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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第26話 『決して曲げられない、『自分』という選択』(加筆修正版)



フェイト「前回のあらすじ。・・・・・・少しだけ、悲しい事がありました。
だけど、アルトアイゼンとリインのおかげでヤスフミはなんとか復活」

恭文「しました。というかフェイト、あの・・・・・・もうちょっとくっついてていい?」

フェイト「うん、いいよ。それで色々とお話していて・・・・・・海、綺麗だよね」

恭文「うん、綺麗だね。てゆうかさ、普通に幸せだよね。だっていつもなら」

フェイト「あぁ、そうだね。いつもなら色んな人達が乱入するものね」





(詳しくは、新約StSの30話以降をごらんください)





恭文「というか、フェイト・・・・・・あの、ありがと。それと迷惑かけて、ごめん」

フェイト「迷惑なんかじゃないよ。ヤスフミの力になりたいのは、私の気持ちだもの。
そんな事、言わないで欲しいな。というか・・・・・・あの、今だけは私に甘えて欲しい」

恭文「なら、いっぱい甘えちゃうよ? いいのかな」

フェイト「いいよ。私、ちゃんと受け止めるから」

恭文「・・・・・・ん」

リイン「・・・・・・というか、普通に恭文さん達がリイン達を忘れているのです」

古鉄≪真面目に固有結界出来始めていますね。なんですか、これ≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



夜の海を見ながら、フェイトと身体を少しだけくっつけてお話。





最近こういう時間が増えて・・・・・・何気に僕は、幸せを満喫している。










「・・・・・・ね、フェイト。一つ質問。局で働く事に不安、無い?」



フェイトの表情が険しくなった。僕の言いたい事、察してくれた。

夜の中で手を繋いでいるから、きっと・・・・・・色々気持ちが伝わってるんだと思う。



「正直に言えば、不安はあるかな。前だったら感じてなかったけど、今年に入ってからは相当」

「なら、どうしてこのまま局員に? それならやめるのも一つの選択だよね」

「そうだな。・・・・・・まず私は局のみんなの事が嫌いになれないというのが理由の一つ。
やっぱりこれまでやってきた仲間だもの。・・・・・・ヤスフミが局を嫌いだって言うのと同じ」



うん、それは理解してる。方向性は真逆だけど・・・・・・そういうのは理解してる。



「あ、もちろんあの・・・・・・エリオ達の事で通信してきてくれた時の事も考慮して考えてるんだ。
ただ、やっぱり続けたいとは思ってて・・・・・・大事な理由があるせいかな」

「何?」



フェイトは、夜空を見上げながら・・・・・・遠い場所に憧れている子どものような瞳をしていた。

その瞳は、ただ星の光と二つの月を見つめている。



「私がこの仕事を選んだのは悲しい思いをして、そのせいで色んな事を諦める人達を助けたいと思ったから。
昔の自分と同じような人達を一人でも多く。それが私の夢だったり、理想だったり。それが出来る執務官の仕事が好きなんだ」

「だから局の体制どうこうは、フェイトにとってはあまり関係無い?」



フェイトは視線を僕に落として、真っ直ぐに見ながら・・・・・・頷いた。



「だからヤスフミも単純にやってみたい事を探してみればいいんだよ。私はそう思う」

「そっか。・・・・・・というかねフェイト」

「うん?」

「やってみたい事、ある」

「そうなのっ!?」



・・・・・・そう、ある。ただその・・・・・・なんて言うか、言いにくい。



「あの、言いにくい事なの」

「どうして?」

「・・・・・・ダメだと思うから」

「なら、まずはそれを話して?」



フェイトは、安心させるように微笑みながら、僕の右手を強く握ってくれた。

リインは僕の左肩に座って、そっと頬を撫でてくれる。『大丈夫』と言ってくれるのに、すぐに気づいた。



「・・・・・・笑わない?」

「ヤスフミは、真剣にそうしたいと考えてるんでしょ?
それなら絶対に笑ったりしない。ね、話してくれないかな。私、ちゃんと聞くから」



・・・・・・よし、言おう。覚悟、決めてだ。



「・・・・・・分かった。あのね、前にも話したけど、騎士になりたいんだ」



思い出すのはあの時の時間。具体的に言うと、第20話の中盤。胸を占めるのは恐れと希望。

若干恐れが強い。拒絶されるんじゃないかという恐れ。やっぱり、こういうのは慣れない。



「・・・・・・そっか。でも、どうして騎士に?」

「僕の夢や理想に・・・・・・近いから、かな。僕・・・・・・フェイトやリンディさん達に、ずっと黙ってた事があるんだ」

「うん」

「僕、魔導師になる前から・・・・・・一つ、夢があるんだ。でも、あの・・・・・・実は」

「無理しなくていいよ」



フェイトが顔を近づけて、耳元で囁いてくれる。その声に身が震えて、鼓動が高鳴る。

フェイトはただ静かに身体を僕に預けながらも、手を握り続けてくれる。そして、囁きを続ける。



「言いにくい事なら、無理しなくていいから。今は、話せる事だけを話して欲しいな」

「・・・・・・うん。あの、ありがと」

「ううん」



フェイトは、言いながら身体を離した。さっき感じていた甘い匂いは、それで遠ざかる。



「でも、どうして? 昨日も思ってたんだけど、きっかけは何かな」

「JS事件の時、後悔したんだ」

「後悔?」

「・・・・・・フェイトの事、守れなくて」



瞬間、フェイトの表情が変わった。僕が騎士になりたいと思った一番の原因は、コレ。

最終決戦の時に僕はフェイトを、守れなかった。壊れそうになってたのに、何も出来なかった。



「あの、ヤスフミが気にする事じゃないよ? あれは私が・・・・・・私が悪いの。
ヤスフミの言う通りだった。私はきっと期待ばかりして今を変えようとしてなかったから」

「そうだね。でも、何も出来なくても、側に居る事は出来たなって考えた。
フェイトがそういうとんでもないバカだと知っていたんだからーってさ」

「それもひどくないかなっ!? ・・・・・・いや、反論する権利は0なんだけど」



だからその・・・・・・あれなんですよ。色々考えてさ。



「あとはゼストさんに言われたんだ」

「ゼスト・・・・・・あぁそうだね。ヤスフミは戦って、最期を看取った」

「というより、目の前で殺されただけだよ。・・・・・・何を守りたいか、常に自分に問いかけながら進め。
例え苦しくても、それを絶対に怠るな。僕が、守りたいものを守る騎士であるなら・・・・・・ってさ」



自分やレジアス中将はそこを間違えた。それを怠ったから、現状に繋がってしまった。だから・・・・・・と。

色々あってね、そういう遺言めいたものを受け取ったのよ。それが、きっかけの一つ。



「ねぇヤスフミ、もしかして以前言ってた宿題って」

「・・・・・・うん、それなんだ。自分もレジアス中将もそこを間違えたからこうなったって言ってた。
だから改めて考えたんだ。ただ盲目的に信じるだけじゃ、預けたり頑張るだけじゃダメなんだって」

