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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第20話 『らんぶる・かたすとろふ』(加筆修正版)



前回のあらすじ。家を追い出されました。しばらくホテル暮らしが決定しました。





だから、僕はとっても悲しい感じで苦しい感じです。冬なので、心も寒いです。










『やっさん、アンタ・・・・・・今年は運悪すぎない?
いや、一昨年去年も相当だったけど、今年は極めつけでしょ』



だから、ヒロさんとサリさんからかかってきた通信にも、まず最初に涙目で現状を話すのである。



『JS事件でサイコ野郎に命つけ狙われ、アギトから仇討ちを預かった事で、またごたごたするだろ?
書類に埋れたのは自業自得としても、休みなしで六課に来て色々言われて・・・・・・挙句コレかよ』

「これですね。あははは、真面目にどうなってんでしょ。というか、寒いです。普通に心が寒いです」

『・・・・・・そりゃあなぁ。で、それからなんだかんだで数日経ってるが、現状としてはどうなんだよ』



ベッドの上に座りながら、サリさんの質問に・・・・・・まぁ、頭を抱える。

現状? 何にも変化しないに決まってるじゃないのさ。



≪まず、フェイトさんとクロノさんが出来る範囲で行方を探しまくっています。普通に失踪状態なんですよ≫

「なお、仕事の方は長期休暇にしているそうです。・・・・・・僕には休みなしのくせに」



それだけじゃなく、フェイトとクロノさんにも聞かれた。だけど、答えることが出来なかった。

リンディさんが妙なプレッシャーをかけてくる。メールとかでも『黙っておいてね』と言われる。どうしろと?



「とりあえず仕返しはしたので、ここはいいです。でも・・・・・・どうしよう」

『何にしても、ハラオウン執務官とかに話すしか無いんじゃないの?
アンタがフリーなら、私んちの実家なりカリムのとこなりに避難させてあげられるけどさ』





でも、それは無理だからヒロさんも困った顔をするしかない。

だってそれだと、六課の仕事をどうするのかという話になるから。

どっちも六課からは相当離れてるのよ。通っていける距離じゃない。



そうすると・・・・・・やっぱ話すしかないか。とにかく、脅された事を強調しておくか。



あとは、なのはとヴィヴィオのコンビが普通にリンディさんの肩持って、僕と師匠を困らせた事とか。





「とりあえずフェイトが冷静で、話してもザンバーとか持ち出さない時に説明します」

『あぁ、そうしな? ・・・・・・で、追加レポート読ませてもらったんだけど』

「あ、はい。どうでした?」



この間のスバル戦で、データ取れたからなぁ。いや、アレは偶然とは言え良かったよ。



『なんだかんだでみんな、経験もあるし先生もいいから、そこまでヒドくはないんだよね』



そこはサリさんも同意見なのか、画面の中で僕を見ながら頷いていた。

・・・・・・うん、そこは感じてた。なんだかんだで六課は、エリート部隊なのよ。



『だから俺とヒロの結論としては、経験と知識量をもっと増やせば充分と感じた。つまりだ』

『ダメなところを改善と言うよりは、今までより目標を高くする感じで大丈夫だよ。
私達からもメールはするけど、やっさんからもあの子に伝えておいてくれる?』

「了解です。・・・・・・でも、現状だとそれが難しそうなんですけど」

『そこも大丈夫。対応策は考えてるよ。てかやっさん、リンディ提督に仕返しって何?』

「今更そこを気にしますっ!? ・・・・・・簡単です。アレを送ったんですよ。
で、リンディさんの性格なら、絶対にアレを装着します」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



今日、恭文君から郵送が来た。なんでも、とある世界の珍しい古物とか。

いわゆる呪いの何たらなんて言う、よくある迷信めいたアイテム。

それを久しぶりに会った友人からもらったので、部屋のここに飾っておいて欲しいと頼まれた。





だから包装を開けて飾ろうとしたんだけど・・・・・・ちょっといたずら心が芽生えた。





それが全ての間違いだった。現在私、朝昼とご飯が食べられない状態になっている。










「・・・・・・は、外れないっ! どうやっても外れないっ!!」



何これっ!? とある世界で昔儀式に使われた仮面とか言ってたけど、どうして外れないのっ!!

両手で引っ張っても何をしても全く・・・・・・というか、ご飯が食べられないし水も飲めないっ!!



「まさか、本当に呪いのアイテムっ!? いえ、そんなわけがないわっ!!
これだけ科学力が発展した世界の中でそんなものが・・・・・・あぁ、お願いだから外れてー!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・というわけです」

『やっさん、俺が思うにそれは普通に餓死で死ぬんじゃ』

「大丈夫ですよ。油使えば取れましたし」

『いやいや、気づかなかったらどうするんだよっ! てーか、むしろ殺る気満々っ!? お前は普通に怖いなっ!!』

『あの、マジでやめてくんないっ!? 普通に私に罪が来たらどうすんのさっ! てか、あの仮面の不具合はそこまでかいっ!!』




















魔法少女リリカルなのはStrikerS 外伝


とある魔導師と機動六課の日常


第20話 『らんぶる・かたすとろふ』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・なのは」

「なにかな」

「いや、なにかなじゃなくて。・・・・・・なぜにそんなに睨んでる?」



現在、僕となのはは車・・・・・・というか、僕のトゥデイで移動中です。運転は僕。で、同乗者は他に三人。



「いやさ、まぁ・・・・・・リインは仕方ないよ。IFエンドの要望もあるし、元祖ヒロインだから」

「ですです〜♪」



はい、同乗者その1のリインさん。ちょっと黙ってようか? でそれは、何の話なのさ。



「だけど、他はワケがわからないよっ!!」

「何がっ!?」



それはこっちのセリフだし。いきなりそんなこと言われて、状況が理解出来るわけがない。



「なんでギンガフラグとかディードフラグとかセインフラグとかメガーヌさんフラグとか立ててるのっ!?
どうしておかしいって思わないのかなっ! あれだよね、もうなんでもしていいと思ってるんでしょっ!!」

「やかましいっ! 僕だってわけがわからないんだよっ!! つか、前三つは覚えがないよっ!?
それ以前の問題として、どうしてその話を今するっ!? どう考えても1話遅いでしょうがっ! あの衝撃の時間の十数分前に言ってよっ!!」



そうだよっ! ギンガさんやディードやセインってなにっ!? 僕、真面目にあの人達のフラグを立てた覚えないからっ!!



「いや、真面目におかしいから。私、色々話聞いてビックリしたもの」



横からツッコんできたのは、同乗者その2のシャーリー。どっか呆れてるのは気のせいじゃない。

だけど、そんなのはこちらの教導官には関係ないらしい。



「覚えがないって言えばなんでもすむと思ってるよねっ!?
もう忘れないようにもう一度って言えば、女の子になにしてもいいと思ってるんだよねっ!!」

「違うわボケェェェェェェェェェェェェェェッ!!」



あほかっ! こっちは最終回で『Nice boat』とか言われたくないんだよっ!? んなん絶対やるかっ!!



