリといい感じにだね。音聴こえたもの。



「・・・・・・待とうぜやっさん。確かにお前はこの未だ復旧していない隊舎の中で」



あ、ちなみに隊舎、先日のヒロリスさんの歌のせいであっちこっちヒビ入りまくりだったりします。



「フェイトちゃんと中学生日記な日々を送ってるよな。それで、毎日薔薇色なのは分かるさ。
でもだからって、それはボケ過ぎだろ。『本物』が居るわけ」

「えっと、事実です。砂が固まって化け物が」

「私達もよく分からないんですけど、こう・・・・・・あの赤いのがこの人に吸い込まれたり、妙なスーツを装着したり」










あ、なんかひび割れた。というか・・・・・・本当になにこれっ!?





あの、お願いだからちゃんと誰かちゃんと説明してー! 本当に説明してよっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とにかく六課メンバーと良太郎さん達で緊急会議と相成った。うん、混乱が起きたけどね。

良太郎さん達が何者かとか、イマジンが一体どういうものかもきっちり説明した。・・・・・・あ、一応解説しておくね?

まずイマジンは、未来の時間に居る人間の精神体が時を超えて現代人に取り憑いたもの。





取り憑いた人間の願いを叶えて、その人間の記憶の中で一番印象の強い日に跳ぶ事が・・・・・・タイムスリップが出来る。

それで、テレビだとその跳んだ過去の時間の中で破壊活動を行うのよ。その目的は時間の破壊。

過去の時間が破壊されてしまうと、連鎖的に今も消えてしまう。過去で人が死ねば、今生きていてもその人は消える。




それは物や出来事にしてもそう。今というものは、どんな形であれ過去の積み重ねで存在している。

そうやって過去の時間・・・・・・人の時間を消し去って自分達イマジンの時間に繋ぐ事が、連中の目的。

・・・・・・だったんだけど、それは良太郎さん達の活躍によって全て防がれた。





今残っているのは、そういう目的とは関係なく時間の中で生きているはぐれイマジンと呼ばれるものだけ。





僕達の目の前に居るモモタロスさんも、そんなイマジンの一例だったりする。










「・・・・・・今ではたまに出て来て、過去に跳んでその人の時間そのものを全て乗っ取ろうとするイマジンが居るくらいだったんです」

「でも、それがどういうわけかこの世界に出没しちゃってるんだよ。
僕達はそれを知って、この世界でオイタしてるイマジンを止めに来たってわけ」

「あの、ちょっと待ってください。そんなのありえません。いくらなんでもそんなものが居るわけ」

「ありえない事なんてありえない」



僕がそう言うと、不満げに噛みついたフェイトが言葉を止めて、困ったように僕の方を見る。



「フェイト、何回か僕こんな風に言わなかった?」

「それはあの、分かるよ? でもこれはブッチギリ過ぎだよ。テレビの中のヒーローが実在してたなんて」

「何言ってるのさ。それ言ったら、ロストロギアや次元世界だってありえないでしょうが。魔法だってありえないでしょ。
ここに居るメンバーの大半は元からそういう常識に触れてるから不思議に思わないだけで、僕からしたらここは夢の中だよ」

「・・・・・・あー、それは言えるなぁ。あんまりやったから、忘れてたけどそれは正論や。
あんな、みんな。うちも恭文やなのはちゃんと同じく地球出身やから、言いたい事は分かるんよ」



はやては僕の方を見ながら、苦笑し気味にそんな事を言う。



「地球の一般常識で言えば、みんなの存在自体がありえんよ? うちがこんな仕事しとる事もや。
『自分の常識外だからありえん』とか、マジ意味ないで? そんなん人生つまらなくするだけやし」

「あの、二人も言いたい事も分かるけど・・・・・・・あぁ、でも反論出来ないよね。
私達の事だって、もしかしたらどこかの世界でテレビの中の話になってるかも知れないし」

「かも知れないよ? それでファンが沢山居たりとかさ。・・・・・・だけど良太郎さん」

「うん、何かな」

「多分フェイト達が『信じられない・ありえない』って言うのは、良太郎さん達の存在どうこうだけじゃないんですよ。
・・・・・・なんでそんな良太郎さん達が、ミッドの事を知ってるのか。どうやってこっちに来たのかって話もあると思うんです」