「それは・・・・・・確かに重い宿題だね」

「うん、重かった。ホント、やんなるくらい重かったわ」




でも捨てられなくて、拭えなくて・・・・・・やっぱり僕は前に全部引きずって前に進むしかなくて。

だけど今まで通りじゃダメな感じがして、アレコレ考えてたりしたわけだよ。



「それで色々考えてる時に、昨日も少し話したけど一昨日やった出稽古でシャッハさんに言われたんだ。
『守りたいもののために剣を振るい、業を背負う覚悟があるなら、それが出来る者は皆等しく騎士』って」



そして僕の所業は、騎士の所業だとも言ってくれた。あれからずっと考えていた。あの人の言葉も合わせて。

フェイトとリインは、静かに聞いてくれてる。リインは、僕の頬を撫でていっぱい勇気をくれている。それが・・・・・・嬉しい。



「僕が守りたいもの。通したいもの。絶対に・・・・・・絶対に譲れないもの。
色々あるけど、一番は何かって考えた。何のために、僕は業を背負う覚悟をするのかって」



ここ最近の色んな事も含めて、ずっと・・・考えていた。



「そう考えて・・・・・・分かった。その、僕が騎士になりたいのは、そうして守りたいのはたった一つ。
世界でもなければ常識でもない。そこに住む人達でもない。ましてや局なんかじゃない」



守りたい今とこれからの中で、絶対に守りたいのは・・・・・・フェイト、なんだ。

フェイトが泣いてたり、辛い思いをしてるのなんて、絶対に嫌だ。あの時みたいなのはごめんだ。



「だから、その」

「ヤスフミ・・・・・・落ち着いて?」



声は本当にすぐ目の前から。見ると・・・・・・フェイトが顔を赤くしてた。

だけど、それより赤いルビー色の瞳が、優しく僕を見ていた。



「大丈夫。私・・・・・・ちゃんと聞くから」

「・・・・・・うん」

「それで、なにを守りたいの?」

「フェイトだよ」



ごめん、もう止まんない。もう、抑えられない。

変わって守りたいもの、掴みたいものは・・・・・・一つだけだった。



「宿題の答えは、そのうちの一つはフェイトだった。あの、フェイトからすると迷惑かも知れないけど」



つか、きっと・・・・・・そうだよね。でも、言わなきゃいけない。絶対に。



「僕はその・・・・・・・フェイトのすぐ隣に居たい。
それでフェイトが笑顔でいられる時間とか、フェイトの今とか、幸せとか」



・・・・・・うん、そういうのを、守りたい。フェイトの笑顔が好きだから。フェイトに沢山、笑っていて欲しいから。

僕より強くて優しくて、温かい女の子の時間を・・・・・・守りたい。誰にも壊されたりなんて、したくないんだ。



「フェイトの全部を守りたい。それが出来る、フェイトの騎士に・・・・・・なりたいんだ。
というか・・・・・・なれたら、いいなと・・・・・・そう、思ってる。それが僕の答えなんだ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・身体中が一気に熱くなった。だ、だってこれってその・・・・・・そう、だよね?

あの、分かる。すごく分かる。だって私、もう色々気づいているから。

その上で聞いているから、もう分かるの。ヤスフミが何を思ってくれているのか凄く分かる。





ドキドキ、してる。心臓が苦しいくらいに高鳴って、また昨日みたいに身体が火照ってくる。

私、今すごく意識してる。目の前の男の子の事・・・・・・とても意識してる。

なんだろう、もっと知りたい。この子の事、もっと・・・・・・今よりもっと知って、繋がりたい。





だから今は・・・・・・今はしっかりとヤスフミの言葉と想いを受け止めよう。





受け止めてその上で話したりして・・・・・・答えを出さなくちゃ。だって私、本当に嬉しいから。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・あの、ヤスフミ」

「な・・・・・・に?」



そしてそれから数分。僕もフェイトも茹で蛸になった。なお、リインは肩の上でクスクス笑ってる。



「えっと・・・・・・その、ちょっといきなり過ぎだよ。あの、私すごくビックリした」

「だから聞いたじゃないのさ」

「でも、ありがと。すごく・・・・・・すごく嬉しかった。すごく、伝わった」



言いながらフェイトは、そっと僕の頭に手を回して、抱きしめてくれる。

冬の寒空の下、フェイトの温もりが・・・・・・あぁ、温かくて幸せ。



「・・・・・・でも、他の選択肢も考えて欲しいんだ。あの、別に嫌とかじゃないの。
ただ旅に出るのもやりたい事でしょ? そういうのも含めて、その上で決めて欲しい」

「うん。でも、コレが・・・・・・僕の今一番にやりたい事だから。それは承知してもらえると、助かる」

「分かってる。それでね、もしその・・・・・・ヤスフミが本気でそうしたいと思うなら、私も受け入れる。ただ、条件があるの」

「条件?」



フェイトは少し身体を離して、僕の顔を真っ直ぐに見ながら・・・・・・頬を赤く染めながら、柔らかそうな唇を動かす。



「私より強くなる事。具体的に言うと・・・・・・模擬戦で勝率5割以上は越えて欲しいな」

「・・・・・・それだけ?」

「うん、それだけ。その・・・・・・私の騎士になるって事は、ヤスフミは私より強くなくちゃ・・・・・・ダメなんだよ?」



そう軽く冗談めいた口調で言ったフェイトの言葉に、僕はクスリと笑う。

だってお姉さんぶってるけど、無理してるのが丸わかりだもの。



「納得した。うん、それは正論だと思う。お姫様より弱いナイトなんて、カッコつかないもんね。
だから約束する。僕・・・・・・もっと強くなる。何も捨てられない僕だから貫ける強さ、もっと磨いていく」

「うん。でも、簡単には抜かせないよ? 私ももっと強くなるから。
私も同じようになりたいんだ。ヤスフミの笑顔を、今を守れるようになりたい」



右手でフェイトは、僕の頬や髪を撫でてくれる。優しく・・・・・・優しく、いつも通りのフェイトの撫で方。



「最近のお姫様は、ナイトに守られるだけじゃないんだから。
ナイトに頼りっ放しなんてダメ。自分で戦ったりもしなきゃ。・・・・・・あ、それなら」

「なに?」

「ちょっと思い付いた事があるんだ。ヤスフミ、せっかくだからやってみない?
丁度ヒロさん達も出向になるし、いい機会だと思うんだ。・・・・・・あのね」










・・・・・・この時のフェイトの思い付きがAAA試験での僕の窮地を救う事になるとは、この時知るよしもなかった。

とにもかくにも、この後僕はフェイトの車でホテルに戻って、チェックアウト。即行で隊舎の空室を借りて、そこでしばらく寝泊りとなった。

フェイトとリインと一緒に、これからの事とかそういうの話して・・・・・・それで、気持ちを更に固めた。





やっぱり僕、フェイトが好きだ。だからフェイトの事・・・・・・フェイトの笑顔を、笑顔で居られる今を、絶対に守りたい。




















魔法少女リリカルなのはStrikerS 外伝


とある魔導師と機動六課の日常


第26話 『決して曲げられない、『自分』という選択』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・アルト」

