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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
インタールードデイズ04 『ライド・オン・フューチャー』



耳元で鳴り響くのは、いわゆる目覚ましの音。それが鳴るってことは、つまり・・・お目覚めの時間。時刻は午前10時。普段ならとっくに起きてる時間。





なんだけど・・・ねみー。寝てたいよー。





あー、昨日飲み過ぎたー! まったく、なんでうちの関係者はあぁ酒の強いのが多いんだよっ!! つーか、俺は未成年だぞっ!? なのにそれで飲ませるっておかしいだろっ!!





いや、仕方ないんだけどな。幸ちゃんが無事に戻ってきた・・・お祝いだったわけだし。





でも、いいなぁ。じいちゃんに会えて。いや、幸ちゃんのじいちゃん・・・良太郎じいちゃんは今も生きてるし、俺のじいちゃんだって同じく。つまり・・・アレだよアレ。昔の、若いときのじいちゃんに会えたのがちょっとうらやましい。





・・・てかよ、オーナーも酷いよな。俺だって行きたかったのに。なんのための家宝のチケットだよ。こういう時のためだろうが。










≪・・・それはあなたが仕事で別世界に行ってたからでしょ?≫





左の手首に巻きつけている緑色の紐。その先に繋がれている蒼と金の二つの宝玉が輝き、瞬く。



そして、その輝きに合わせるように声がする。俺の良く知る・・・大切な友達の声。





≪それはいいですから、起きてください。マスター≫

「うー、その呼び方禁止だって言ってるだろー? 俺はマスターとか主人とかそういうの好きじゃないんだよー」



俺が憧れるのは、そういうのじゃない。友達というか、相棒というか・・・そんな関係。



≪分かってますよ。とにかく、ほら・・・起きてください≫

「うーん・・・あと5分」

≪あなたは子どもですか≫



子どもですよー。16歳ですのでー。



「なんて言ってても・・・仕方ないな。起きる」

≪今日はまた素直ですね≫

「なんか目ぇ覚めたんだ。やっぱ、こういうのは習慣なのかね。普段起きてる時間には、やっぱ寝れないや」










そのまま・・・寝ていたソファーから起き上がり、羽織っていたタオルケットを畳んで、そこに置く。で、一回伸び。





うーん、いい目覚めはいい感じかな? いや、酒が強いの隔世遺伝してくれてよかったよ。










≪恭介さんはお酒、全くだめですしね≫

「父さんは逆に凄まじい甘党が隔世遺伝してるみたいだけどな」

≪あぁ、あのお茶ですか。・・・でも、あなたも飲めますよね?≫

「・・・他人より平気な顔で飲めるってだけだ。俺はあれを美味しいとは思えないし思いたくない。人として、きっと色んな軸がぶれた証拠だと思うから」

≪そうでしたね≫





そのまま、話しながら顔を洗うために洗面台に向かう。しかし・・・じいちゃんやばあちゃん達はもう戻ったのか。タフだなぁ、いくらなんでも元気過ぎだろ。





≪元気以前に、色々お忙しい方々ですしね≫

「・・・だからって、有給がそろそろ溜まりまくって10年とか行く忙しさはおかしいだろ。これから消化しようと思っても、消化しきる前に寿命が尽きるよ」

≪またそんな不吉な事を・・・≫



いや、現にそうだろ? そういう年齢なんだしよ。元気なのはいいけど、身体には気をつけて欲しいよ。いや、マジでだよ?

・・・あ、そういや言い忘れてた。



「おはよ、ビルト」

≪・・・おはようございます、恭太郎≫










・・・俺は、性別は男で、年は16歳。

なお、この場には居ないけど家族は居る。父さんの名前は蒼凪恭介。叔母・・・というか母親代わりなのは父さんとは双子の蒼凪アイリ。俺はアイリ姉さんと呼んでる。





母さんは・・・小さい頃に亡くなった。身体の弱い人だったから、俺を生んで物心付く前にポックリ。

じいちゃんやばあちゃん、父さんにアイリ姉さん曰く、嘘のように出来た人だったとか。そして、ばあちゃんを超える酷い天然だったとか。

ただ、幸せそうに・・・苦しむような事もなく、眠るように旅立ったらしい。それだけは救いだったと、父さんが曾ばあちゃん茶を飲みながら言ってた。





・・・色々台無しだと思ったので、ハリセンで後頭部を叩いたのは、絶対に罪じゃないと思う。





で、じいちゃんの名前は・・・蒼凪恭文。

ばあちゃんの名前は・・・あ、ディレクターから指示が。

なんか、内緒だって。ゴメン。まぁ、そうなのかなーって感じでボカして出すらしいけど。





俺の現在の職業は時空管理局の嘱託魔導師。ランクは空戦魔導師のA+。戦闘形態は近代ベルカ式。

俺の左手首に巻いてあるのは、俺の大事なパートナーデバイス。アームドデバイス・ビルトビルガー。形状は二振りの少し小ぶりの60センチ程度の刀。長脇差とか・・・そんな感じ? 俺やもう一人のパートナーはビルトと呼んでいる。

まだまだ未熟な青い果実だけど、俺は現在、大事な相棒『二人』の力を借りつつ、じいちゃんから大切な二つ名を受け継いで・・・魔導師、やってます。





あ、そう言えば言い忘れてた。俺の名前は・・・蒼凪、恭太郎。





俺達の二つ名は・・・『古き鉄』だ。





つまり、俺達が・・・新しい古き鉄っ!!




















『とある魔導師と機動六課の日常』×『仮面ライダー電王』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄と時の電車の彼らの時間


インタールードデイズ04 『ライド・オン・フューチャー』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



顔を洗って、少し遅い朝食作り。なんつうか、自宅だからもう勝手しったるなんとやら・・・だ。あ、ちょっと違うか。

ここはミッドチルダの俺の家。というか・・・俺の実家。結構広めのマンションで、昨日はさっきも言ったけど幸ちゃんが戻ってきたお祝いの宴会。

・・・よし、あの地獄は忘れよう。もっと言うと、雫師匠の娘さんとか、はやてばあちゃんの孫であるアイツのこととか。





あれ、おかしいなぁ・・・俺はマジでなにもしてないのに。たまにばあちゃんとかの視線が痛いんだよ。

そういうところまでじいちゃんに似なくてよかったのにーとか頬を膨らませてさ。まぁ、仕方ないか。

だって・・・なぁ? ファンクラブの会員数、指折り数えて片手を突破してるし。





まぁ、そんな話はともかく・・・今日の朝食は美味いぞー? アサリの味噌汁にご飯にきゅうりの朝漬け。そしてメインとしてシャケの塩焼きだ。










≪・・・しかし、おじいさま達はどうしたのでしょう≫

「じいちゃん達なら、市街地に行ってるぞ。昨日はこれなかったメンバーと一緒に、また同窓会だってさ」

「仕事じゃないのかよ・・・」

「仕事より友情・・・だってさ。全く、それならそれで普段からしっかり休みを取ればいいのに」



俺もそう思うよ。とにかく、俺の後ろから声がした。

そっちを見ると・・・おぉ、また黒のジャケット着て決めてるじゃないのさ。



「おはよ、幸ちゃん」

「おう、おはよ。恭太郎」



こいつは俺の幼馴染で、野上幸太郎。で、隣に・・・青いイマジン。



「おはようございます、恭太郎。ビルトビルガー」

「おはよ、テディ」



幸太郎のパートナーイマジンのテディ。なお、諸事情で普通にイマジンが歩いていてもいい状況になっているので、そこはあしからず。



「・・・てか、もしかして俺ら置いてけぼり?」

「別にいいだろ。じいちゃん達はじいちゃん達で騒ぎたいんだしさ。あー、でも恭文じいちゃんに剣術見てもらいたかったな。
てーか、しばらく俺こっち残って、お前と一緒に修行させてもらおうかな。もうちょい強くなりたいし」



なんて言ってテーブルに座る幸ちゃんの言葉を聞きながら、俺は鍋の中の味噌汁をお玉ですくい、その味を見る。

・・・うん、いい感じだ。アサリの味噌汁のおかげで二日酔いが解消されていくー。



「そういや、大負けしたんだって? またカウント取るとかして調子こいてたんだろー」

「うるさいよ、ちゃんとリベンジはしといたからいいんだよ。で、カウントはもういらない」



・・・あ、止めるんだ。でも、じいちゃん残念がるだろうなぁ。真似てやってたし。

というか、それでばあちゃんに怒られてたりしたし。



「・・・でもさ」



チーン・・・という音がした。フライヤーを見ると・・・おぉ、シャケがいい感じで焼けてる。



「お前や恭文じいちゃん、あと・・・フェイトさんとかがさ」

「うん?」

「俺のじいちゃんはむちゃくちゃ強いって言ってた意味・・・分かったわ。てか、俺はじいちゃん似なんだってさ」

「・・・そっか」



味噌汁をお椀に入れる。シャケをかざる。ご飯を盛る。

そんなこんなで綺麗に盛り付けて・・・出来たっ!!