そう言ってから頭を抱えていたフェイトの方に視線を向けると、フェイトはかなり全力で頷いた。



「えっと・・・・・・やっぱりかな」

「やっぱりですね。ね、みんな?」



それは他のみんなも同じらしく、僕の言葉に全員揃って頷いた。まぁ確かに・・・・・・ここは疑問点だよなぁ。



「あー、それは私も同意見だわ。まぁ良太郎くんやモモタン達が居るのは喜ばしいけどさ。いや、マジでね?」

≪姉御、念押ししなくていいぞ? それはもう顔見れば誰でも分かる事だ≫

「モ、モモタンっ!? おい、オバチャンっ!!
今なんっつたっ!! 俺をそんな可愛らしい名前で呼ぶんじゃ」

あ?

「すみませんっ! モモタンで構いませんお姉様っ!!」



モモタロスさん・・・・・・ヒロさんにその発言はアウトですから。まぁ知らなかったんだし、しょうがないか。



≪・・・・・・姉御の殺気って、イマジンにも通じるんだな≫

「やっさんの戦慄が通じたくらいだしな。ヒロのが通じても不思議じゃないだろ。アイツらの殺気は、悲しい事にノーボーダーなんだよ」

≪主、それは次元世界にとって不幸ですね≫



サリさん、どういう意味ですかそれ。・・・・・・話を進めようっと。



「野上殿、私達もまずそこをお聞きしたい。あとはどうして蒼凪の事を知っているのかもですね」

「・・・・・・あ、そう言えばっ! あなた達、どうしてヤスフミの事を知ってたんですかっ!?」

「あの、そこも説明します。実はですね」

「まずミッドにも、時の線路はあります。今回それを使っただけの事です」



その声は、会議室のドアの方から。そちらを見ると・・・・・・黒服タキシードでオールバックな男の人が居た。



「時の流れに、世界は関係ありません。ただ、流れていくだけですから」



というか、気配察知も出来ずに入ってきていた。こ、この人・・・・・・まさかっ!!



デカ長っ!!

「はい。・・・・・・機動六課の皆さん、初めまして」



この人は、時の電車・デンライナーのオーナー。ただし、今回は。



「デカ長です」



思考が読まれたっ!? な、なんか自信満々に笑ってるのがムカつくんですけどっ!!



「さて、恭文君、アルトアイゼン君、初めまして。ふむ、話通り・・・・・・小さいですね」

「誰がちいさ・・・・・・って、やっぱ僕の事知ってるしっ!!」

「・・・・・・君、そうとう頑張ってたらしいね。8年ほど。
いや、それだけ糸が引くまで待てるなら、立派な釣り師だよ。それに彼女、相当な大物みたいだし」

「はい?」



え、なんかいきなりな話されてるんですけど。いきなり過ぎて、マジ意味が分からないんですけど。



「なんかよ、あの金髪ねーちゃんにスルーされまくってたんだろ? 告っても気付いてもらえないとか」

『はぁっ!?』

「お前は小さくても漢やな。よう・・・・・・耐えた」

「恭文凄いよね。僕達、おじいちゃんからお話聞いて、たくさん泣いちゃったもん」

「まぁあれだ、今度プリン奢ってやるよ。遠慮無く・・・・・・食えっ!!」



いや、あの・・・・・・涙ぐむのは止めてっ! というか、どういう事ですかこれっ!?



「良太郎さん、ホントに説明してっ!? さすがにここまで知られてるとストーカーされたのかとかって勘ぐっちゃうからっ!!」

≪あなたの不幸は世界を超えて有名ってだけでしょ。問題ありませんよ≫

「そんなワケがあるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「あぁ、落ち着いてっ!? ちゃんと説明するっ! ちゃんと説明するからー!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「困ったね」