≪はい≫

「なんで僕、仕事・・・・・・てか、訓練しなきゃいけないんだろうね。自宅があの状態なのに」

≪社会人だからでしょ≫

「そっか、知ってたわ」





・・・・・・というわけで、アレから三日が経った。僕とフェイトは、毎日のように色々お話する。

お話して、意思疎通して・・・・・・それで、先の事を一緒に考える。

そんな時間が楽しくて、幸せで、ついついお話にも熱が入ったりする。



そして今日は午前の訓練に参加。訓練場へとトレーニングウェアに着替えてから、歩いていく。





「・・・・・・でさ、スバル」

「なに?」

「いや、他の連中もだけど、なんで僕をそんな微妙な目で見ているっ!?」

≪いや、原因など一つでしょう≫



・・・・・・あー、呼び出し食らうかな? でも、僕もフェイトもなんにも無かったとしか言い様がないし。



「恭文、EDって治るんだよ?」



右拳で、スバルの鼻先に向かって軽く裏拳を叩き込んでやった。

・・・・・・あれからスバルは、ちょっと大人しくなった。でも、KYは治ってなかった。



「痛いよー」

「一体誰がED!? 違うわボケッ!! ・・・・・・それとスバル、知ってる? KYは一生治らないんだよ?」

「何それっ!? 私、空気読めるよっ! ちゃんと『くうき』って読めるんだからっ!!」



絶対嘘だね。スバルはアレだ、『そらき』って読んでると思うな。つまり、それほど致命的。



「あと、ティアナもエリオもキャロもフリードも他人の振りしないでっ!!」

「きゅくー」

≪・・・・・・仕方ないと言っていますが≫



仕方なくないからねっ!? 一体僕が何をしたとっ! 普通にフェイト共々天候という名のいじめっ子の被害者でしょうがっ!!



「まぁ・・・・・・あれよ。エリオ達から聞いたけど」

「うん?」

「よかったわね。ちょっとだけでも進展して」

「・・・・・・ありがと」



ティアナ、何気に心配してくれてたのかな? ・・・・・・心配、かけてた?

でも、まぁここはいいか。普通の距離感が、僕達のスタンスなんだし。



「でも、これからだよ。後は恭文次第なんだから」

「もち。ハッピーエンド目指して頑張ろうじゃないのさ。そういうワケで、スバルはKYと上手く付き合う方法を学ぼうか」

「だから私、KYじゃないよっ! すっごく普通だよっ!?」

「あー、はいはい。KYはね、みんなそう言うのよ?
犯罪者が『俺はやっていない』って言うのと、同じだから」



・・・・・・うん、これからだ。気合い入れよう。とにかく、五人+一匹で訓練場を目指す。



「あれ? なのはにフェイト、師匠に」

「あ、あの二人・・・・・・早いわね。もう準備出来たんだ」



僕達とは色違いの訓練着を着た人が、二人居る。

一人は170前後の白髪二つのおさげ。もう一人は黒髪ざんばらで180前後。



「というか、なんか盛り上がってるわね。アンタの兄弟子達は、アンタと違って輪に馴染む事を知ってるのね」

「ティアナ、それはどういう意味かな? 僕はかなり空気を読む方なんだけど。スバルと違って」

「だからどうして私をいちいち引き合いに出すのっ!?」



































◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「まー、アレだよフェイトちゃん。やっさんがアホやってダメだと思ったら見捨てていいから。
さすがにうちらもそこまでは面倒見切れないしさぁ」

「いえ、あの」

「そーそー。それくらいシビアじゃないと、いい男は捕まえられないし、育たないぞ。あ、厳しすぎてもアウトだな。
現にヒロがそれで行き・・・・・・なぁ、首筋にアメイジア突きつけるのはやめないか? ちょっと死の匂いを感じるからさ」

≪いやサリ、お前が悪いと思うぜ?≫

≪迂濶過ぎます、主≫



あの、今一瞬過ぎてどうやってこの位置関係になるのか見えなかったんですけどっ!!

でも・・・・・・厳しくか。うん、しっかり見ていくんだから、必要だよね。



「・・・・・・なにやってるんですか二人とも」



その声は私のよく知っているもの。そちらを見ると・・・・・・ヤスフミが居た。

訓練着姿でスバル達も同じく。うん、みんな来たんだ。それなら、そろそろだね。



「やっさん、悪いけど助けて。鬼が居る」

「すみません、見殺しにしていいですか? 固有結界の恨みもあるので」

「この薄情者がっ!!」

「うっさいバカっ! おかげで僕は知らずに相当な綱渡りしてたのよっ!? 普通に怖かったっつーのっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とにかく、訓練開始。全員整列して、まずは初めのご挨拶。





色々と変化もあるから、いつもの海沿いの集合場所でなのはが一歩前に出る。










「・・・・・・さて、それでは訓練に入る前に、皆さんに紹介する方達が居ます」



なのはがそう言うと、習うように一歩前に出て来たのは・・・・・・あの二人。



「あー、みんなおはよ〜。もう自己紹介するまでもないと思うけど、ヒロリス・クロスフォードです。で、サリね」

≪ホワイッ!? 待ってくれよ姉御っ! 俺の事を忘れてるぜっ!!≫



その声は、ヒロさんの両手の中指から聞こえる。そこには二つの指輪。

金のリングに丸いラベンダー色の宝石が付いている。というか、ヒロさんのパートナーのアメイジア。



「もうちょっとちゃんと紹介しろよっ! お前は真面目にやる気がねぇなっ!!
・・・・・・あー、サリエル・エグザです。で、こっちが」



サリさんが自分の胸元から下げていた十字架・・・・・・ううん、十字の槍の形をしたペンダントをみんなに見せる。



≪皆さん初めまして。私はインテリジェントデバイスの金剛と申します。主共々、お見知りおきを≫

≪あ、俺はアームドデバイスのアメイジアだ。・・・・・・って、今更だよな。ま、よろしくなー≫

「あ、はい。よろしく」

「お願い・・・・・・します」



・・・・・・みんな、呆気に取られてるね。うん、分かるよ。私達も同じだったから。



「あー、みんなどうしてそんなに驚いてるの? よく喋るデバイスなら、アルト見てるでしょ。
てゆうか、金剛はともかくアメイジアとはもうすっかり仲良しでしょ?」

「仲良しじゃないわよ」

≪うお、早速ツンデレガールの攻撃か。だが、そこもまた萌えるぜ≫

「うっさいっ! 誰がツンデレだってっ!?」



そうティアが叫んだ瞬間、ヤスフミとヒロさんとサリさんが一斉にティアを指差した。



「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! ・・・・・・とにかく、、同じようなのが存在してる事に驚いてるのよ。それも二機も」

