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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第9話 『ファミリー・パニックっ!!』



お説教はひどかった。まぁ、無茶苦茶したから仕方ないんだけど。





ごめん、もうこれだけしか言えないの。これだけで全て許して欲しい。





正座しつつ僕とあむはフェイトと唯世からお説教を食らって・・・・・・ようやく終盤になった。










「とにかく、二人とも反省して。特にティアのたまごを入れた人形の事だよ。
何にしたって、見積もりが甘かった部分があるのは間違いないんだから」

「そうだよ。まぁ、僕達は多分聞いていたら二人だけで行かせようとはしなかったと思う。
その結果を考えると、あんまり言えないけどさ。特に日奈森さん」

「はい」

「結果論にはなるけど、あの場で蒼凪君と一緒に戦うために残ったのは、やっぱりミスジャッジだよ。
現にフェイトさんが駆けつけてくれなかったら、怪我してたかも知れないんだから」



あむが唯世の言葉に落ち込んで・・・・・・あぁ、涙目だ。まぁ、そうだろうなぁ。

憧れのあの人に怒られてるんだしなぁ。で、当然その話がくると、僕にも矛先が来るのである。



「それに関しては、ヤスフミにも責任があるよ。まぁ・・・・・・分かるよ?
でも、あの場にあむさんを付き合わせるような事が危険だって、分かってたよね」

「うん、そこはもう痛いくらいに。この頑固者は僕やフェイトとは違うし。
戦闘訓練もなにも受けていない、ただの女の子だし」

「あの、ちょっと待ってくださいフェイトさんっ! 恭文は悪くないですっ!! あたしが、その・・・・・・勝手に」

「そういう問題じゃないよ」



フェイトが食いついてきたあむの言葉に、首を横に振って答える。

それから、またあむの目を見て言葉を続ける。



「ヤスフミなら、逃がす方が正解だって分かってたはずだもの。
それであむさんに啖呵を切られたからって一緒に暴れるのは、やっぱりミスなんだよ」

「でも、あたしは」

「友達や仲間だから・・・・・・というのは、理由にならないよ?
そのためにあなたが傷ついていいと言う事にはならないんだから。ただ」



呆れているとも、感心しているとも取れるような表情でフェイトが僕を見る。あと、あむの事もだ。



「私、実はヤスフミの事あんまり怒れないんだよね。そこの辺りはほら、先日利用するしないの話をした通り」



そこがフェイトのウィークポイント。僕達は、こういう可能性も含めた上でみんなに協力してる。

つまり、これからまた・・・・・・ありえない可能性じゃないんだよ。



「それに昔、ヤスフミと同じ事をしているから」

「え?」

「ただね、あむさん。これであなたにもしものことがあったら、私はあなたのご家族に申し訳が立たないの。
もし、またこんな事が起きた場合、その時はヤスフミや私の判断に従ってもらえるかな。・・・・・・あ、私はいいね」



フェイトは苦笑しながら・・・・・・ううん、自嘲するような顔であむを見ていた。



「私は今のところしゅごキャラのみんなや×キャラが見えないから、見えるヤスフミの判断に従って欲しい。
引いて欲しいと言われたら、どう思おうとすぐに引いて。ヤスフミは私よりそこの判断がシビアだし。・・・・・・だから信じられなかったよ」



あぁ、視線が痛い。もうめっちゃ突き刺さって痛いんですけど、これどうすればいい?



「日奈森さん、そこは僕からもお願いしたいんだ。蒼凪君は僕達よりもずっとこういう状況に関わってる数が多い。
友達で仲間だから引けない場面もあるかも知れないけど、それなら時には引く場面もあるはずだと思うから。どうかな?」



あむがその言葉に僕を見る。僕は・・・・・・まぁ、はっきり言うか。



「ぶっちゃけると、そうして欲しくはある。さすがに結果オーライにしていいのは、僕達の中だけだよ。
僕は最初にフォローは一切しないとは言ったけど、あむが怪我しそうになったのは事実だしさ」

「・・・・・・やっぱ、迷惑だったかな」

「あむ、それを今更僕に聞くのはズルくない? 乗っちゃった以上『そんな事はない』って言うしかないでしょうが」

「そう、だよね。もう・・・・・・そう言うしかないんだよね」



あむは一度深呼吸すると、フェイトと唯世をしっかりと見つめる。二人も、その強い視線を受け止める。



「分かり・・・・・・ました」

「・・・・・・うん。それじゃあ、お説教はここまででいいよね? 唯世君」

「はい。あのフェイトさん、僕までお世話になってもいいんですか?」

「うん、大丈夫だよ。あ、でもご家族の方は」

「それなら大丈夫です。日奈森さんと同じく、もう連絡済みですから」



おぉ、さすがキング。なんつうか行動が手早いなぁ。それであっさり許してくれたんかい。理解あるし。



「よし、それなら・・・・・・ヤスフミ、夕飯任せちゃっていいかな? 私はあむさんとお風呂に入ってくるから」

「うん、いいよ。ちなみにリクエストは?」

「うーん・・・・・・任せる。でも、あっさりして喉に入りやすいものがいいな。時間もちょっと遅くなっちゃったし」



確かに、時刻を見ると夜の8時半。夕飯と言うには若干遅い。

で、それであっさりとして喉に入りやすいものか。



「了解。なら、にゅうめんなんてどう? それならすぐ作れるし」

「あ、おいしそう。じゃあ、お願いね」

「うぃさ。・・・・・・あー、唯世。ちょっと手伝ってくれるかな」

「うん、いいよ」










というわけで、今日の夕飯作りに取り掛かった。





まず、冷蔵庫から冷凍してある氷状の和風スープを数個取り出して・・・・・・あれ?





フェイト、あむとお風呂って・・・・・・言ってなかった?




















『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご


第9話 『ファミリー・パニック』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あの、なんでいきなりお風呂? いや、確かに汗かいたからお風呂欲しかったんだけど。

というかフェイトさん、すごい。胸大きいし、腰細いし、お尻も形いいし。

髪もつやつやで肌もすべすべで・・・・・・恭文、フェイトさんと付き合ってるんだよね。





つ、つまりその・・・・・・やばい、なんか想像できないんですけど。










「あむさん、どうかしたかな?」

「あ、いえ。なんでもないです」



髪と身体を洗って、二人で湯船に入る。ここの湯船、結構広いからいい感じ。

でも、家族以外でこうやって入るのってなんか緊張するなぁ。特にフェイトさんは・・・・・・うぅ、やっぱりあたし負けてる。



「あ、そう言えばフェイトさん」

「なにかな」

「今日は・・・・・・ありがとうございました」





あたしが頭をペコリと下げると、フェイトさんは微笑みながら首を横に振る。

どうやら、あたしが何を言いたかったか理解したらしい。まぁその、一応・・・・・・助けてもらったお礼。

今のフェイトさんは、さっきまでお仕事キャラでお説教していたのとは全然違う。



優しくて、暖かい感じがして、なんだか安心する。きっと、今のキャラが本当のフェイトさんなんだ。





「大丈夫だよ。ただ、もうこんな無茶はダメだよ?」

「はい、もう骨身に染みました。でもあの、やっぱあたしが無茶言ったから」

「それでも、ヤスフミならあむさん達を逃がす方法はあったから。さっきも言ったけど、正直信じられないんだよね。
ヤスフミはここの辺りの状況判断とか危機管理とか、私なんかよりずーっと高いレベルで出来る子だから」

「そう、なんですか?」

「うん。私はどうもそこの辺りが甘くて、叱られたりした事もある。
それでげんこつなんて数発あるし、前に一度ビンタ食らった事もあるし」



ビンタっ!? え、あの・・・・・・フェイトさんの事ばちんって殴ったわけですかっ!!

・・・・・・あ、でもあたしの時もげんこつしてたな。アイツ、口より先に手が出るタイプなんだ。



「というかあの、あたし達逃がすってどうやってですか? 二階堂動けなかったし」

「それでも出来るんだ。例えば・・・・・・転送魔法とか」

「転送魔法?」



あれ、なんか聞き覚えのないフレーズだ。まぁ魔法関連なのは分かるんだけど。



「うん。一種のテレポート的な魔法でね。ヤスフミも習得してるんだ。しかもヤスフミなら瞬間発動可能。
例えばあむさんがあの場で引かなくても、ヤスフミなら一瞬で二人を外に転送させちゃう事は可能だった」

「そんな事出来たんですかっ!? てーかそれ凄いじゃないですかっ!!」

「そうだね。ヤスフミ、元々魔法研究が好きで色々な術組んでるしね。半分は趣味なの」



いや、趣味で瞬間的なテレポート出来るのは、もはや超能力・・・・・・アレ?

