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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
Report15:おまけとあとがき



おまけその1:色々とお悩みのお三方




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




『・・・・・・しかし、今回は本当に忌々しい事ばかりだ』

『そうだな。まぁもうよいではないか。あの世界の人間達には勝手に滅んでもらえばいい。
我々管理局や世界に迷惑をかけないようにしてもらえれば、それで充分だ』



この人達と居る時、平静を装うだけの余裕はあるけど・・・・・・普通に爪で引き裂きたくなる時がある。

例えば今ね。どうやら人間というのは、心と肉体の両方を持って『人間』と言うらしい。



『しかしGPOの連中はもう少しなんとかならんかったのか。解体しても誰も困らんだろう』

『それは無理だな。マクガーレンの狸が何をするか分かったもんじゃないぞ。
いや、あの王子を利用して・・・・・・これはダメだな。これではどこかの犯罪者と同じだ』

『そうだな。我々は世界の管理と平和維持のために動く組織だ。そんな事をしてはならん』



その身体の作りどうこうは関係ない。ぶっちゃけデバイスだったとしても、それでいいんだと思う。

ただ、この人達のように身体そのものを捨てた存在は、まるで自分が神であるかのような錯覚を起こしている。



『だが、邪魔な存在を世界のために排除する事は許される。例えば・・・・・・古き鉄だ』

『ヘイハチ・トウゴウの亡霊であり次元世界の恥部・・・・・・どこまで我々が作り上げた世界を乱すつもりだ』

『反逆者を止めた功績だけでは贖えない罪だな。いや、そもそもそんな功績すらない』

『そうだ、その功績は我々管理局のものだ。GPOもそうだが恥部にそれを手にする権利はない。
・・・・・・この若造には罪しか存在しない。生きているだけで我々が守るべき世界を乱す害虫だ』



目の前のコンソールパネルを操作しながら、徐々に沸き上がってくる殺意をなんとか抑え込む。

別にあのおチビちゃんどうこうじゃない。私、こういうタイプの男が死ぬ程嫌いなの。



『今回の事とて、親和力などというものが無ければ普通に我々が育て上げた優秀な人員だけで何とか出来た。そこは間違いない。
それに関してはGPOも同じ。連中は管理局をいたずらに貶め潰そうとしているテロリストも同然だ。早いうちに対処しなければ』



どうやらこの屑共からすると、管理局を傷つける存在は誰であろうと全員テロリストらしい。

なら、そのテロリストが今目の前で自分達の状態観察を行っていると知ったら、どうなるだろうか。



『まぁ古き鉄はジェイルに任せれば良い。
あの男はこの恥部の何が気に入ったのか、かなりご執心らしいしな』

『そこには触れてやるな。自身が首輪付きだからこそ、自由気ままな無責任な連中に心引かれるのよ』



えぇ、知ってるわ。そしてその理由は分かる。あなた達のように進化していく可能性を捨てていないからよ。

そうね、私的にもあなた達よりも好みよ? あんな可愛い感じの子に色々教えてあげるって言うのも、結構楽しいものですし。



『あとはGPOだが・・・・・・まぁ、適当に利用してやればいいだろう。
そして我々の方で手を回して、似たような働きをする部署を作る事にしよう』

『おぉ、それは名案だ。そうすればあのテロリスト共を排除する事が出来る。
全く・・・・・・いっそ全員公女共々共倒れになってくれればよかったというのに』

『本当だな。世の中というのは、どうしてこうも思い通りにならないものか。
だが、だからこそ我々は日々邁進せねばならん。『すばらしい世界』を継続するためにな』










・・・・・・ドクター、普通に決起前だけどコイツら殺していいですか? なお、答えは聞いてません。

あぁ、分かってるわよ。確かにムカつくしイライラもするけど、ここでそれをやっても得はない。

でもこういう屑なのを見てると吐き気がするのよ。コイツらはどんだけ管理局が大事で大好きなのかしら。





もしもこんなのにハニートラップしかけろとか言われたら、さすがに拒否するレベルで引いているわ。

だから・・・・・・また定時連絡でドクターの尻をひっぱたく事にする。もう限界。もうこんな職場は限界。

確かに私は潜入と暗殺のプロで戦闘機人で、普通の人間よりはそういうのを耐えられるように作られてるわよ?