「ヤスフミ、そこは私もだよ。ヒロさんと模擬戦した時、本当に驚いたもの」



とにかく、ここはさておく形で話は進んでいく。二人となのはがしっかりと進める。



「お二人は、今日からみんなの訓練を手伝ってくれる事になりました」

「この間ので分かったとは思うが、お二人とも相当な実力者だ。しっかりと学んでいけよ」

『はいっ!!』



みんな、元気よく返事を返す。・・・・・・うん、いつも通りだ。

色々あったけど、一応は何時も通りなんだよね。それは本当に良かった。



「それでは、お二人ともなにかあれば」

「あー、じゃあ一言だけ。・・・・・・うちらがやるのは、あくまでも手伝いなんだ」



それはヒロさん達が繰り返し口にする言葉。自分達は、手の届かない所のフォローをすると。

だから、なのはやヴィータより先輩であっても、主な教導担当はなのはとヴィータのまま。



「みんなの教導担当は、なのはちゃんとヴィータちゃんだから。
みんながやる事も、進むべき方向も、変わったりしない。そこの所は忘れないように」

「俺も同じく。あと、俺はカウンセラーとかの医療スキル持ちでな。
そっち方面からもサポートさせてもらう予定だ。とにかくみんな、これからよろしく」

『よろしくお願いしますっ!!』

「それじゃあ、早速朝の訓練行くよー!!」










・・・・・・先の事はそれとして、日常は進んでいく。私も、ヤスフミも。みんなも。





考える事は多いけど、しっかりしていこう。私は準備を始めたみんなを見ながら、そう心に決めた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・つーわけで、試験前のやっさんは私と楽しくマンツーマンだ。どうだ、楽しいだろ」



演習場のシチュは森林。その中で、僕とヒロさんは対峙する。当然のように、二人して笑ってたりするのが不思議。



≪楽しいだろ≫

「楽しいですね。てーか、久々にガチにやり合えると思うと」

「待て待てっ! お前はやっさんに付くんじゃないよっ!!
お前はスバルちゃんと少年のコンビ相手っ!!」

「えー、なんでー!?」

「お前らがガチにやると、普通に演習場が壊れるんだよっ! 頼むからマジで自重してくれっ!!」



サリさん、すごい涙目ですね。てゆうか、普通に泣くのやめてもらえます? ほら、僕達が悪いみたいじゃないですか。

確かに演習場を何度か壊した事もありますけど、その都度修理しましたよ? 僕だけが。・・・・・・あ、やっぱヒロさんとは嫌だ。



「・・・・・・やっさん、お前はフェイトちゃんと一緒に連携戦の訓練だ。
なお、相手はなのはちゃんとヴィータちゃん」

「え、フェイトと一緒っ!? やったー!!」

「お前は普通に楽しそうだなっ! そんなにフェイトちゃんが好きかっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



というわけで、あのバカ共を解散させた後、俺はフルバック二人に付く。

ティアナちゃんとキャロちゃんだな。あ、俺は実は後衛技能も得意なんだよ。

訓練内容は、魔力の圧縮。基礎的な部分からちょっとやらせて見て、様子見だ。





ただし、その難易度を半端じゃなく高くしてある。だから・・・・・・二人が苦悶の表情を浮かべる。










「・・・・・・くぅ」

「これ、キツ」

「よーし、じゃあソイツでまたやってみるか」



俺は近くの木に、セットアップしていた金剛の柄尻を叩きつける。すると、葉が大量に落ちてくる。

二人は右手の人差し指の先にある小さな魔力スフィアを、その落ちている葉達に向ける。



「・・・・・・撃て」



桃色の弾丸とオレンジの弾丸が、閃光となって空間を突き抜ける。

そして、葉を粉砕しながら消えていった。なお、人が居ない方向だ。



「うーん、ダメだな。狙いは良くなったが、まだ圧縮が甘い」

「ま、まだですか?」

「かなり圧縮してるんですけど」



そりゃそうだ。通常の魔力弾で言うなら5発分の魔力を、あの小さな形状に詰めてんだから。

なお、これは魔力運用の能力を鍛えるための訓練。で、趣旨はもう一つある。



「あぁ」



俺は落ちた葉の一枚を左手で拾って、軽く放り投げる。それからスッと後ろに数メートル跳ぶ。

跳びながらも左手でティアナちゃん達が作ったのと同じ魔力弾を生成。なお、色は白。



「・・・・・・シュート」



着地と同時に、その葉を狙って撃つ。弾丸は葉を貫通して、近くの木に衝突。そこにも穴を空ける。

・・・・・・そう、貫通したんだよ。ティアナちゃん達みたいにぶつかって粉砕とかではなく、突き抜けた。



「魔法ってのは便利なもんだから、意外とその恩恵におんぶされがちなんだよ」



俺は少し早足で元の位置に戻る。そして、俺が撃った葉を拾い上げる。

そこには、確かに穴が空いていた。葉は、破れる事もなくしっかりとそこにある。



「基本の射撃一つ取ってもそうだ。ただ撃つだけでは、こんな事は出来ない。そこはもう二人とも分かるよな」

「「はい」」



二人は息を切らせながら、覇気は維持したままそう返事した。それが嬉しくなりつつも、俺は話を続ける。



「これは最初にも説明したが、高町教導官の砲撃とは真逆の射撃練習だ。面ではなく、点を狙う。
そして、それが出来るように弾丸を構築する。いわゆる精密作業のレベルだな。そのための手段の一つが」

「魔力圧縮・・・・・・ですよね。構築魔力を圧縮して、小さな葉を貫通出来るくらいの大きさにする。でも、それだけじゃ足りない」

「あぁ。というか、ティアナちゃんはもう気づいてるだろ」

「はい。・・・・・・今のを見て、確信しました。弾丸を回転させていますよね?」



俺は正解と言う意味で、ティアナちゃんの言葉に頷いた。・・・・・・やっぱガンナーだな。

きっと今までも圧縮に手こずりながらも、色々考えていたんだろ。結構努力家なんだな。



「正解だ。実弾銃でもそうだが、弾丸は回転する事により威力と貫通力を増す。
あと、軌道も安定するんだよ。・・・・・・つまりだ、二人はそこから更に回転運動も加えなくちゃいけない」

≪そうして初めて、小さく脆い葉を壊す事なく貫く弾丸が出来ます。
そして、そのためには高い運用技術が必要。ただ、今の状態では少々キツいとは思いますが≫

「まぁ俺も今日中に弾丸の螺旋運動の段階まで出来るとは、さすがに思ってない。
俺も同じ事を10年以上前にヘイハチ先生にやらされた時、出来るのに1週間かかったんだよ」