超能力と魔法の境目ってなんだろ。あたしには良く分からないや。



「それで・・・・・・あの、フェイトさん。一つ聞いてもいいですか?」

「何かな」

「さっきフェイトさんも恭文と同じ事したって言ってましたよね」



フェイトさんの表情が、少しだけ変わる。何かを思い出すような、辛そうな・・・・・・そんな顔になった。



「ヤスフミ、魔導師になった時に事件に関わったって話したよね」

「はい」

「その時ね、ヤスフミ・・・本当なら事件に関わらなくてよかったの。事件が解決するまで保護されていれば、問題なく元の生活に戻れたから。
・・・・・・まぁ、ヤスフミの実の両親は本当にひどい状況だったから、戻る事自体が問題だったのかも知れないけど」



この間亡くなったって話してくれた人たちの事だ。あ、そっか。

恭文って19歳で10歳から魔導師してるって言ってたから、もう9年も前で・・・・・・本当の意味で子どもの時の話なんだよね。



「でもね、ヤスフミは飛び込んだの。この辺りは色々事情が込みなんだけど、とにかく・・・・・・なにもしないのなんて嫌だって言ってね。
それで何度も傷ついて、死にかけた事とかもあって。多分ヤスフミ、自分の事思い出したんじゃないかな」



タイミングはもう聞かなくても分かる。あたしが無茶言った時だ。もうそこしかないよ。



「昔の自分と同じだから、何にも言えなくなっちゃったんだよ。・・・・・・私も、同じ。今日の事で少し思い出したの。
ヤスフミが戦いたいって言った時、認めて一緒に戦おうって言った時の気持ちを。思い出して、何も言えなくなった」

「そう・・・・・・だったんですか。あの、フェイトさん」

「うん。なにかな」



その・・・・・・どう言おう。何言っていいのか、よく分かんないよ。

分かんなくて、お風呂の中で少し固まって・・・・・・考え込んでしまった。



「あたし、アイツに迷惑かけましたよね」

「そうだね。そこは否定出来ない」

「なのにアイツ、なんであたしの事・・・・・・責めないんですか?」

「それはすごく難しい質問だな。単純に乗ったヤスフミに言う権利がないというのがあるから」



あぁ、そう言えばさっきもそれっぽい事言ってたよね。うん、言ってた。



「でもきっと、昔の自分を思い出したからだけじゃないとは思うな。きっと・・・・・・それだけじゃない」

「そう、かな」

「そうだよ、きっと。私はそう思うんだ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・唯世、キセキ、味見」



小皿に目の前の鍋から琥珀色の液体を少しだけお玉ですくって注ぐ。それを隣に居る男の子に渡す。

男の子はそれを受け取り、一口味見。



「・・・あぁ、このスープ美味しいね」



それから、更に隣に浮かぶ小さな男の子に差し出す。男の子はそれに指をつけて、一口ぺろりと舐める。あと、二人の女の子もそれに習う。



「ふん、庶民にしては中々だな。しかし・・・随分手際がいいな」

「そりゃそうだよ、料理は得意だもの。あと、スゥも手伝ってくれたし。・・・ね?」

「はいっ! お料理はスゥも得意ですから〜」



現在、僕はスゥと一緒に夕飯の仕込み中。なお、メニューは言った通り軽めににゅうめん。休みの日に一日かけて仕込んだって言うのもあるけど、このキューブ状に冷凍してあった鶏がらベースの和風スープはちょっぴし自慢なのだ。

ご飯を炊く時に少々混ぜ込んで、野菜なり肉なり入れればいい感じで炊き込みご飯にもなるし。まぁ、評判がよくてよかったよ。



「うーん、いい感じのお味だねー。というか、二人とも頑張れー頑張れー♪」

「料理が出来る男・・・結構いいかも」

「ミキ、ちょっと気が多すぎない?」



・・・なんだろう、妙に気になる発言が聞こえたんですけど。

まぁ、気にするのやめようっと。とりあえず、具の準備ですよ。



「・・・あ、なんかいい匂いね」

「あれ、ティアナ。もう起きてて大丈夫なの?」



僕とスゥが手を動かそうとすると、声がかかった。そちらを見るとオレンジのパジャマを来たティアナが居た。・・・一応今日一日は安静にしていることにしたってのに。

というか、部屋違うでしょ部屋。なんでこっち居るのよ。



「・・・いや、どんな調子かと思って。お説教されてたんでしょ?」

「まぁ、いつも通りな感じかな」

「そっか。・・・あのさ、ありがとね」



ティアナが少しだけ、優しく微笑みながらそう言ってきた。・・・どう答えていいのか分からなくて、小皿にスープを取ってティアナに渡す。そして、ティアナはそれを受け取り・・・一口すする。



「うん、いつもながらお見事。なんかお腹空いてきちゃいそうだし」

「ありがと、そう言ってもらえると嬉しいわ。・・・まぁ、アレだよ。気にしなくていいよ? ティアナのためだけって訳じゃないし、いい感じで周りも静かになったし、僕は派手に暴れられて楽しかったし」

「・・・そっか。なら、もう言わない。
でさ、私アンタ達に一つ質問があるのよ」

「なに?」



ティアナがそう言ってある一点を凝視する。というか、その一点に居る人間がなんか固まっている。



「この目の前に居るちっこい子達が、もしかして・・・しゅごキャラ?」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」」










ま、まさかティアナ・・・しゅごキャラが見えてるのっ!?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・ティアナさん、私の事見える?」

「ボクは?」

「スゥはどうですかぁ?」

「・・・全員見えてるわよ。声も聞こえる。あれ、おかしいな。なんでこれ?」



とにかく、全員集まってこの異常事態について検証する事になった。なお、お風呂上りのフェイトもあむもびっくりしている。

あと、隣の部屋で今日の戦闘のデータ検証していた三人もね。



「あの、ティア。本当に・・・居るの?」

「居ます。もうブッチギリで見えますし話せますもの。・・・ねぇ、なにこれ? 私マジで分からないんだけど」

「・・・王様、どういうこと?」

「恐らくだが・・・この娘のたまごが戻った事が原因ではないのか? いや、もうそれしか思いつかないんだが」



腕組みしながら唸るキセキを見て、それしかないなと思う。多分、他の皆も同じ。

確かに他に今まで見えなかったティアナがしゅごキャラを見えるようになる要因が考えられないから。



「でも、それだけで見えるようになるものなの? それだったら、今までたまごを抜き出された子ども達も全員見えることになると思うけど」

「・・・いや、日奈森さん。考えられる要因があるよ」

「唯世くん?」

「ランスターさん・・・というより、シャーリーさんにフェイトさんもですけど、無意識にしゅごキャラの存在を否定していたんじゃないでしょうか」



唯世がフェイト達に視線を向けて、そう言った。その言葉に全員が顔を見合わせる。

否定・・・まぁ、言うまでもないけど、三人はどこかでしゅごキャラという存在がありえないものだと思っていると。



≪・・・なるほど、しゅごキャラは本来『なりたい自分』が具現化したもの。でも、その概念そのものが言うなればあやふやで不安定≫

「そうだね。だからボク達は、たまごの持ち主・・・ボクやラン達で言うならあむちゃんにボク達の存在を信じてもらえないと、簡単に消えちゃうの。
ボク達がここに存在するためには、たまごの持ち主がなりたい自分・・・もっと言えば、未来の自分の可能性を信じる事が絶対条件なんだ」

「多分、その辺りの要素がこの者達がしゅごキャラを見る事が出来ない要因だな」



つまり、三人の中に疑いがあるから、今まで見えなかったと。でも、ティアナに関しては状況が変わった。



「今回のことでランスターさんが自分の中にあるたまご・・・『なりたい自分』の存在を認識した事で、ランスターさんの中のしゅごキャラという存在に対する疑いがなくなったんじゃないでしょうか」

「だから、私はこの子達が見えるようになったと。・・・まぁ、話は分かるわよ? 確かに疑っていたと言われれば、疑っていたから」



そう言いながら、ティアナが再びラン達に視線を移す。・・・あ、なんかスゥが笑いかけたらティアナも笑顔で返してきた。



「ならなら、リインが思うに・・・フェイトさんとシャーリーも、しゅごキャラのみんなへの疑いを無くせば」

「見えるようにはなれる・・・でしょうけど、それは簡単ではありませんよ? おじいさまみたいに少々単純ならともかく」

「・・・をい」

「ヤスフミ、抑えて抑えて・・・」



ただ、咲耶が言いたい事は分かる。見えるものなら、どうとにでもなる。でも、これは見えないものに対して・・・未知なものに対してだ。

疑いを消すなんて、簡単なことじゃないもの。



「この機会に、私も×たま浄化とか出来るようになってくれると嬉しいんだけどね。そうしたら、コイツ一人で突っ込むような真似はさせなくて済むし、フェイトさんだって少しは安心できますよね?」