でも人というカテゴリーに居る以上、限界地点はあるの。私にだって男を選ぶくらいの権利はあるの。






なので、私はドクターの尻を引っ叩いて計画を早めに進めるようにと進言する事にした。主に私のために。




















(おまけその1:おしまい)




















おまけその2:別れた後に気になったあの言葉




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



新分署目指して、私達は移動を開始。てゆうか、なんかアレよね。

・・・・・・のどかよねぇ。普通にEMPとはある意味では正反対な感じよ。

てゆうか、確か次元世界だと管理世界の認定の条件ってアレよね?





その世界が次元航行技術を確立出来たかどうか。もっと言うと、次元世界の存在に気づけたかどうかよね?

今目の前の風景を見ると、そこをどうやって確立させたのかが私は非常に気になるわ。

でも、空気は美味しいし環境もいいし、私は好きかな。えぇ、何気に私は自然とか大好きなのよ。





だからまぁ・・・・・・うん、普通にここで仕事をしていくのはちょっとは楽しみかも。










「・・・・・・そう言えばナナちゃん」

「何よシルビィ」



私の隣を歩いてるシルビィは、あのバカのせいで瞳が真っ赤。

・・・・・・全く、慣れないアバンチュールなんてするからそうなるのよ。



「ヤスフミと一体何話してたの?」

「・・・・・・シルビィ、普通にアバンチュールは継続?」

「もう、違うわよ。なんかこう、フェイト執務官の牙城は崩せなかったしね。
・・・・・・って、そうじゃない。だって私も聞いてて意味が分からなかったから」



あぁ、それで単純に疑問が生まれたと。まぁ当の恭文もさっぱりだったしなぁ。

つまりよ、『あの子達』のような存在に会った事がないのよね。うん、そこは分かった。



「簡単よ。・・・・・・あ、これは恭文には内緒にしておいてね?
下手に自覚すると、焦ってダメになっちゃう可能性もあるから」

「え、えぇ・・・・・・あの、ナナちゃん?」

「恭文のこころの中にはね、たまごがあるの」

「・・・・・・たまご?」





私の出身世界・・・・・・プロミスランドはガチな異世界。そこは子ども達の童心の力によって構築された世界。

もっと言えば、夢や未来への可能性に溢れた世界でもあるの。まぁ、今は昔よりも衰えてるけど。

文明と社会の発達は、決していい事ばかりじゃないわ。発達する事によって奪われた可能性もあるの。



それによって、今という時代は子ども達からすると色んな夢を描きにくい時代でもあるの。

だからプロミスランド自体もまぁ、子ども達が居なくなるなんて事はないから、存続はし続けられる。

ただそれでも昔ほど童心・・・・・・夢や可能性が溢れてはいないわ。



私のおじい様が少し悲しそうにそんな話をしていたのを、恭文を見て思い出したの。そして思い出したのはもう一つある。





「そうよ。こころのたまご。その中にはその人間の夢や未来への可能性が詰まってるの」



それがこころのたまご。言うなればそれは童心そのものと言ってもいい。

こころのたまごからプロミスランドに童心が送られてると言ってもいいの。



「それは誰にでもあるのよ? アンタの中にも、他の連中の中にもね」



それは言うなら大気の循環にも似た、とても大きな摂理のシステム。

大き過ぎるからこそ、普段は人の目には触れない深いところで眠っている。



「ただ、大人になるとたまごはかえって消えてしまうし、普通の人には見えない。だから分からないだけ」



互いが互いに共存し合うために必要な要素とも言えるわね。



「えっと・・・・・・一概には信じられないけど、でもあるのよね。だってナナちゃんも」

「えぇ。私だってガチに異世界の人間だもの。それでね、事件が終わってから恭文を見てて気づいたの」



私、なんかアイツの事嫌いになれなかったのよね。それもサクヤに初っ端から失礼かますのによ?