≪そうなんですか? 私はてっきり伊藤誠さんを超えるつもりなのかと≫

「お願い、アルトはちょっと黙っててくれるかなっ!? そしてあんなの超えられるかっ!!」

「蒼凪、楽しそうだな」

「この光景のどこをどうみたら楽しそうに見えるのか、詳しく聞きたいんですけどっ!!」





そんな事を涼しい顔で言ったのは、同乗者その3のシグナムさん。

・・・・・・こんなカオスな会話をしながらも、僕達が向かっているのは聖王教会である。

そこでみなさまご存知、シャッハ・ヌエラさんに会いに行く。



今回は皆様ご想像の通り、出張研修。ようするに出稽古なのだ。なんだけど・・・・・・ねぇ。





「・・・・・・とにかく、最近おかしすぎるから。色々着くまでにお話、しようね?」



魔王の怒りがとっとと収まるのを祈ろう。



「私、魔王じゃないもんっ!!」

「ほら、そういう風に僕の思考を読み取った所が魔王って言うんだよ」

≪高町教導官、嘘っていけないんですよ?≫

「嘘じゃないもんっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



それは突然の来訪。私達フォワード陣とフェイトさんにヴィータ副隊長が、午前の訓練を終えた時の事。





六課に、二つの風が舞い込んだ。それが今日と言う波乱の日の始まりになった。










「・・・・・・いやぁ、なんか悪いね。突然押しかけたのに、ご飯までご馳走になっちゃって」

「つか、やっさん居るかどうか確認しとけばよかったよな。
どーもアイツに対しては、その辺りを気にしなくていい感じがしてなぁ」



恭文の友達という、技術開発局のお友達が、突然やってきた。

なんでも、恭文が乗っている車・・・・・・例のミニパトのメンテに来たとか。



「というか、恭文って歩きとか自転車の時もあるんですけど」

「いや、私の勘だと・・・・・・今日は車って感じがしたんだよ」

「・・・・・・確かにその勘は正解ですよ? アイツ、現に今日は車でしたし。
だけどアイツ、誰に対してもそういう認識持たれてるんですね」

「だからこそのなぎさんなんですね」



・・・・・・まぁ、私とティアも同じだけどさ。休みの最終日とか。

うぅ、反省だなぁ。アレで色々とこじれ始めちゃったし。



「というか、すみません。ヤスフミ、今日は朝から出かけてて」

「いや、なんつーかすみませんでした」

「あぁ、いーよいーよ。連絡しなかったうちらもあれなんだし。
あ、それとフェイトちゃん・・・・・・この間はごめんね。急に通信切っちゃってさ」



ヒロリスさんは、私達と同じテーブルにつきながら両手を合わせて、フェイトさんに頭を下げた。

それを見てフェイトさんは、首を横に振って返す。どうやら、この前段階で面識があるらしい。



「いや、マジで悪かった。コイツには俺から色々と説教をかましておいたから、許してやってくれ」

「あの、大丈夫です。・・・・・・ヤスフミから、色々ご事情があると聞いていますから」

「まぁねぇ。なんつうか、そうなのよ。それで・・・・・・おたくがヴィータちゃん」



そう言って、友達の一人・・・・・・ヒロリスさんが見るのは、ヴィータ副隊長。

あ、なんか照れてるのかな? ジッと見られて、もじもじしてる。



「・・・・・・はい」

「いやぁ、噂では聞いてたし、やっさんからも話は聞いてたけど、会いたかった。うん、結構マジでね」



ヒロリスさんが、すごくまじまじとヴィータ副隊長を見る。かなり真剣に。え、えっと・・・・・・これは。



「いや、悪いねヴィータちゃん。こいつ、あのやっさんが師匠って呼んでる子がどんな感じか、気になってたのよ」

「あぁ、納得です。まぁ、アタシはこんな感じなんですが」

「いや、納得したよ。まさにやっさんの師匠だ。うん、分かった」



なんだか分からないけど、ヒロリスさんは納得したらしい。嬉しそうに笑ってる。

それを見て私達もなんだか嬉しくなって、表情が柔らかくなる。



「つか、ヒロリスさん」

「何?」

「いや、バカ弟子のデンバードやらトゥデイやら見て思ってはいたんですけど、アイツの趣味関連で知り合ったってことですよね」

「あぁ、そうだね。簡単に言っちゃうと」



その話に、私とヴィータ副隊長は驚く他なかった。

というか・・・・・・あれ、みんな普通っ!? どうしてっ!!



「私はこの間の囮捜査の時に、アイツから聞いてたから」

「私とエリオ君、フェイトさんも休み中にですね」

「そうだね。一回だけ通信で顔も合わせたから」



嘘、私は知らなかった・・・・・・って、当然か。私達、まだ友達でも何でもないもの。



「そっか、なら納得だ」

「ヴィータ副隊長、これで納得しちゃうんですかっ!? 話の流れが色々おかしいじゃないですかこれっ!!」

「甘いな、スバル。普通なら確かにおかしい。だが、アイツなら納得出来る」



凄く実感の篭った言葉に、私は困惑の表情を浮かべるしか無かった。

というか、他のみんなは納得したように頷いてるし。



「やっさんはいつもそういう感じだよ。色んな意味でふざけた奴なの。
ま、そのおかげで死にかけたりしても、生き残れてるけどね」

「ヒロ、お前にやっさんを『ふざけた』とか言う資格はない。つか、似たもの同士だろうが」

「うっさい、私はアイツくらいの年はもうちょい落ち着いてたよ。
でも、話聞いてるとやっさんは、昔からあんな感じだったそうじゃないのさ」



昔からあぁだったんだ。・・・・・・おかしいよね。それって。



「そうだよね、フェイトちゃん、ヴィータちゃん」

「・・・・・・まぁ、そうですね」

「基本ラインは、変わらないですね。あの感じです」



・・・・・・なら、聞いてみようかな。丁度いい機会だし、少し吐き出そう。



「あの、みなさん。少しお願いがあるんです」

「なんだ?」

「恭文の昔の事、教えてもらえませんか? その、魔導師になった頃の事とか」

「ダメ」



即答したのは誰でもない、ヒロリスさんだった。いや、予測はしてたけど・・・・・・うぅ、やっぱりダメなんだ。



「まぁ、聞くってことはだ。やっさんは話してないんでしょ?」

「・・・・・・はい」

「なら、うちらも細かいことは教えらんないよ。
ほら、フェイトちゃんやヴィータちゃんも同じくって感じみたいだよ?」



見ると、二人も確かに苦い顔をしていた。

話せないし言えないという感情が、ありありと見て取れる。



「あの、でも・・・・・・その」

「あー、すみません。この子には私から言って聞かせますから。スバル、この話は終わり。いいわね?」

「ティア、ちょっと待って」

「あー、いいからいいから。・・・・・・ね、スバルちゃん。どうしてやっさんの過去が気になるの?」

「え?」



・・・・・・ヒロリスさんが私の目を見る。さっきまでの少しフランクな感じとは違う、真剣な色が見えた。



「いやさ、気になるからには、当然理由があるでしょ。一応、それは聞くよ。話すかどうかは別問題だけどね」

「・・・・・はい。あの、私もちょっと言い方が悪かったので、言い直します。
恭文の過去というより・・・・・・あの、恭文の事・・・・・・もっと知りたいんです」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・なるほど。ようするにやっさんと友達になりたいけど、どう距離を詰めていいか分からないと」

「やっさんがスバルちゃん達局の魔導師から見ると、レッドカードな手を使うのも何とかしたいと」

「何とかしたいというよりは、どうして・・・・・・なのかなと。私、そこも分からないんです」





私は、普通じゃない。普通じゃない身体と力を持ってる。だからなのかな。

普通じゃない事を自分から選んでる恭文を見ると、何か違和感を感じる。

もちろん、これは私の勝手な考えだから・・・・・・その、どうしてなのかを知りたいと思った。



何にしてもそこからだと思ったの。だけど、恭文はいつもあんな感じで、全然ダメ。



ティアやエリオとキャロは距離が縮まってきてるのに、私だけ置いてけぼりで・・・・・・うぅ。





「分からないのは嫌で、知りたくて・・・・・・だけど、どうしたらそれが出来るのかも分からなくて」

「で、やっさんの事を自分より良く知ってる私らやフェイトちゃん達を頼ったと。
あー、ちょっと焦っちゃってったか。だからさっきも、ちょっとひっちゃかめっちゃかになった」

「はい。・・・・・・今までは一人で考えてたんですけど、どうしても分からなくて。それでいい機会だからと思って」

「・・・・・・スバル、ごめんね。あの、私からヤスフミの方にはよく言っておくから。もうこんな事がないように」

「フェイトちゃん、それはダメだよ」



私への言葉を止めたのは、ヒロリスさん。少し呆れたような視線を、フェイトさんに向けている。

それが分からなくて、フェイトさんは少し困惑した顔をする。



「ダメって・・・・・・でも、これはヤスフミが悪いんですし」

「どうして? だって、誰でも万人と友達になれるわけじゃないじゃん。少なくとも私は無理。
まぁ、フェイトちゃんが凄まじく憎い相手とでも友達になれるって言うなら、いいけどさ」



フェイトさんの表情が、苦いものに変わった。どうやら、なれるとは言えないらしい。

その『憎い相手』が誰の事なのか私には分からないけど・・・・・・それでも、伝わった。



「つまり、ヤスフミとスバルも同じという事ですか?」

「そうだよ。ここには同じ部隊どうこうって理屈は通用しない。
フェイトちゃんだって、執務官の仕事の中でどうしてもダメって局員は居たでしょ」

「それは・・・・・・はい」

「それと同じ事だよ。それで現状でやっさんが、スバルちゃんと多少は距離置きたがってるもの。
私は話を聞く限り、そういう印象を受けた。・・・・・・スバルちゃん、覚えあるよね」

「・・・・・・かなり」



やっぱり、私自身が悪いんだよね。知ろうとする前に、どんどんツッコんで行ったから。

父さんやギン姉にも少し言われたのに・・・・・・うぅ、私本当にダメだ。



「でも、スバルちゃんはそれでもやっさんと友達になりたいんだよね」

「はい」

「どうして? 相当冷たくされてるし、正直嫌ってもいいレベルだと思うのに」

「そんな事出来ません。だって・・・・・・だって、恭文」



・・・・・・あれ、そう言えばどうしてなんだろ。私・・・・・・どうして恭文と友達になりたいんだろ。

確かに、普通ならこう・・・・・・でも、だめ。なんかそれは違う気がする。



「なら、まずはそこを考えるとこからでしょ。そこが分からなきゃ、やっさんだって困るよ。
・・・・・・うし。スバルちゃん、一つ賭けをしようか。つーわけで、演習場に出るよ」

「え?」

「私と本気で勝負。それで私に勝ったら・・・・・・スバルちゃんが今欲してる答えをあげる。
だけど、負けたらアンタは答えを得られないし、やっさんとも絶対に友達になれない。OK?」

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・言われるがままに準備はした。スバルもやる気十分。





だけど・・・・・・だけどこれはなにっ!? いきなり過ぎて、ワケが分からないよっ!!










「あー、大丈夫大丈夫。加減はするから」

「・・・・・・いや、ヒロ。多分フェイトちゃんとヴィータちゃんは、そういうことを言ってるんじゃないから。
つか、俺もワケ分かんねぇしっ! なんだこれっ!? 頭おかしいだろ、お前っ!!」

「失礼な。やっさんよりマシだよ」



それどういう意味ですかっ!? ヤスフミは少しおかしいだけで、頭はおかしくありませんっ!!



「あの、とにかく模擬戦なんてやめてくださいっ! つい圧されて準備しちゃいましたけど・・・・・・許可出来ませんっ!!」

「どうして?」



・・・・・・・・・・・・ヤスフミ、私の気のせいなのかな?