「まぁ、それは・・・って、ティアっ!? どうしていきなりそんな話になるのかなっ!!」

「でも、実際そうでしょ?」



・・・フェイトがなんか顔を真っ赤にして僕を見る。いや、そんな助けを求められるような目で僕を見られても困るのですけど。

でも、ティアナも対処出来ると確かに僕が楽になる。相性はバッチリだし、ティアナだったら不安無く背中を預けられるし。



≪パーフェクトカップルですしね≫

「そのアホな呼称はやめなさいよっ! コイツはフェイトさんと付き合ってるのよっ!?」

≪まぁ、それは冗談ですけど、実際マスターとティアナさんのコンビは強いですから≫

「・・・アルトアイゼン、あたしや唯世くんは魔法の事とか詳しくないんだけど・・・そうなの?」



その言葉にうなづきで僕とティアナ以外の人間は返す。なぜか咲耶も普通にそれに加わってたのが若干気になるけど。



「昼間も見たと思うけど、ティアは射撃による中距離戦闘が専門の魔導師なんだ。それで、なぎ君は接近してアルトアイゼンでの斬撃だったり火力重視の魔法での殲滅戦闘が得意だから」

「そうか、蒼凪君とは相性がいいんですね。後・・・幻影でしたよね。幻を作ったりする魔法でのサポートも絡ませると強いと」

「・・・マジで私の×キャラが使ってたわけね。あー、あむに唯世も悪いんだけど、私が幻術使えること、あんまり口外しないで欲しいの」



・・・あ、そっか。それがあったか。



「え?」

「ティアナが幻影を使える事は、他人には秘密にしてるんだよ」

「あの、それってどういう・・・」

「この辺り事情込みなんだけどね。例えば・・・局に勤めていると味方内にスパイが居て、自分の能力が筒抜けって言う状況で戦う時もあったりするのよ。まぁ、滅多にあることじゃないんだけど。
そんな時、一つでも知られていない手札があると色々と役に立つんだ。・・・というわけだからさ、あむ。その不満そうな顔はやめてくれるとかなり嬉しいな」



あむが明らかに不満そうな視線を僕達に向けてくる。まぁ・・・そうだよね。身内疑ってるのと同じだもの。



≪あむさん、真面目な話をすれば、過去に局でそういう事件が起きているんですよ。そのために実際に部隊が全滅というパターンもありますし、私やマスターも身内である局員に殺されかけた事が何回かあります。協力していただけると嬉しいのですが≫

「・・・でも、仲間イチイチ疑ってたらキリないじゃん」

「日奈森さん、ここは納得しようよ。幻術が使いようによってはすごい威力を発揮するのは、今日の事で証明されてるわけだし。なにより・・・さっき、約束してくれたよね?」

「唯世くん・・・あの、わかった。内緒にしておきます」



ティアナが少しだけ申し訳なさそうな顔で『ありがとう』と言う。

・・・さて、いい感じで話はまとまったかな?



「ま、硬い話はここまでにして・・・夕飯にしようよ。あっさりとにゅうめん。いい感じでスープが仕上がってるから、美味しいよー」

「まぁ、それは楽しみですわね」

「・・・お代わりは2杯までだよ?」

「おじい様、それでは私が飢え死にしてしまいます」

「だからっておのれの食欲に合わせたらあっという間に材料が尽きるんだよっ! 少しでいいから自重しろっ!!」










とにかく、みんなでわいわい言いながらにゅうめんを食べる。・・・あぁ、美味しいなぁ。自画自賛だけど素晴らしい味だ。





とりあえず、あむや唯世も『美味しい』と言ってくれて、嬉しいな。うん、ご飯作って人が美味しいって言ってくれるのはやっぱり嬉しいし、幸せ。










「・・・あ、そう言えば」

「唯世君、どうしたの?」

「いえ・・・実は今思い出したんですけど、蒼凪君やリインさんにランスターさんは、今度の授業参観はどうするんですか?」

『・・・え?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・それでね、朝食も恭文とフェイトさんが作ってくれたんだけど、もうすっごく美味しくてー!!」

「でも、咲耶さんがすごく食べるのにはびっくりしたけどね」

「あ、そうだね。それはびっくりした」

「そう。お泊りしたの、楽しかったみたいね」

「うん。こういうのあんまりしたことなかったから、すごく楽しかったよ。・・・それでね、みんな。」



翌日の放課後。ガーディアンとしての事務をロイヤルガーデンでこなしながら、唯世がふと切り出した。



「昨日の一件で一応二階堂先生のことは解決したけど・・・イースターの行動やその他もろもろが解決したわけじゃない」

「まぁ、そうだよな。・・・つーかよ、これで本格的にこちらに攻撃しかけてくる可能性もあるわけだしよ」

「うん。あとね、これはフェイトさん達とも少し話したんだけど、またあの人形みたいなものが出てくる可能性もあるんだ」

「・・・え? またあんな物騒なのが出てくるのっ!? ややそれ嫌だー!!」



ややがダダをこねてもそこは残念ながら変わらないのである。

だって・・・ねぇ? ワンオフモデルが量産化されるって、アニメの典型的なパターンだし。



「確かにそうね。量産機というか、そういうのが出てこないという保障もどこにもないわ」

「それで、昨日お泊りついでにあれこれ協議して・・・新学期からにはなるけど、今まで以上の連携強化とまぁ・・・一応のケジメみたいなのも含めて・・・だね。
蒼凪君とリインさんの二人には今みたいな仮扱いじゃなくて、正式にガーディアンのメンバーになってもらおうと思うんだ。・・・みんなはどうかな? なにか意見とかあれば聞きたいんだけど」



その言葉に、全員が表情を驚きに染め・・・ないね。

あれ、なんでそんなに普通っ!? やや辺りが叫ぶもんだと思ってたのにっ!!



「恭文の中のややのキャラはどうなってるのっ!? ・・・大丈夫、もう恭文もこてつちゃんもリインちゃんもガーディアンの一員だもん」

「ま、俺ももうすぐ抜けちまうしな。穴埋めるには十分過ぎるだろ」



空海がちょっと寂しげに笑いながらそう言ってきた。・・・あぁ、もうすぐ卒業だもんね。



「つーかよ・・・年齢誤魔化した奴がガーディアンに入るっ!? 面白すぎだろ、それっ!!」



・・・とりあえず、大笑いし出した目の前のボケに対して拳を握ったとしても、それはきっと罪じゃない。

うん、殴らないけど許されるよね、それくらいはさ。



「というわけで、辺里君。私も問題無いから・・・恭文君とリインさんの新学期からのガーディアンメンバー入りは決定と言う事で」



そう言って、なでしこと辺里とややが僕とリインの方を見てニコリと笑う。

それを見て・・・なんだろ、ちょっとこそばいい感じがする。



「な、なんというか・・・よろしくお願いします」

「よろしくですー♪」

≪まぁ、ここは記念に私の小話でも一つ≫

「「いや、そこはいらない(ですよ)」」




・・・あ、待てよ。ガーディアンって言うことは・・・みんなの着ているケープを着るのか。

なんか・・・いいなぁ。かっこいいし。



「リインもケープ着るの楽しみですー♪ というか、おしゃれですよね〜」

「・・・恭文とリインちゃんはこういうのオーケーなんだ」

「そう言えば、あむさんは着てないですよね。ガーディアンなのに」



そう言えばそうだ。あむがガーディアン専用・・・ガーディアン専用・・・専用・・・あ、なんか響きいいかも。

とにかく、この専用のケープを着ている場面を見た事がない。・・・どうして?



≪あぁ、そういういじめですか?≫

「そうなの。あむちゃんは着たがってるんだけど、私や辺里君がキャラなり出来るあむちゃんに嫉妬して・・・」

「だからいじめじゃないからねっ!? 藤咲さんもお願いだから普通に乗らないでよっ!!」

「あむちー、ケープが自分の美的センスに合わないから着たく無いんだって。それを理由にやや達が最初にガーディアンに誘った時も断ったんだよ?」



・・・え、ケープ着たくないからこのスーパー小学生の立ち位置への誘いを断ったのっ!?