「まぁ、お前には負けるけどな」





・・・俺はじいちゃん似だ。あと、瞳の色とかがちょこっとばあちゃん似。

うまーい具合に混ざり合ってて、下手をすると実の子どもである父さんやアイリ姉さんよりも、じいちゃんとばあちゃんの間で生まれた子どもっぽいと言われる。

俺は子どもの頃からじいちゃんの事が大好きだった。幸ちゃんとは逆に・・・だね。



俺にとってじいちゃんは、無茶苦茶強くて、かっこよくて・・・俺の目標で、憧れ。俺の中にある『なりたい自分』の形の一つ。





「性格、髪の色や魔力特性の大半が隔世遺伝の奇跡のおかげが、とても似てるわけだし。・・・あ、身長なんて得に」

「・・・幸ちゃん、そう言ってくれるのは嬉しいけど、お願いだから身長の話は止めてもらえるかな? 俺、ここだけは似なくてよかったと心から思うんだ」



あぁ、どうして俺はこんな小さいんだろ。なお、俺の身長は・・・150センチ。じいちゃんより・・・小さいの。

とにかく、悲しい気持ちを隠しつつお盆に朝食を乗せて、幸ちゃんの前に置く。



「お、美味そうだな」

「当然。昨日の宴会の疲れが吹き飛ぶよ〜」



で、俺の前にも一つ。横に・・・もう一つ。



「そういや、咲耶さんは?」

「あぁ、大丈夫。アレはもうすぐ来るから」

≪筋金入りの食いしん坊ですしね≫



すると・・・トタトタと足音が聞こえる。そうして、廊下から出てきたのは・・・黄色の水玉模様のパジャマ姿で、金色の髪をいつものリボンをつけずにストレートに下ろした女の子。瞳は翠で、透き通るような白い肌をしている。

昨日の宴会で食べまくるためにフルサイズで居たりする。いや、普段からこの姿の事多いけどさ。



「おはようございます、恭さま、幸太郎さま、ビルト、テディ」

「おはよ、咲耶」

「おはようございます」





・・・この子の名前は咲耶。俺とビルトのパートナーで、今は年齢で言うと16歳前後の女性くらいの身長。

なお、スタイルは若い頃のうちのばあちゃん張りにいい。まさしく『ボンキュボン』な体型で、この姿で街を歩くと非常にうざい。

もっと言うと・・・ナンパされる。なんだかそれを見ると、ちょっとイラってくる。



この子は・・・リインさんやアギトさんと同じちょっとユニゾンデバイス。・・・俺の大事なパートナー。

というか、俺のお目付け役とかなんとか・・・そんな感じ? そういうわけなので俺より少しだけ年上。





「聞こえていますよ、恭さま。レディに年の話は禁止です」

「うっさい、そもそもお前はレディって年齢・・・ですよね。はい、わかっています。悪いのは俺です。だからそんな怖い目はやめて? いや、真面目に・・・やめて?」

「恭太郎、お前・・・マジで咲耶さんに弱いよな」



だ、だってよ・・・。咲耶は怒らせるとマジで怖いんだよ。

殴られるとかじゃなくて、いわゆる『実家に帰らせていただきます』的なノリで来るから余計に怖いんだよ・・・!!



「当然ですわ。あと、私はお目付け役などというものではありません。・・・恭さまの本妻です」

「まてまてっ! だからどうして本妻って言う話になるっ!?」

「あら、随分な言い草ですわね。・・・あの時、まだ幼い恭さまからのプロポーズ、私はしっかりと覚えておりますよ?」



お、お願いだからあれは忘れてくれよっ! 本当に本当に子どもの頃の話じゃないのさっ!!

それも・・・おままごとっ! おままごとに咲耶が混じってくれた時に俺がやっただけの話っ!!



「忘れることなど出来ません。私・・・あの言葉に胸打たれたのですから」



おままごとのプロポーズに胸打たれる咲耶が安上がりなのか。それとも普通に胸を打つプロポーズを俺がやったのか。今となっては・・・誰にもわからない。



「なにより、恭さまのお母様からあなたの力になるようにとお願いされております。
その場合、私はユニゾンデバイスではありますが、恭さまの妻となり身も心も支えていくのが筋かと」

「思いっきりマジな顔で朝っぱらから何を言ってんだよっ! つーか、その理屈は真面目にわかんないからっ!!」

「・・・あ、大丈夫ですよ。現地妻ズを結成したいなら遠慮なく言ってもらえれば、私は受け入れますから。
男の浮気を受け入れるのも女の器量。むしろ、我が夫が魅力的な証拠として誇らせていただきます」

「結成したいわけあるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! そしてそんな馬鹿な事を誇るなよっ!? むしろ恥ずかしく思えっ!!」





・・・現地妻ズ。じいちゃんが無自覚にフラグを立てた方々が集まって出来たいわゆるファンクラブ的なもの。

もちろん、じいちゃんは数十年単位でばあちゃん一筋だからマジでそういう関係とかではない。

ただ、あまりの攻勢にじいちゃんはあの年になっても頭を抱えている。



もっと言うと、シャマルさんとすずかさん。あの二人は外見年齢変わんないからなぁ・・・。





「だが恭太郎。リインさんは恭文さんとそんな感じだぞ?」



ちょっとテディっ!? そういう余計なことは言わなくていいんだよっ! あれはアレでまた違う要素なんだからっ!!



「そういやそうだよな。なんか普通に寝る時もお風呂入る時もお前の恭文じいちゃん達と一緒だって言ってたし」



幸ちゃんも後押しするなっ! ほら、咲耶の奴がなんか気合入り始めたしっ!!



「あ、そう言えば・・・私、まだ朝風呂に入っていませんでしたわ。恭さま、ご飯を食べた後に一緒にどうです? 私、お背中を流して」

「入るかボケェェェェェェェェェェェッ!!」










と、とにかく・・・早く食えっ! ご飯が冷めるだろうがっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・らんらんるー♪ らんらんるー♪」





ご飯を食べて、咲耶とのお風呂タイムをなんとか退け(拒絶したという意味)、能天気にテレビとか見てた。

そして、俺は思い立ったのでこれまた能天気にマンション前の掃除を始めた。

別に掃除当番とかそういうのじゃない。ただ・・・落ち葉がたーくさんあるのだ。



季節は秋。というか・・・もうすぐ冬。もっと言うと、年末。なので、落ち葉が沢山あるのは当然だ。





「なぁ、恭太郎」

「なに?」



なぜか俺を呆れた目で見てくるのは、幼馴染。あの、どうして幸ちゃんもテディも俺をそんな目で見るのかな。



「なんというか、お前マジ自由人だな」

「さっきのあれからいきなりこうくるとは、私も思わなかったぞ」

「よく言われるー」



どうやら、こういうのはじいちゃん譲りらしい。父さんはもうちょっとてきぱきとしてる感じだしね。

とにかく、俺は箒を動かして落ち葉を集める。ある程度集まったら、それをポリ袋に入れる。



「うし、これでオーケー・・・と」



それをそのまま手に持って・・・近くの公園へ。幸ちゃんとテディも付いてくる。なお、もう片方の手には色々持ってきていたりする。



「落ち葉を置いて・・・それで・・・ビビっと」



公園の隅の方で積んだ落ち葉に、俺は右の人差し指を向ける。・・・物理干渉オンで、魔法を打った。小さな・・・本当に小さな雷撃を。

すると、勢い良く落ち葉が燃え出した。赤い炎が俺達に熱を伝えてくる。



「それで、コレを・・・ぽいっと」



もう片方の手に持っていた物をその中に入れる。・・・ふふふ、これでしばらく焼けば美味しいぞー!!



「恭太郎、それは?」

「焼き芋だよ」

「お前、朝ごはん食ったばかりでそれか?」



あぁ、俺じゃないよ。・・・多分今頃お風呂の中でプーたれてるアレ用だ。きっと、風呂から出てくる頃にはまた腹を空かせてるに違いないから。

ん、なぜわかるのかって? それはね・・・アイツが凄まじく食うからだよ。朝食だって、描写こそ俺が疲れるから無かったけど、ご飯が特盛りだった。そして、それで非常に沢山おかわりしていた。



「あぁ、咲耶さんにってことか。・・・なんだ、やっぱりアレか?」

「別にそんなんじゃないよ。ただ、昔から色々世話になってるから、こんなことで機嫌損ねたくないだけ。それに・・・」

「それに?」



まぁ、自分でも仕事とかするようになって、色々見て・・・思ったことがある。あと、じいちゃんとリインさん見てて・・・かな。

俺は、燃え盛る赤い炎と、炎が生み出す弱い上昇気流に乗せて舞い上がる灰を見ながら少し思ってた。



「やっぱりさ、そういうの・・・色々難しいんだろうなってさ。咲耶はぶっちゃけちゃえば・・・人じゃない。
友達とかパートナーとかならともかく、恋人や夫婦ってなると、また色々と障害があるんだろうな・・・ってさ」



人と違う。新暦という時代に入るずっと前・・・本当にずっと前から存在していた一つのテーマ。そして、未だに個人の概念の中でしか解決出来ないテーマ。

それは色んなものを呼ぶ。例えば・・・自身や他者を問わず、恐れや未来への不安。例えば、違うから故に持った力の大きさに対する喜び。エトセトラエトセトラ・・・うわ、数え切れないくらいあるや。



≪恭太郎・・・≫

「あ、悪い。別にビルトのこととかをどうこう言ってるわけじゃないんだ。もちろん、テディやリインさんにアギトさんも同じく」



ただ・・・さ、色々考えるのよ。例えば・・・子どもの問題。デバイスってのは機械。それはユニゾンデバイスである咲耶も同じ。確かに、そういうことはちゃんと出来るらしいけど・・・どうやって知ったかとかは、聞かないでね?