なんだかね、この人から無茶苦茶する時のヤスフミと同じオーラを感じるんだ。



「どうしてって・・・・・・! ヒロさんは魔導師でもなんでもないじゃないですかっ!!」

「・・・・・・いや、止めても無駄な感じがするのは分かるんですよ。でも、やめてもらえますか?
スバルも最近は結構やるようになってきましたし、これでケガされたらバカ弟子にどう説明していいか」



私達がそう言うと、二人はポカーンとしたとした。そして、顔を見合わせる。

あれ、反応がおかしい。私もヴィータも、変なことは言ってないのに。



「・・・・・・あぁ、やっさんから聞いてなかったのね。私ら、魔導師よ?」

『え?』

≪残念ながら、姉御はあのブルーガールの妹やボーイよりは強いぜ?
むしろケガの心配は、あっちにするべきだと俺は思うな≫



いきなりそう口を出してきたのは、一つの声。それが何か分からなくて、私達は辺りを見回す。



≪ここだって≫



その声の発信源は、ヒロさんの両手の中指。金色のリングに、紫色の宝石。というか、そういうデザインの指輪。

・・・・・・これ、AI搭載式のデバイスッ!? でも、今まで何の発言もしてなかったのに、どうしてっ!!



≪あー、やっと喋れた。てーか、やっと出番だ。金剛、お前もなんか喋れよ。黙りっ放しはつまんないだろ≫

≪・・・・・・お前という奴は。普通に主達が許可していないだろうが≫



今度は、サリエルさんの胸元の十字槍のペンダントから。こ、こっちもAI搭載式らしい。



「ま、別にいいさ。こうなった以上、もう正体は隠しておけないしな」

≪主がそう仰るのでしたら。・・・・・・ハラオウン執務官、ヴィータ教官、初めまして。
私の名はサリエル・エグザのパートナーデバイスの金剛と申します。以後お見知りおきを≫

≪で、俺は姉御のパートナーのアメイジアだ。よろしくな。
そして姉御とサリは、さっきも言ったが魔導師。それもボーイと同門だ≫

「ボーイ?」

≪蒼凪氏の事です、フェイト執務官≫



待って待って。蒼凪・・・・・・ヤスフミと同門? それで魔導師・・・・・・ま、まさかこの二人ってっ!!



≪てか姉御、マジでワケ分かんねぇって。なんで戦うんだ?≫

「そこに戦いがあるからだよ。分かり切った事を聞かないでよ」

≪バカだろっ! 普通に姉御が戦いを勃発させたんだよなっ!? 元からはねぇよっ!!≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



まさか向こうがそんな楽しい状況になっているとは露知らず、僕はある人とガチにやり合っていました。





そう、その人とは・・・・・・当然こちらです。










「・・・・・・それでは、この辺りにしましょうか」

「はい。お疲れさま・・・・・・でした。ありがとうございました」

≪シャッハさん、ありがとうございました≫

「いえいえ。こちらこそ、いい経験をさせていただきました」





紫色のショートカットの髪に、手に持つのは二本の幅広で長方形の刃付きトンファー。

みなさまご存知、聖王教会の戦うシスター。シャッハ・ヌエラさん。

午前中いっぱい、必死こいて斬り合ってたわけだけど・・・・・・いや、楽しかった。



やっぱり、僕の中の『ガチにやり合って楽しい人ランキング』のベスト5に入っているだけのことはあるわ。





「お礼を言うのはこちらです。やはりあなたと剣を交えるのは、心が躍ります。
・・・・・・シスターとしては、少しだけ不謹慎ですけどね」

「にゃははは」

「恭文さん、シスター・シャッハもおつかれさまです〜」





互いに息を整えつつ話していると、後ろからリインが飛んできた。

小さな手にタオルを持って。というか、二つ持ってる。

必死に持ってきたそれを、僕とシャッハさんに手渡す。



それで僕達は、噴き出した汗をふき取る。いや、あぢー。楽しいけどあぢー。





「ありがとうございます。リインさん」

「はいです。というか、二人とも頑張ってたですね〜」

「まぁ、聖王教会なんて滅多に来れないしね」

≪・・・・・・いや、そういう意味じゃないですから≫

「ですです。お昼、もう過ぎてるですよ?」



その瞬間、シャッハさんと顔を見合わせてすぐさま時間を確認する。

・・・・・・あ、もう午後1時だ。えっと、ここに来たのが9時で、組み手始めたのが10時。



「すみません、ついつい楽しくなってしまって」

「・・・・・・シャッハさん、それ・・・・・・というか、僕達ってどうなんでしょ」



あ、なんかお昼なのに、カラスの声が聞こえる。あれだよ、『アホー!』って言ってる声が。



≪凄まじく楽しそうでしたね。二人して≫

「リインだけじゃなくて、なのはさん達も止めるのが忍びないって言ってたです」



・・・・・・真面目に思う。お昼ぶっちぎりで楽しく三時間斬り合いって、人生の楽しみ方間違えてる気がする。



「僕達、もっと平和的な楽しみを見つけてもいいんじゃないでしょうか。というか、頑張って見つけようかな」

「あぁ、それならもちろんありますよ」

「そうなんですか。・・・・・・例えば?」

「そうですね。魔法学院の子供たちと戯れる時や、信者の方々とたわいもない会話をしている時。
あとは、騎士カリムとの紅茶の時間などでしょうか。そんな時間を過ごす時には、心は落ち着いています」

『なるほど』



確かに、武闘派シスターっていうのは、シャッハさんの一面だしなぁ。心を落ち着けて、静かに過ごす時間だって当然ある。

いや、こういう部分は戦闘者なら誰でも無いといけない。それが無いと、全然戦えないもの。色んな意味でね。



「あなたにもあるでしょう? そういう時間が」



シャッハさんが、僕を見てそう聞いてきた。だから、頷いて答える。・・・・・・うん、ある。

今という時間そのものそうだし、みんなと馬鹿をやったり、騒いだり。そんな守りたい時間がある。



「私もです。・・・・・・それが守れるなら、どんな戦いであろうと身を投じ、剣を振るう。
そんな覚悟が出来る時間が、私の中にもあります」

「・・・・・・そうですね。僕も、同じです」

「でも、あなたは誰よりもフェイト執務官との時間を守りたいんでしょう?」



そう言われた瞬間、思考が固まった。だって、笑顔でそう言い切ったシャッハさんには、その話をしてないから。

待て待て、情報源は誰? シグナムさん・・・・・・いや、あの人はそんなぺらぺら喋る人じゃない。



「・・・・・・はやてかっ! あれならありえるっ!!」

「違います。というより、あなたとフェイト執務官の二人でいるところを見れば、誰であろうと分かりますよ」

≪そうですよね。わかりますよね、普通は≫



うん、そうだよね。普通は分かるんだよね。僕、改めて痛感したよ。



「・・・・・・でも、それが当の本人には伝わらないんですよ。あの、アレはどうすればいいんですか?
最近、もう押し倒すしかないのかなって、本気で考え始めてるんですけど」

「や、恭文さんっ!? お願いですから蹲らないでくださいですー! 泣くのもだめですよー!!」

「あの、それはやめなさいっ! そんな真似をしてあの方の心を射止められるわけがありませんっ!!
でも・・・・・・本当にそうなのですね。騎士カリムから聞いた通りですよ」



・・・・・・カリムさん、意外とお喋りだな。でもまぁ、いいや。とりあえず、そこはいい。



「あとは、色々とシグナムや八神部隊長からも聞いていますよ。
あなたがフェイト執務官を守る騎士として、戦い続けていると」



結局話してるんじゃないのさっ! どいつもこいつも、なんなのさ一体っ!!



「・・・・・・僕は騎士なんてガラじゃありませんよ」



僕は自分の勝手で戦ってる。局とか世界とか、そういうもんのためじゃない。

ぶっちゃけ戦って命賭けるのも、嫌いじゃないしね。



「ガラなどは関係ありませんよ」

「え?」



シャッハさんが、僕を見て柔らかい表情で微笑む。だけど瞳には、とても強い力が篭っていた。

それが僕の心を射抜く。そして・・・・・・そのまま言葉を続ける。



「守りたいものがある。そのために剣を振るい、業を背負う覚悟がある。
ならば、ガラなどは関係ありません。それが出来るものは皆、等しく騎士です」



守りたいものがある。業を背負う覚悟・・・・・・か。そんな大層な心がけ、あるわけじゃないんだけどな。



「・・・・・・なら、恭文さんは騎士ですね。全部に当てはまりますから」

「・・・・・・そうかな?」

「そうですよ。愛する女性を守りたいと、力になりたいと願って進み続ける。
憎しみに落ちかけた少女の心を守るために、仇討ちを引き受ける」



一体何の話をしているのか、すぐに分かった。まぁ、カリムさん経由で色々知ってるんでしょ。

カリムさんは後見人だし、JS事件にも深く関係している。だから、僕のアレコレも当然聞いてるから。



「戦う力が無く、泣くしか無い誰かのために抗い、その手を未来に伸ばし続ける。・・・・・・あなたのそれは、紛れも無く騎士の所業です。
実を言いますと私としては、何故あなたがそんな理由で騎士の称号を取らないのか、前々から非常に疑問でした」