ま、また・・・どんだけファッションにこだわりがあるんですか。



「当たり前じゃん。というか、恭文がこだわり無さ過ぎなだけでしょ? そんなんじゃ、フェイトさんに振られちゃうよ?」

「・・・いや、あるから。一応あるから。で、フェイトにもご理解いただいていますから」

「へぇ、どんな?」



まず、ポケットが沢山あること。生地が分厚くて斬撃とか銃弾での攻撃にそれなりに耐性があること。

・・・ほら、こだわりある。これでもファッションや身の回りのものには気を使っているのだ。



「いや・・・恭文、俺が思うにそのこだわりはおかしくねぇか? つーかよ、ファッションのこだわりに防御力を入れるなよ」

「そうだよ。というかさ、ポケットが沢山あるって時点でおしゃれじゃないし。どうしてそうなるわけ?」

「・・・あぁ、暗器仕込むのに必要だから」



で、僕は袖をまくって見せる。・・・それを見て何故か全員が表情を驚きに変える。

なぜだろう、ただ袖にホルスターつけて飛針を仕込んでるだけなのに。



「・・・恭文君、参考にまでに聞くけど、それは何?」

「簡単に言えば・・・手裏剣? コレ投げつけて攻撃するの」

「いや、どうしてそういうものを普通に仕込んでるのかを聞いてるんだけどっ!? しかも学校の中にっ!!」

「何言ってるの。普段からこれくらいの武装はしてるって」



僕が混乱した様子のあむにそう返すと、リイン以外の全員の表情がまた固まった。

そして、信じられないようなものを見る目で僕を見る。



「蒼凪君・・・まさかとは思うけど、今まで、ずっとそれ?」

「もちろんっ!!」

「もちろんじゃないからっ! 普通にそれは法律的にもアウトだよねっ!? どうしてそうなるのか今すぐ説明してよっ!!」

「だって、何時戦闘とかになるか分からないし」



僕がそう返すと・・・全員が気の毒そうな表情で僕を見る。なんというか、色々失礼な連中である。さっきから何がしたいのかイミフだ。



「・・・こてつちゃん、リインちゃん、恭文って・・・そこまで? そこまで運が無いの?」

≪そこまで・・・ですね。まぁ、暗器の使い方を教えてくれた人の教えもあるんですが≫

「常在戦場、普段からいつ戦いに突入してもいいようにと教えられたそうですしね。あと、そのためにカバンや文房具なんかもこだわってるそうなんですよ?」

「はぁっ!?」



あぁ、こだわってるよ? まず・・・カバンは盾になるように厚めで皮素材の物で、そうじゃないものにも、一応盾に使えそうな部分に鉄板を仕込んでるし、文房具も先がある程度尖っていて、金属で出来た・・・投擲武器に即座に変えられるものを使ってる。

恭也さんと美由希さんの教え・・・というか、真似? 実際、役に立ってくれた事は少ないけど、こうしてると安心感が増すのである。



「みんな、どうしてそんな呆れた目で僕を見るの? お願いだからその目はやめて欲しいな」

「話、変えようか」

「そうね。その方がいいと思うわ。あむちゃん、恭文君のファッションを直すのは、きっと至難の業よ?」

「うん、そう思う。というかさ、これはあんまりに予想外過ぎてあたしはなんにも言えないんだけど」



なでしこ、あむ、それはどういう意味かな。僕は非常に疑問が残るんだけど。



「・・・それでね、今度行われる授業参観の事なんだけど」

「あ、やるって言ってたよね。ねね、ガーディアンでも何かするの?」

「ううん、ガーディアンも一応生徒だしね。その日は普通に授業を受けるだけ」

「ま、そうだよな。ところでよ・・・恭文とリイン・・・どうした?」





・・・僕達に話の矛先が向いた。



それは当然だ。だって僕達・・・なんか苦い顔してるから。





「授業参観ってさ・・・もうすぐ新学期だから、進路とかそういうのの相談も兼ねてーって感じでやるんだよね?」
それでさ、昨日唯世から話を聞いて、僕やリイン、ティアナはどうするのかって話になって・・・」

「え、それなら普通にフェイトさんやシャーリーさんが来れば・・・あ」



・・・ややが言葉を止めて、僕を非常に申し訳ない瞳で見出した。というか、他のメンバーも同じく。

そう、僕なのだ。さすがに恋人のフェイトが保護者な感じで来たら、さすがにヘコむ。というか、きっと泣く。



「とは言え・・・さすがに誰も行かないというのもちょっと問題なんだ。ほら、やっぱりそういうのってクラスの中でも変な意味で目立っちゃうから。学校的には、普通の小学生ってことになってるしね」

「そうだな、特にお前やリインは転校して一ヶ月も経ってないから余計に・・・なんつうかお前、立場複雑だよな」

「相馬君、今更よ? でも、それならリインちゃんはどうして? 恭文君はともかく、リインちゃんなら、普通にフェイトさん辺りが来ればいいと思うんだけど」

「実は・・・」



リインが唯世が入れてくれた日本茶を一口飲んで、それから皆を見て話を進めた。

僕とティアナの問題もあるけど、リインも別の問題があるのだ。



≪リインの家族が話を聞いて・・・来れるメンバーは来ることになったんですよ≫

「リインの・・・家族っ!? ・・・あぁ、そう言えばリインは家族と離れて恭文と一緒に居るんだったよな」

「・・・リインちゃん、情熱的だね。男の子追っかけて家飛び出しちゃうなんて。というか、フェイトさん居るよね? それはいいの?」

「恭文さんの元祖ヒロインとして、当然の行動です。それに、リインは恭文さんの恋人になれなくても、ただ・・・ただパートナーとして、恭文さんの側に居られるだけで、すっごくすっごく幸せですから♪」



そんなリインの言葉に全員がため息を吐く。

そして、当然のように僕を見る。当然のようにどこかで僕を責めるような色が含まれている。当然のように僕は頭が痛くなる。



「恭文君、あなた色々大変ね。フェイトさんだけじゃなくて、リインちゃんも幸せにしないといけないわよ?」

「そうだね。リインさんはこんなに蒼凪君の事を想ってくれるんだから、ちゃんとしないとダメだよ」

「・・・もう色々と痛感してる。うん、この1年でやんなるくらいに」



おかしいなぁ。この調子で行くと真面目にフェイトとの結婚式には、リインもフェイトと一緒にウェディングドレス着る羽目になりそうなんだけど。

・・・どうすればいいんだろう、これ。リインにはちゃんと、付き合えないって言うのは言ってるし、だけど・・・リインが大事なパートナーなのは間違いなくて、フェイトもここは納得してくれてて・・・うーん、僕、もしかしてダメな事してるのかなぁ。



「・・・リインちゃん、恭文頭抱えて唸り出したよ?」

「まぁ・・・一夫多妻もいい所だしな。つーか、俺は真面目にうらやましいんだけどよ」

「そんなに難しく考える必要ないですよ? 恭文さんはフェイトさんと恋人的な意味合いでラブラブで、リインとは心と心で繋がったパートナーとしての意味でラブラブというだけですから」

「いや、それが多分恭文を悩ませてるんだと思うんだけど・・・。と、とにかく、リインちゃんの家族である八神家の人たちが来るんだよね」



でも、リインと離れるのなんてもう考えられなくて・・・。



「はいです。まぁ、リインはそれでよしとして・・・恭文さんとティアをどうするかというのが問題なのです」

「え、ティアナさんもなの? というかさ、恭文もティアナさんも、リインみたいに普通に家族を呼べばいいのに」

「いや、やや。仕事でこっち来てるのにそれはないだろ。ついでに、二人とも年誤魔化してるんだぞ? さすがにそれは」

「・・・あのね、やや、空海。恭文もティアナさんも、それは無理なんだ」



なんかおかしいのは、リインもフェイトもこういうの納得の上で、なんか二人とも連帯感が強くて・・・よくないよ。こういうのは全然よくないよ僕。



「無理って、どうして?」

「恭文さんもティアも、実の家族・・・もう居ないんですよ」

「・・・おい、そうなのか?」

「・・・うん。僕も昨日聞いて知ったんだけど、蒼凪君もご両親はもう亡くなってる。
ランスターさんも同じく。もう年齢が年齢だからそういうのが無くても生活は出来るらしいんだけど」



つまり、もう考えるまでもなく僕とフェイトとリインの三人体制作ってるのがダメで・・・。



「そうだったんだ・・・。あの、恭文ごめん。やや、すごく無神経で・・・あれ、恭文?」

「おーい、恭文? お前・・・どうした?」

≪あなた、なんで頭抱えて独り言喋りまくってるんですか。なんか怖いですよ? すごく怖いですよ?≫



うぅ、どうすればいいのこれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!? 誰か答えプリィィィィィズッ! プリィィィィィィィィィィズッ!!