色んな行動を見て、一応でも仲間って感じになって・・・・・・それで改めて見て気づいた。



「もう一度言うけど恭文のこころの中にね、そのたまごがあるの」

「ナナちゃんがさっき話してたこころのたまご? ・・・・・・あれ、でも大人になるとかえって消えるって」



シルビィが疑問顔なのも分かる。恭文の年齢を考えると、もう子どもではなく大人のなりかけって感じだもの。



「アイツが仮に大人だとしても問題ないわ。大人でも持ってる人は居るのよ。
現実に晒されても、子どもの時みたいに自分の夢や可能性を大事に出来るならね」





ただ、これは本当に稀なこと。実際はそんなの簡単じゃないのよ。だからたまごがかえらずに消えて・・・・・・訂正。

自分の夢や願いを、自分の手で諦めと言う名の槌を振り上げて壊してしまう人も居る。

そんな人は新しい夢を描けるようになるまで、ずっと無気力でつまらなそうな顔で生きる事になるわ。



そういう人を『こころがからっぽ』って言うんだけどね、それはこう・・・・・・本当に悲しい事なの。



その可能性は、どんな自分にもなれるだけの力は、誰の中にも存在しているのに。





「それでね、恭文のたまごはその中でも凄く強い力を持ってて・・・・・・たまごの中の夢が一つの人格を持ってるの」



シルビィの顔が驚きに染まる。と言うか、軽く混乱しているけど・・・・・・私は構わずに言葉を続ける。



「そんなたまごをしゅごたま。中のキャラをしゅごキャラと言うわ。
これは言うなら夢と未来への可能性に『なりたい自分』が形になった、もう一人の自分なの」

「え、ちょっと待って。じゃあナナちゃんが言ってた『いつか言ってる意味が分かる』とか『会えない』とかのって」

「そういう事よ。恭文の中から確かに感じたの。そんな形になるほどの強い夢や可能性を。
まぁこういう仕事してると色々あるだろうけど・・・・・・それでもいつか生まれると思うわ」



私がアイツを嫌いになれなかった理由、なんか分かった。今までははっきりとは分かってなかったけどね。

アイツがそんな風に自分の可能性を・・・・・・こころのたまごを大事に育てられる奴だって感じてたからなんだ。



「・・・・・・もしそうなら、本当に産まれて欲しいな」

「シルビィ?」

「ヤスフミの周りの人達ってね、多分そのこころのたまごが壊れる事を望んでるから」

「・・・・・・え?」



それで簡単に聞いた。恭文に局に入って欲しいと思っている事とか、恭文の夢について。

あ、あくまでも簡単によ? 詳しくはルール違反だから聞いてはいない。



「・・・・・・そう言えば恭文、無理矢理に局に入れられそうになってたわよね」



あの魔王の通信の一端を思い出した。あんまりに恐怖が強過ぎて、そこの辺りが軽く曖昧だったけど。



「多分夢を描く限り、周りの人達のようにはなれない。だったら・・・・・・なのかなって」

「それはまた・・・・・・とんでもない連中ね。現実が大事なのは分かるけど、夢だって大事なのよ?
大体、しゅごたまになる程に夢が強くなる人間がどれほど居ると思ってるのよ」