「困りましたね」

「でも、早く何とかしないと」



先日の色んなゴタゴタからそれほど時間が経たずに僕は、再びデンライナーに乗り込んでいた。

原因は、現存しているはぐれイマジン達の動きが活発になった・・・・・・だけなら、よかったんだけどなぁ。



「でも、本当なんですか? その・・・・・・異世界にイマジン達が出てきてるのって」

「確かじゃ。どうも向こうでそれっぽい事件が起きとるらしい。ワシの言う事に時折間違いはないわい」

「なら・・・・・・あの、時折ってなんですか?」



今僕達と一緒に居るのは、身長150p前後のおじいちゃん。名前は・・・・・・ヘイハチ・トウゴウさん。

あの事件のすぐ後に、フラっとチケットを持ってデンライナーに乗り込んできたらしい。



「でもちょっと信じられないです。異世界もそうですけど、魔法や魔導師なんて言うのもあるなんて」

「なんじゃ、時の電車なんちゅうもんに乗っとるのに、頭硬いのぅ」

「それを言われると、なんとも」



いや、実際にヘイハチさんの魔法を見せてもらったから、信じるしかないんだけど。

でも異世界・・・・・・なんというか、SFの領域だよね。さすがに驚きかも。



「つーかよ、そんなごちゃごちゃ言わずにその・・・・・・水戸納豆か? そこ行って、いつも通り暴れればいいじゃねぇか」

「先輩、水戸納豆じゃなくてミッドチルダだよ。というか、『ミ』しか合ってないし」

「うっせぇっ! 細かい事気にすんなっ!!」



もちろん僕達はモモタロスに言われるまでもなく、そうするつもり。でも問題がある。



「そやけどその時空管理局か? なんちゅうか、じいさんの話を聞くに胡散臭い匂いがプンプンするなぁ」

「それにその組織、最近トップの不正が原因で大規模テロなんて起こったんでしょ?」



ヘイハチさんの話だと、そうらしい。時空管理局って言う警備組織は、良いところばかりじゃないみたい。



「そんなところにデンライナーや僕達がノコノコ出たら・・・・・・ヤバイよ」

「亀ちゃん、どうヤバいの?」

「デンライナー、乗っ取られちゃうかも知れないって事。
今度はジャックとかじゃなくて、完全に取られちゃうかも」

「えー! そんなの嫌だー!!」





魔法が使えても時を遡れる電車なんてその世界では無いそうだし、これはありえない話じゃない。



それにどうも僕も、このまま行くのは嫌な感じがする。あ、ここは別に時空管理局の事だけじゃないんだ。



だって僕達だけでそんな知らない世界を動き回っても、絶対に行き詰まるもの。





「なんじゃ、お前さん行く気満々かい」

「はい」

「やはりのぅ。てか、即答かい」





まぁ・・・・・・・姉さんにも心配かけちゃうだろうけど、このままはダメだと思う。

その世界には、電王やデンライナーみたいな存在はリアルには居ないらしいんだ。

というか、僕達がその・・・・・・テレビのヒーローになってるらしい。なんか恥ずかしいんだけど。



とにかくそんな世界でイマジンがどうしてその世界に出てきたのかも気になるし、やっぱり行かなきゃいけないと思う。





「・・・・・・仕方ないのぅ。アイツらに渡りをつけるか」

「アイツら?」

「お前さん方の危惧は、管理局の手でデンライナーやら電王が接収されるような事じゃろ?
もっと言えば、管理局が敵になり、正常な時の運行の妨げになる」

「そうですね。あなたが元居た組織の事をこう言うのは失礼ですが・・・・・・信用出来ません。
デンライナーの事を知れば、私欲のために使おう輩は出てくるでしょう」



オーナー、さすがにそれは言い過ぎじゃあ・・・・・・いや、ヘイハチさん笑ってますけど。



「じゃからワシが局の中でもそうとう偉くて、信用出来るやつらを紹介する。
そいつらにミッドでのイマジン対策は協力してもらえばえぇじゃろ」

「ヘイハチさん、それ本当ですか?」

「おう、本当じゃ。ただし、後はお前さん達次第じゃ。
これはお前さん方の戦い。それに横から口出しするのは好かん」

「それで十分です。あの、ありがとうございます」










こうして僕達はヘイハチさんのツテで、ある人を紹介してもらう事になった。





でもデンライナーの中からその世界に通信・・・・・・な、なんか魔法って凄いかも。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『いきなり連絡してきたと思ったら・・・・・・またぶっ飛んでますね』