「や、恭文っ!? 落ち着いてっ! 声出てるからっ!! 全部外に漏れちゃってるからねっ!?」

「大丈夫だよっ! 人それぞれ色んな関係の作り方ってあると思うし・・・あぁ、蒼凪君本当に落ち着いてー!!」

「はわわ・・・恭文さん大変そうですぅ」

≪・・・ある意味自業自得ではありますけど、さすがに考えますよね≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・ごめんなさい」

「なぜいきなり謝るですか?」

「そうだよ、分からないよ」



夜、帰ってきてから、二人を寝室に集めて・・・謝る。というか、土下座。

いや、まぁ・・・その、なんというか僕はいかに自分がダメなのかというのを痛感しまして。



「いや、あの・・・僕がこう優柔不断と言うかなんと言うか」

「・・・リインから昼間の話は聞いたけど、気にする事無いよ? 私は恋人としてヤスフミの側に居て、リインはソウルパートナーとして側に居るというだけなんだから」

「ですです。別に一夫多妻制とかじゃないですから」



いや、それでも・・・ねぇ? なんか改めて考えるとこれを1年続けてたのって間違ってるのかとちょっと思ったり。



「・・・恭文さん」

「うん・・・」

「真面目なお話です。リインが側に居るの・・・迷惑ですか?」



僕は、首を横に振る。リインが居て迷惑とは・・・思ってないから。

迷惑だったら、最初から引き受けようとなんてしない。



「ただ・・・リイン、僕の事好きだって言ってくれてるでしょ?」

「はい」

「でも、僕は・・・あの、フェイトの事が好きで、リインに対しての好きは恋愛感情とはまた違って、それで・・・その、リインに対して不誠実なことしてるんじゃないかと」



僕がそう言うと、リインの右手が伸びて・・・でこピンが飛んできた。・・・い、痛い。

リインの顔を見ると、ちょっと怒ってた。思いっきり僕の事にらんでる。



「・・・私の好きは、恭文さんと同じですよ? 恭文さんは大事なパートナーで、私の・・・一部ですから。私は、恭文さんの側に居て、恭文さんの今を・・・あなたの全てを守りたくて、ここに居るんです。
ここに居るのは、私の勝手です。だから、恭文さんが気に病む必要、ないですよ? ・・・大丈夫です、リイン・・・ちゃんと分かってますから。恋人とか、第二夫人とかじゃなくて、今までと変わらないパートナーとして、もっとありふれた言い方しちゃうと友達として、恭文さんの側に居たいんです」

「リイン・・・」

「あと、フェイトさんにも納得はしてもらってます。・・・ね、フェイトさん?」



フェイトがその言葉にうなづく。優しく・・・いつもの目の前の誰かを安心させるような微笑みを浮かべながら。



「あのね、私は・・・大丈夫だよ? 恋人ではあるけど、それでリインと恭文との繋がり、変えられるわけがないと思ってるから。
むしろ・・・私のためにその繋がり、消して欲しくないと思ってる。ヤスフミだって、リインが大切なパートナーだって思う気持ち、変わったわけじゃないよね?」

「・・・うん」

「だったら、今のままで大丈夫だよ。私、リインに負けないくらいにヤスフミと理解し合って、愛し合っていくってもう決めたから。
まぁ、人から見るともしかしたら、ちょっとだけ・・・おかしい関係かも知れないけどね」



そう言って・・・ちょっとだけいたずらっぽくフェイトが笑う。

それを見て・・・あの、どう言えばいいんだろ。なんかわかんないや。



「ありがとう・・・で、いいですよ?」

「そうだよ」

「なら・・・あの、二人とも、ありがと」



僕がそう言うと、二人は笑顔で・・・うなづいてくれた。

ちょっとだけ、おかしいかも知れない関係。僕とフェイトに、そこにパートナーとしてリインがプラスされている関係。だけど、これが僕達でもあって・・・。



「いや、待てよ。すずかさんとかギンガさんとか振っておいて、これってやっぱりおかしいんじゃ」

「うー、まだ気にしてるですっ! ・・・フェイトさんっ!! 分からず屋の恭文さんには、お仕置きしませんかっ!?」

「うん、そうだね。二人でお仕置きしちゃおうか。具体的には」

「「一晩中腕枕っ!!(ですっ!!)」」

「・・・へ?」










そして、僕はそのままベッドに押し倒されて・・・右腕をフェイト、左腕をリインに貸して、色々頭にはてなマークを出しながらそのまま眠りについた。





・・・覚悟、決めなきゃいけないのかな。なんだか、必要なのはここなような気がする。










≪いや、元祖ヒロインであるリインさんを置いていって、あなたが誰かと幸せになることなど許されるはずがないじゃないですか。
誰と付き合おうと、リインさんもパートナーとしてプラスされる形で付き合うことになるのは決定事項ですよ≫

「そうなのっ!?」

「そうだよ。ね、リイン」

「はいです♪」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「そして・・・数日後。なんだかんだで父母参観日当日っ! あ、私ランねっ!?」

「・・・まぁ、テレビアニメみたいな感じと思っていただければ。あ、ボクはミキね」

「さてさて、恭文さん達はどうなるのか・・・楽しみですねぇ。あ、スゥですよー♪」










”リイン・・・ほら、手挙げなあかんよっ! そうやって目立つんやっ!!”

”・・・はやて、これはそういう話じゃないから。あー、リイン。はやては気にしなくていいからな? 普段どおりやれ”

”はいです、ヴィータちゃん”



うーん、なんだか緊張してるです。父母参観なんてやる日が来るとは思わなかったですから。

でも・・・学校ってやっぱり楽しいです。リイン、もうしばらく通っていたいかもですー♪



”と、とりあえず・・・写真や写真。うし、夜天の書の機能で”

”だから、はやて落ち着けって。つーか、何時の間に夜天の書にそんな機能搭載したんだよ”

”ついさっきやけどなにかっ!?”

”逆ギレするなよっ! そんなにリインが学校通ってる姿を見るのが嬉しいのっ!?”

”・・・なぁ、八神二佐。マジで落ち着こうぜ? 姉御もアタシも困るからさ”










・・・でも、みんな元気そうで良かったです。アギトちゃんまで来てくれるなんて・・・ちょっと感激です。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・なんだ、今の妙な電波は。あぁ、そんなことはいい。もうどうでもいい。





現在、父母参観日の授業中。そして・・・凄まじく追い詰められております。僕、蒼凪恭文、もしかしたらいろんな意味でピンチかも知れません。

だ、だって・・・あの、なんていうか・・・ねぇ?

つーか、なんで居るんだよっ! 色々とおかしいでしょうがこれっ!!





なお、僕がそう言うのには理由がある。否定したい現実がそこにあるからだ。

翡翠色の長い髪を後ろに一まとめにした女性が居るから。スーツ姿で、近くのお父さん方の視線を集めに集めまくっている。

入ってきた時から目立っていた。そして、その人を見た時からなんか・・・胃が・・・。





あぁ、あと同じ感じで白いセミロングの髪を後ろに流す感じのお下げなツインテールにして、赤い瞳をした女性も居るねぇ。なんでか・・・居るねぇ。凄まじくニヤニヤした表情で僕を見ているのが分かるよ。

で、なぜかその付き添いみたいな感じで黒髪ザンバラ髪の人も居るんだけど・・・気のせいだよね? だって、さっきのツインテールと一緒にニヤニヤしてるし。










「・・・あれぇ? 蒼凪君どうしたのかなぁ」





そう呑気に声をかけてきたのは、見事担任継続が決まった二階堂。そして、思った。こいつは分かっていると。



なぜ僕がなんか胃の辺りを押さえているのかとかそういうのが。





「いえ、なんというか・・・父母参観って事で緊張しまして」

「あはは、そんなに硬くならなくても大丈夫だよ〜。いつも通りかるーいアメリカンジョークを飛ばしながら授業を受けてくれればいいからー」



そんな先生の言葉に教室が笑いに包まれる。・・・あはは、お前ら笑うな。笑うんじゃないよ。

そういう反応をされると、いつも僕がそう言うことしてるみたいでしょっ!? ほら・・・笑うなぁぁぁぁぁぁぁっ!!



「まぁ、そこは冗談ですけど・・・みんなもそうだし、保護者のみなさんもあまり構えず、リラックスして授業を見てくださいね。
こういうのは普段の様子を知るという意味合いもありますから、緊張しては意味がありません。いいですね〜」

『はーい』

「んー? 蒼凪君の返事が聞こえないなぁ、分かったかな?」

「は・・・はーい」



そんな事を言って、授業は再開される。でも、内心穏やかじゃない。もう胃の辺りがキリキリして辛い。非常に辛い。

とりあえず、念話を繋ぐ。当然・・・現在先ほど説明した三人と一緒に居るあの人。



”フェイトォォォォォォォォッ! どういうことだよこれっ!! なんで・・・なんで・・・リンディさんやヒロさんやサリさんが居るのっ!?”