とにかく、それで普通の女の人みたいに子どもを産んだりとかは出来ない。俺は・・・いいさ。ただ、咲耶はきっと気にするんだろうなとか、色々・・・って、ダメだろコレ。マジで付き合うこと前提じゃないかよ。



「なんつうか、大変だな。魔導師組はさ」

「幸ちゃんだってそうだろ? 色々とさ」

「俺はまぁ・・・テディも居るから、なんとかな」



なんとかやってけるってことか。まぁ、いいことだよな。



「そういや、ヴィヴィオさんから聞いたんだけど・・・」



そのまま、幸ちゃんも火に当たる。・・・ちょっと寒かったのか、両手を焚き火にかざして、両手をこすり合わせる。それにテディも続く。



「お前、まーた部隊に誘われたのに断ったんだって?」

「あー、うん。断った」



・・・ヴィヴィオさんのおしゃべり。いや、心配してくれてのことだとは思うけどさ。



「しかも、今回はいわゆるエリート部隊なんだろ?」

「そうだね。・・・機動課だから」



俺がそう言うと、幸ちゃんが納得した顔になった。・・・幸ちゃんは次元世界や管理局のアレコレについてはかなり詳しい形で知っている。

だから、俺が断ったのが相当もったいない話だとはすぐに分かったらしい。



「機動課というと・・・確か、ロストロギア絡みの事件を負う部署・・・だったな」



テディが思い出すようにそう言う。ただ・・・うずくまって火に当たってる形だから、今出している真剣な声とは若干ミスマッチで、違和感があったりする。



「お前、そこに誘われてるって事は実力認められてるのと同じじゃないか」

「・・・そうだね」



機動課の部隊員は、そうとう優秀でレアスキル持ちなエキスパート揃いってのが通説。その極端なものとしてよく例に出されるのは・・・もう存在していない部隊だけど、機動六課だな。

じいちゃんやばあちゃん達が居た伝説の部隊。・・・もう、何十年も前なのに、未だに語り草として言われ続けている最強の部隊。



「で、なんで断ったんだよ」

「うーん、そこで入隊手続きとかしてたら、見たいアニメ見れなかったから」

「・・・恭太郎」



真剣な目で、俺を見る。・・・隠すなと視線で言ってくる。俺はため息を一つ。それから吐き出すことにした。きっと、コイツには隠せないから。



「・・・これ、じいちゃん達には内緒にしておいてくれよ?」

「あぁ」

「俺さ・・・分かんないんだ」



空を見る。空は・・・青い。ゆっくりと流れる雲を見ていると、先ほどから感じていた憂鬱な気持ちが消えていく。きっとそれは、一つの魔法なんじゃないかと、ちょっと思った。



「分かんない?」

「例えばさ、じいちゃんは・・・ばあちゃんを守りたくて、だから騎士の称号を取ったりした。
補佐官になって、自分の子どもの頃に感じた・・・悲しくて、辛くて、そのせいで未来を諦めている人達を守りたいというばあちゃんの夢を手助けする道を選んだ」



それを聞いた時・・・すごいなって思った。じいちゃんは大好きな・・・大切な人を守りたい。ばあちゃんは手を伸ばして、世界やそこに住む人達を守る。形や方向性は違うけど、その想いを貫く道を進む。それにすごく心が震えた。

理屈ではなく、その夢には何かこう・・惹かれてしまう強い何かを感じた。



「じいちゃんだけじゃない。例えば、スバルばあちゃん達。例えばなのはさんやはやてばあちゃん。みんな、自分の理想や夢・・・そういうのがちゃんとあって、そのために役職について、一生懸命頑張って・・・今日に繋がってる。
良太郎じいちゃんだって同じだろ? だから、幸ちゃんの父さんや幸ちゃんにテディがここに居るわけだし」

「まぁ・・・な」

「だが恭太郎、それと機動課への話を断ったのとどういう関係が」

「あー、テディ。俺はわかったわ」



幸ちゃんが火に当たりながら、俺の顔を真っ直ぐに見る。・・・心の中、見透かされてる気分なのは、きっと気のせいじゃない。



「ホントか?」

「あぁ。・・・お前、自分にはそういうの無いとか思ってるんだろ?」

「・・・正解」



最近・・・よく他の部隊に誘われる。経験をつんで、出世して・・・とか、そういう話もされる。ただ、そんな時気づいた。

俺・・・何がしたいんだろうって。そして比べる。俺の中には、じいちゃんやばあちゃん、なのはさんやその他のばあちゃん達みたいな芯があるのかと。



≪・・・最近、私も一緒に考えているんですよ。この先の進路に関して。私としては、局が嫌いというわけでもなければ、一度中に入ってみて、経験してから考えてもいいのではないかと言っているんですが≫

「なんかそれ・・・違う感じがするんだ。俺の理想、俺の通したい意地・・・なにかなって、考えちゃうんだ」





俺が魔導師になったのは・・・じいちゃんみたいなかっこいい大人になりたいから。強くなりたかったから。

あと、俺にも本当にちっぽけだけど守りたいものがあって、同じように壊したいくらいに許せないものがあって・・・それを覆せる、じいちゃんみたいな古き鉄になりたいと思った。

俺がそう言ったら、じいちゃん・・・なんかすっごい嬉しそうな顔してくれて、それで剣術とか教わって、ビルトをパートナーに持って、咲耶とユニゾン出来るようになって・・・。




だから、ここまで来た。だけど・・・それだけでいいのかなって、ちょっと考えた。

俺はじいちゃんじゃない。じいちゃんも俺じゃない。じいちゃんはじいちゃんの道があるように、きっと・・・俺にも俺の道がある。

でも、俺の道は・・・なんだろう。最近、そんなことをずっと結構考えてるのに、見えない。



別に古き鉄で居るのが嫌になったとかじゃない。じいちゃんの事が嫌いになったわけでもない。ただ、さっきも言ったけどそれだけでいいのかなと。俺の芯は、俺の道は、俺の筋は・・・どこにあるのかと。





「あと・・・さ」

「あぁ」

「咲耶の事なんだよ。・・・ほら、色々事情込みだろ?」

「あぁ・・・そうだったな」



・・・実は、機動課への誘いも俺だけが対象だった。それも断った理由の一つ。もうさ、ガキの頃からずーっと一緒だったんだぞ? 今更離れるなんて出来ないよ。

咲耶は、俺の・・・大事な荷物なんだ。俺の守りたいものの一つなんだ。だから、離れるなんて・・・したくない



「・・・な、幸ちゃん」

「なんだ?」

「話変わるけどさ、若い頃の良太郎じいちゃんって・・・どんな感じだった?」



俺の言葉に、幸ちゃんが少し考え込むような表情を浮かべる。そうして・・結論が出たらしい。



「ぶっちゃけると、弱そうだと思った」

「幸ちゃん、いきなりだね。というかさ、さっきと言ってる事違うじゃないかよ」

「あくまでも第一印象だけどな。・・・こう、ひ弱と言うか腰が弱い感じはした。でも、それはあくまでもパッと見だってのは分かった」

「・・・そっか」





どうやら、幸ちゃんのじいちゃんコンプレックスはいい感じで解消されてるみたい。なんか、前はじいちゃんへのライバル意識というかそういうの強かったのに。

仕方ないと言えば仕方ないんだけどな。だって幸ちゃん、小さい頃から良太郎じいちゃんの話ばっかされてたし。

で、特に幸ちゃんのお父さんだ。これが父親である良太郎じいちゃんにべったりだったらしいから、半分ノロケにも似たお説教を食らうわけだよ。



やれ良太郎じいちゃんは凄いとか、良太郎じいちゃんを見習え・・・とか、そういうのが主だね。

幸ちゃんはそれもあって、かなりじいちゃんに対してライバル意識むき出しな人格に形成された。あと、名前だな。

まぁ、俺もなんだけど・・・今時『○太郎』って言うのは相当なセンスだから。



うーん、分かりやすく言うと・・・じいちゃん達が俺らと同じくらいだった時に、子どもに『田吾作』ってつけるくらいだな。





「・・・それでモモタロス達に笑われていたな」

「マジかよっ! てか、よく話したなおいっ!!」

「バカっ! テディの奴が勝手に喋ったんだよっ!! ・・・あぁもうっ! 思い出したらまたイラってきたしっ!!」





・・・小さな頃から見ていた俺としては、あれは正直ないと思う。うちは比較的じいちゃんの立場が低いせいもあって、そう言うのは無かったけど。むしろ・・・『見習うな』というのが定説だったりする。

なお、別にじいちゃんを家族みんな嫌ってるとかそういうわけじゃない。むしろ好かれている。

ばあちゃんもそうだし、父さんやアイリ姉さんもそうだし、カレルおじさんやリエラおばさんもだな。ただ・・・若干不幸体質というか、弄られやすいというか・・・。



そう、ここまで言えばわかると思うけど、じいちゃんを見習うなというのは、いわゆる不幸体質だったり弄られやすいヘタレ部分だったり。

・・・あと、天然無自覚フラグメイカーっぽいところだったりだ。

特に一番最後だな。ばあちゃんがもう膨れるんだよ。・・・というか、あれらは恐ろしいと思う。





「・・・そう言えば恭太郎」

「なんだ、テディ」



俺は折れ枝を使って、火の番を適当にしながらテディの言葉に答える。

すると・・・テディからある意味当然と言える疑問が出てきた。



「改めて思うが、みなさん・・・本当に50代が大半なのか? 特になのはさんなどは・・・」

「つーかさ、しばらく会わない間にまた若くなってないか? あと、恭文じいちゃんにフェイトさんもだな。
二人は特に夜の一族とかそういうわけじゃないのに、全然若く見えるし。俺の親父より若く見えるぞ」

「残念ながら・・・知っての通りだよ。火の鳥・宇宙編の如く若返ってるわけでもないよ」

≪恭太郎、さすがにそれを出すのはどうなんですか?≫



気にするな。てゆうか、俺はどうしても若返りって言うとアレを思い出すんだよ。

・・・あ、そうだ。



「幸ちゃん、焼き芋焼けるまでしばらくかかるんだけど・・・やる?」

「・・・お、いいな。じゃあ」

「私が持ってこよう。二人とも、いつもので大丈夫か?」

「うん、頼むね。テディ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そして数分後・・・俺と幸ちゃんは火から十分に距離を取りつつ・・・対峙する。





俺の両手には刃渡り60センチ前後の木刀。丁度ビルトがセットアップした時と同じくらいだな。

で、幸ちゃんは70センチ程度の同じく木刀。それを八双に構える。木刀を持った両手を身体の右側に置き、刃を上にした状態。

俺は・・・左の刃を向けて、右を後ろに引き・・・いつでも動けるように体勢を整える。





・・・あ、なんか雰囲気変わってる。前よりもこう・・・柔らかいというか柔軟な感じがする。

こりゃ、ちょっと気合い入れないと・・・だめかな?