「だが、事実じゃ」

『どうやらそのようですね。えっと・・・・・・野上良太郎君で大丈夫だろうか』

「あ、はい」



その男性・・・・・・クロノ・ハラオウンさんが、空間モニターって言うものの中から僕を見る。

というか、テレビ電話かな? あの、やっぱり驚きかも。本当に凄い世界なんだ。



『君はどうしてそこまでするんだ?』

「え?」

『話を伺う限りでは、君は一般人に戻っている。もうイマジンと戦っているわけではない」

「まぁ、一応。なのにどうしてか事件に巻き込まれたりはありますけど」





いや、それでもターミナルに呼び出されて、みんなと二代目牙王と戦ったりとかはあったけど。



あとは刑事になって捜査したり、電王の偽物と戦ったりとか。



最近だと・・・・・・あれも大変だった。というか、孫と会えるとは思わなかったよ。





『・・・・・・君はもしかしなくても運が悪いのか?』

「・・・・・・天文学的とよく言われます」

『そうか。・・・・・・だが今回はそれで巻き込まれたというわけでも無い。なのにまた君は戦おうとしている。
それも一日前までは全く知らなかった、別の世界のためにだ。当然それなりの危険も伴なうだろう。どうしてだ?』



どうして・・・・・・か。そんなの、決まっている。やっぱりそこは、そこだけは変わらない。



「僕がやらなきゃいけないと思うからです」

『だが先程も言ったように、ここは君の住む世界とは別世界だ。自分には、関係が無いとは思えないか?
時空管理局という組織なら、なんとかしてくれる。そうは考えられないだろうか。僕達も話を聞いた以上は尽力するが』

「そんな事出来ません」



クロノさんはずっと僕の事を見ている。だから、僕もまっすぐに見返す。



「・・・・・・弱かったり、運が悪かったり、何も知らないとしても・・・・・・それは何もやらない事の言い訳にはならない。僕のよく知っている人が、そう言ってました」





電王になった時と同じ。別の世界とか一般人とかそんなの関係無い。僕はこのまま見過ごすなんてしたくない。

僕はミッドチルダへ行く。そして戦う。だって、その世界の人達にだって、記憶と時間がある。

きっとそれは僕達と変わらない。すごく大事で、大切なもののはず。それだけは確かだと思うんだ。



それに・・・・・・そんな事してその世界が消えちゃう事になったら、きっと後悔するしね。





「ま、そういうこった。悪いがあんちゃん、こいつの強情は筋金入りでよ。そんな緩いのじゃ止まんねぇぜ?」

「・・・・・・モモタロス」

「つーか、細かい事なんざどうだっていいんだよっ! ガタガタ抜かさずに俺達に暴れさせろっ!!」

『後ろの君達も気持ちは同じか』



いつのまにか、みんなが側に居た。そして、一緒にクロノさんを真っ直ぐに見る。



「まぁ僕は素敵な女性に出会えるなら、どこへでも行きますよ。異世界だろうと、海の底だろうとね」

「俺は良太郎がやるなら、付き合うだけや。場所なんぞ関係あらへん」

「僕も僕もっ! おじいちゃんの生まれたところを見てみたいし、魔導師って面白そうだしっ!! 」



みんな・・・・・・そうだよね、一人じゃない。だから、きっと大丈夫。みんな、一緒に戦ってくれる。



『・・・・・・どこにでもうちの愚弟のようなのは居るんですね』

「そうじゃろ? 運が悪いとことか、こうと決めたらやたらと強情なとこなんかそっくりじゃ」

『そうですね。まぁ気が合いそうで安心しました』

「つーか合うじゃろ。色んな意味での」



えっと・・・・・・あの、話がよく見えないんですけど。というか、二人共どうして僕を見て笑うんですか?



『では僕の方で出来る限り力を貸します。もちろん君達の事は内緒にした上でだ』

「ホントですか?」

『あぁ。時を超える電車など僕達が預かっても、使いようもないし困る人間が多数だ。ここはしっかりやらせてもらう』

「・・・・・・ありがとうございます」



よくは分からないけど、上手くいったみたい。僕はホッと胸を撫で下ろす。



「つーわけでクロノ。恭文とアルトに協力させといてくれ」

「・・・・・・恭文? アルト? えっと・・・・・・それって確か」

「そうじゃ、ワシの弟子と元相棒じゃ。アイツらなら、お前さん達の力に必ずなるじゃろ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・・・・・・・というわけなんです」

・・・・・・・・・・・・そんなのありえないでしょっ!!

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! あの、分かるんですっ!! でもこれ本当なんですっ! 嘘じゃないんですっ!!」



ねぇ、どうすりゃいいの? これ僕達はどうすればいいの? とりあえず泣けばいいのかな?