「疑問・・・・・・ですか」

「えぇ。もちろん、あなた個人の考えや道理がある以上、あまり言えませんけど」



・・・そういうガラじゃないというのが、称号を取らない理由だった。だけど違う。そうじゃない。

僕の性格どうこうじゃなくて、僕がしてきたこと。それが、騎士の行動そのものらしい。



≪・・・・・・シャッハさん。シグナムさんやはやてさんにカリムさんから、何か聞いてるんじゃないですか?≫

「さぁ、どうでしょう。まぁ、あなたはロッサと同じく自由過ぎる傾向が」

「恭文君っ!!」





僕が少し考え込んでると、その思考はある声によって中断された。

そこを見ると、なのはとシグナムさんとシャーリーが走ってきていた。

というか、なんか慌ててる。三人が三人とも、慌てた様子だった。



それで開口一句、とんでもない言葉が出てきた。





「恭文君の友達が、スバルと模擬戦してるって・・・・・・どういうことっ!?」

『・・・・・・はぁっ!?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ヒロさんとサリさんが六課に来て」

≪話の流れでスバルさんとヒロさんが模擬戦≫

「ヒロリス・・・・・・またそんな真似を」

「え? ・・・・・・シスターシャッハ、恭文君の友達を知ってるんですかっ!?」



そりゃそうだよ。だって、ヒロさん・・・・・・ヒロリス・クロスフォードは。



「昔から騎士カリムを、妹のように可愛がってくれていたんです。私もその関係で」

「えぇっ!?」





・・・・・・あー、細かい説明が必要だよね。うん。

ヒロさんの実家は、クロスフォード家・・・・・・クロスフォード財団。

そこは以前も話したけどミッドでは有名な資産家。



ヒロさんはそこの分家筋の出身。で、その分家は聖王教会の活動を支持。

そのスポンサーも務めてるの。二人はその関係で、子ども時代に知り合ったとか。

なお、以前少しだけ話したカリムさんと縁を持つことになった護衛の仕事。



これも実はヒロさんからの推薦で、クロノさん経由で回ってきた話だったりする。





≪まぁ、そこはいいでしょう。・・・・・・しかし、どうします?≫





みんなで遅いお昼を頂きながら、そんな話をしていた。していたけど、どうしよう。

いや、正直どうしようもない。だって僕達、六課に居ないんだもん。

とりあえず、サリさんから送ってきたメールを見るに・・・・・・ワケ分からないよっ!!



どうしてそれで模擬戦っ!? 言ってる事はマトモでも、行動がおかしいからっ!!





「とりあえず、ヒロさんとサリさんには戻ってから話そう。
まぁ、フェイトと師匠が居るんだし、いつもみたいなことには・・・・・・ならないよね?」

「誰に対して聞いてるのっ!? というか、どういうことっ!!
色んな要素が詰め込まれ過ぎてて、もう何がなんだかっ!!」

「あぁ横馬もお願いだから落ち着いてっ!! ・・・・・・一つずつ説明するから」



とにかく、説明だよね。うんうん。まずはそこからだって。



「えっと、出会い方は」










あの時の衝撃は、多分一生忘れられそうに無い。





だって・・・・・・思いっきり関係者だったんだもん。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・・・・・・・・・・帰っていいかな?」

≪どんだけ引きこもり思考ですか、あなた。まったく、オフ会くらいマトモにこなしましょうよ。
せっかくエイミィさんやアルフさんが、後押ししてくれたというのに≫





そうだったね。子育ての最中で、何気に僕も閉じこもりがち。



外に出て新しい出会いに触れるのは、いい刺激になるって言ってくれた。



なんか、申し訳ないな。手伝うために居るのに、逆に気を使わせちゃって。





「でもさ、いきなり知らない人と会うのって、やっぱり緊張するよ?」

≪・・・・・・そうですね。あなたはそういう人でしたね。ヘタレでしたよね≫

「ヘタレって言うなっ!!」



とにかく、僕はミッドのフェレット広場で待ち合わせをしていた。

体型なんかの特徴は話してるけど、なぜだか『(泣)』とか、慰める顔文字とかいっぱい使われた。・・・・・・ムカつく。



≪仕方ないでしょう。年齢も言ったのなら、当然の反応です。・・・・・・それで相手方の特徴は?≫

「うん。身長は女性が170以上。男性の方が180以上だっけな。
で、女性が白髪のセミロングで、それを二つのおさげにしてるの」

≪・・・・・・白髪セミロングで二つのおさげ?≫

「男の人の方が、黒髪のざんばら髪って言ってたな」



年齢は20代後半・・・・・・というか、三十路突入したって言ってたな。どんな人たちだろ? 興味はあるよね。



≪・・・・・・はい?≫

「いや、そういう人たちなんだって。なんか、長い付き合いのある友達同士とか」



なんか、20年とか付き合いがあるって言ってたな。年齢を考えると、幼馴染でいいよね。

というか、そこまで付き合いが続くとは・・・・・・すごいねぇ。僕はそれまでには、フェイトとくっつけるといいなぁ。



「・・・・・・あの、やっさんですか?」



僕がちょっとだけ鬱な思考に入りかけていると、声がした。

そちらを見ると・・・・・・そのものずばりな方々が居た。



「あ、はい。・・・・・・ヒロさんとサリさんですか?」

「そうだ。ども、初めまして。いや、まさかまさかとは思ってたけど」

「またちっちゃいねー。君、ちゃんと食べてる?」



毎度おなじみの何かが、深々と突き刺さった。その原因は、フェイトと10センチ近く違っている身長のせい。



「・・・・・・ヒロ、そこは触れちゃだめだって」

「ごめん。あの、お願いだから踞って泣くの、やめてくれないかな。
お姉さん、意外とそういうの気にするんだ」

≪あなた、そんなタマでしたか?≫

「うっさいねっ! アンタにそんな事言われ」



その瞬間、場が固まった。というか・・・・・・え、なにこれ?



「・・・・・・なぁ、俺は凄まじく聞き覚えのある声が聞こえたんだが」

「奇遇だね。私らにとっては色んな意味で思い出深いやつの声が聞こえたよ」



すみません、意味がわからないですその会話。

だけど、そんな僕の思いはどこへやら。話はどんどん進んでいく。



≪ずいぶんな言い草ですね。というか・・・・・・なにしてるんですか≫

「え、アルト知り合いなのっ!?」

『アルトっ!?』



二人が同時にハモって驚いた。というか、僕の肩を掴んで、無理やり立ち上がらせる。

そして・・・・・・表情が驚きに満ち溢れたものに変わる。



「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ア、アルトアイゼンっ!! アンタ、なんでこんなとこにっ!?」

「つか、待て待てっ! なんでお前、この子に『アルト』って呼ばれて平気にしてるんだよっ!!
お前、マスター以外には呼ばれたくな・・・・・・ま、まさかっ!!」

≪そうですよ。この人は、私の現マスターです≫

『えぇぇぇぇぇぇぇっ!?』



ちょ、ちょっと待ってっ!? この状況何っ! お願いだから僕にも分かるように説明してー!!



≪ねーちゃん、マジかよっ! てーかおひさっ!! それで、普通になんでそうなったっ!?≫

≪・・・・・・これは驚きだ。数年会っていない間に、何故そんな事に≫

≪アメイジアも金剛も、久しぶりですね。変わりないようで落胆しましたよ。ちょっとは進化したらどうですか? 私のように≫

≪そしていきなり豪速球だなっ! 変わりねぇのはそっちだろっ!?≫

「だから待ってっ! まずいきなり会話に加わってきたおのれらは誰っ!?
普通に僕だけを置いてけぼりで会話を進めないでー!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・というわけで、色んな意味で置いてけぼりな僕はその場から、近くのご飯の美味しいカラオケ屋さんに連行されたの。それで」

「そのお二人がトウゴウ先生の弟子だったという話と、その時にアルトアイゼンと知り合っていたという話を聞いたわけか」

「そうですね。それで、僕の現状とかを話したら、色々戦闘技能やらなんやらを見てくれるという話になって」





そのまま、付き合いは今に至るというわけである。・・・・・・ヒロさんとサリさん、僕と同じく先生の弟子なのよ。

それで僕が何回か話に出した教導隊出身の友達とは、あの二人のことでもあったの。

先生と会う少し前に、席を置いていたらしい。相当暴れてたとかなんとか。



二人は先生から受け継いだ技能を錆びつかせるのも嫌だと、訓練は仕事の合間を縫うようにして継続中。

実力的には一線級。ぶっちゃけ、なのはやシグナムさん達より強いと思う。だって、僕はまだ一回も勝ったことないし。

JS事件の時も協力してもらって、一緒に暴れたりしたしね。あはは、バレたら絶対怒られるな。



対外的には引退してる人達、事情込みとは言えど容赦なく引っ張りだしてるんだから。





「・・・・・・ねぇ、恭文君」

「なに?」

「なんでそうなのっ!? 訳分からないよそれっ!!」

「やかましいっ! 僕だって同じだよっ!! つか、なんで六課隊舎に来ているのかもイミフだしっ!!」



とにかく、二人のことは次回だ。もう僕たちにはどうしようもない。



「で、なんやかんやとまた修練場に来ましたけど、午後はなにするんですか?」

「・・・・・・お前。まぁいいだろう。向こうは向こうで楽しくやっているだろうしな」





・・・・・・うん、楽しくね。つか、スバルはそこまで僕のこと気にしてたのか。何気にビックリなんですけど。

というか、さっき来たメールでサリさんに、少し言われてしまった。

事情も分かるけど、僕がちゃんと話してないのが原因なんだから、後は自分で始末つけろと。



まぁ、しゃあないか。帰って話せる状態なら、少し話そう。・・・・・・スバル、死なないでね?