「テディ、火の番・・・頼むね」

「あぁ、任せてくれ。焼き芋は無事に咲耶さんに届ける」

「・・・あれ、なんかちょこっとだけおかしいと思ったの・・・俺だけなのかな?」

「気にするな。・・・いくぞ」










幸ちゃんがそのまま踏み込んできた。俺は・・・迎え撃つ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



お風呂から上がると・・・あれ、恭さまや幸太郎さま、テディが居ない。うーん、どこ行っちゃったんだろ。





というか、恭さまは最近生意気になってきてる。うん、すっごくなってきてる。小さい頃はあんなに可愛かったのになぁ。





・・・でも、ちょっとずつ・・・似てきてるかな。おじいさまに。





私が新しいパジャマに着替えつつそんな物思いにふけっていると・・・電話が鳴った。私は、それを取って通信画面を開く。大丈夫、すごく良く知っている人だから。










『・・・あれ、咲耶。今一人?』



画面の中に映るのは、見た目40代前半の女性にしか見えない一人の・・・女性。この人は高町なのは。そう・・・魔王。

隣には、同じくらいの年代にしか見えないフェイトさま。・・・あれ、後ろの背景を見るに局の中央本部かな。でも、同窓会のはずなのにどうしてそこに。



『せっかくだから派手にやろうって話になったの。私となのはは、昨日はこれなかったアリサや忍さん達の迎えに来たんだけど・・・ね、咲耶。恭太郎や幸太郎、テディはどこ?』

「はい。恭さま・・・私を置いて他の女のところに行ったんです」

『あー、どっちにしても中には居ないってことだね』



・・・なのはさま、ちょっとからかい甲斐がありません。私、つまらないです。



『いいの、咲耶の楽しみのために生きてるわけじゃないからいいの。でも・・・それはまずいね』



・・・まずい? あの、それはどういう意味ですか。



『あれ、咲耶。もしかして・・・テレビ見てないの?』

「えぇ、さっきまでお風呂に入っていましたから」

『なら、今すぐに見て。そっち・・・大変な事になってるから』





私は、すぐにリビングのテレビのスイッチを入れて・・・え、あの・・・なに、これ。





『どうもこうもないよ。そこは比較的市街地から離れてるからまだ大丈夫みたいだけど、もうクラナガンとかは大騒ぎなんだから』

『実は・・・ヤスフミ達も今対処に追われてるの。私達もこれから向かうところ。それで、もし動けるようなら恭太郎達にも手伝って欲しかったんだけど・・・』




フェイトさまがそう言うと・・・遠くで悲鳴が聞こえた。私は、すぐに窓の方に移動。そして、そちらを見ると・・・うわ、アレはひどいなぁ。



『・・・えっと、咲耶?』

「なのはさま、フェイトさま・・・すみませんが、そちらへは行けそうもありません」

『え、えっと・・・それってつまり』

「正解です」





・・・私の目に映ったのは、近くの歩道を埋め尽くす・・・黒い人型の・・・トカゲっぽい怪人の大群。



あれ、いったいなんなんですか?





『・・・ロストロギアで映し身の鏡って言うのがあってね。それでコピーされちゃったらしいの』

「はい?」



フェイトさまが苦い顔で言ったその言葉に、私は頭を回転させる。・・・確か、暇つぶしに局のデータベースにアクセスして、過去の事件とかの報告書を見ている時に・・・そうだ、そのロストロギアが関わった事件を見ている。

その時、おじいさまがなんらかの形で巻き込まれたのが目を引いたんだっけ。



「・・・待ってください。確かそのロストロギアは」

『うん、ずっと前に確保・・・というか、違法に使ってた犯人を逮捕する時に壊れちゃってる」



『でも・・・』と、フェイトさまは言葉を続ける。

その様子に、私はなんとなく察しが付いた。



『もう一枚、存在していたらしいの』



ロストロギアとは、オーバーテクノロジーの産物。でも・・・たまに複数存在している場合もある。

でも、それが数十年経った後で出てくるなんて・・・神様って、本当にいたずら好きだよね。



『それが地下の方で実験をしていた違法研究者が作った生物を、間違いで大量コピーしちゃったみたい』



どういう間違いを起こせばあぁなるのか、是非問いただしたいな。私、そこが非常に疑問だよ。



『状況は今フェイトちゃんが言ったような感じなんだけど、当のご本人は地上部隊の連中がとっくに捕まえてるし、ロストロギアも確保してる。
一匹一匹も大した戦闘能力じゃないんだけど、やたらと数が多くて・・・』

「なるほど、なら・・・これ以上は増える心配はありませんね。なのはさま、フェイトさま、こちらは・・・私達で対処します』

『分かった。・・・咲耶、気をつけてね』

「はい」





そのまま通信は切れて・・・よし、早速行動開始っ!!





”恭さまっ! ビルトっ!! 早速ですがお仕事ですっ!!”

”・・・はい?”

”咲耶、なにかあったのですか?”

”トカゲ退治です”

””・・・・・・はい?””




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・というわけです」

「なるほど。それで、あれらを俺と恭太郎だけで掃除しろと?」

「なぁ、明らかに大隊って感じで迫ってきてるんだけど、気のせいじゃないよな?」

「ですが、あまりに数が多すぎて、おじいさま達や周辺の局員も市街地で手一杯です。他の地域も同じくです。ここは私達で何とかするしかありません」



いや、なんとか・・・あぁもう、言ってもしゃあないよな。何とかするしかないなら、何とかするだけだ。



「ま、いいか。リアルで三国無双が出来るとか考えれば」

「それもそうだな。だが幸太郎、油断はするなよ」

「分かってる。・・・調子こいて返り討ちなんて、もうごめんだからな」



そう言って、幸ちゃんは左手であるものを取り出す。・・・金色に輝くベルトを。



「・・・咲耶、ビルト。こっちもぶっ飛ばしていくぞ」

≪了解です、恭太郎≫

「前は任せました。私は・・・後ろから数を減らします」

「うん、頼む」





俺は左手を胸の前にあげる。幸ちゃんはもうベルトを装備している。

ビルトの二つの宝玉が光を放つ。金と蒼の光が眩く空間を照らす。

そして、幸ちゃんは俺の隣で右手に持ったパスをセタッチ。



だから俺達は、こう口にする。





「「変身っ!!」」

≪Strike Form≫





幸ちゃんの身体を、青いプラットフォームと呼ばれる素体スーツを包み込む。そして、その回りに青い分割されたアーマーが出現。それが幸ちゃんの身体を包む。

胸元に装着されるのは銀色のターンテーブル。そこから肩の上に波状するように四つの線路型のアーマー。

顔は・・・赤く、鋭い二つの複眼。モモタロスさんのソードフォームの仮面よりするどい印象がある。



腰に輝くは金色の電王ベルト。その両側には四つのデンガッシャーのパーツ。



・・・そう、これが未来の電王の姿っ! New電王・ストライクフォームッ!!





≪Blade Form≫





俺の姿も変わる。今までのジーンズ姿は一瞬で消え去り、俺は金色の光に包まれて裸に・・・あ、補正はかかってるから大丈夫だぞ?

で、上半身がノースリーブで首まで包み込むシャツを着る。そして、腕には皮製の黒い小手。

下は赤色でロングのカーゴパンツに小手と同じ色のブーツ。腰の前と後ろサイドに前掛けが出てくる。



そして、腰の左側に日本の刀。両方とも60センチ前後と若干短め。塚尻には、一本には金色の宝玉。もう一本には蒼の宝玉。

俺がその姿になってから瞳をゆっくり開けると・・・光が散った。

・・・これが俺とビルトの戦闘形態、ブレードフォームっ! なお、単純明快なネーミングがハイセンスと皆にバカ受けっ!!