使用魔力量を減らせば、普通に出来るんだよ。でも、それじゃあ意味がない。

決定された魔力量を、いかに上手く小さく纏めて撃ち出せるかというのも、趣旨の一つだから。

そして、纏められてもそこから回転運動を加えるのは、何気に難しい。



ちなみにやっさんは、2時間で出来るようになった。ただ、ここはいいんだよ。

やっさんは先天能力の恩恵で、生まれつき高い魔力運用技術があるしな。

もちろん日々の研磨もそこにプラスされるから、むしろ出来ないとおかしいんだよ。



てーか、よくよく考えたら2時間も遅いんだよな。だって、鉄輝一閃で圧縮はやりまくってるしよ。





「まずは無理せずに」

「「いいえ、やりますっ!!」」



無理せずに、圧縮がちゃんと出来るとこを目指そうと言おうとしたのに、ダメだった。

この子達は、相当に負けず嫌いで頑張り屋らしい。目がすっげー燃えてるし。



「・・・・・・うし。だったらもうちょっと気合い入れるぞ。
この調子だと、夕飯抜きで頑張ってもらわないとダメだからな」

「「はいっ!!」」










二人はぜーぜー言いながらも必死に頑張り、時間ギリギリではあるが最終段階までは詰められた。

まだまだ甘いところはあるが・・・・・・なるほど。先日も思ったが、高町教導官は本当によく鍛えてる。

もちどういう方針で教えているかは聞いている。基礎と反復練習を重視して、壊れない頑丈な土台を作る。





そこから模擬戦で、応用を叩き込む。過去に自分が基礎を無視して、怪我した事が原因でコレらしい。

スバルちゃんもそうだが、他の三人も本当にその土台がしっかりとしている。・・・・・・だからだな。

俺とヒロが『現状維持で対人戦のノウハウだけを叩き込めばいい』と強く思えたのは。





なんつうか、高町教導官はスゲーよ。いや、ここは比喩なしで思うんだよ。





俺、自分が教導官してた時に、こんな愛情込めて教えていられたかどうか、自信ないしよ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



さて、そんなわけで私はやっさんとのコミュニケーションを泣く泣く諦め、二人の相手。





細かい基礎がきっちり出来ているのは、先日のアレコレでよく分かった。





だから私は、まず模擬戦で色々再確認。で、今それが終わった所。










「・・・・・・なんだいなんだい、情けないね。二人がかりなんだから、もうちょっと頑張りなよ」

「「す、すみません」」

≪二人ともすまねぇな。姉御は普通に遠慮がないんだよ≫

「うっさいねっ! 普通に遠慮する理由なくないっ!?」



とにかく、無駄にハイテクな演習場の一角にヘタリ込む二人を見ながら、私は確信した。

まぁアレだ、基礎は出来てる。それはもう普通の局員も見習えってレベルで。



「やっぱアンタ達に足りないのは、対人戦の経験だね。
それが少ないから、やっさんや私みたいなマイノリティ魔導師が相手だと弱い」

「え? で、でもそれならなのはさん達と」

「なのはちゃん達『だけ』になり過ぎてるんだよ」



1年という時間、なのはちゃんやフェイトちゃんみたいな優秀な魔導師が色々教えてくれる。

それはある意味ではすごく贅沢。ただ、絶対的に凄くて弱点が全く無いわけじゃない。



「てーかアンタら、六課に来てからなのはちゃん達隊長陣以外と戦った経験有る?
それもなのはちゃん達レベルでエース級、あるいはストライカー級だよ」

「そう言われると・・・・・・僕達が108に出向研修に行った時に、ギンガさんとは」



108・・・・・あぁ、ギンガちゃんとゲンヤさんの部隊と、捜査協力結んでたんだっけ。その関係か。



「あとはシスター・シャッハです。シグナム副隊長に頼まれる形で・・・・・・アレは地獄でした」

「納得したよ」



地獄ってとこも含めてね。シャッハは温厚な私と違って、見境ないしなぁ。普通にシゴかれたんでしょ。可哀想に。



「・・・・・・で、あとは事件中に戦ったナンバーズだったり、六課に来たやっさんでしょ?
経験戦闘数はともかく、人数がやっぱ少ないんだって。色んな相手と戦う事で得られる経験値もあるしさ」



ここは実は、私らが来る前にヴィータちゃんが危惧していた事らしい。うーん、さすが鉄槌の騎士。

色んな意味で、世の中は綺麗じゃないって事を色々知っているわけね。



「僕達はその経験値が不足しているから、弱い部分がある・・・・・・でしょうか」

「そうだね。あー、それとよくよく考えたら隊長達の模擬戦時のポジショニングもアレなのか」

「え、あのどういう事ですか? ポジショニングが問題って・・・・・・私にはよく」

「ほら、六課の隊長陣ってガチなフルバック居ないでしょ? なのはちゃんは攻撃型の砲撃魔導師だし」



医務官でシャマルさんは居るけど、基本訓練にはノータッチらしい。

そう考えると、攻撃偏重のチーム相手になるんだよ。まぁ、その辺りは上手くやってるけどね。



「アレだ、フルバック相手はサリとやりあうといいよ。そうしたら、また色々と勉強になると思うな。
みんなに足りてないのは、やっぱ色んな相手と色んなシチュで戦う事だと思うから」

「はい。・・・・・・あのヒロリスさん、一つ質問が。サリエルさん、フルバックなんですか?」

「あー少年、それはちょっと正確じゃないな。サリはフルバック『も』出来るの。
二人とも、スーパーオールラウンダーって聞いた事ない?」



二人は私の言葉に顔を見合わせる。



「「・・・・・・あぁ、それなら教本で」」



それから驚いた表情で私を見る。



「「えぇっ!? サ、サリエルさんがそれなんですかっ!!」」



だから、私は頷いてやる。・・・・・・何気にアイツ、私より凄い奴なのよ?