「午後の修練は・・・・・・私とシスターシャッハと、全力全開でやってもらう」

「・・・・・・・・・・・・マテ」



まぁ待ちましょうよ。落ち着いていきましょうよ。なんか楽しそうにしてますけど、僕は意外と必死ですよ?

アンタら二人を相手取れって・・・・・・あれかっ! 死ねと言っているのか貴様らっ!!



「問題は無い。蒼凪、お前も我らやテスタロッサと同じミッド剣友会メンバーである以上、これくらいは普通だろ」

「やかましいわっ! このバトルマニアがっ!!
普通はタイマンかタッグ戦でしょっ!? これはどう考えても死亡コースでしょっ!!」

「問題は無い。それに言ったはずだ、全力全開だとな。今回はリインも一緒だ」



・・・・・・あ、そういうことか。なら大丈夫だ。だから僕は納得した顔になって、矛を納める。



≪それでリインさんを連れてきたんですか≫

「そういうことだ。六課でもいいとは思ったが、せっかくだしな」

「だそうだけど・・・・・・リイン、どうする?」

「問題ありません。かるーく捻ってみせましょう」



僕の隣に来て胸を張ってそう宣言するのは、祝福の風兼古き鉄。ま、そうだよね。

僕達二人・・・・・・いや、『三人』が揃って、『はい、そうですか』で負けるわけにはいかないでしょ。



「リイン曹長、ずいぶんと強気ですね」

「蒼凪と絡むとこうです。お気になさらず。とにかく、始めるぞ」

「はい」



そうして二人は自分の相棒を出し、構えた。

・・・・・・さて、ちょこっと久しぶりだね。だけど、そんなのお構いなしで敵は強大だ。



「楽しいねぇ。楽しすぎて笑いが出そうだ」

「ですね。でも、やれます」

≪そうですね。それでは、見せるとしましょうか≫

「りょーかい」



ま、毎度おなじみ電王ネタだけど、ノリよくいくとしようじゃないのさ。



「・・・・・・行くよ、本邦初公開っ!!」

「リイン達の本当の変身とっ!!」

≪本当のクライマックスというものを≫

「見せてっ! あげるよっ!!」



僕は、右手を目の前に伸ばす。手の平は上に、誰かの手を取るようにして。

そして、リインは僕の右手の中指に、自分の右手を重ねて・・・・・・叫ぶ。



「ユニゾン・インッ!!」





その瞬間、僕とリインの身体を青い魔力の光が包み込む。

そして、リインは僕の中へと入る。・・・・・・そう、入るのだ。

それから、バリアジャケットが変化する。まず、青いジャンバーが消え去る。



その下の黒いインナーが、リインの甲冑と同型になる。ただし、白だった部分は青に変わる。

ジーンズ生地のパンツは、少しだけ色を明るいものへと変える。

腰元に、これまたリインと同型のフード、ブーツも同じく同型を装着。



フードの色は青。ブーツは、黒色。左手のジガンスクードも、同じように変化する。

それまでの鈍い銀色から白銀へと色を変える。鮮やかな、雪を思わせるような輝きを放つ。

そして最後に、僕の髪と瞳が色調を変えた空色へと変化する。



・・・・・・力が溢れる。理屈じゃない。理論じゃない。ましてや、データ的なものでもない。

身体と心の奥から、力が溢れてくる。なんでも出来そうな気持ちになる。

そう、この力は・・・・・・未来を掴む、僕達三人の想いの力だ。



光が散る。それらは冷たい雪となって、僕達の周りを散る。これで完了だ。



これが・・・・・・本当の古き鉄の姿っ! 僕とリインのユニゾン形態っ!!





【・・・・・・やっぱり、温かいです】

「そうだね。僕も、心が温かい」

【恭文さんとのユニゾンは、安心するです】



うん、そうだ。リインとのユニゾンは安心する。どんな状況でもどんな理不尽でも、軽く覆せる。

未来をこの手に掴めると信じられる。本当に不思議だ。うん、不思議。



【はい】

≪まったく、相変わらずラブラブですね≫

【ヒロインですから♪】

「まだ言うのね、それ」



本来であれば、リインとのユニゾンは想定外。出来るわけがないもの。

だけど、僕達は出来る。こうして一つになって、理不尽を覆せる。



「最初に言っておくっ!!」



せっかくなので僕はエンジンをかける。目の前の二人を指差し・・・・・・言い放つ。

今この瞬間にありったけの強さと決意を刻み込み、前に進むために・・・・・・最初に言っておく。



「僕達はかーなーり・・・・・・強いっ!!」

【ついでに言っておくですっ! 速攻で片付けてやるのですよっ!!】

「あなた方はいきなりなんなんですかっ!?」



シャッハさんが言いながらも刃付きのトンファー・・・・・・ヴィンデルシャフトを構える。

なお、シャッハさんの使用するアームドデバイスである。



「遠慮なくやらせてもらう。全力で来い」



シグナムさんが、レヴァンティンを正眼に構える。

・・・・・・変だね。相手はオーバーSとニアそれな二人。なのに、まったく負ける気がしないよ。



「リイン、作戦は」

【言うまでもないのです。一蹴するですよ】

「分かった」



あ、言っておくけど、能力どうこうじゃないよ? リインと一つになって、アルトが居る。

僕達三人で戦える。これだけで・・・・・・誰が相手だろうが、負ける気がしない。



「いくよ。リイン、アルト」

【はいですっ!!】

≪さぁ、ここからが私達のクライマックスですよ≫

「覆すよっ! 今をっ!!」










まずは一歩。そしてその一歩から、色んなものが始まる。





例えば前進して突き進む事。だから、僕達は飛び出した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「シャーリー、状態はどう?」

「問題ありません。なぎ君とリイン曹長のユニゾン、すごく安定していますから」



大丈夫とは分かってるけど、一応確認は必要。・・・・・・あの二人のユニゾンは、本当にすごいから。



「でも、やっぱりすごいです。八神部隊長や副隊長達とユニゾンするより、適合率が高い」

「そうなんだよね。こういうのも、はやてちゃんのヤキモチの原因なんだよね」





・・・・・・ユニゾンというのは、ユニゾンデバイスを用いた一種のパワーアップ方法。

まぁ、こういう言い方をすると色々語弊があるので、これはあくまでも簡単な説明だね。

ユニゾンデバイスと魔導師か騎士(この場合はロードと言う)が一つになることを、ユニゾンという。



ただし、問題点がある。ある一定以上の相性というか、適合率が両者の間に無い場合、ユニゾン出来ない。

というより、それで無理にユニゾンしたら、とんでもない大事故に発展する危険性がある。

そんな理由から、現在ではユニゾンデバイスを開発しているところはほとんどない。それは私達教導隊も同じ。



例え開発・・・・・・生み出したとしても、適合者以外はその能力を発揮出来ないのがその理由。

一つの商品として考えると、売り物にならないの。やっぱり、万人に使えるものだからこそ利益になるわけだし。

そしてリインは、そのユニゾンデバイス。主であるはやてちゃんのリンカーコアをコピーして、そこから生み出された存在。



その守護騎士であるシグナムさんやヴィータちゃん達とのユニゾンを前提に生み出されている。

だけど、二人が出会うきっかけになった事件の中で、二人はユニゾン出来た。

それも、はやてちゃん達よりも高いユニゾン適合率と能力を、安定した形で叩き出した。



魔力量自体は、恭文君が一般レベルだから、比べるまでもない。

でも、二人にとってはそんなのは問題にならないくらいに強い。

これも、贈り物・・・・・・なんだよね。うぅ、どうも私は信じられないなぁ。



とにかく、そんなユニゾンした二人が戦い始めた。さぁ、どうなるかな? 結構きついと思うけど。





「なのはさん、どっちが先に仕掛けると思います?」

「当然、恭文君達だよ。この状況、攻めなくちゃ勝てないもの」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そうだね。普通にやったらきついね。普通にやったら、僕達は勝てない。

シャッハさんは、フェイトとはまた違った意味での高速戦闘が得意な人だ。

具体的に言うと、もの凄くフットワークが軽い。物質透過魔法なんてのも使えるしね。





そして、シグナムさん。空戦だから、その辺りの移動能力は脅威。

あとは連結刃やらボーゲンフォルムで弓とか撃たれても困る。

シャッハさん? あの人のフットワークなら、ぎりぎりで回避は可能。





なら・・・・・・やっぱりコレしかない。勝負は一瞬。そこにありったけを叩き込む。

僕は、シャッハさんへと突っ込む。そして、シャッハさんも同じくだ。

さすがガチンコ好き。何の躊躇いもなく突っ込んできますか。だから、こうする。










「ブレイクハウトっ!!」



走りながら発動した魔法は、ご存知物質操作魔法。僕の周辺の地面から、杭が生まれる。

大人の腕くらいの太さのある杭の数は、8本。それがシャッハさんに向かう。



「はぁぁぁぁぁぁっ!!」





シャッハさんの両手のヴィンデルシャフトが回転する。というか、両方のカートリッジが1発ずつロード。

そのまま殴るように両手を振るう。回転する刃が、杭達を薙ぎ払った。そんな中を、シャッハさんは進む。

やっぱりこの程度じゃダメか。だから・・・・・・もういっちょっ!!