”・・・ごめん。ヒロさん達がどこからか聞きつけて来ちゃって、止めようがなかったの。ヤスフミの精神上良くないとも言ったんだけど、聞いてくれなくて。
それで、私も・・・巻き込まれちゃったの。うぅ、本当にごめん。あのね、私はこっちには来ないって何度も言ったんだよ? でも、放置も出来なくて”

”あぁ、そんなに謝らなくていいから。つーか・・・情報流した奴、絶対潰す”



と、とにかく・・・なんとかして学校が終わったら逃げなくては。リンディさんやヒロさんと会話したくないのよ。つーか、今の状況に触れられたくないのよ。

僕がそのための手段をあれこれ頭の中で構築し始めると・・・異変が起きた。



”ちょっとフェイトさんっ! これどういうことですかっ!?”



ティアナからいきなりと言えばいきなりな念話が繋がった。

・・・というかティアナ、なにがあった? 回線が僕のほうまで開いてるし。



”あの、ティア・・・やっぱりまずかった?”

”まずかったどうこうじゃないですよっ! おかしいですよねっ!! すっごくおかしいですよねっ!?”

”・・・待って待って、ティアナ・・・なにがあった?”

”何があったかじゃないわよっ! わ、わ・・・私の保護者と言うか、親戚代表として・・・その”



その?



”なのはさんが来てるのよっ! あと、ついでにヴィヴィオもっ!!”

”・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっ!?”




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



”あの・・・ごめん。どうもヒロさん経由でなのはに話が伝わったらしくて”

”らしくて・・・じゃないですからっ!!”





あぁ、最悪っ! マジ最悪っ!! いや、忙しいのにわざわざ来てくれた事には感謝しないといけないんだけどねっ!?



でも・・・どうしようこれ。まさか中学生やってるなんて知られるのなんて想定してないし。い、いや・・・なのはさんはまだいい。だって、大人だもの。

きっと、ちゃんと親戚なり保護者なリ・・・あぁもう、細かい事知らないけど、とにかくちゃんとやってくれているはず。もう違和感なんて無いくらいに、自然な形で見てくれているはず。

とにかく、混乱しまくっている思考に神経を痛めつつも、試しに私は、ちょこっと振り向いてなのはさんの方を見てみる。なのはさんは、私を見ていて・・・すぐに視線を前に戻した。



だ、だって・・・なんか涙ぐんでるのよっ!! 普通に自分の子どもなり親戚の子が『立派になって・・・!!』的な感じで泣いてるのよっ!? もう直視なんて出来ないわよっ!!

な、なんでこんなことにっ!? 私が一体何したってのよっ!! 神様でも冥王様でも魔王様でもなんでもいいから、私に何か問題あるなら早く教えなさいよっ! ほら・・・早くっ!!

というか・・・よくよく考えたら、中学生で授業参観ってありえなくないっ!? どうなってんのよ、この学校はっ!! 理事長でも学長でもいいから、責任者出てきてよっ! 全力全開で文句言ってやるんだからっ!!





「あの、すみませんっ! 遅くなりましたっ!!」





教室のドアが開き、元気のいい声が響いた。そして、それに私は・・・寒気を覚えた。アイツに氷結魔法で凍らされた時よりもずっと冷たい・・・魂まで凍るような絶対零度の冷たき息吹に、私の思考回路は使い物にならなくなり始めていく。



首がなんか油の切れた機械みたいな音を出して・・・その声の方向を向く。そこに居たのは、スーツを着た青い髪でショートカットをしていて・・・え?

あれ、現実を認識できない。脳内のありとあらゆる物質が『アレ』の存在を絶対に認めるなって言いまくってる。そうだ、あれは私が幻術で作ったんだ。そうだ、そうに違いない。

だけど、無情にも『アレ』は私を認識した。そのまま、声を上げようとして・・・やめた。恐らく場の空気を読んだのだろう。ただ私に向かって手を振るだけだった。



そして、決定打が打たれた。





”・・・ティア、久しぶりっ! 来ちゃったっ!!”










・・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



”ティアー! ・・・ティアー!?”



な、なんか凄まじい叫び声が思念通話で聞こえて、びっくりしてその声を発した張本人に呼びかけてみる。でも、反応が・・・ない。



”・・・フェイト、これはどういうことかな?”

”多分・・・スバルじゃないかな”



・・・・・・・・・・・・え? いやいや、ちょっと待って。なんでそこで僕の妹分の話が出てくるのかな。おかしいなぁ、あれ・・・おかしいなぁ。あ、大事な事だから二回言ってみた。

えっと・・・つまり・・・その・・・どういうことっ!? まさか・・・スバルにまで教えてるんかいっ! ありえないでしょうがそれっ!!



”なんだか、ヒロさんからお祭り的に伝わったらしくて・・・。
あぁ、本当にごめんっ! でも、私じゃないからねっ!? さすがに私はこんなことしないよっ!!”

”ちなみに・・・リンディさん達にはどう伝わってるの? 今回のしゅごキャラとかエンブリオの事とか”



リンディさん達だって局員なんだから、まさか普通に授業参観でこれはありえない。



”まず、クロノにその辺り確認したんだけど、しゅごキャラやエンブリオの事はみんな知らないみたい。普通に『仕事上の理由で詳しくは話せないけど、この街で妙な反応が出てきて、長期滞在してる』・・・とだけ。
それで、事件性とかもほとんどなくて、ティアの試験勉強のための時間確保の意味合いも兼ねてる・・・という感じに。つまり、基本的には平和な長期出張。というより、半分休暇みたいな物だって言ってるんだって”

”間違っては無いよね。うん、間違っては無い。それで、同窓会的な意味合いも兼ねてこれと・・・”

”うん。特にはやて達はリインの事心配だっただろうし、なのはもティアの試験が近いの知ってるから、少し訓練の相手をしたいって言ってた。あと、スバルとヴィータもそれに付き合う予定だって”



なるほど、一応お祭り騒ぎな感情だけじゃないと。・・・あ、ノート取らないと。

えっと、ここの数式は・・・っと。あぁ、こうなるのか。納得納得。



”・・・ね、フェイト”

”なにかな”

”逃げていい?”

”逃げられると思う?”










・・・無理、だろうね。もう簡単に予想出来るわ。





あぁ、でもどうしていきなりこれっ!? ありえないでしょっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そうして、お昼の時間。父母の方々は先生も交えて普段の様子などをご飯も食べつつお話する。





つまり、この時間・・・この時間だけは、僕達は自由なのだ。いや、この後もう解散なんだけど。





なので、僕達は当然・・・ここ、ロイヤルガーデンに集まってお昼となる。なぜかティアナも居るけど、気にしてはいけない。










「・・・じゃあ、あの綺麗なお姉さんがフェイトさんのお母さんなのっ!? すっごく若く見えたのにっ!!」

「・・・そうなの。というか、なんか・・・まだ胃がシクシクするんですけど。うぅ、ヒロさん達にまで見られるなんて最悪だ。もう広まってる。絶対知り合い連中にこの事が広まってる」

「アンタはまだいいじゃないのよ。こっちはなのはさんとスバルまで居るのよ? つーか、なんなのよこの同窓会」

「な、なんかティアナさんも大変だったんっすね。・・・あの、それで質問なんですけど、そのなのはさんとスバルって誰なんですか? あと、ヒロさんとかサリさんとか」



空海がお昼のウィンナーをかじりながら聞いてきた。その言葉に僕とティアナは顔を見合わせて・・・うなづく。

恐らく、関わられるのは間違いない。説明は必要でしょ。



「・・・なのはってのはね、高町なのはって言うんだけど、僕とフェイト・・・あと、リインの家族である八神はやての幼馴染なの。
ほら、フェイトが前に僕と同じような経歴で魔導師になった地球出身の人間が居るって言ってたじゃない? なのはとはやてがそれなの」

「で、スバルってのはスバル・ナカジマ。ミッド出身の魔導師で、私の・・・パートナーだったのよ」

「ランスターさんの?」

「えぇ、元々向こうの世界の魔導師の訓練校で一緒になってね。それからフェイトさんの補佐官になるまで、ずーっとコンビを組んでやってたのよ」



・・・ややが僕のお弁当箱の春巻きを見ていたので、すっと差し出す。



「あ、ありがとー」

「その代わり、このミートボールもらっていい?」

「うん、いいよー。ママの特製ミートボール、すっごく美味しいから。ほっぺた落ちちゃうよ〜」



なんて言ってるので、とりあえずパクリ。・・・あ、確かに美味しい。中に入ってるのはたけのこ・・・かな? この触感の違いがまたなんとも言えず楽しいや。

ややも、表情からそれが分かったのか、なんだか嬉しそうに僕を見る。



≪それで、ヒロさんサリさんというのは・・・マスターの兄弟子に当たる人なんですよ≫

「えっと、あの白い髪の女の人と、その隣に居た男の人だよね。・・・兄弟子ってどういうこと?」

「僕には、剣術を教えてくれた先生にヘイハチ・トウゴウという人が居るの」

「あ、もしかしてその先生の弟子なの? 恭文君よりも前に弟子入りして・・・」

「正解」



でも・・・なんで? なんで二人まで居るの? おかしくないかな?