「やっぱり少ないの?」

「えぇ。最近は子どもでも夢を見ない子も増えてる感じみたいだし・・・・・・あぁもう、腹立つわね」



ただまぁここは・・・・・・うん、メールアドレスも交換したし、普通にやり取りくらいはして様子を見よう。

色々世話が焼けるしらしくないとも思うけど・・・・・・やっぱ腹立つのよ。プロミスランドの住人としてはかなりね。



「・・・・・・でも、仕方の無い部分もあるのよねぇ。こころのたまごは普通の人間には見えないし」

「確かに私も・・・・・・あの、少し遠い少女時代にもそういうのは見たことないわね」

「でしょ? 外に出てないなら余計にね。
現に私だって恭文の事を注意深く見てなかったら、気付かなかったわよ」

「なるほど」



まぁ、そこにおじい様から聞いていたアレコレを、先日まですっかり忘れていたというのもあるけどね。



「・・・・・・でも、大丈夫じゃないかな」



シルビィが歩きながらも空を見てそんな事を言った。ここの空は・・・・・・ヴェートルと同じくらいに青く澄んでいた。



「ヤスフミは自分の夢、捨てきれないみたいだから。どんなに無茶でも・・・・・・捨てられないの。
誰に否定されても拭えなくて、捨てられない。きっと本当の夢って、そういうものだと思うから」

「・・・・・・なるほど。なんかこう、アバンチュールかましたアンタが言うと説得力あるわね」



だからこそ、自分からは何があっても夢を捨てる事なんて出来ない・・・・・・か。というか、なんだろ。

シルビィの言葉は凄く説得力があるわ。だから私も、なんだかすんなり信じてしまう。



「ふふ、まぁね。・・・・・・よし。それじゃあたまにメールして、友達として力になっていこうっと」

「え、それいいの?」

「いいのよ。うん、いいの。私・・・・・・ヤスフミよりお姉さんだもの。だからヤスフミが笑ってくれているなら、それだけで充分だから」

「・・・・・・そういうものですか」

「そういうものよ」










いつの間にか集団の輪から外れかけていた私達は、それだけ言うと歩速を上げる事に集中した。

・・・・・・恭文、マジでその子達の事、大事にしなさいよ? アンタ、普通に凄いんだから。

しゅごたまになってるのもそうだけど、それが二つもこころの中にある人間なんて、中々居ないのよ。





てゆうか、この私としてはマジで大事にして欲しいんだ。だからあんな風に言った。

アンタが夢や『なりたい自分』を諦めたら、その子達も消えちゃうから。

そうやってこころのたまごが消えちゃうのはね・・・・・・凄く悲しい事なの。





それが大人になる事と言われたらそれまでだけど、それでもよ。だからまぁ、少しだけ信じてあげるわ。





アンタがそんなバカをやらかすような愚か者じゃないってさ。・・・・・・うん、アンタはそんな奴じゃないわよね。




















(おまけその2:おしまい)




















おまけその3:ある日来たお手紙




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ヤスフミ、お久しぶり。・・・・・・というか、何気にウィハンの中で会ってたりするのよね。

でももう・・・・・・あれから1年かぁ。何気にあっという間よね。あ、突然のビデオメール、びっくりしちゃったかな。

まぁ、その・・・・・・元々前々からこういうのしたいなーって思ってたんだけど、中々ね。





通信とかも考えたんだけど、こっちの方がいいかなーって。あ、もちろん直接話したくないとかじゃないのよ?

『また会う』という約束は、本気だもの。ただ、もしかしたら途中でひっちゃかめっちゃかになるかも知れなかったから。

上手く伝えたかったから、こっちにしたの。あのね、それで本題だけど・・・・・・うん、心配だったからかな。





JS事件の話、当然だけどGPOにも届いてるんだ。もっと言えば、ヤスフミがあの大騒ぎの中で何があったのかとか。

・・・・・・私だけじゃなくて、みんな心配してる。もちろんみんなからメール、ヤスフミは返事を返してくれてるけど、それでも。

ヤスフミの周りは、多分ヤスフミの選択を認めないと思うから。出来ればフェイトさんはそうじゃない事を期待しちゃってる。





特にアンジェラがね、細かい事は今ひとつ理解出来ないんだけど、ヤスフミが辛いんじゃないかって思ってる。

その上伝え聞くところによると、普通に今は機動六課に居るのよね?