私は前線で斬る事しか出来ないけど、サリは違う。だから私も、安心して背中を預けられる。



「そうだよ。サリは数少ない全ポジションを制覇した魔導師・・・・・・スーパーオールラウンダーなの」





スーパーオールラウンダーとは、簡単に言えば超万能職。まず魔導師には、四つのポジションがある。

前線で攻撃と防御を請け負うフロントアタッカー。前衛と中衛を兼ねて戦場を駆け巡るガードウィング。

射撃等で味方を援護するセンターガード。そして、強化魔法などで後ろから味方を補助するフルバック。



スバルちゃん達もそうだけど、基本魔導師はこの四つのポジションのどれかに属する形になっている。

私やシグナムさん、ヴィータちゃんとスバルちゃんがフロントアタッカー。

フェイトちゃんと少年がガードウィング。なのはちゃんとティアナちゃんがセンターガード。



キャロちゃんとシャマルさんがフルバックになる。あー、それとやっさんは一応フロントアタッカー寄りなのよ。

ただアイツ、優秀な師匠達に色々教えてもらった結果、近接寄りのオールラウンダーになってるからさ。ここでは外した。

で、スーパーオールラウンダーって言うのは、この全てのポジションを一人で状況に応じて切り替えながら戦える人間の事。



ポジションに必要な技能を、全て実戦に通用する高いレベルまで鍛えた魔導師の事を言うの。

エースやストライカー、ヘイハチ先生の持ってるマスターとはまた系統が違うけど、これも優秀な魔導師に送られる称号の一つ。

だからこそ二人も驚いているし、私も自分の事じゃないのに自慢気だったりする。





「僕、スーパーオールラウンダーって実在すると思ってませんでした。
比較的オールラウンダー寄りなフェイトさんやヴィータ副隊長のレベルでも違うって言いますし」

「そりゃあね。フロントアタッカーからセンターガードまではカバー出来ても、ガチなフルバックは中々難しいって」



あ、手持ちの技能によってはポジションを二つ三つ兼任出来る人間は居るの。

フェイトちゃんややっさんが、丁度それ。だけど、サリは全部だから。そこに凄さがある。



「んじゃ、休憩ついでのお話はこのくらいにして・・・・・・二人とも、立てる?」



私がそう聞くと、普通に二人はすぐに身体を起こした。起こして、両足でしっかりと地面を踏みしめる。



「はいっ!!」

「私もエリオも、大丈夫ですっ!!」

「うん、いい返事だ。じゃあ、今日は初日だし・・・・・・緩めに挨拶がてらにこのままいくよ。いいね?」

「「はいっ!!」」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・疲れました」

「ヒロリスさん、全く加減がないよ」

「アンタ達も? いや、サリエルさんも何気に厳しくて・・・・・・ね、アンタはどうして平然としてるのよ」

「だって、僕はフェイトとコンビ戦だったし。いやぁ、楽しかったなぁ」

「・・・・・・なぎさん、訓練に私情を持ち込むのって、ダメなんだよ?」



・・・・・・夕方、スバル達はようやく解放された。で、このまま夕飯らしい。普通に夕飯らしい。

現在、食堂目指して、ふらふらなみんなと歩いています。あー、お空が暗い。あ、フリードは飛んでるね。



「この間のアレから覚悟はしてたけど」

「ごめん、予想より密度濃かったわ」

≪そうとう張り切ってましたね。ものすごく楽しそうでしたし≫





食堂へふらふらしながら到着。・・・・・・みんな、死にかけてるなぁ。元気出せー?

とにかく僕はパスタ(ビックバン盛り)皿を受けとる。ティアナは小皿。

エリオはサラダを両手に持ち、スバルはパン、キャロはフライドチキン。



そうして、ふらふらしながらも食事だけは守ろうと必死にテーブルを目指す。





「・・・・・・アレ、なんかおかしいな。僕、いつもなら自分でご飯作るのに」

「あの、泣かないでくれる? 私もさすがにツッコむ気力無いのよ。
てゆうか、まだ出ていかないの? いや、それ以前に迎えに来ないの?」

≪まだなんですよ。・・・・・・これ、普通にまずクロノさんをツツいた方が良くありませんか?≫

「そうだね、そうしようか。じゃないと、僕は自宅に向かって砲撃を撃たなきゃいけなくなる」

「お願いだからそれやめてくんないっ!? 普通に犯罪になるわよっ!!」



しかし、どうしてこうも次々と問題が起こるのか。もう収拾つける自信、無いんだけど。



「そういやアンタ、姪っ子甥っ子に『パパ』って呼ばれてるんだって?」



テーブルに着いたので、各自大事な食料を慎重にテーブルに置く。というか、並べる。

そんな時、ティアナからこう言われた。ちょっと動揺してパスタの皿が揺れた。



「・・・・・・エリオ、キャロ?」

「あはは。つい」

「話しちゃった」



いや、いいけどさ。知られた所でどうこうって話じゃないし。



「・・・・・・恭文。なんて言うかさ、どうしてそうなの?」

「僕が聞きたい」

≪アレに関しては、不幸な偶然の産物としか言い様が無いですしね≫



まーそこはいいじゃないのさ。今はご飯だ。

とにかく僕達は、席に座って両手を合わせる。



≪それでは皆さんご一緒に。せーの≫

『いただきますっ!!』

「きゅくー♪」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・ホンマになにも無かったん?』

『うん、なにも。その、すごく気遣ってくれたから』



・・・・・・そう即答されたのが、今朝の事。そして、うちはヘコみ切って部隊長室の机にへたり込む。



「・・・・・・聞かなければよかった」










うちはフェイトちゃんにこの間の一件をツッコんだ。返ってきた返事が・・・・・・これや。

思考はどこか虚ろなもんを辿ってる。らしくないと思ったりもする。

てゆうか、なーんで事件も起きてへんのにこないにシリアスなんやろ。





・・・・・・・ロッサは、なんでうちとそうなったんやろうな。いや、本人に聞くしか無いんやけど。

ただ、怖い。もし・・・・・・一夜の関係っちゅうやつのつもりやったらと考えると、怖い。

別にそういう風に思ってたわけでもないんやけどなぁ。





近い距離に居るお兄さん言う感じで、なんでも気楽に話せて・・・・・・なんかダメやな。なんで、こないに・・・・・・はぁ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・フェイト、覚悟はいい?」

「うん」



という事でヒロさん達が来た翌日、僕とフェイトは二人で本局に来ました。

え、仕事? 訓練? ・・・・・・そんなもんより家の都合だよこんちくしょうがっ!!



「まず殴ってやる。普通にまず殴ってやる」

「ヤスフミ、落ち着いて? 殴るのは私からだよ」

≪Sir、そこはツッコんでいいと思います≫

≪バルディッシュ、さすがにもう色々ぶっちぎってますし、そこは仕方ないですって≫



そして、僕とフェイトは乗り込む。もちろん某提督さんの仕事部屋へ。

するとそこに居たのは・・・・・・のん気にケーキ食べてるいい年した男が二人だった。



「・・・・・・って、ヴェロッサさんっ!?」

「アコース査察官、いらっしゃったんですかっ!!」

「やぁ、フェイト執務官。あ、恭文も久しぶり」



・・・・・・あぁ、事態が読めたよ。鎮痛な面持ちでクロノさんが何話してたとか、よーく分かったよ。



「クロノさん、すみませんがその話に僕とフェイトも混ぜてもらってもいいですか?
アンタの対応のおかげで僕がホームレスになっている件と、すばらしく結びつくと思うんですよね」

「・・・・・・やはりお前の所だったか」

「えぇ、そうですよ。・・・・・・つか、なんですかあれっ!? ありえないでしょうがっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・それはまた、エラい事になってるね」

「なってるならないの話じゃありませんよ。ありえませんよ、アレ」





いや、六課メンバーのセカンドハウスになるとかならあるよ?

でも、実の家族に蹂躙されるってのはないでしょ。

・・・・・・あぁ、もう家族じゃなかったね。縁切ったんだし。



とにかく、新しすぎて涙が出るよ。いや、斬新過ぎて殺意が沸くね。





「それでクロノ、お願いだから迎えに来てくれないかな?」

「そうですよ。リンディさんだけじゃなくて、おたくの子どもさん二人が僕の家から離れたがらないんですよ」



だから、結果的にエイミィさん達も出れないのよ。出ちゃうと、泣くから。・・・・・・ね、これ何?