丁度シャッハさんの足元を狙って、ブレイクハウトを発動。瞬間、地面が爆発した。

だけど、シャッハさんはその勢いを活かして高く跳ぶ。跳びながら、僕に向かってくる。

僕はまたまたブレイクハウトを発動。先程の倍の太さの杭をシャッハさんに向かって突き出した。



なお、数は4本。シャッハさんは・・・・・・迫ってきたそのうちの1本を、右手で上から殴りつけた。

それで身体を上に動かして、杭を回避。回避しつつもその上に乗る。僕の予想通りに。

他の杭達も足場にしつつ普通に僕へと一直線。く、やっぱ手強いし。



僕は慌てたように杭を構築していた魔法を解除。シャッハさんは、普通に地面へと落下する。

シグナムさんは動かない。というより、動けない。その理由は簡単だ。シャッハさんが飛べないから。

飛べないから、下手に攻撃出来ない。このコンビの弱点は、それぞれの移動能力の差異だ。



普通に・・・・・・なんて言ってると、後ろに気配。僕は咄嗟にアルトを引き抜いて、気配から放たれる脅威を防ぐ。

途中まで抜きかけたアルトで受け止めるのは、斬撃。当然のようにシグナムさんだ。

このやり取りの間に、回り込んで来た。シャッハさんが着地して、こちらに突っ込んでくる。



だから、リインが魔法を発動する。





【アイスキューブッ!!】





シャッハさんの頭上にベルカ式の魔方陣。そこから、氷のキューブが大量投入。

さて、当然シャッハさんはそれを後ろに大きく跳んで避ける。でも、まだ終わらない。

リインがシャッハさんの着地点をタイミングよく狙って、何度も魔法を発動。



襲い来る氷のキューブを、シャッハさんは何度も避け続ける。

・・・・・・ただのアイス制作用のちべたい氷なのにね。ご苦労様だよ。

そして、その間に当然だけど僕も動いている。じゃなきゃ、やられるだけだし。





「鉄輝・・・・・・一閃」



刃を包み込むのは蒼い魔力。薄く鋭く研ぎ澄まし、僕はそのまま抜き放った。

アルトの刃と唐竹に叩き込まれていたレヴァンティンの刃が摩擦。だけど、それでも斬撃は通る。



「断(たち)っ!!」




断(たち)とは、先生から教わった剣術の技の一つ。

言うなれば、瞬間的な超零距離抜刀術。

本来であれば、抜きかけの刃を相手の身体とかに当てて斬るのよ。



日本刀の反りと抜刀の速度を活かして、一気に引き切るわけだ。

もちろん、こうやって抜きかけで攻撃を受けた時のカウンターにも使える。

シグナムさんは刃を弾かれ、数歩下がる。下がって次の行動に出ようとするけど、甘い。





「クレイモアッ!!」



断(たち)を放ちながらも詠唱していたクレイモアを、シグナムさんに向かって掃射。

シグナムさんは咄嗟に上に飛んだ。そして、本当にスレスレでクレイモアを回避。避けるから、リインも続ける。



【フリジット】



僕の周囲に発生したのは、12本の氷の短剣。リインが得意な、氷結属性持ちの多段射撃魔法。



【ダガー!!】





それは、銀色の軌跡を描きながらシャッハさんとシグナムさんへと迫る。

シャッハさんは足を止めて、それらをヴィンデルシャフトで打ち払う。

シグナムさんは、後ろに下がりながらもレヴァンティンのカートリッジを1発ロード。



刃に炎を宿し、右薙に真一文字に振るって、ダガーを斬り払っている。





≪Axel Fin≫





・・・・・・らしい。そう口にする理由は簡単。その間に僕は、カートリッジを1発使用。

アクセルを使用して、一気にシャッハさんの懐に飛び込んでいるから。

シャッハさんは、当然のように迎撃態勢。やっぱり、二人同時とか無理。



だから・・・・・・まず、シャッハさんを潰す。あ、アルトは鞘に納め直して・・・・・・と。





「鉄輝っ!!」





言いながらも、僕はシャッハさんに向かって右薙に一撃を叩き込んだ。



シャッハさんは、その一撃を右のヴィンデルシャフトを盾にして受け止めた。



受け止めながらも、左手を反撃のために引く。





≪Ice Jail≫

【フリーレン・フェッセルン】





発動したのは、凍結魔法。空間の水分を操作して、氷を生成する。

リインが使ってるフリーレン・フェッセルンと同系統の魔法。

なお、発動した部分は、僕の『鞘』とヴィンデルシャフトの接点。



ここがまず一つ。そして、リインはシャッハさんの両足。

瞬間的に二人で連続発動して、三箇所を凍らせたのよ。

とにかく、それらが簡単には剥がれないように氷で接着した。



それにより、反撃しようとしたシャッハさんの動きが一瞬乱れる。

だから僕は、改めて僕とリインはアルトに魔力を込める。というか、遅い。

シャッハさんが動揺している間に、アルトを抜き放って左の肩口に叩き込んでる。



刃に灯るのは、僕達の二人分の力。簡単には覆せない。





【「氷花・・・・・・!!」】





ジガンのカートリッジを3発使用。その魔力も、一緒に注ぎ込む。

注ぎ込みながら僕は、鞘を逆手に持った左腕を強引に引く。

それにより、シャッハさんの体勢が前のめりになる。



刃は防御する間も与えずにシャッハさんの左の肩口を捉え、袈裟にその身を斬り裂く。





【「一閃っ!!」】



斬撃の衝撃で、鞘とヴィンデルシャフトを接着していた氷が砕ける。シャッハさんは目を見開くけど、まだ続く。

刃を返して、胴体に当てる。そして、そこから右切上でシャッハさんを打ち上げた。



「はぁぁぁぁぁぁっ!!」






今度は、両足の氷が砕けた。シャッハさんの胴体は勢い良く飛び上がる。

そして、演習場の隅に音を立てながら墜落。動く様子はないので・・・・・・これでおしまいである。

・・・・・・シャッハさんが受け止めたのは、アルトを納めたままの鞘での一撃。



受け止められた場合、魔法を発動して動きを止めようと予め考えていた。

シャッハさんが、受け止めた場合すぐに反撃に出るのも分かってた。

抜きの直後が隙だらけなのは、とっくに分かってるもの。



シャッハさんくらいになると、すぐに反撃出来る。だから、これを使った。





「・・・・・・飛天御剣流、双龍閃・雷もどき」





抜刀の後、鞘での追撃を加える二段構えの抜刀術の技が、双龍閃。

で、これはそのバリエーション。納刀したまま鞘を叩き込んで、その後に抜刀攻撃。

でも、疲れた。全て同時進行でどうにかするのは、疲れる。



もうちょい今度はシンプルに行きたいな。普通にめんどくさいし。





【やっぱり、もどきを付けるですね】

≪つけないと、パクリですしね≫

「さぁ、次だ次っ!!」










言いながらも僕は右に跳ぶ。僕達が今まで居た場所を斬り裂くのは、炎の魔剣。





そのまま後ろに数度跳んで、僕は対峙する。・・・・・・強敵であるシグナムさんと。





戦いは、まだまだ続くらしい。僕もアルトもリインも、気持ちを引き締め直した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・・・・・・・ギア」