私達みんな、それを聞いた時本当にビックリしたわよ。だってぶっ続けもいいところだもの。





何か・・・・・・あったのかな? ううん、あったのよね。だからまた引っ張り出されてる。

まぁ、業務上の事情は細かくは聞けないだろうから話してくれとは言わない。

ただ、少しだけ覚えていて欲しいんだ。もしも、もしも辛いようなら・・・・・・私達のところへ来てくれていいから。





ヤスフミの『一番の味方』、私達で良ければなりたいから。あー、つまりこれって全員からのメッセージなのかな。

代表として私がここに居るという感じなの。それで諦めないで欲しい。そんな事しなくていいの。

今のヤスフミには酷かも知れないから無理は言わないけど・・・・・・ヤスフミの夢や描いてる自分、捨てないで欲しい。





あの時、教えてくれた夢・・・・・・本当に素敵だと思うんだ。そしてとても輝いていた。

ううん、きっと今もヤスフミのこころの中で輝いてる。ナナちゃんにも言われてたでしょ?

夢を、自分を信じていいんだって。それはヤスフミの中で生きているんだって。





それでここはね、EMPに比べると穏やかで自然も豊かで、思ってたより結構良い所なんだ。

でも、そういうところだからこそ難しい一面もあ・・・・・・って、だめだな。これじゃあGPOへの勧誘よ。

あー、つまりリフレッシュとかするには最適って事かな。綺麗な景色とかもあるのよ?





そういうところ、案内もするわ。あの時と同じように私が率先して。

というか、色々フォローかな。私、お姉さんだもの。ヤスフミが甘えていい相手なんだから。

えっとね・・・・・・だめだな。ちゃんと話すためにビデオレターにしたのに。





つまりあの、私はどこに居ても、何をしていても、アバンチュールが終わりでも・・・・・・あなたの一番の味方でありたいの。

あなたとの時間は嘘にならない。一緒に・・・・・・いっぱい恋をした事は間違いじゃない。

それだけ深く向き合って、仲良くなって、あなたという人間の在り方に惹かれた時間は嘘じゃないもの。





・・・・・・あ、あれっ! これじゃあ告白みたいじゃないのよっ! その、違うのよっ!?

告白とか口説いてるとかじゃなくて・・・・・・あぁもう、ここはいいわっ! 置いておきましょうっ!!

とにかく、そういう時間を超えて今は大事な友達同士だもの。力になりたいの。





もちろん今は部隊の中と言えど、フェイトさんや八神二佐に幼馴染の人達と一緒でしょ?

ただ、それでも部隊の中に、局の中に居るのが辛いようなら・・・・・・という事かな。

うん、ここは覚えておいてもらえるだけでいいわ。絶対にそうしなきゃいけないという事じゃないから





ただここに一つ、ヤスフミの居場所があるという事だけ、ちゃんと知っておいて欲しかったから。

・・・・・・本当はね、今すぐにそっちに行っていっぱい抱きしめたい。私にどんな風にしてもいいから甘えて欲しい。

辛いのとか苦しいの、全部吐き出して欲しい。でも、それはきっと・・・・・・ダメよね。





だってそれは友達の領域じゃないもの。私達が私達自身で選んだ時間に嘘をついちゃう。

あ、もちろんヤスフミが『色々考えたけどシルビィの方が』って言うことなら、まぁ・・・・・・考えてもいいわよ?

・・・・・・って、これじゃあやっぱり告白だからっ! あの、そういうのじゃないんだからねっ!?





私だってあれから新しい恋もしてるんだからっ! それで・・・・・・・まぁ、確かにフリーだけどっ!?