「・・・いや、嘘だろ。ダサいって言われまくってるだろうが」



幸ちゃんがさりげなく言って来た言葉に、俺はずっこける。そして、恨めしい感情を込めて変身した幸ちゃんを見る。



「えー、そんなことないって。じいちゃんやリインさんにアルトアイゼン、あとスバルばあちゃんにはバカ受けだったぞ?」

「いや、恭太郎。その方々は誰も彼もセンスがないと身内で評判な方々だぞ?」



テディが俺達の隣に来て、そんな失礼な事を言う。あと・・・咲耶も。

咲耶は黄色いチャイナドレス。なお、サイズはフルサイズ。だから、結構・・・見てしまう。



「・・・好きなだけ見ていただいて大丈夫ですよ? 私の全ては、恭さまのものですから」

「考えを読むなっ! とにかく・・・行くぞっ!!」





そうして、俺は飛び出す。・・・まずは先手必勝。先陣を切って、道を作る。

そんな俺を見つけたのか、先頭を走っていたトカゲ達が7体。俺の方へ来る。俺はそのまま・・・突撃。

まず、戦闘の一体に向かって、蒼い宝玉が柄尻にある方の刀を抜いて・・・いや、胴に向かって抜き打ちで斬る。



そのまま斬り抜け、右側に居た奴に袈裟から一閃。刃を返し、左から一閃でその奥に居た奴も一撃でノックダウン。

これで三体。・・・今のところはマジで雑魚レベルだな。だったら、あとは数の問題か。

そんな事考えている間に、俺の横から一匹・・・いや、残りのが全部襲って来る。



俺はビルトを右から居た奴の腹に突き立てる。そこを狙って残り三体が・・・斬られた。

残っていたもう一本・・・金色の宝玉を柄尻に埋め込んでいる方のビルト・・・あー、呼称めんどくさいから『蒼ビルト』『金ビルト』で行こう。理由? 俺の気分だけどなにか?

とにかく、金ビルトを逆手に持ってそのまま抜き打ちで胴を薙ぐ。蒼ビルトも刃を返して、腹の中から一気に斬り裂く。



で、残り二体がここを狙わないわけがない。飛び掛ってきた。だから・・・俺は上に跳んだ。

二体はぶつかって、鼻を押さえる。そして俺は・・・金ビルトを順手に持ち替えて、落下しながら二刀をトカゲに叩き込んだ。





「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





魔力も何も無い縦からの斬撃。それは的確に、二体をぶった斬った。そして、黒いトカゲ達はあっと言う間に消滅する。

・・・時間かかりすぎだな。もうちょっと手早くやんないと、体力が持たない。つまんなくはあるけど、派手な動きは少なめにして、的確に・・・鋭く、小さくだ。

で、それを見て他のトカゲ達が黙っているはずがない。着地した俺に襲い掛かってくる。だから、俺は・・・左に飛んだ。



その瞬間、俺の居た位置を突き抜けるようにして雷の槍が数本飛んで行った。そしてそれは、先頭の連中数体を潰して、爆発した。





「・・・いきなり無茶とハッタリが過ぎませんか?」





そんな声と共に、連中のど真ん中に雷が降り注いだ。そして、爆発する。



で、俺は後ろの方を見る。平然と足元にミッド式の魔法陣を展開させているやつを。





「いきなり敵陣のど真ん中にサンダーフォールかますような奴に言われたくねぇよ。つーか、合図も何にもなしだったし」

「あら、愛ゆえの信頼からの行動です。あまりそういうことは言わないで欲しいですわ」



そう、咲耶だ。なお、雷の槍は当然プラズマランサー。誰に教わったかは・・・言うまでもないと思う。



≪・・・ラブラブですね≫

「正解です」



なんて言いながら、また咲耶は詠唱に入り・・・って、待て待てっ!!



「違うからなっ!?」



横から襲って来た奴に蒼ビルトの切っ先を突き立てる。その箇所は・・・喉元。そのまま右に振るって喉元を斬り、一体始末する。

また二体襲ってきたので、蒼ビルトを袈裟に一閃。そのまま斬り抜けて金ビルトを左から一閃させて、消し去る。そして、更に言葉を続ける。



「俺は咲耶とはそういう関係じゃねぇよっ!!」





なんて言ってると、俺の横を青い風が通り過ぎた。

それは当然・・・幸ちゃん。幸ちゃんはデンガッシャーをソードフォームにして、そのままさっきの俺と同じように斬り込んでいく。テディは、その傍らで右ストレートをかます。

幸ちゃんは袈裟からの斬撃。そこから刃を返して左から横薙ぎ一閃。また袈裟・・・と、どんどん敵を屠る。苦戦する様子は微塵もない。



テディも同じく。拳を顔面に叩きこんで、そのまま右足で蹴り。後ろから回りこんできた奴にはその場で回転して、右の拳で裏拳をかまして、ぶっ飛ばす。

うーん、相変わらず二人ともやるなぁ。魔導師でもなんでもないけど、安心して見てられるよ。





「あれ、テディあのまま?」

≪数の多さを見て、手数を増やすことを考えたんですよ。あなたが咲耶とユニゾンしないのと同じです≫

「なるほどね」





なんて言ってると・・・詠唱中の咲耶を狙って数体黒いトカゲが出てきた。つーか、何時の間に回りこんで・・・。

ソレを見て俺は、基本方針を変更。斬り込み隊長は幸ちゃんとテディに任せる。

咲耶はこの中では貴重な範囲攻撃持ち。それ専属にさせる方が効果的だ。



だったら、俺は・・・。





≪Sonic Move≫





身体が金色の光に包まれ、俺は閃光となる。まず、遠めの奴を一体蒼ビルトで斬る。

そして、そこから一気に飛んで、丁度進路上に居る奴を逆手に持った金ビルトで斬り抜け一閃。

そのまま、咲耶に飛び込もうとしてたトカゲの背中に蒼ビルトを突き立てて、また先ほどと同じように身体の中から抉り斬る。それから停止。



それから咲耶を背にして・・・いや、咲耶を守るように、トカゲ達の前に立ちはだかる。





「・・・お姫様を守るナイトの役・・・ってか?」

「なるほど、恭さまにとって私はお姫さまなのですね」

≪納得です≫

「言葉のあやだよっ! 頼むから本気にするなー!!」










なんて言っている間に、また一団に雷が落とされた。咲耶はなんだかんだで、やることはやっている。だから、俺も安心出来るわけだけど。





・・・幸ちゃんとテディも頑張って斬ったり殴ったりしてるし、もしかして俺達だけで・・・いける?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



俺はデンガッシャーを袈裟に、横薙ぎに打ち込みつつ、前進・・・出来ないな。さすがにこれを俺とテディだけで全滅は無理か。





まぁ、後ろの咲耶さんの魔法に期待だな。2発、3発と雷が放たれる度に、数を減らして行ってる。なお・・・現在7発目が放たれた。










「・・・これなら、行けるかっ!?」



テディが裏拳で一体を潰しながら言って来た。・・・確かに、この調子なら・・・よっとっ!!

テディの後ろから迫っていた奴に右足で飛び込みつつ蹴りを1発。それから、もう一体来ていたので、デンガッシャーを下から斬り上げるように打ち込み、一体潰す。



「テディっ! 油断するなっ!!」



背中を合わせ、数を半分以上に減らした一団を見る。・・・もう少しだ。もう少しで終わる。だから集中を切らすな。

負けるのは・・・ごめんだしな。



「すまないっ! 幸太郎っ!!」



俺が『問題ない』と返そうとした時・・・異変が起きた。黒いトカゲが消えたからだ。いや、違う。

吸い込まれたんだ。トカゲは黒い霧となって、全て・・・吸い込まれた。一体を残して。その一体は今までのより一回り大きくなり、どこか禍々しい感じを体全体から出し始めた。そして、本能的に感じる。気を抜いた瞬間に、こっちがやられると。



「幸太郎、これは・・・」

「あぁ、どうやらすんなりとはいかないみたいだな」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



え、えっと・・・なんかボスキャラっぽいのが出てきたんだけど、これはなに?





つーか、マジでボスキャラじゃねぇかっ! なんだよこれっ!!










「・・・コピーされたトカゲ・・・どうやら、他のを吸収してパワーアップする能力が付与されていたようなんです」

「一体それはどこの人造人間だよっ! つーか咲耶っ!! それならそれで早めに言ってもらえると助かったんだけどっ!?」

「私も、今フェイトさまからメールを貰って知ったんです。無茶を言わないでくだ」



咲耶の言葉が止まった。当然だ。俺の横を通り過ぎて、その爪をつきたてようとしてたんだから。

咲耶は当然後ろに下がって逃げる。だけど、向こうの方が早い。だから俺は・・・。



≪Sonic Move≫



魔法を発動。包み込むのは金色の光。それにより、俺はトカゲと咲耶の間に入り込み・・・蒼ビルトと金ビルトを交差させて、その爪を受け止める。

・・・くそ、力強ぇ。ぐいぐい押し込まれてるし。



≪咲耶、下がってください。これは・・・長くもちません≫

「もう下がってますー」



あぁ、なんかすっごい後方に居るしっ! 確かに下がんないと危ないけど、あれはすっごいムカつくんですけどっ!?