・・・・・・なに、これ? なんで、こうなるの? 一応始まる前に、ちょっと経歴は聞いた。

実は恭文と同門で、元々魔導師だったって。でも、もう引退して8年経つって。



「エクセリオンッ!!」

≪A.C.S. Standby≫



それなのに、300メートル程前に居るあの人はとても圧倒的で・・・・・・届く気が、全くしない。

それでも私は、森林を象った演習場の地面を踏みしめる。



「・・・・・・フルドライブによるブーストか」

≪魔力量が多い人間からしたら、余裕で使える機能だな≫



拳を強く握り締めて、私は・・・・・・踏み込んだ。



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





ただ速く、ただ鋭く、前に踏み込む事だけに集中する。もう、小細工は一切通用しない。

今までやって、私の拳は一発も通ってない。掠りもしない。

弾かれ、カウンターを叩き込まれる。何発も、何発も。斬撃を受ける度に、強く痛感させられる。



勝てないと。この人相手では、私は無力で・・・・・・弱いと。それでも、私は距離を零にする。



零にして、二刀を腕を下げて構えるあの人に飛び込む。飛び込みながらもカートリッジを3発ロード。





「全力・・・・・・全開っ!!」



あの人は避けること無く、ただ立っていた。左手で今残っている、ありったけの魔力でスフィアを形成。それを前面に置く。



「ディバインッ!!」



置いて、私はそれに向かって右拳を叩き込んだ。スフィアは一瞬で力ある奔流となって、あの人を襲う。



「バスタァァァァァァァァァァァァァァッ!!」



あの人は避けなかった。私の力を受け止めるようにして、そのまま立っていた。

でも、動いてはいた。一歩踏み込んで、右の刃をバスターに向かって叩き込んでいた。



「・・・・・・楽しいね」





私のバスターは、それほど射程距離があるわけじゃない。継続時間も短い。

それでも威力は充分。あの人を飲み込んだ時点で、勝ちだった。

でも、そうはならなかった。白い魔力に包み込まれた刃は、私のバスターを真っ二つにしていた。



唐竹に叩き込まれた刃は振り抜かれ、後には無防備な私だけが残っていた。





「楽しいけど、もう・・・・・・終わりだ」



返す刃で、私の胴は斬られた。斬られて、その勢いのまま私は後ろに吹き飛んだ。

地面に身体を落とし、それでも滑りながら下がって・・・・・・ようやく、止まった。



「砲撃・・・・・・斬られる、なんて」

「何驚いてんの? やっさんだってこれくらいは出来る。てーか、出来るように叩いた」

≪砲撃斬りは、俺らヘイハチ一門のお家芸みたいなもんでな。弟子である姉御もサリもボーイも得意だ≫




あ、あははは・・・・・・全然届かない。悔しい・・・・・・なぁ。悔しいけど、もうちょっとだ。

まだ、やれる。私・・・・・・まだ戦える。だから、立ち上がろうとする。



「・・・・・・動かない方がいいよ」

「まだ・・・・・・やれ」

「だーめっ!!」



立ち上がろうとした私を、あの人は押さえつけた。

でも、決して踏みつける感じじゃない。わがままを言う子どもを、少しだけ乱暴にたしなめる感じで。



「アンタ、私の斬撃何発食らった? 本来なら立てるはずじゃ・・・・・・そこまでして、やっさんを知りたいの?」

「よく、分からないです」

「なら、どうして?」

「悔しい・・・・・・んです。このまま諦めたら、逃げる・・・・・・みたいで」



恭文からも、この人からも、自分からも逃げるみたいで、嫌だ。止まりたくない。

だから負けたくない。まだ、私は何にも答えを見つけてない。だから・・・・・・嫌だ。



「・・・・・・はぁ、しゃあないな。私の負けだよ」

「え?」



い、いきなり何言ってるのっ!? だって私負けてるし、攻撃なんて当てられてないしっ!!



「正直さ、私はアンタを動けないようにぶちのめすことは出来ない。
・・・・・・もしこれが実戦なら、私はアンタを殺すって選択しか出来ないよ」



その言葉に頭が冷めた。だってこの人、すごく簡単に・・・・・・殺すって。



≪まぁ、お前やブロンドガール達みたいによ。ここ10年の間に魔導師やるようになった奴には分からないだろうな≫

「それより前はね、本当にヒドかった。私らが全盛期の頃なんて、殺す殺されるなんて日常茶飯事だったんだよ」



そう口にするヒロリスさんの顔が、どこか寂しげだった。そして、悲しい色でどこかを見ていた。



「だからぶっちゃけちゃえば、私は殺すって選択を取れる。綺麗事抜かして、自分が死ぬのは嫌だから。
やらなきゃ、やられるんだよ。それが出来なかった仲間内は、何人か死んだりしてたしね」



・・・・・・私も魔導師だから知ってる。今がとても安定しているというのは。

安定しているから、局の理念を通せる事ばかりだと言うのは。でも、そこまで昔はひどかったなんて。



「・・・・・・って、ごめん。話それちゃったね。私がなんで負けを認めたか、言わないといけなかったのに」

「あ、いえ」

「私は、アンタの力に負けたんじゃない。ぶっちゃけ、負けるほど錆びついてもない。
・・・・・・アンタの心に負けたんだよ。真っ直ぐに、やっさんを知りたいと願う心にね」



私の・・・・・・心。でも私・・・・・・あぁ、そうだ。恭文の事、知りたいと思ったんだ。

特別な事なんて、無くていい。ただ友達に、近くなれたらいいなって思った。



「私の持ってる手札じゃ、それを覆すのは無理。殺す・・・・・・ようするに、うちらがポーカーやってるテーブルをひっくり返すしか、手を思いつかない」

≪だけど、当然それは出来るわけないよな。だから、俺と姉御の負けだ。・・・・・・OK?≫

「ヒロリスさん・・・・・・アメイジア」



なんだか、少しだけ納得が出来ない。でも・・・・・・いいの、かな?



「いいよ。つか、自信持ちな? 私をそういう形で負かせたのは、アンタで三人目だ。ちなみに、やっさんは無理だった」

「そうなんですか?」

「・・・・・・いや、アイツとやると、私もどーもエンジンかかってさ。
ついやりすぎちゃうのさ。気絶するまでぶっ飛ばしちゃうの」

≪似た者同士だしな。そりゃしゃあねぇさ≫





あははは・・・・・・納得しました。というか、恭文・・・・・・そうだったんだ。

こんな強くて、凄い人と特訓してたんだよね。分かる。

なのはさん達から見てもびっくりするくらいに、強くなった理由。



きっと色んな形で、力を貸してくれたんだ。なんだか、分かる。

それで・・・・・・あぁ、そうだね。今のままじゃ、勝てない。

きっと私より経験もあって、努力もしてる。それが、今の恭文。





「でさ、スバルちゃん。アンタ、いい勘してるよ」

「・・・・・・というと?」

「やっさんが色々手段選ばない部分があるのはね、やっぱり過去のことが原因なんだよ」



・・・・・・ほんとにそうだったんだ。私、結構なりふり構ってなかったのに。



「アンタの経歴は、ちょこっと聞いた。だから納得出来ないのも分かる。
つか、それは当然だろうね。やっさんもさ、何も言わないけどそこは思ってるはずだよ」

「どうして、何も・・・・・・言ってくれないんでしょう」

「アイツ、バカだからさ。それでアンタの価値観や考えを否定したり、壊したりするのが嫌なんだよ」



自然と・・・・・・本当に自然と、納得してしまった。何の根拠があってこれなんだろうと考えて、気づいた。



「で、アンタは勝ったわけだけど・・・・・・アンタの答え、提示しなきゃいけないよね」

「いえ、大丈夫です」



私は上半身を起こして、そう言い切った。迷いはもう無かった。私は・・・・・・答えを見つけていた。



「恭文に、前に一度だけ・・・・・・頭を撫でられた事があるんです」

≪「はぁ?」≫



お休みの時、色々迷惑かけちゃって・・・・・・その時に、乱暴にだけど撫でてくれた。

撫でてくれて、それが不思議と心地良かった。なんでかその手が、嬉しかった。



「その時の恭文の手、凄く優しくて・・・・・・温かくて。きっと、戸惑ってたんです。
その手の温かさと、何時もの恭文との温度差の理由が分からなくて、信じられなくて」



分からなくて、ずっと悩んでた。悩んで迷って・・・・・・それでも分からなかった。



「普段のどこか冷たい態度を、嘘みたいに思ってました。
でも、違う。きっと両方恭文で・・・・・・両方、本当の事」



手の温かさも、私やなのはさん達とは違う戦い方や行動をする恭文も、大事な一部分。

私を撫でて『大丈夫だよ』と伝えてくれた恭文も、同じように恭文。



「ヒロリスさん、アメイジア、ありがとうございます。私・・・・・・もう少しだけ、時間をかけてみます。
私、空気読めなくて、全然だめな女の子だけど・・・・・・それでもあの手の温かさ、信じたいんです」

「うん」

「それだけじゃなくて、恭文の人と・・・・・・私と違うところ、認めたいんです。
それでいつか、互いに『友達』だって言えたら・・・・・・いいなって」

「そっか。ま、頑張んな? てーか、めんどくさかったらもう見捨てちゃってもいいから」

「そんなことしません」



即答で言い切れてしまう自分に、ちょっと呆れてしまう。でも・・・・・・そうだよね。

まだ何も始まってないし、決まってもいない。きっと私は、自分と違うところを怖がってただけなんだから。



「しかしアンタ・・・・・・いい子だねぇ。ギンガちゃんに似たのかな」

「いや、あの・・・・・・・照れます。・・・・・・え、ギン姉の事知ってるんですかっ!?」

「うん。ちょっと縁があって、アンタのお父さんとも仲良しだよ? なお、サリはやっさん共々飲み仲間」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」










・・・・・・きっとヒロリスさんは、気づいていた。だから、付き合ってくれた。

私がどうしたいのか、どうありたいのか、ちゃんと気づけるように。

私は恭文が好き。恭文はともかく、私は好きなの。友達になれたらいいなって思ってる。





私と全然違うけど、優しい男の子と繋がれたらいいなって・・・・・・思ってるんだ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・なんだろ、二昔前の青春映画であんなの無かったか?
殴り合って関係が深まるって、どんな体育会系だよ」

「まぁ、いいんじゃねーですか? 当人同士が納得してるみたいだし」

「それもそうだね。ま、あとはやっさんとスバルちゃんの問題だ。あの様子なら、サクっと解決するでしょ」



・・・・・・全く、バカなやつだよ。他ならいざ知らず、スバルちゃんはすっげーいい子なのに。

ただ、あまり言うまい。きっとアイツは疲れてるんだ。今だって・・・・・・うぅ、思い出したら泣きそうだ。



「あの、でも」

「なに、フェイトちゃんは不満か? ほら、見ろよ。あのスバルちゃんの笑顔を」



もうスッキリしたーって言わんばかりの顔だしなぁ。うん、大丈夫だって。

しかしヒロの奴、何気に考えてたんだな。身体動かして気分転換させて、頭スッキリさせてやろうだなんてさ。



「でも・・・・・・ヤスフミも悪い部分があります。そうです、スバルは悪くないんです。
六課のみんなと仲間で友達になれるはずなのに、仕事を理由に距離を取ってばかりで」

「アイツがそうしたくなる状況を作ってるの、アンタ達だろうが」



軽くそう言うと、フェイトちゃんとヴィータちゃんが目を見開いた。だから、俺は頷く。



「これでも、兄弟子として信用はされていてな。やっさんが六課に来るハメになった本当の原因についても聞いている。
で、2ヶ月前のゴタゴタもだ。・・・・・・普通に俺、アンタ達もそうだしハラオウン家には、全員揃って相当ムカついてんだよ」