「先生・・・・・・デンライナーに乗っていたなんて」

≪というかあの人、どこへ行くつもりですか≫

「アルト、それは僕が聞きたい。でも・・・・・・羨ましいなぁ」

「ヤスフミ、それ違うよっ! 私達はもっとこの非常識な現実に立ち向かうべきじゃないかなっ!!」

「いいじゃん別にっ! 僕は楽しいのよっ!! そして羨ましいのよっ!!
だってデンライナーで時の中を旅してたのよっ! うぅ、先生羨ましいよー!!」










あぁ、ワクワクだよー。ドキドキだよー。時の中を走る電車が本当に在って、電王も居たんだよ?





どうしよ、僕六課に来て以来一番なレベルでときめいてる。今の状況がめちゃくちゃ嬉しい。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あー、やっさんがめっちゃ瞳キラキラさせてる。それ見て、みんな何も言えなくなってる。





まぁやっさんからするとどうしてもなぁ。きっと今頃、デンライナーに自分が乗ってる様を想像してるんでしょ。










「・・・・・・いや、なんつうかすみません。うちの師匠、きっとご迷惑をかけてますよね?」

「いえいえ。チケットはありますし、車内では至って普通に過ごしておられますから。問題はありませんよ」

「ヘイハチ先生・・・・・・そうならそうで私にも教えとけよっ! なに勝手にデンライナー乗り込んでるっ!?」



でも、ワクワクドキドキで瞳を輝かせてるのはやっさんだけじゃない。

今オーナーに平謝りなサリや、私だって同じだ。



「私より先にモモタンとコンタクトっておかしいでしょうがっ!!」

「いや、アンタもヒロリスさん達も、それで納得出来るんですかっ!? 時の電車とか、無茶苦茶過ぎでしょっ!!」



アレ、なんかみんなはめっちゃ不満そうだし。しかも疑わしげだし。



「そうですよっ! テレビのヒーローが実際に居て、その怪物がミッドに居るなんてありえませんっ!!」

「あの、僕も正直・・・・・・信じられないです。こんな話聞いた事ないですし」

「私もスバルさん・・・・・・ううん、みんなと同じです。何かの間違いというのは考えられないでしょうか。
実際は私達の知らないレアスキルを用いた犯罪で・・・・・・私達はそっちで調べるべきだと思います」

「・・・・・・あのねぇみんな、どうして若いのに私ややっさんより頭固いのよ。みんなの方がありえないよ」



だからこそ、私とやっさんとサリはみんなをKYだと言いたげな目で見るわけだよ。

特にやっさんの目は凄いよ? めっちゃつまらなそうな目でみんな見てるから。みんな怯えてるから。



「さっきやっさんと八神部隊長が言ってたでしょ? 『ありえないなんてありえない』ってさ。
てーか、仮にキャロちゃんの言う通りだとしてもその思考はいただけない。捜査の邪魔だよ」



捜査に必要なのは、常識に囚われない柔軟な思考だよ。もちろん証拠や現状に基づいた上でね?

事件に携わって、真実を追い求める人間が『ありえない』なんて簡単に言ってるようじゃあ、管理局もお先真っ暗だね。



「ね、フェイトちゃん?」

「それはその・・・・・・はい。なによりみんな、残念だけどヘイハチさんが関わってるなら多分これは事実だよ」

『フェイトさんが折れかけてるっ!?』

≪ブロンドガールの言う通りだ。色んな意味でぶっ飛んでるのさ。なによりお前ら、ボーイを見ろ≫



そうアメイジアに言われて、四人は恐る恐るやっさんを見る。

そう、瘴気を発してみんなを視線で『このKY共が』と威圧しているやっさんをだ。



≪これ以上今のボーイを怒らせない方がいいぞ。俺らもこれは止められねぇや。
なによりボーイは元々こういう不可思議な事や常識外な事が好きだからな≫

「アメイジア、そうなの?」

「そうなんだよ。まぁアンタ達がそう言いたくなる気持ちも分からなくはないけど・・・・・・受け入れな?
どっちにしたってイマジンらしき怪物は出てんだ。思考を縛ってたら対処なんて不可能だよ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪でも、これでどうしてこの人を知っていたかも含めて納得出来ましたね。まず今までの事件は、全部イマジンの仕業≫