僕に何か恨みでもあるかな。でもね、僕が逆に恨んでるんですけど。



「・・・・・・すまないが、今すぐは無理だ」



うん、予想はしてた。ただ、それで『はい、そうですか』じゃ、僕は納得出来ない。当然である。



「クロノさん、殴っていいですか?」

「ダメだよヤスフミ、私が殴るから」

「とりあえず暴力はやめろ。なぜいきなり・・・・・・あぁ、そうなるよな」

「そうだよ。クロノ、そうなる理由をちゃんと話して?
ヤスフミだってAAA試験の準備やらもあるし、この状態は正直良くない」

≪ただ、予想はつきますけどね≫



うん、つく。・・・・・・クロノさんは提督職だ。

しかもリンディさんとかと違って、あちこちの世界を回る次元航行艦の艦長さん。



「クロノ、仕事が忙しいの?」

「かなりな。あの事件の影響で、下もだが上もまだまだてんやわんやだ」

「あ、そこは僕も証言するよ。真面目に今のクロノが忙しいのは、確かなんだ」



明日休みを取りますとか言って、『はい、そうですか』で取れる役職じゃない。で、今の話もある。



「なので僕は、1〜2週間は動けないんだ」

「クロノ、話は分かるけど、今のままだとヤスフミが」

「次に二つ目」



分かるけど、納得は出来ないという顔のフェイトを、クロノさんは少し語気を強める事で止める。



「・・・・・・どちらにしてもだ、僕がちゃんと母さんやエイミィと向き合って話さないと、意味がない。
通信やメールではだめだろう。恭文、フェイト、迷惑をかける事は申し訳なく思っている」



そこは事実らしい。だからクロノさんは、頭を下げた。



「だが・・・・・・そのための時間を、僕にくれ」



・・・・・・安くない頭なのに。しかしまぁ、しゃあないか。



「・・・・・・分かりました」

「ヤスフミっ!?」

「まぁ、すぐにどうこうしろって言いませんよ。解決していこうとはしてくれているわけですし」

≪そうじゃなければ、ここで強制的に来てもらう予定でしたけどね≫



うん、そのつもりだった。ま、結局は夫婦間だったり、母と息子間の問題だ。

当人同士で決着つけさせればいいでしょ。でも、それまでは隊舎暮らしかぁ。あははは、色々おかしいなぁ。



「ヤスフミ、本当にいいの?」

「いいよ。ま・・・・・・クロノさんにはフェイトの知ってるとこや知らないとこで、色々迷惑かけてるしね。これくらいは譲歩するよ」

「・・・・・・すまないな。この埋め合わせは、必ずさせてもらう」

「期待しないで、待っています」










・・・・・・とにかく、話がまとまった所で、ヴェロッサさんがケーキを追加で出してきた。





四人でそれを食べつつ、世間話をしばらくして・・・・・・僕達は夕方に隊舎に戻る事になった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



帰りの車の中、フェイトが運転席で僕は助手席。なお、車はフェイトの車。





僕達は夕方の街を走りながら・・・・・・な、なんか本当にこういうの多いよなぁ。





幸せだけど、ちょっとフェイトを独り占めし過ぎてる感じがして、申し訳ない気がする。










「・・・・・・ヤスフミ、本当に良かったの? もうちょっと言ってもいいのに」

「いいよ。無理言えないのは、ヴェロッサさんの証言で証明されちゃってるし。
・・・・・・でも、これで迎えに来なかったら、普通にぶっ飛ばしてやる。それくらいはやってやる」

「そ、そっか。まぁ・・・・・・出来る限り穏便にね」



フェイトの言葉に頷きながらも、夕方の街を窓から見る。見て・・・・・・綺麗だなぁ。

これで色々な事がちゃんとなるんだったら、もっと幸せなのに。



「あ、フィアッセさんにメール送っておかないと」

「フィアッセさん?」

「うん。現状について報告したら、凄まじい勢いで心配そうなメールが返ってきてた」



さっき、車に乗り込む前に端末を確認したら、メールが到着していた。で、こちらに向かいつつチェックした。

・・・・・・うぅ、また心配かけちゃったかなぁ。普通にフィアッセさん相手だと、色々話せちゃうからなぁ。



「でも、なんか元気出てきた。うぅ、フィアッセさんは変わらないなぁ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・フィアッセさん、好きだもんね。凄く仲が良いもんね。

下手をすると、リインレベルで仲良しで・・・・・・アレ?

お、おかしいな。なんでこう、私・・・・・・アレレ? ちょっとおかしいよ。





前だったらヤスフミが女の子と仲良くなるの、嬉しかった。うん、そこは本当に。

でも、今・・・・・・何かこう、モヤモヤした物を感じた。余所見されてるみたいで嫌だなって。

というか、余所見だよね。だってその・・・・・・ヤスフミは、私の騎士になりたいって言ってくれたもの。





それなのにフィアッセさん見ちゃうのは、余所見だよね。普通に余所見のはずだよね。





なんだろう、ちょっとカチンとくる。・・・・・・余所見、嫌だな。










「とにかくヤスフミ、今日はちゃんとお話しないと」

「う、うん。・・・・・・どうしてもやらなきゃだめ?」

「こういうのはやっぱり気持ちだもの。いい機会だし・・・・・・一緒に頑張ろうよ」

「まぁ、そう言うなら・・・・・・うん、頑張ってみる」










帰ったら、早速お話・・・・・・というか、私も一緒にだよね。





私が言い出しっぺなんだし、ちゃんとしなきゃ。でも、どういうのがいいだろ。





どうせだし・・・・・・今までより速くて強い形かな。だったら、私に出来る事、かなりあるのかも。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・ぶったまげた。夜に帰ってきたやっさんとフェイトちゃんがサリの部屋に乗り込んできたらしい。





そのあと、私にシャーリーちゃんにヴィータちゃんにシグナムさんにリインちゃんを引っ張ってきた。





で、その場で二人からお願いされた事は・・・・・・実に衝撃的だった。










「・・・・・・マジ?」

≪・・・・・・蒼凪氏、フェイト執務官、本気ですか?≫



サリと金剛がそう言うのも無理はない。それまでのやっさんの思考では、あり得ない事だからだ。

それは、他のみんなも同じ。だけど・・・・・・頷いた。



「よし。やっさん、病院行こうか。大丈夫、いい医者が知り合いに居るから」

「なんでそうなりますっ!?」

≪主の昔からのご友人です。よくしてくれますので、きっとすぐに回復していくでしょう≫

「金剛もなに言ってるのっ! そんなに僕の言ってる事がおかしいっ!?」

≪はい≫



いや、無理ないから。お願いだからやっさん、そんな頭を抱えるな。



「テスタロッサ」

「あの、シグナム? どうしてそんな居心地悪そうな瞳で私とヤスフミを見るんですかっ!?」

「・・・・・・やはりそうなのか? お前達、その・・・・・・泊まった時に夜伽を」

「違いますっ!!」



いや、フェイトちゃん。どう考えても無理ないから。何かきっかけがあったって考えないと、無理だから。



「まぁ、確かにアタシはうれしーぞ? どういう心境の変化かは・・・・・・分かるわ」

「・・・・・・やっちゃったんですか? その・・・・・・夜伽」

「恭文さんもフェイトさんも、大人の階段一緒に昇ったですか?」

「「やっちゃってないからっ! あと、昇ってないからっ!! 」」



いや、でもさ。仕方ないと思うのよ。そんな怒った顔されても、私ら困っちゃうよ。

ほら、お手上げポーズでみんな困った顔してるし。ちゃんと見て?