「でも、あむやなでしこのお母さんも素敵だったね」

≪なでしこさんのお母さんは和服美人。あむさんのお母さんは・・・とても暖かい感じのする人でした≫

「そ、そうかな。あの・・・ありがと。きっとママ喜ぶよ」

「あら、私やあむちゃんのお母様のフラグまで立てるの?」

「そういう意味じゃないわボケっ! あの辛い現状から話を逸らしたかったんだよっ!!」



僕が膨れてそう言うと、なでしこが微笑みながらお弁当箱を差し出した。なので・・・煮物を取る。なお、甘めの味付けの五目煮です。

そして、僕もお弁当箱を差し出して、なでしこに同じようにおかずを渡す。なでしこは・・・ポテトサラダをつまんだ。



「でも、蒼凪君もランスターさんも、来てくれた事は感謝しないと」

「まぁ・・・そこはね? 普通はここまでしてくれるほど暇な人達じゃないもの。
でも・・・なんでアイツまで居るわけっ!? マジで訳分からないんだけどっ!!」

「というか、会いたくないっ! 僕はこれ以上誰とも絶対会いたくないんですけどっ!? この馴染んできた制服姿を見られたらどう思われるか分かったもんじゃ」

「あー、二人ともひどいなぁ。せっかく休暇取って来たのに」



後ろからかかった声に、寒気が走る。その声に魂が凍るような感覚がする。ティアナは・・・完全に青ざめている。



「そうだぞ、ティアナちゃんもやっさんも感謝しろよ。スバルちゃんは良太郎くんに会いに行くよりもこっちを優先したんだから」

「そうそう。しかし・・・またアンタも面白いことしてるねー。どうしてそうなったのか是非聞かせて欲しいよ」



そして・・・唯世達の驚いたような表情にもう半分諦めつつも、声のほうを僕とティアナは見る。

・・・居た。さっきまで話に上がっていた豆芝が。



「恭文、ティア、リインさんも久しぶりー! 会いに来たよー!!」

「同じくヴィヴィオも会いに来たよー! 恭文もリインさんもティアナさんも久しぶりー!!」

「同じく会いに来たよー! しっかし・・・アンタ・・・!!」

「ヒロ、笑っちゃだめだからっ! いや、分かるけどなっ!? すっごい分かるけどなっ!!」



ヴィヴィオにヒロさんにサリさんまで・・・! あぁ、どうしてこんなことにっ!? つーか、どうしてここが分かったっ!!



「なのはさんが居るから、ティアの担任とのお話は大丈夫って言われて、マッハキャリバーに頼んで探してもらったんだ」



だぁぁぁぁぁぁぁっ! 僕のバカっ!! なんで結界張って位置がバレないようにしなかったのっ!? こういうことしてくるって予想は出来てたはずなのにっ!!



「俺とヒロも同じくだな。フェイトちゃんとリンディさん居れば十分だしよ」

「ヴィヴィオはそれについて来たの。でも・・・恭文」



ヴィヴィオ、お願い。言わないで。もう言わないで。分かってる。分かってるから。

僕は、二人を見る視線にそんな言葉を込めた。きっと伝わると・・・そう信じて。



「本当に小学生やってるんだ。ヴィヴィオ、聞いた時は何かの冗談だと思ったのに・・・」

「というかというか、すっごく可愛いよー。うん、似合ってる」

「「わーはははははははっ! 死ぬっ!! マジで死ぬっ!! うちらを笑い殺したいのお前っ!?」」



やっぱり伝わらなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ちくしょお、世の中はどうしてこう無情なんだっ!?

そしてそこの姉弟子と兄弟子は笑い過ぎだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! マジで怒るよ僕っ!?



「でも、やっさんなら・・・もうちょっと着崩した方がいいよ。ほら、そこの子みたいに」

「・・・へ、あたしっ!?」

「うん、そうそう」

「あぁ・・・確かにそうかも。こう、あと一押しでよくなるんだけど。よし、恭文ちょっと立って」



・・・え? いやいや、どうして僕の肩を掴んで・・・というか、なんか立たされたっ!?



「うーん、ネクタイをちょっと緩めにして、ボタンも一つくらい外して・・・袖も腕まくり・・・出来ないか。また武器持ち込んでるし」

「アンタ、やっぱり仕込んでたんかい。・・・でも、袖はともかく他はそれくらいしてもいいね。でさ、シャツも外に出しちゃいなよ」

「そうですよね。あたしもそう思ってたんですよ」



そうして、あむの手によりファッションスタイルのチェンジ作業が・・・って、あれ? なんでこんなことに。



「あの、自己紹介もなしでいきなり息が合うっておかしくありませんっ!? つーか、なんでいきなりやってきて人のファッションにケチつけますかっ!!」

≪ボーイ、諦めろ。姉御は元々こういうキャラだ≫



諦められるかー! いくらなんでもおかしすぎるでしょうがっ!!



≪しかし・・・蒼凪氏、また随分と頑張りましたね。全く違和感が無いのが怖いですが。・・・あぁ、それとアルトアイゼン、久しぶりだな≫

≪ヤッホー、ねーちゃん。元気してたかー?≫



普通に僕の意見を無視して挨拶し出したっ!? どうしてそうなるのさっ!!



≪アメイジアも金剛も変わってなさそうですね。少しは進化したらどうですか? 私のように≫

≪・・・ねーちゃん、いきなりそれかよ≫

≪変わってないのはお前のほうだと思うのだがな≫



だから僕を無視して普通に会話するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!



「え、えっと・・・あの、ヒロさんとサリさん・・・ですよね」

「あ、そうだよ。・・・自己紹介が遅れたね。私はヒロリス・クロスフォードって言うの」

「で、俺がサリエル・エグザ。よろしくな。あと・・・フェイトちゃんから聞いたけど、みんな魔法の事は知ってるんだよな」

「はい。蒼凪君達から話を聞いてますので」

「なら、こっちも紹介が必要だな。・・・コイツらが俺らのパートナーデバイスだ」



そう言って、ヒロさんは両手中指の金色に輝き、丸い紫水晶が付いている指輪を見せる。

サリさんも同じように、胸元の十字槍のアクセサリーを見せる。



≪ヒロリス・クロスフォード・・・姉御のパートナーデバイスのアメイジアだ。よろしくな、ボーイ達≫

≪私はサリエル・エグザ・・・主のパートナーデバイスである金剛です。皆さん、よろしくお願いします≫

「あ、あの・・・よろしく。というか、えっと・・・デバイスということは、こてつちゃんやティアナさんのクロスミラージュと同じように武器になったりするの?」

「あぁ、なるよ。で、俺らの大事な相棒だ。で、ちょい失礼するな」



とか言って、どこかから椅子を取り出して四人はこちらに席について・・・って、なんかおかしくないっ!?



「あぁ、ほら動かないで」

「はい」



こっちはこっちでコーディネイトに集中してるし・・・なんですか、これ。



「・・・恭文、袖にこの手裏剣みたいなの仕込むのもう禁止ね。ファッションが制限されるから」

「なんでっ!?」

「当たり前でしょっ!? つーか、魔導師なんだから魔法使いなよっ! どうしてこういうアウトな物持ち歩くのっ!!」

「いやいや、魔法って万能じゃないから、魔法だけで全ての状況を戦うってのは無理なんだよ」



そんな言葉を出したのは・・・サリさんだった。あむが驚いたようにサリさんの方を見る。



「そうなんですか? でもでも、魔法って空飛んだり出来るし、砲撃って言うのも出来るし」

「まぁな。ただ、AMFって言う魔法を使えないようにする技術もあるし、魔法だけに頼るようになるのはあんまり俺としてはお勧めしないな。
ぶっちゃけ、やっさんみたいに魔法無しでも使える武装を常備するくらいのことはしていいと思う」



その言葉に驚いたような顔をするあむ。で、僕を見たので・・・『ほれみたことか』と言うような表情を返してやった。



「ただよ・・・やっさん、お前・・・ここでも暗器常備か?」

「いや、常識でしょ?」

「・・・あぁ、そうだよな。ただな、一つ覚えておけ。それは世界じゃなくてお前の常識だ。
さすがに学校にそれ持ち込むのはマズイだろ。どうせやるなら、もっとバレないようにだな」

「いや、サリエルさん。そこからアドバイスっておかしくないですか?
・・・あ、そう言えば私達も自己紹介してなかったね。ティアと恭文の友達の、スバル・ナカジマです。で、この子が」



スバルが胸元から取り出したのは、六角形の青いクリスタル。それが声を発する。



≪初めまして。マッハキャリバーと言います≫

「私の大切な相棒。あ、マッハキャリバーは武器とかじゃなくて、ローラーブーツになるの」

「えっと、高町ヴィヴィオ・・・7歳です。よろしくお願いします」



と言って、二人がお辞儀をすると、ガーディアンの面々も自己紹介を始めて・・・というか、あの・・・あむさん? 僕は何時までこうしていれば。



「もうちょっと・・・よし、終わった」

「・・・お、いい感じになったじゃないか」

「そうね、ますます素敵になったわよ?」



空海やなでしこがそう言ってくれる・・・のは嬉しいのだけど、ほんとにそうなの?