≪だな。犯人に記憶が無かったのは、取り憑かれていた影響だ。
良太郎の兄貴みたいな特異点じゃねぇと、意識完全に無くなっちまうしよ≫

≪だがそれだけではない。この調子だと・・・・・・今までに何度かイマジンに過去に跳ばれているぞ≫

「あ、そこは大丈夫よ? あなた達は知ってると思うけど、二人が先に来て事件に対処してるみたいだから」

≪あ、そうなのか。ならまずは大丈夫だな≫



アメイジアは安心したようにそう言うけど・・・・・・よし、ここは今はいい。

とにかく僕達はイマジンを何がなんでも止めて、発生の原因も突き止めなきゃいけない。



「良太郎さん、僕とアルトは全力で協力します。というわけではやて、僕機動六課辞めるから」

『はぁっ!?』

「それで僕はデンライナー署の一員だっ! それでクライマックスに事件解決だっ!! いやっほー!!」



あぁ、やっぱ生きててよかったっ! つまらん常識に囚われない生き方しててよかったっ!!

今年はきっと大吉年だっ! 引いたおみくじが大凶だったのは、ただツンデレなだけなんだっ!!



「待て待てっ! 協力はえぇけどなんで六課辞めるんやっ!!」

「そうだよっ! 恭文君、そこは意味分からないよっ!? というか、勝手な行動はダメっ!!
恭文君は嘱託でも六課の部隊員で、みんなの仲間なんだよっ!? 動くなら私達の指示を待って」

「うっさいわバカっ! お前ら空気読めっ!! このKYがっ! 自重しろっ!!」

「それは恭文君だからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! しかも瞳キラキラし過ぎだから落ち着いてっ!!」



さて、早速装備の手入れだ。それでそれで、事件解決まではデンライナーで・・・・・・うぅ、最高だー。



「恭文君ごめんっ! そこは僕達も分からないからっ!!
というか、少し落ち着こっ!? 君ちょっとテンションおかしいからー!!」

「私の方は問題ありませんよ? むしろ協力していただけるならありがたいですし」

「ありがとうございますっ! 粉骨砕身の決意で頑張らせていただきますっ!!」

一体どこの横綱就任っ!?



うしっ! デカ長に認められたから問題なしっ! 僕はこの瞬間からデンライナー署の刑事(デカ)だっ!!



「デカ長も受け入れないでー! お願いだからこの子を止めてー!!」

「・・・・・・これはまた、強烈なキャラだね。先輩より個性的じゃないの?」

「亀、お前そりゃどういう意味だ。てーか俺はアイツよりマトモな自信があるぞ」

「そうね。モモ、今回に限り私もそこは認めるわ。でもあの子、ヘイハチさんから聞いてた以上ね」










アレ、どうしてかフェイトがすっごい心配そうに僕を見てるなぁ。





でも気にしなーい。僕はデンライナー署のデカだからー♪




















(第2話へ続く)





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『仮面ライダー電王っ!!』





「えぇっ!?」

「あの人はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



「あの、これって」

「過去でイマジンが暴れてるんだよ」

≪こうやって、時間を消していくんです。人も、過去も、未来も≫



『変身』

「お前達、倒すけどいいよね? 答えは聞いてないっ!!」





第2話『ライド・オン・ミッドチルダ』





「絶対にやんなきゃいけない事だってのは、よく分かったよ」




















あとがき



古鉄≪さて、いきなりですが始まりました新連載っ! 時期的にはちょうど、はやてさんの問題が解決した直後からになります≫

恭文「・・・ついにやっちゃったね。いや、僕達・・・というか、作者っ!!」





(作者、ブースの隅で、色んなものに怯えてる。だけど、ちょっと嬉しそう)





古鉄≪さて、予定としては8ー9話で終わる予定のこのお話。皆様ご存知『仮面ライダー電王』とのクロス第1話、いかがだったでしょうか?≫





(作者注:下書きだと、それくらいでした。長編と言うより・・・劇場版? Vシネマ?)