・・・・・・よ、よし。落ち着け私。えっと・・・・・・そうだな、話がまとまらなくなってきてるから、今日はこの辺りでかな。

それじゃあヤスフミ、私はいつも通りにウィハン繋いでるし、何かあるようならそこでお話でもしましょうね。





もちろん守秘義務は守るわ。えぇ、そこは絶対に。それじゃあ・・・・・・またね。





愛する大切なあなたへ、シルビア・ニムロッドより。





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・そんなビデオメールを送ってから丁度ひと月後。ヤスフミから返事を兼ねた通信が来た。

何気にAAA試験などのあれこれで非常に忙しいらしい。でも、とても楽しそうな顔をしてる。

近況の報告や、最近のあれこれで気持ちが固まって・・・・・・夢やなりたい形を大事にしたまま、また頑張るって言ってくれた。





あとは私のメールへのお礼と返事? というか私、普通に告白されてると思ったらしい。

真剣にお断りモードだったのが、普通にびっくりよ。うぅ、やっぱり撮り直ししなかったのは失敗だったかなぁ。

でも、いい話も一つ聞けた。フェイトさん、ヤスフミの事を男の子として見てくれるようになった。





つまり、男女の関係として一歩始まったという事ね。普通にまだお付き合いという事ではないようだけど。

・・・・・・やっとか。うーん、予想よりは早いのかな。フェイトさん、やっぱり普通に鈍い。

あの時・・・・・・ヤスフミがフェイトさんを殴って檄を飛ばして、その後にヤスフミが突き飛ばされた時ね?





あの時、実は気づいちゃったんだ。フェイトさん、ヤスフミの事が実は好きなんじゃないかって。

それも男の子として。ただ、フェイトさん自身が『家族』という意識のためにその感情に全く気づいてないの。

そしてその意識が非常に強い。だから突き飛ばして『家族じゃない』距離を否定したんだと思う。





もちろん私の勝手な想像だし、実際はどうかは分からないわよ? だから・・・・・・うーん、そうだなぁ。





細かい意味云々は置いておいて、普通にあの二人はずっと前から相思相愛だったって事かな。










「・・・・・・でも、失敗だったなぁ」



すっかり住み慣れた自分の部屋のベランダから、星空を見上げる。

この世界の星空は本当に綺麗。ヤスフミにもメールしたけど、これはとても価値のある輝き。



「あの時・・・・・・唇にキスしてたら、ちょっとは食い込めたかも知れないのに」



でも・・・・・・なぁ。あははは、さすがに以前にバカやってるし、ちょっと躊躇っちゃったのよね。



「でもいいか。ヤスフミ・・・・・・沢山笑ってたし輝いてた。私が大好きになったヤスフミのまま」



・・・・・・ううん、違う。私は少し瞳を閉じて首を横に振る。そして再び、私は空を見上げた。



「私が知っている時よりずっと輝いて、強い形になろうとしていて・・・・・・なんだか、だめだな。
私、そんなヤスフミを見てまた好きになりかけちゃってたもの」










空の星は、あの子のようにキラキラに輝いて世界に光を与えてくれる。その光は、決して強いものじゃない。

この世界はまだ大丈夫だけど、EMPやミッドの首都のような形だと、ネオンの光に負けて星の光は見えにくい。

だからちゃんと見ようとしないと、その輝きには中々気付けない。星の光って、そういうものだと思う。





でも、それでもここに居て輝いて・・・・・・どの星も一生懸命に生きてる。今は遠い場所に居るあの子と同じように。





その日私は、就寝時間が来るまでなんだかそれが嬉しくてドキドキして、ずっと星の光達を見上げていた。




















(おまけその3:おしまい)




















あとがき



あむ「というわけで、完結ですっ! いや、走り切ったー!!」

恭文「なお、今回のお話のサブタイトルの意味は『変わりゆく世界』です。
ヴェートルという世界の事もそうですし、あとは次元世界全体も同じくですな」

あむ「ヴェートルが管理局による管理システムから自立して、これからどうなるかーって所なんだよね。
というかさ、劇中でも話していたけど、こういう世界丸々が管理局の自治から離れるって」

恭文「とりあえず、公式設定では無いはず。これから出てきたらごめんなさい。知らなかったらごめんなさい。
でね、これってゲームの中でも出てた話なの。地球はいつまで、銀河連邦政府の庇護の中に居るのかーって」