「・・・・・・いや、そうとしか思えないから」

≪男は女で変わるって言うしな。ボーイもブロンドガールのおかげで目覚めたんだよ≫

「ちょっとアメイジアっ!?」

≪JACK POT!!≫

「アルトっ! なに勝手に同意してるのっ!! つーかそれもしかして気に入ったっ!?」



まぁ、分かるけどさ。さっきの話通りならよ。つか、マジでやり取りが中学生レベルってどういう事?

やっさんやフェイトちゃんの年齢なら、もうちょい上手くやれるだろうに。私だって上手く・・・・・・デキテタヨ?(弱気)



「ま、そこはいいか。まーアレだよ、やっさん」

「はい」

「PSPで今度出るFFの同梱版、よろしくね」

≪・・・・・・しゃあない。俺も協力するぜ。他ならぬボーイとねーちゃんのためだしな≫

「ヒロっ!?」





・・・・・・しゃあないでしょうが。やっさんマジみたいだし。

それにこういうのは、形から入るのも大事なのよ。私の黒様と同じだよ。

形にすれば、そこに込められた想いも忘れにくいしね。



なお、例として手編みのマフラーなんて言うのは、無粋だよね。





「ただし、アンタのノリは忘れちゃダメだよ? 誰も彼も関係ない。
世間様や常識や理論も関係ない。んな下らないもんは、聞き流してゴミ箱に捨てな」

≪そーだな。そんなもんで行動して、自分を変えるなんて、ボーイとねーちゃんらしく無いぜ?≫

「アンタはアンタのノリで、アンタの相棒と一緒にぶっ飛ばしていけばいい。最初から」

「最後までクライマックスで行きます。大丈夫です、一人じゃ・・・・・・ありませんから」

≪大丈夫です。私達は、いつも通りにやるだけです≫





・・・・・・フェイトちゃんやアルトアイゼンの事だけじゃない。みんなを指して言っている。

うん、きっとそれでいいんだ。やっさんには、やっさんの道がある。

もしかしたら先生はそれが分かってたから、やっさんを置いて旅に出たのかも知れない。



自分の後を追うんじゃなくて、自分の道を進んで・・・・・・いや、自信ないけど。



あの人、思考がぶっ飛び過ぎてて理解出来ないしさ。





「・・・・・・あの、いきなり無茶言ってるの・・・・・・分かってます。だけどお願いします。協力してください」



そう言って、思いっきり頭を下げる。・・・・・・コイツ、ここホントに何があった?

やっぱ夜伽かな。でもまぁ色々考え始めたのは、いい傾向なんでしょ。



「あー、そんな頭下げるな。・・・・・・さて、俺達はどーするよ、金剛」

≪主の御心のままに≫

「わかった。んじゃ、お前にもちょっと頑張ってもらうぞ」

≪御意≫



サリは、覚悟が決まったらしい。金剛も、それに付き従う。そして、それは私らだけじゃない。

・・・・・・ヴィータちゃん、シグナムさん、シャーリーちゃん、リインちゃんもだ。



「バカ弟子、アタシはあのアイスだ。ギガ美味なのを作れよ?」

「リインも、お泊まりの時にそれで」

「私はブランド物のメガネね」

「私は・・・・・・三匹が斬るのディスクだな。ビデオでもかまわんが」

「俺は洗剤の詰め合わせを自宅に送っておいてくれ。
連れ合いがそういうの欲しいってボヤいてるからさ」



みんな好き勝手なリクエストをやっさんにぶつける。いや、私もやったけど。

そして、やっさんの緊張した表情が崩れる。だから・・・・・・次は笑顔だ。



「・・・・・・はい。師匠、シグナムさん、リイン、シャーリー。
ヒロさん、アメイジア、サリさん、金剛、ありがとうございます」

「あの、本当にありがとうございます」



そう言って、二人はまた頭を下げる。今度の意味合いは感謝だけどね。

まったく、みんなお人好しだね。断るって選択もあるだろうに。



「つーかサリ、アンタはこれ以上手助けしないって言ってなかった?」

≪姉御や俺が言えた義理じゃないぜ?≫



うっさいねえ。私は新型PSPとFFのためだからいいのよ。



「つか、それとこれとは話が違うだろ? これはやっさんが、男として前に進むためなんだよ。それに」

「みんな、ヒロリスさんと同じですよ。対価はしっかりと受け取りますから」

「ギブアンドテイクというわけです」

「そーじゃなきゃ、アタシらの誰もやりませんよ」

「・・・・・・納得した」



なんつうか・・・・・・だね。ま、なんていうか、コイツ面白いでしょ? 面白いから色々世話焼きたくなるのよ。



「あ、でもリインはそれだけじゃないですよ? リインは元祖ヒロインで、古き鉄の一部ですから♪」

『うん、知ってた』



・・・・・・本当に言うんだね。私、何かの冗談だと思ってたのに。



≪・・・・・・ボーイ、やっぱりおかしいぜ≫

「いや、リインは仕方ねぇんだ。コイツは仕方ねぇんだ」

≪話には聞いていましたが、ここまでとは≫



ま、そこはともかくだよ。やっさんとフェイトちゃんだけでどうこうってのはちょい無理だしね。

・・・・・・無茶な事やりそうだしさ。やっさんも大概だけど、フェイトちゃんもそうとうだよ。なにさ真・ソニックって。



「んじゃやっさん、早速打ち合わせしようか。思い立ったが吉日ってね」

「はい」

≪皆さん、よろしくお願いします≫

「あ、フェイトちゃんも協力してよね? 言い出しっぺなんだから」

「はい。頑張ります」










なお、やっさんとフェイトちゃんの依頼は至極簡単。あるものを作るのに協力して欲しいというものだ。

私とサリが頼まれたのは、ここ2年ほどやっさんの訓練に付き合ってたから。

リインちゃんが頼まれたのは、やっさんにとって大事なソウルメイトだから。ユニゾンパートナーでもあるしね。





シグナムさんが頼まれたのは、これからは自分の先輩にもなる存在だから。

あと、やっさんの修羅モードと楽しそうにやれる逸材だから。

ヴィータちゃんが頼まれたのは、シグナムさんと同じ理由。





それに加えて、師匠だから。筋は通さないといけないのよ。

シャーリーちゃんは、こういうのも強いから。六課随一のメカニックだもの。

とにかく、私達にやっさんとフェイトちゃんを加えたみんなでだね。





そのみんなの手によって産み出されたものは、これから1ヶ月の後、姿を表す。





今を覆す巨人の騎士は、こうして生まれる事になった。




















(第27話へ続く)




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