古鉄≪なお、ネットで(ピー)してはいけません。不吉な雨雲が出てきますから。というわけで、どうも。古き鉄・アルトアイゼンです≫

恭文「なお、8ー9話で下書きもあるので、修正しつつ投稿で完結はさせるそうです。
・・・と言って雨雲を追い払ってみた蒼凪恭文です。しかしさ・・・ついにきたねっ!!」

古鉄≪はい。いや、劇場版チックに最初はカーチェイスですよ。そして・・・≫

恭文・古鉄≪「俺達、参上っ!!」≫





(青い古き鉄コンビ、意味無くハイタッチ。それくらい嬉しいのだ)





古鉄≪まぁ、今回は劇場版2作目へのオマージュ的なあれで、あえて同じ構成に・・・というか、これでいいですよね≫

恭文「刑事だしね。うん、これじゃなきゃだめなのですよ」

古鉄≪とにかく、次回ですよ次回≫

恭文「次回予告なんて付けたしね。もう、やるっきゃないでしょ」

古鉄≪というわけで、本日はここま≫

???「「ちょっと待ってっ!!」」





(突然、ブース内に乱入者。当然視線はそちらに集まる)





古鉄≪・・・どうしたんですかあなた方≫

フェイト「どうしたもこうしたもないよっ!! ・・・あ、皆さん、突然失礼します。フェイト・Tハラオウンです」

ギンガ「同じく失礼します。ギンガ・ナカジマです。・・・というか、なぎ君、これはどういう事っ!?」

恭文「・・・あとがき」

ギンガ「そういうことじゃないよっ! いきなりクロスって、意味が分からないよっ!!」

フェイト「というか、電王ってなにっ!? 作品を知らない人は、訳が分からないからっ!!」

恭文「・・・あのね、二人とも? 世の中には、Wikipedi○っていう便利なものがあってね・・・」

古鉄≪そちらで検索していただければ・・・≫

フェイト・ギンガ「「それでなんでも済まそうとしないっ!!」」





(この二人、何故だか無駄に息が合っている。・・・なしか?)





ギンガ「どうしていきなり大分弁っ!?」

恭文「あー、もう分かったよ。それじゃあこの話を読んでて、電王を知らない人のためにここからは・・・」

古鉄≪知識0でもなーんとなく分かるっ! 仮面ライダー電王講座ー!!≫





(突如、ファンファーレが鳴り響く。そして・・・スタートっ!!)





フェイト・ギンガ「「・・・え?」」

恭文「というわけで、早速ですが仮面ライダー電王という作品について、ざっと説明します」

古鉄≪仮面ライダー電王は、テレビ朝日系列で、2007年1月から1年間で全49話放送された特撮番組です。
なお、名前からも分かる通り、仮面ライダーシリーズで、平成ライダーシリーズと言われる作品群では、8作目となる作品です≫

恭文「で、この電王。ライダーシリーズの中でも、数々の偉業を達成しております」

フェイト「・・・というと?」

恭文「関係CDやらの売上が相当数いってたり・・・って、この辺りは大人の話だからいいとして・・・電王は、3度劇場公開されてるの」

ギンガ「あの、それって凄いの? こう、私もフェイトさんも今一つ分からないんだけど」





(すごいことなんです)





恭文「平成ライダーって、2作目のアギトからずっと、夏に1本映画が作られてるの」

フェイト「じゃあ、それ以外にもう2本・・・ということかな。(手元に資料がとどく)
・・・え、2本とも、番組が終わった後に放映したのっ!?」

ギンガ「しかも、3本目は放送終了から半年以上経ってるっ!!
・・・それだけ人気があったということなんだね。だから、作者さんも大好きと・・・」

恭文「僕とアルトもね。・・・で、それだけの成功を納めた電王がどんなお話か、ざっとですが紹介します」

古鉄≪なお、作者の独断と偏見が多分に混じっています。・・・Wikipedi○見ながらとかは、危ないので≫










仮面ライダー電王:本当にざっとなストーリー紹介。





とても運の悪い青年、野上良太郎はその日・・・2つの偶然に遭遇した。

1つは、時の電車・デンライナーの乗客であるハナが落とした黒いパスケースを拾ったこと。

そしてもう1つは・・・未来からの侵略者・イマジンに憑りつかれてしまったこと。





この不運とも取れる偶然のおかげで、良太郎は『電王』となり、時を守る戦いに身を投じることとなる・・・。










古鉄≪・・・あとはWikipedi○で≫

ギンガ「本当にそれ好きだよね。というか、これだけっ!?」

恭文「ここでストーリーのネタバレしまくっても、アウトでしょうが。
あと僕達に出来るのは、キャラ紹介とWikipedi○が素晴らしいということを知らしめることくらいだよ」