(今回のクロス元であるゲーム三作目のテーマは、『作品内での地球の自立』でした。
この辺り、銀河連邦政府=時空管理局と考えてもらえれば、分かりやすいと思います)





あむ「それでドキたまの59話で中央本部が撤退したタイミングって、冒頭の話のあれこれのせいなんだよね」

恭文「うん。色々頑張りはしたけど、結局ダメだったって事だね。予定通りに中央本部はこの後撤退だよ」

あむ「でもさ、やっぱ釈然としないよね。大体の流れを見ればまぁいい方向でしょ?」





(結果:ヴェートルの『自分達の世界は自分達で守る』という想いと主張が認められた形)





あむ「だけどそうなるまでの細かい経緯が全く納得出来ないよ。ちょっとヒドすぎじゃん」





・ヴェートルでのゴタゴタによる管理局への信頼の失墜を防ぐために、『独立』という名の切り捨てを行った。

・色々と『働き過ぎた』GPOを、それに連なる形でヴェートルから撤退。というか、普通に解体しようとした。

・GPOや恭文が主立って解決したにも関わらず、現場に来ていたフェイトやはやて達が止めたという事にした。
結果的にそれによりフェイト達の評価が上がるが、外部組織であるGPOや局員ではない恭文には何もなし。





あむ「ほらっ! 普通にやり口がひどいしっ!! これマジでどういう事っ!? 管理局絶対どうかしてるじゃんっ!!」

恭文「どうかしてるのよ。てゆうかこれ、JS事件の少し前だから」

あむ「・・・・・・あ、普通にあのおまけで気持ち悪く喋ってた三人が生きてるからか」

恭文「そうだね。で、JS事件のあれこれで綺麗さっぱりお亡くなりになったからスッキリと。
まぁアレだよ、僕もシルビィ達も表彰とか功績に興味ないしさ。うん、ここは問題ないのよ?」

あむ「そりゃあアンタはそうかも知れないけど・・・・・・普通にあたしがイライラするの」





(現・魔法少女、いろんな意味で泣きそうになっている)





あむ「でも・・・・・・これで一応終わりなんだよね」

恭文「あ、あともう1話あるよ?」

あむ「あぁそうな・・・・・・え、ちょっと待ってっ! 普通におしまいってやってたよねっ!?」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・あ」





通路に出てしばらく歩くと・・・・・・人影が見えた。その人影がこちらを見て微笑む。

それは白のロングスカートに青のインナー。それに黒のカーディガンを羽織った、金色の髪の女の子。

なので僕は、軽くダッシュしてその子の前へ行く。その子は軽く右手振ってくれた。



さすがに今は抱きつけない。だって・・・・・・・ほら、ついさっきアレだもの。そこまで神経太くないし。

僕はその子の目の前で軽く見上げる。ルビー色の瞳は・・・・・・優しく僕を見てくれている。

戦いの日々はここで一旦おしまい。だから僕は、ここから始まる日常に『こんにちは』を言うことにした。





「ただいま、フェイト」

「うん。おかえり、ヤスフミ」





・・・・・・一番守りたい時間は、守りたい笑顔は、ここにある。それはとっても大きくて大切。



うん、やっぱり親和なんて鎖じゃあ縛り切れないよね。この時間は・・・・・・そんなに小さくない。





(とある魔導師と古き鉄と祝福の風の銀河に吠えまくった日々・・・・・・おしまい)





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あむ「・・・・・・ほらっ! ちゃんと『おしまい』ってっ!!」

恭文「あむ、忘れたの? このクロスのコンセプトは、シルビィルートの構築でもあるじゃないのさ」





(そう言われて現・魔法少女、普通にあれこれをよーく考えてみる)





あむ「えっと・・・・・・あ、そっか。シルビィさんルートに繋がる話を書いてないよね」

恭文「うん。もちろん長編じゃなくて、一種のアフターだから1話・・・・・・最低でも2話くらいかな。
ちなみにもう1話の大半は書き上がっているので、連続で掲載してもいいくらい」