なんて言ってると、トカゲが腕を引いた。そこを隙と見なして、俺は蒼ビルトを左から横薙ぎに振るう。だけど・・・聞かなかった。



「・・・なっ!!」

≪刃が・・・通らない≫



そう、黒いボディは先ほどまでと違い、まるで凄まじく硬い特殊合金のようになっていた。ビルトの刃を全く通さない。

そして、左手が伸びる。俺は顔面をつかまれ、そのまま投げ飛ばされた。受身を取る間もなく、コンクリの地面に身体を叩きつけられる。



「・・・かは」





衝撃で一瞬呼吸できなくなる。打ち付けられた背中が痛い。・・・くそ、やっぱジャケットの装甲もうちょい硬くしておくべきか? 攻撃食らうとモロダメージ入るし。

だけど、止まれない。立ち上がろうとした時、俺の上から影が覆う。俺は両手両足を使って、一気に右に飛んだ。

瞬間、俺の居た位置に小さなクーレターが出来た。原因は一つ。トカゲが跳んで、俺の上から踏みつけをかましてきたから。避けてなかったら・・・身体の一部がミンチ状になって穴が開いていたに違いない。



とにかく、距離は取れた。俺はゆっくりと立ち上がりつつ、黒い人型トカゲを見据える。





≪・・・恭太郎、大丈夫ですか?≫

「なんとかな。けど・・・ちとやばいな」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



向こうを見る。どうやら恭太郎の方も同じらしい。つーか、そのまま飛びかかって・・・ビルトビルガーを受け止められた。そして、腕を振り払い、吹き飛ばされる。

受身を取ってからすぐにソニックムーブで加速。黄金の光に包み込まれながら鋭く背後に回りこみ、蒼ビルトの切っ先を突き立てる。

だけど・・・また刃が弾かれた。そこを狙ってトカゲが回し蹴り。恭太郎はそれをマトモに食らって、吹き飛ばされ地面を転がる。





むちゃくちゃ痛そうだけど、心配してる余裕はねぇ。こっちはこっちで大変だ。










「はぁぁぁぁぁっ!!」



俺はデンガッシャーを持って飛び込み、斬る。だけど通じない。トカゲは身動きせずに俺の立て続けに襲ってくる斬撃を受け止める。火花が散り、当たっている事を周りに伝える。だけど、ダメージがないのは明白。手ごたえが・・・硬過ぎる。

そして、無造作に左手を出して、デンガッシャーの刃を握る。そうして俺の動きを止めてから、腹に右拳を叩きこんでくる。1発じゃない。狂ったように・・・荒れるように・・・何発もだ。それに俺の身体は軋み、痛みが走り、思考が切れそうになる。



「幸太郎っ!!」



そして、テディが飛び込む。それからまた腹に衝撃。右足で蹴り飛ばされた。俺を助けようとしたテディも、トカゲに一気に距離を詰められ、右、左、右とストレートを三発食らって同じようにぶっ飛ばされる。俺達は揃って、地面に転がる。

・・・くそ、いきなりあれからこれはねぇだろ。見てると、恭太郎達も苦戦してるし。



「・・・やられるかよ」



少し遠めに声が聞こえる。トカゲの蹴りを食らって吹き飛ばされた恭太郎が、立ち上がり、トカゲを見据える。目には・・・炎。

アイツの目が紅いせいか、余計にその印象が強い。



「こんなとこでやられちゃ・・・古き鉄になんて、じいちゃんやばあちゃん達みたいなすごい奴になんて・・・なれるわけがねぇっ! 俺はそんなの死んでもごめんだっ!! ビルト、咲耶っ! 行くぞっ!!」

≪えぇ、行きましょう。私もこんなところで負けるのはごめんですから≫

「当然ですわ。私達の本当の力、この愚か者に見せ付けてあげましょう」



そう言いながら、後ろで援護していた咲耶さんが前に出る。次の瞬間、二人揃って金色の光に包まれる。あれは魔力の光。恭太郎と咲耶さんの力の色。

そして、恭太郎が声を上げる。いや、咲耶さんも・・・一緒に。



「「変身っ!!」」

≪Rising Form≫










その瞬間、恭太郎の中に咲耶さんが吸い込まれる。

両手と両足に黒色の昔の武将がつけていたような無地の小手とブーツは変わらない。ただし、インナーは黒色に変わる。そして、パンツの色もくすんだように茶に変わる。

インナーの上から赤を基調として金と黒のラインが入ったジャケット・・・いや、コートを羽織る。ジャケットの基本色である赤と黒。そして、金のライン。この三つの色が目を引く。





それから、最後の変化として恭太郎の髪と結んでいる金色のリボンの色が変わる。

髪は上からまるで川の流れかなにかのような感じで金に染まり、その過程で金色のリボンが咲耶さんがつけていたのと同じ空色に変わる。

瞳をゆっくりと開ける。その瞳は・・・咲耶さんと同じ翡翠色の瞳になっていた。





右手をゆっくりと顔の前にもって行き、そのまま横に振る。すると、金色の光が雷撃となり、はじけた。





その光が羽の形を取り、辺りに舞い散る。・・・ユニゾン、しやがった。まぁ、それくらいしないとコイツは・・・ヤバイよな。










「・・・テディ、俺達も行くぞ」





俺は立ち上がりつつ、右手を顔の横まで上げて、指を二回鳴らす。音が右の耳元で響く。

それに応えるようにテディが一瞬でその姿を変える。幅広で、青く、銀色の刃を携えた銃剣に。

これがテディの能力。俺にモモタロス達みたいな憑依ではないけど、武器となって力を貸してくれる。



大きめの片刃の剣にも見える武器に変形したテディを、俺は両手に取ってから、肩に担ぐ。



そして見据える。倒すべき敵を。





≪幸太郎、カウントは?≫



鍔元の近くに、デフォルメされたようにテディの顔がある。その口が動いて、喋りかけて来た。

そして、俺はその言葉に答える。聞く必要などないという気持ちを込めて。



「必要あるか?」

≪いや、ないな≫

「そういうこと。・・・俺達は、カウントが0になってからが本当の戦いだ」



そのまま八双の構えに持って行き、俺は飛び込んだ。・・・俺もこんな奴に負けるのはごめんだ。一気に叩き潰す。

銃剣の刃に赤い光が灯る。俺達の本気、ここで叩き込む。



「はぁっ!!」





袈裟にテディを振るう・・・いや、打ち込む。刃は今度はトカゲの身体を斬り裂く。

刃を返す。トカゲが右拳・・・いや、爪を突きで出して来た。だから俺は、テディの柄尻をその横に叩き込む。俺に真っ直ぐに迫っていた爪は、それにより軌道を逸らされる。

でも、それだけじゃない。トカゲの胴の右側・・・背中と脇目掛けて、そのまま刃を打ち込む。紅い閃光がトカゲを再び斬る。俺はそうしながら、身体を回転。トカゲの背後を取る。



左手には既にパス。俺は、そのままセタッチ。





≪Full Charge≫





ベルトのバックル部分から赤い閃光が走り、それが右足を染める。俺はパスを左側に放り投げた。



そのまま、こちらへ振り向こうとしていたトカゲに向かって・・・回し蹴りっ!!





「はぁぁぁぁぁぁっ!!」





俺の蹴りは的確にトカゲの胴を打ち抜く。そして、そのまま足を振り抜くと、トカゲは・・・火花を上げて爆発した。



俺の背にはその爆煙。・・・なんとか出来たか。





≪・・・そうだな。あとは≫

「恭太郎か」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「言っとくけど」





身体から力が溢れる。理屈じゃない、理論でもデータでもない。俺に咲耶、ビルトの三人で戦える。それだけで負ける気なんて全然しなくなる。



じいちゃんにアルトアイゼン、リインさんも同じだって言ってたっけ。・・・なんか、嬉しいな。



まぁ、そこはいいさ。とにかく俺は、蒼ビルトの切っ先をトカゲ野郎に向ける。不敵に笑いながら、敵を見据えながら。





「俺は・・・最初から最後までクライマックスだよっ! じいちゃん達と同じくなっ!!」

【恭さま、どうしても言いたいんですか?】

≪まぁ、我が家の家訓ですしね≫



そういうこと。んじゃ・・・。



「行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」



俺はトカゲ野郎へと踏み込んだ。トカゲ野郎は右の腕を動かし、爪を突き立ててくるけど、意味はない。

だって、俺はもう後ろに居るんだから。そのまま、右足でトカゲ野郎の背中を蹴り飛ばす。トカゲ野郎は前のめりで地面を滑り、転がる。



【プラズマランサー・セットっ!!】




咲耶が魔法を発動。金色の輪状魔法陣に包まれて発動したのは、雷撃の槍。数は・・・8。



【ファイアっ!!】





槍達は空気を切り裂きながらトカゲ野郎に直撃。そこから爆煙が上がる。俺は・・・また踏み込む。爆煙を突き破り、トカゲ野郎も飛び込んできた。やっぱり無傷。

蒼ビルトと金ビルトに魔力を纏わせる。鋭く、薄く、全てを斬り裂く二振りの刃が。黄金色の雷光の刃がそこに生まれる。俺と咲耶の魔力を纏わせた俺達の力。

踏み込む速度を上げる。爪がまた突き立てられる。俺は、蒼ビルトを左から打ち込んで・・・腕を肘あたりから両断する。



それに構わず、今度は左の爪。順手に持った金ビルトを唐竹割りに打ち込んで・・・そのまま真っ二つにする。

二つの刃を返し、更に踏み込み俺は・・・いや、俺達は。





【「雷輝・・・!!」】





左から、両手の刃をトカゲ野郎に叩き込んだ。





【「双閃っ!!」】





そのまま斬り抜けると、トカゲ野郎を、そして空間を、雷を伴った黄金色の二筋の閃光が斬り裂いた。



そして、後ろで何かがどしゃりと落ちる音と、爆発音。それを聞いて俺は・・・構えをゆっくりと解いた。





「・・・へ、どんなもんだ」

≪まぁ、及第点ではありますね≫

【恭さまにしては上出来です】



そうだろ? 俺にしては・・・って、なんでそうなるっ!? 俺、すっげー頑張ったのにっ!!



【冗談ですわ。でも・・・恭さま】

「なんだ?」

【ユニゾンアウトしてください】



・・・へ?