フェイト「・・・確かにそうかも。あとは、実際にディスクを見て・・・って、感じ?」

恭文「そうだね。まぁ・・・キャラと出てきたものの紹介くらいはしようか」

古鉄≪そうですね。では再び・・・独断と偏見のキャラクター紹介と、アイテム説明です≫










野上良太郎 (役者:佐藤 健)





言わずと知れた仮面ライダー電王の主人公。

歴代ライダー最弱というキャッチフレーズが放映当初に出ていたが、それは正しくもあり、間違いでもある。最弱であり最強。それが、野上良太郎である。

そんな彼は一言で言うなら・・・運の悪い青年。





その天文学的な運の悪さによって(不良によく絡まれる。自転車に乗ったまま大ジャンプして、木の上に乗っかる・・・etc)、生傷の絶えない日々を過ごす。

普段こそ、気弱で振り回されやすい、戦うことなど出来そうにない印象だが、芯は強く、かなりの頑固者。大抵のことでは揺らがない。





自身の運の悪さ故に人の不幸や痛みには人一倍敏感。それもあって、電王として人の時間と記憶を守る戦いを、続けていく。










モモタロス (CV:関 俊彦)





第1話『俺、参上っ!!』で登場。・・・というか、良太郎に初めて憑りついたイマジン。

その姿は、良太郎が『子どもの頃、ヒーローだと思っていた』という、桃太郎の赤鬼のイメージから構築された。

なお、本人はその姿と『モモタロス』というネーミングに不満がある。





とにかく、派手にカッコよく暴れるのを信条としており、味方であるはずのイマジン達と(仕方なしとは言え)戦うことになっても、気にしない。

というより、電王での戦いが気に入ったので、問題はないらしい。

なお、近年稀に見るツンデレ。





決めセリフ:『俺、参上っ!!』 『俺は最初から最後まで、クライマックスだぜっ!!』 『必殺っ! 俺の必殺技っ!!』(バージョン違い多数)










デンライナー





現在進行形で時を走る電車。その運航は、非常に厳格なルールの元で行われている。・・・多少の融通は効くが。










電王・ソードフォーム





良太郎にモモタロスが憑依して変身出来る形態。その名の通り、武器は剣。





戦闘スタイルは、剣によるノーガードのラッシュ攻撃。勢い任せに何度も斬りつける。

なお、電王の基本スタイル扱いを受けている。










恭文「・・・いや、ネタバレしないように紹介していくのって、大変だね」

古鉄≪だから、Wikipedi○に≫

フェイト「それはもういいからっ! というか、これだけでいいのっ!?」

恭文「いいのよ。とりあえずこれだけ知っておけば、電王は楽しめる・・・はず」

ギンガ「なぎ君、なんでそんなに弱気なのっ!?」

恭文「Wikipedi○には勝てないからだよっ! ・・・で、なんか二人は質問ある?」

フェイト「えっと・・・特には無いかな」

ギンガ「私も・・・。やっぱり、物を見ていないから」

恭文「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、だよね。分かってた。このコーナーの意味が無いことも分かってた。
よし、『Wikipedi○見ろ』で押し通すぞー!!」

古鉄≪というより、原作を見てください。・・・こっちのほうがいいでしょ≫

恭文「そうだね」





(・・・というわけで)





恭文「そろそろお別れの時間です。つーかこのコーナーは次回はやりませんっ! 蒼凪恭文とっ!!」

古鉄≪このお話では、Wikipedi○を応援しています。古き鉄・アルトアイゼンでした≫

恭文「アルト、僕ちょっとやけ食いしたいんだけど、いい?」

古鉄≪いいと思いますよ? 無駄な労力使いましたし≫

フェイト「あの、恭文もアルトアイゼンもごめんっ! 私達が悪かったから、そんな自棄っぱちにならないでー!」

ギンガ「ねぇ、どうしてそっぽ向くのっ!? お願いだからこっちを見てくれないかなっ!!」










(それでもいつものようにフェードアウト。
本日のED:『Climax Jump』)




















恭文「という事で、電王きたー!!」

フェイト「ヤスフミ、嬉しそうだね。というか、そんなに好き?」

恭文「うんっ!!」

フェイト「そうなんだ。じゃあ、これから頑張らないとね」

恭文「もちろん。というわけなので、次回もこの調子で行っていいかな?」

フェイト「答えは聞いてないっ!! ・・・・・・で、いいの?」

恭文「バッチリっ!!」






(おしまい)





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あきゅろす。
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