あむ「じゃあこのクロス、もうちょっと続くわけだね。というかあと1話か2話」

恭文「うん。それで一端おしまいかな。あー、それで実はリクエストみたいなのをもらってるのよ。
ドキたまとか改訂版本編でシルビィ達に出て欲しいとか、あとはゲーム二作目とのクロス?」

あむ「あ、ランディさんが出てる奴だよね。でも、出来るの?」

恭文「一応は出来る。もしやるならこういう設定かな」





・フィアッセさんルートなシチュ準拠で、色々な状況の違いからヒロリス達と関わる時期が2年程早まる。

・そのためにGPOやヴェートルの話を色々と聞いて、今回のクロスより早めにGPOやシルビィ達と関わる。

・そして当時新米捜査官だったランディ共々新入り扱いで、GPOでそのままお世話になり始める。





恭文「という感じ? なお、フィアッセさんルートなシチュ準拠なのは、フェイト関連のアレコレが解決してるからだね」

あむ「アンタ的にも色々動きやすいって事か。あー、これなら出来るんだ。でもゲーム二作目ってどうなの?」

恭文「親和力みたいな無茶なのは出てこないけど、やるなら結構長期になると思う。
元々ゲーム自体が二年とか期間も長めだし、それくらい使ってキチンと描写しないとだめなのよ」





(ここの辺り、実はあんなキャラやこんなキャラとのアレコレが絡んでいます)





恭文「事件の規模自体も今回よりもこじんまりな感じだけど、その分EMPや今回描けなかった色んなキャラとの絡みが書けるのが強み。
何よりゲーム準拠でそのままでいくなら、構築はかなり楽なのもあるね。今回も何気にそういう部分は強かったから」

あむ「あー、そう言えば今回のクロスってゲームの中のカラバ関連のアレコレのイベントを絞って書いてるんだしね。
でも・・・・・・これはなんか楽しくない? ランディさん、何気に出番少なかったし、ダブル主人公みたいな感じでフューチャーはいいかも」

恭文「あとは誰ルートにするかという問題もあるけど・・・・・・うーん、色々考えちゃうね。
まぁそんな風に『できたらいいよねー』的に話を広げた所で、本日はここまで」

あむ「みんな、アフター話を楽しみに・・・・・・まぁ、したけりゃすればいいじゃん?」

恭文「なんでそこで意地っ張りキャラ発動しちゃうっ!? ・・・・・・えー、そんなあむも可愛いと思っちゃう蒼凪恭文と」

あむ「ひ、日奈森あむでした。てゆうか恭文・・・・・・バカじゃんっ!? 普通に全然そんなことないしっ!!」

恭文「あ、照れてる」

あむ「照れてないからっ!!」










(それでも顔が真っ赤なのは、色々あったせいだろう。
本日のED:栗林みな実『unripe hero』)




















フェイト「・・・・・・でも、ごめんね」

恭文「いや、何がよ」

フェイト「あの、骨を折った事とかキスやバストタッチがダメな事とか。
あとその・・・・・・私やはやて達が、ヤスフミやみんなの功績を横取りした事とか」

恭文「前者はともかく、後者は別にいいよ。てゆうか、フェイト達の意志じゃないんでしょ? だったらいい。
・・・・・・たださ、やっぱり僕は局が好きになれない。僕は別にいいんだ。でも、シルビィ達があんまりだから」

フェイト(・・・・・・ダメだよ。その、どうして自分のことは除外しちゃうのかな。
私は今回みたいな事、本当にいやだから。こういうところは・・・・・・やっぱり心配だよ)

恭文「フェイト?」

フェイト「あ、ううん。なんでもない。でも、そこは確かにそうだね。
現状・・・・・・何とか変えていきたいな。少しずつでもいいから、ちょっとずつ矛盾を変えたい」

恭文「局のために?」

フェイト「違う。私のために・・・・・・かな。うん、矛盾は私自身の事も含めてなんだ。ちょっとずつ変えていきたいから」

恭文「・・・・・・そっか」










(おしまい)





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