【魔力エンプティです。というか・・・眠いです】

「ちょ・・・え、待って待ってっ! 咲耶寝るなー!!」

【あ、でも・・・愛するあなたの中で眠れるなら、これ以上の幸せは】

「どうしてそうなるっ! つーかユニゾンアウトするから寝るなーっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・トカゲ達は時空管理局の優秀な魔導師達。あと、たまたま休暇を過ごしていた伝説のエースやストライカー達によって見事全滅した。





なお、これだけ事が大きくなったので、事態を呼び起こした違法研究者には厳罰が待っているのは言うまでもないだろう。

とは言え・・・だ。首都がトカゲによってパニックになったり、そこから少し外れた住宅街・・・俺の家があるとこね? とにかく、そう言う所にも進行していたりしたのに、けが人が一人も居なかったのは奇跡としか言いようがないと思う。

とにかく、夕方になった。俺とビルトに幸ちゃんにテディは現場の後始末をあのすぐ後に駆けつけてきた局員連中に任せて、帰路に着いた。ただ・・・あの、なんていうかだな、その・・・。





重い。すっごく重い。










「・・・恭さま、女性に対して重いと言うのは失礼ですよ?」

「うっさい。つーか妖精サイズになれよ。そうしたら軽いのに」

「嫌です。そうしたら・・・恭さまのおんぶが堪能できないではありませんか。あと・・・こういうことも出来ません」



とか言いつつ、咲耶が俺に胸を・・・押し付けるなぁぁぁぁぁっ! な、なんかすっごい柔らかくてたわわな感触が伝わってるんですけどっ!!



「あら、いいではありませんか。小さい頃は一緒にお風呂に入ったりもしましたし、それに添い寝もあります。直接触られ、恭さまの手で揉まれたことも一度や二度では」

「全部子どもの頃の話だろうがっ! 今すると問題なんだよっ!!」



現在、俺は咲耶をおんぶしている。理由は簡単。サンダーフォール連発で魔力がエンプティ寸前だから。咲耶の魔力量はこの魔法を教えてくれたばあちゃんほどじゃない。だから、あの範囲攻撃魔法は結構魔力に来るのだ。

・・・つーか、もうちょっと気遣ってやればよかった。ちょっと反省している。だけど、口には出さない。だって、出したら・・・すっげー嬉しそうな顔するに決まってるから。



「・・・恭太郎、楽しそうだな」

「そうだな。まぁ、役得だからいいんじゃないか。・・・なぁ?」

≪恭太郎、実は楽しいんですよね。具体的には咲耶の胸の感触が楽しめて≫

「お前ら黙れぇぇぇぇぇぇぇっ! つーか、俺をそんな色情魔みたいに言うなっ!! マジで辛いだろうがっ!!」





こ、こいつら・・・他人事だと思って楽しんでやがるしっ! こっちがどんだけ大変だと思ってんだっ!?



とにかく、俺は頭が痛くなりつつ夕暮れの色に染まる歩道を歩く。・・・あー、マジで思い・・・じゃなかった、重い。つーか、身長が10センチは違うんだから、絶対無理があるって、これ。





”・・・恭さま”



念話が届く。それは・・・咲耶の声。

ただ、いつもの飄々とした感じとは違う。それに驚きつつも、俺はその声に答える。



”・・・なんだ?”

”私、重いでしょうか”



・・・どこか、色んな含みを感じさせる言葉だった。俺はそれに歩きつつ答えることにした。



”重いよ”

”そう・・・ですか”



咲耶の俺を抱きしめる力が弱まる。それに構わず、言葉を続ける。



”じいちゃんが言ってた。むちゃくちゃ大事なもんは、同じくらいにむちゃくちゃ重いんだってな”

”え?”

”だから、お前は重くていいんだ。俺にとってお前は・・・重くなくちゃ、いけないんだ”



抱きしめる力がまた強まる。さっきまでの締め付ける感じじゃなくて、どこか・・・包み込むような感じで。



”・・・恭さま”

”なに”

”私も、同じです。・・・あなたを、お慕いしていますから。あなたの存在は、私にとって重いものです。そして、重くなくては・・・いけないんです”

”・・・そっか”

”はい”










・・・空を見る。夕暮れの空を。もうすぐ夜の闇が襲ってくる空を。





俺、蒼凪恭太郎。年は16の男。職業は魔導師。まだまだ弱っちい青い果実だけど、それでも今を生きる新しい古き鉄。





色々考えたり、迷ったりするけど、俺は一歩ずつ、歩いていきたいと思う。





重たいものをしっかりと背負いながら、大事に持ちながら、ゆっくりと、だけど確実に・・・未来へと向かって。




















”というわけで、今日は一緒に寝ましょうね。私、夜伽の相手を勤めさせていただきたいと”

”勤めるなぁぁぁぁぁぁぁっ! そしてなんでそうなるっ!? せっかく俺がいい感じで締めたのに台無しじゃないかよっ!!”

”なに言っているんですか。私が『お慕いしていますから』と答えたら、恭さまはなんと答えました? 『そっか』と答えてくれたではありませんか。つまり、それはオーケーという意味で”

”んなわけあるかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!”





















(インタールードデイズ05へ続く)




















『次回予告ですっ!!』





「・・・料理を覚えたいっ!?」

「うんっ!!」



「スバルっ! そんな塩入れたらダメっ!!」

「え、そうなのっ!?」



「・・・え、えっと・・・どうでしょうか」

「なぁ、犬っ子。人には・・・向き不向きってあると思うんだよ」

「先輩、それはいきなり過ぎだって。もうちょっとオブラートに包んで・・・」





インタールードデイズ05 『愛は料理を上手くする?』





「と、とにかくとにかく・・・がんばろー!!」




















あとがき



恭太郎「・・・つーわけで、今回は特別編。俺が主役の未来のお話だったんだけど、どうだったかな? 今回のあとがきは新しい古き鉄・蒼凪恭太郎と」

咲耶「恭さまの本妻である私、雷鳴の鉄輝・咲耶でお送りさせていただきます」





(雷鳴の鉄輝、そう言ってペコリとお辞儀。それを見て新しい古き鉄、頭を抱える)





恭太郎「あ、あの・・・なんでそうなる? いや、おかしくないかこれっ!?」

咲耶「おかしくなどありませんわ。・・・いえ、もしかしたらおかしいのかも知れませんね。恭さまへの想いに気づいてから、私はおかしくなったのかも知れません。
ほら、こう言うではありませんか。恋は盲目と。きっと、この心には人をおかしくさせる作用があるのですよ」

恭太郎「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ! つーかおかしいのは恋愛感情どうこうは関係ないだろうがっ!! どうしてそうなるっ!?」

咲耶「そうなるのですわ。・・・あぁ、そこはともかく・・・皆さん、続きがこんなに遅くなって申し訳ありません」

恭太郎「いや、未来関係で設定作るのが思いの他時間かかってさ。あと、俺のユニゾンしてない状態のジャケットとか」

咲耶「実は、おまけなどではなくておじいさまや古鉄さまが全く出ない一本のお話は、とまと史上では始めてなのです」





(どこからかファンファーレが鳴り響く。・・・めでたいの?)





恭太郎「まぁ、めでたいんじゃねぇの? 何気に俺達が拍手以外で登場・・・あぁ、しゅごキャラクロス出てたんだよな」

咲耶「はい。現在までピンポイントでみなさんに笑いを提供しています。というわけで、私と恭さま、あとビルトのプロフィール紹介です」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



名前:蒼凪恭太郎

年齢:16歳相当

身長:150cm

体重:秘密

髪の色:明るめの栗色

髪型:いわゆる目の出た主人公的な髪型+腰までの長いおさげ。それを金色のリボンをちょうちょ結びにしている

顔立ち:全体的に女性的ではあるけど、キリリとした印象で、ツリ目

瞳の色:紅

現在の職業:管理局預かりの嘱託魔導師

魔導師ランク:空戦魔導師ランク・A+

魔法形式:近代ベルカ式

魔力光:金色

魔力資質の傾向;魔力量は並だが、魔力運用の技術の高さは祖父譲り。魔力の先天的変換資質『電気』を所有する。ここは祖母譲り。当人曰く『隔世遺伝の奇跡で、父親と叔母より祖父達の子どもに見える』・・・らしい。

主な戦闘スタイル:剣術と高速機動と移動魔法を用いた近接戦。『射撃撃ってる暇があったら突っ込んで斬った方が早い』・・・が持論。

好きな食べ物:和食全般・・・というより、和食が大好き

嫌いな食べ物:『・・・シャマルさんの料理』

趣味:いわゆるオタク的なもの全般。ここも祖父譲り

性格:自由気まま・・・と思いつつ、意外と苦労性。主に咲耶に振り回されて大変な日々を送るため、フォローとツッコミがとっても上手くなっている。

座右の銘:『最初から最後までクライマックス』(家訓)

作者的声のイメージ:朴ろ美さん(ろは漢字です)



使用魔法:斬撃魔法・雷輝双閃

恭文の鉄輝一閃を参考に構築した雷属性の全てを斬り裂く刃。恭太郎の電撃属性への魔力の変換資質を生かした攻撃となっている。










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名前:咲耶

年齢:16歳相当(外見年齢)

身長:160cm

体重:秘密

髪の色:明るめの金色

髪型:空色のリボンをちょうちょ結びにして、ポニーテールにしている

顔立ち:少し幼げで、年から考えるとアンバランスなほどに可愛い感じ。

瞳の色:翠

現在の職業:恭太郎の補佐役

魔導師ランク:総合魔導師ランク・A相当(ランク非取得)