少し語気を強めて、鋭く俺は言い放った。若干目つきが悪くなってるのは、無理もない。

・・・・・・これ、アギトやルーテシアちゃんには言えないよな。自分のケンカのせいで、アイツに心労かかりまくりなんてよ。



「間違ってもアギトやルーテシアちゃんにこの話はしてないと思うが」





やっさんここまでハラオウン家とゴタゴタしている1番の原因は、ゼスト・グランガイツの仇討ちだ。

やっさんはもうぶっちゃけるが、フォン・レイメイを殺してる。ただ、アイツ自体殺しは初めてじゃない。

本当に1番最初の時に、色々有ってな。・・・・・・で、ハラオウン家の面々は間違いをまた繰り返したと判断した。



判断したから、ゴチャゴチャしたんだよ。殺す必要はなかった。仇討ちを預かる必要なんてなかったってさ。

相当な凶悪犯で、普通に捕縛も不可能だったのに横から偉そうに言うもんだから、アイツが相当ヘコんでいた。

・・・・・・もしこの話を二人が知ったら、普通にやっさんに対して負い目が出来る。それは良いことじゃない。



現にヒロの話だと、メガーヌ・アルピーノさんもやっさんに対して相当申し訳なく思ってるらしい。

もちろんフォン・レイメイがやっさんを元々狙っていたというのもある。でも、決め手はそこだ。

アギト、ゼスト・グランガイツが殺された時相当だったんだよ。やっさんはそれを見てられなくて、覚悟を決めた。



あのバカ・・・・・・どこまでヒーロー気質なんだよ。泣いてる誰かのために、本気で戦うなんてよ。





「・・・・・・マジふざけんな。頼むからアイツに、ゆっくりする時間くらいはあげてくれ。
俺のダチを道具扱いするな。やっさんはアンタらのおもちゃでもなんでもないんだぞ」



ここまで言うつもりはなかった。だが・・・・・・すまん、言わせてくれ。

普通にホテル暮らしで『心が寒い』と言った時のやっさんの寂しげな顔が、チラついたんだ。



「「・・・・・・すみません」」

「別に俺に謝る必要はないさ。少なくともアンタ達は、理解して助けてくれてるのは聞いてるからな。
・・・・・・てかフェイトちゃん、その不満は別にやっさんに対してどうこうじゃないだろ」

「え?」

「これでもカウンセラーの資格持っててな。人の機微には敏感なんだ。アレだ、何を悩んでるかも分かるぞ。
・・・・・・察するに、やっさんの状態があんま良くないから、コミュニケーションしにくくなってる・・・・・・とかか?」



フェイトちゃんが目を見開いて、驚いた顔をする。だから俺は、自慢気に胸を張ってやる。

・・・・・・実はこのマジックのタネが、やっさんから休みのあれこれを聞いていたおかげとは言えない。



「そうなんです。というか、六課に来てからこう・・・・・・何かズレている感じがして」

「アンタは話して・・・・・・さっき言ったみたいに六課のみんなと仲良くなってもらったりして、そこからどうしたいんだ?」

「え?」

「アンタはやっさんにそうしてもらって、どうしたいんだ? やっさんに何かさせたいのか?
もしくは、やっさんと何かしたいのか? 局に入ってもらいたいのか?」



表情が困惑したように曇る。自分で考えて、明確な答えが出ないらしい。

・・・・・・うわ、これ重症だよ。1番の根っこが分からないのは、問題だろ。



「ズレの原因は、そこに対して答えを明確に出せない事だろ。
フェイトちゃんの中で、やっさんとの会話の中で先に繋がるものがちゃんと無いからだ」

「私はただ、六課のみんなと仲良くして欲しくて」

「仲良くするだけなら、ここにこだわる必要はないだろ。事後に何かキッカケがあるかも知れないしよ。
・・・・・・仕方ない、一つだけアドバイスだ。今のやっさんを、しっかり見る所から始めろ」

「今の・・・・・・ヤスフミ?」

「家族どうこう友達どうこうって言うのは、一度全部引っペがせ。
どうも見てると、それがズレを助長させてる。てーか、単なる子ども扱いになってる」



困惑した表情が、驚いた物に変わる。で、俺とヴィータちゃんを見るので、俺達は頷いた。

・・・・・・マジでヴィータちゃんも同意見らしい。普通に頷いたのはビックリだ。



「『知っている』ではなく、『知りたい』。そうして現在進行形の思考にする。
子ども扱いしないで、ちゃんと向き合う。あぁ、それでこれが1番大事だな」

「なんでしょうか」

「やっさんがその結果どんな答えを出しても、全部認めて付き合う覚悟を決める。結局、決めるのはやっさんだ。
そうしなかったら、六課解散してからもそのままだぞ? まぁ、それでもいいなら俺は止めないけどな。結局他人なんだし」



そこまで言うと、フェイトちゃんは考え込み始めた。考え込んで考え込んで・・・・・・唸っている。

・・・・・・ちゃんと考えてくれているらしい。それだけで、少し溜飲が下がった。



「・・・・・・サリエルさん」

「ん、ヴィータちゃんどうした?」

「すみません。本当なら、アタシやはやてが言うべき事なのに」

「いや。俺も悪かったわ。完全部外者だから、言う権利ないのにな」



・・・・・・とりあえず、楔は打ち込めたと思う。これで一気に解決してくれるとありがたい。

具体的には、やっさんが悲しい目をするのとか? 頼む、誰でもいいからアイツの心を温めてやってくれ。



『あー、みんなちょっといいかな?』

「どーしたよヒロ?」

『いや、悪いんだけどさ。ちょっと暴れ足りないのよ。というか、エンジンかかって』



あれ、おかしいな。俺は今ありえない発言を聞いてしまったんだが。



「・・・・・・よし、今すぐに戻って来い」



だから、当然のように俺はこう言う。これ以上戦う道理はないだろうと、判断したから。



『というわけで』

「無視するなよっ!!」

『スバルちゃんはもう休ませないとだめなんだ。だから他の三人、今すぐ準備させて。
いい機会だから、私が鍛えてあげようじゃないのさっ!!』

「・・・・・・お前、やっぱり頭おかしいだろっ!!」










あぁ、どうしてこんな事にっ!? 俺が一体何したって言うんだっ!!





くそ、やっさんが入れば即時投入して止められるのにっ! よし、俺・・・・・・あぁだめだっ!!





普通に俺まで出張ったら、マジでとんでもない事になるっ! くそ、今日は俺一人で来ればよかったっ!!




















(第21話へ続く)




















あとがき



恭文「というわけで、結局戦闘シーン丸々書き直しな第20話、いかがだったでしょうか。
今回は、改定前だと18話ですね。本日のあとがきのお相手は蒼凪恭文と」

歌唄「ほしな歌唄です。・・・・・・というわけで、あの二人が本格登場ね」

恭文「そうだね。そして、リインとのユニゾンもFSでは本格登場だよ」

歌唄「そして、次回が私が歌うの」

恭文「歌うかボケっ! てーか、普通に何あとがき出てきてるっ!?」

歌唄「当然フラグEXを目指すためよ。あとがきでアンタと喋りまくって、ヒロインになるの」





(ドS歌姫、平然と言い切った)





恭文「何言ってんのっ!? ここ、そういう場じゃないからっ!!」

歌唄「いいじゃない、別に。でも・・・・・・アンタも大変だったのね」

恭文「歌唄よりは大変じゃないよ」





(ドS歌姫の家も、このとき色々と大変でした)





歌唄「でも、よく考えたら理不尽よね。アンタ・・・・・・あの子のためにやったのに」

恭文「それでも、ダメな事はダメな事だもの。それに、そんな事はどうでもいい」

歌唄「え?」

恭文「・・・・・・お願い。お願いだから・・・・・・僕に休みをください。というか、家に帰して」





(・・・・・・そうして、蒼い古き鉄はトラウマが復活してしまったのか、泣き出す)





歌唄「・・・・・・ほら、元気出しなさいよ。キスしてあげるから」

恭文「ごめん、もっと別のをお願い。てか、普通に頭撫でるとかあるでしょ」

歌唄「大丈夫よ。私、別にキスは初めてってわけじゃないし」

恭文「そういう話じゃないんだよっ!? 普通にフェイト居るから出来ないって言ってるのっ! というか、それでしちゃったら僕最低じゃんっ!!」

歌唄「大丈夫よ。私はそんな事少ししか思わないから」

恭文「思うのっ!? それだったらダメじゃんっ!!」










(それでも、ドS歌姫は引かない。蒼い古き鉄は、今日もタジタジである。
本日のED:野上良太郎&モモタロス(佐藤健&関俊彦)『Double Action』)




















はやて(本局でお仕事)「・・・・・・あかん、なんかうちらの知らんところでめっちゃ何かが起こってる感じがする」

ザフィーラ(付き添い)「原因は蒼凪でしょうか」

シャマル(同じく)「そんな恭文くんを疫病神扱いはやめてくれないっ!?
でも・・・・・・うぅ、私も出稽古行きたかったのになぁ。どうしてこんなところに」

はやて「こんなとこで悪かったなぁっ! てか、普通にアンタうちの子やでっ!? なんでアイツんとこ行くんよっ!!」

シャマル「現地妻1号として、当然です」

はやて「そんなワケあるかぁぁぁぁぁぁぁぁっ! あぁもう、マジでアイツはうちから色んなものを奪っていくー!!」










(おしまい)





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