魔法形式:ミッドチルダ式

魔力光:金色

魔力資質の傾向;魔力量はパートナーである恭太郎よりは多いものの、それでも多くはない。恭太郎と同じく、高速機動を得意としていて、フェイトと資質が似ている。魔力の先天的変換資質『電気』を所有する。

主な戦闘スタイル:射撃魔法・範囲攻撃魔法など・・・多岐に渡る攻撃による援護。そして、恭太郎とのユニゾン。

好きな食べ物:恭太郎の作る料理全般

嫌いな食べ物:ピーマン

趣味:朝のお風呂。恭太郎をいじること。

性格:自由気ままなお天気屋で、恭太郎を遠慮なく振り回す。なお、本人曰く『それが女の可愛らしさ』・・・ということらしい。雷の特性を持つユニゾンデバイスであり、恭太郎のパートナー。ただ、本人はまた違う意味でもパートナーになりたいらしい。

座右の銘:『恭さま命』

作者的声のイメージ:水樹奈々さん










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恭太郎のパートナーデバイス:AI搭載式アームドデバイス・ビルトビルガー

待機状態:腕輪(翠色の紐に、蒼と金の宝玉を結び付けている)

セットアップ時:長脇差(60センチ前後の小回りの利く刀)二刀

一人称:私

マスターへの呼び方:名前呼び

性格:冷静でありがながらお茶目心も忘れない鉄の系譜を地で行くようなデバイス。恭太郎とはマスターとデバイス・・・というより、友達としての付き合いをして欲しいと言われているため、名前呼びに終始している。なお、咲耶との関係には肯定的。

作者的AIの声のイメージ:花澤香菜さん・・・のような声質。










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ブレードフォーム



恭太郎の基本形態。ユニゾンしていない状態ではこれになる。装甲は薄く、高速機動による戦闘を得意とする形態。

ブレードは剣の意。なお、デザインモチーフは『うたわれるもの』のオボロ。





ライジングフォーム



恭太郎と咲耶がユニゾンした姿。装甲薄めで機動力が高い特性は変わらない・・・いや、むしろ強化されている形態。

ライジングは雷の意。デザインモチーフは・・・いや、ぶっちゃけブレードフォームに上着着せただけです。はい、すみません。捻りがありませんでした。










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恭太郎「・・・いや、ついに詳細が出たな。特にお前だよお前」

咲耶「まぁ、ここは予想されていた方も多いと思いますので、大丈夫かと。あ、それとここで一つ告知が。・・・すみません、劇場版第2弾なのですが」

恭太郎「・・・中止?」

咲耶「違います。・・・ほら、あとがきで新要素紹介って言ってたじゃないですか」

恭太郎「あぁ、あったな」

咲耶「あれが中止になりました」





(どこからか鳴り響くファンファーレ。というか、これはめでたくないと思う)





恭太郎「・・・え、なんで?」

咲耶「簡単に言えば、ネタバレ要素が多くなったので、これ以上書けなくなったそうです。むしろ、劇場版本編なりしゅごキャラクロスの中で私達関連の情報は出した方がいいのではないかと」

恭太郎「まぁ・・・そうだよな。んじゃ、あとがきはこれで終わり?」

咲耶「いえ。・・・おわびの意味を込めて、一つ嘘予告を出そうかと。なお、拍手でアイディアをいただいたものを丸々使っております。なので、あの話だとかそういうツッコミは無しでお願いします。大丈夫、リスペクトですから」

恭太郎「・・・なぁ、咲耶。この時点ですっげーヤバイ感じするんだけど、気のせい?」

咲耶「気のせいですわ。それでは・・・どうぞっ!!」










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・・・時は新暦76年の9月。平和な時間は突然破られた。



そう、一人の来訪者によって。





「じ、じいちゃん・・・助けてくれー!!」

「・・・恭太郎っ!?」





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「・・・ねぇ、恭太郎。なにがあったのかな。どうしてまた未来からこの時間に?」

「・・・実は」

「実は?」

「嫁騒動が起きたんだよっ!!」

「「嫁騒動っ!?」」





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「・・・つまり、話をまとめると」

「恭太郎が未来の時間で、恭太郎を好きだって思ってくれる女の子達に」

≪どこぞのSSの主人公みたいに『俺より強いのが好み』・・・って言ったもんだから、付けねらわれてると。咲耶まで狙ってきてるから、もうとんでもないことになってると≫

「そうなんだよっ! じいちゃん、頼むっ!! しばらくここにかくまってくれないかっ!? ここならアイツらも来ないし」

「だが断るっ!!」

「なんでだよっ!!」

「当然でしょうがっ! 自分の問題なんだから、自分で決着つけんかいっ!! つーか、僕はそうしたからフェイトとこうやって平和に暮らせるんだよっ!?」

「・・・なんだろう、すっげー突き刺さった。じいちゃん、俺すっげー突き刺さったよ。なんか自分が間違ってるって思ったよ」





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「・・・ね、恭太郎。ヤスフミの言うように、恭太郎がはっきりしないのがいけないんじゃないかな。誰か気になる子が居るなら居るでちゃんと言うべきだろうし、居ないにしてもちゃんと断るべきなんだろうし」

「・・・いや、俺断ってるんだけど。今のところ付き合うとかそういうの考えられないって。なのにアイツら、めちゃくちゃ追撃かけてくるんだよ」

「そ、そうなんだ・・・。なら、気になる子は?」

「よく・・・わかんないんだ。もちろん、好きって言ってもらえて嬉しいんだけど、でも・・・こう・・・」





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「・・・恭さま、おじいさまに迷惑をかけてはいけません。さぁ、帰りましょうね」

「もう逃がさんよ? はよ帰って、結婚式上げような」

「恭太郎、私・・・なんでもするよ? だから、帰ろうよ」

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ! な、なんか鬼がっ!! 鬼が見えるっ!!」

「こら恭太郎っ! 僕を盾にするなっ!! つーか・・・頼むから僕を巻き込むなぁぁぁぁぁぁっ!!」





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・・・こうして始まるのは嫁戦争。未来から次々とやってくる猛者達に、世界はカオスの極みへと突入する。



とある魔導師と機動六課の日常 特別編 『お前ら全員迷惑だ』



近日、公開





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恭太郎「公開するかぁぁぁぁぁぁぁっ! なんだよこれっ!! なんなんだよこれっ!? つーかこれだと俺が真面目に最低野郎じゃねぇかよっ! 真面目にありえねぇだろうがっ!!
いや、それ以前にどっかのサイトでこういうのあるだろっ!? するしない以前に出来ないっつーのっ! 完全にプロットがパクリだろうがっ!!」

咲耶「問題ありませんわ。サブタイトルに『愛は戦い』とかつければ」

恭太郎「あるんだよっ! そしてそのサブタイトルもかなりヤバイだろうがっ!! なんか公式的なもんがマテリアライズしちまうよっ! つーか、それで問題無いって言い切れるお前の神経が信じられねぇよっ!!」

咲耶「ただ、劇場版以外でこういう絡みは書いてみたくはあるそうなんですよね。例えば・・・しゅごキャラクロスとか」

恭太郎「いや、俺は出ないからな。つーか、要望も無いのに出られるわけが」

咲耶「要望なら来ましたよ?」





(その言葉に、新しい古き鉄は完全に固まる。そして、表情が驚きに染まる)





恭太郎「嘘っ!!」

咲耶「嘘ではありませんわ。恭さまが拍手で『要望送ってくるなよ?』なんてネタ振りをするから、来ました。えっと・・・ストレートに出てくださいというのもありましたね。あと・・・あぁ、これはすごいですね。
『恭太郎へ 咲耶に正式にプロポーズして恭文とフェイトが隔日でやってるなんやかんやをする気になったら、特別に出てきてもいいよ?』・・・というわけで、今日から早速夜は夜伽を」

恭太郎「アホかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! つーか、なんで俺がちょっとしゅごキャラクロス出たいって体で話してるんだよっ!! どう考えたっておかしいだろっ! 主に話の流れとか出るための条件とかっ!!」

咲耶「では、出たくないのですか?」





(そう真顔で言われて、なんか・・・固まる。すごい固まる。そして・・・泣き出した)





恭太郎「・・・すみません、俺・・・強がってました。俺・・・しゅごキャラクロス出たいです。すっげー出たいです。安○先生、俺・・・しゅごキャラクロス出たいです」

咲耶「では、私と夜伽を」

恭太郎「マテマテっ! お前はそのために俺と・・・その、そうなっていいのかっ!?」

咲耶「・・・恭さまでなければ、こんな事を本気で言うわけがないじゃありませんか」





(雷鳴の鉄輝、睨み気味にそうつぶやく、それに新しい古き鉄、目を見開くのみ)





恭太郎「へ?」

咲耶「というわけで、本日はここまでです。みなさん、恭さまが鈍感なのですが、どうすればいいのでしょうか。感想お待ちしております。
それでは、本日のお相手は雷鳴の鉄輝・咲耶でした。それでは、また」

恭太郎「いやいやっ! 俺を忘れるなよっ!! というか、これでシメっておかしくないかっ!? なんでこうなるんだよっ!!」










(なんだか騒がしいけど、それでもカメラはフェードアウトする。
本日のED:『君が好きだと叫びたい』)




















幸太郎「・・・まぁ、アレだ。お前が悪い」

恭太郎「なんでそうなるんだよっ! 俺なんも悪くないだろっ!?」

ビルトビルガー≪いえ、恭太郎が悪いですね≫

テディ「まったくだ。咲耶さんの気持ちも考えるべきだろう」

恭太郎「ど、どうしてこんなことにっ!?」

咲耶「・・・恭さまの、バカ」










(おしまい)





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