ただ単にネクタイを緩めて、ボタンを外して、ちょっとシャツが出ただけに見えるんだけど・・・。



「そんなことないからっ! もうさっきとは全然別人だよっ!? ・・・恭文、やっぱり服装とかちょっと無頓着だよ」

「あー、あむちゃんゴメンね? やっさんはちょっとセンス無いのよ。服なんて暗器仕込めればなんだっていいと思ってるのよ」



ヒロさん、何を言うか。さすがにそんなことは考えないから。それは無いから。



「特に・・・あれだよあれ、ネーミングセンスとかももうひどくてひどくて」

「・・・いや、きっとお前が言えた義理じゃないと思うぞ? お前のセンスはやっさんと同レベルもいいとこだろうが」

「なにさっ! 普通に私はハイセンスだよっ!?
・・・ま、そこはともかく、やっさん。あと、あむちゃんや唯世君達もかな」



ヒロさんがなんか表情を真剣なものに変えて僕を見てくる。・・・なんでしょ?



「私らとしては、あむちゃんやみんなの周りに居る小さな子達もちゃんと紹介して欲しいんだけどさ」

「あ、そうですね。どうしてさっきから話してくれないのかなーってちょっと思ってたし」



ヒロさんとスバルがなんかこう・・・膨れたように言ってきた。

というか・・・あの・・・え?



「あ、あの・・・もしかして」

「スゥ達が・・・見えるんですかっ!?」

「あぁ、見えるぞ。ヒロとスバルちゃんだけじゃなくて、俺もな。あと・・・ヴィヴィオちゃんはどうだ?」

「ヴィヴィオも見えます。・・・でも、不思議。あなた達・・・だれ?」





つ、つまり・・・全員見えてる?



そして、四人ともしっかりとうなづいた。





『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・実は、私とサリがここに来たのはね、シャーリーちゃんに相談されたのがきっかけなのよ」

「シャーリーさんから・・・ですか?」



そうか、この状況はシャーリーが引き金か。・・・後で覚えてろよ。



「そうだよ。この子達・・・しゅごキャラ・・・だっけ? そういうのが見えなくて、とても苦労しているって聞いてね。
魔導師組の実質戦力がやっさんややっさんとユニゾン出来るリインちゃんや咲耶だけらしいし」

「で、最初の段階でやっさんがこっちの世界の退魔師・・・オカルト関係の人に相談したってのを聞いて、もしかしたら俺やヒロなら見えるんじゃないかと思って、来てみたんだよ」



とにかく、ヒロさんとサリさんがどうしてここに来たのかと言う話をしてくれた。僕達があんまりに混乱しているから、落ち着かせる意味合いも含めて・・・である。

というか、その見えるんじゃないかという自信はどこから沸いてくるのかを聞きたいんですけど。



「・・・やっさんには何回か話したよな。俺とヒロがヘイハチ先生との修行時代に散々バカやらかしてるっての」

「あぁ、言ってましたね」

「その時に・・・こう、妙な体験・・・ぶっちゃけると、霊的な体験をしたことってのが何回かあってな。その結果・・・こう、見ようと思えば見えるようになったんだよ。霊的なアレが」



そ・・・そこは知らなかった。というか、先生はマジでなにしてる? 色々おかしいでしょうが。



「そう言えば・・・冴木のぶ子も見えてたよな」

「見えてたな。やっぱりそういう霊感とか関係してるんだろうな」

「なんというか、失礼な話でち。ペペ達は幽霊なんかじゃないでちゅよ?」

「まぁ、普通は見えないんだから、ある意味同じではあるんだよ。・・・でも、ナカジマさんや高町さんはどうして見えるんでしょう」



唯世が疑問顔でそう言うけど・・・それに関しては理由が思いつく。

それは、リインやティアナ、ヒロさんとサリさんも同じくらしい。顔を見れば分かる。



「多分、二人は『なりたい自分』をしっかり持ってるからだね。もしかしたら、みんなや他の子ども達みたいにこころのたまごを持ってる可能性もあるかも」

「そのおかげ・・・なんですね。でも・・・あぁ、みんな可愛いなー♪ 私やヴィヴィオの中にたまごがあるなら、みんなみたいな子が生まれてきたりするのかな?」

「どうかしら、しゅごキャラは極まれにしか生まれてこないみたいだし」

「あーん、ティアの意地悪ー!!」



まぁ、なんか楽しく遊び始めた二人は放っておこう。でも・・・とりあえず見えるのは確定として、どうするつもりなんだろ。

だって、普通にやったらしゅごキャラのみんなはレーダーでの探知も出来ないんだから。



「そこなんだよな。一応見れば何か思いつくんじゃなかろうかとも考えていたんだけど・・・さっぱりだ。ただな、やっさん」

「はい?」

「お前の魔法、×キャラの浄化と封印が出来るんだよな」



その言葉に僕はうなづく。・・・どういうわけかは知らないけど、僕の魔法は通用する。おかげでいつも通り戦えるのは、ちょっとありがたい。



「それに関してだが、思い当たる節がある」

「エグザさん、それは本当ですか?」

「本当だ。・・・まぁ、これはヘイハチ先生との修行時代の話からの推測に過ぎないんだが、霊的なもの・・・人に憑く守護霊って言うのは、本人のあずかり知らぬ所で色々動いてたりするんだ。
憑いている人が悪い道に進もうとしているのを、必死に防いだり、物事がいい方向に動くように配慮したり・・・とな。最近のスピリチュアルなんたらなんて、その最も足る例だ」



・・・あぁ、なんかやってるなぁ。オーラのなんたらとか、冴木のぶ子とか。



「で、俺やヒロが思うに・・・お前の中にもこころのたまごがあるんじゃないのか? それも、あむちゃんやガーディアンのみんなと同じように、強い力を持ったしゅごキャラが」

「僕に・・・ですか?」



サリさんが僕の言葉にうなづく。・・・思いっきり推測が混じった話にはなるけど、そう考えれば・・・あれ、いい感じなのかな。

今までどこかでつっかえてた小骨が取れた感じがした。一つの推論ではあるけど、それでも・・・一つの答え。



「・・・なるほど、恭文君の魔法が×たまの浄化や封印が可能なのは、恭文君のしゅごキャラが恭文君本人の知らないところで力を貸してくれているおかげ・・・というわけですね?」

「まぁ、さっきも言った通り推測に過ぎないけどな。それだったら普通に出てくればいいんだろうけど、やっさんがいろんな意味で大人の階段上ってるせいでたまごという形で出られないんじゃないのか?
だから・・・やっさんの中から、魔法と言う力を通して力を貸してくれてると考えれば、一応の理屈はつく。やっさんの魔法が通用する理由もそうだし、やっさんにしゅごキャラが見える理由もだ」

「そっか、フェイトさんとラブラブだから、たまごが生まれないんですね」

「ややちゃん、正解だ。・・・全く、だから糖分過多なラブラブっぷりはやめろと言ってるだろうが」



そこ関係ないですよねっ!? 一体なんの話してるんですかっ!!



「・・・あぁ、確かにラブラブだよな。俺、普通にびっくりしたしよ」

「なに、やっさんとフェイトちゃんはみんなの前でもラブラブなの?」

「ラブラブっすよ。もうすごい勢いで」

「だから空海もヒロさんもなんの話してるっ!? 普通だからっ! 恋人同士って考えれば普通だからっ!!」



僕が必死に反論をすると・・・全員あさっての方向向いて無視しやがったっ! おのれらどんだけっ!? つーか、いいじゃんっ! ラブラブしたってさっ!!



「むー、みんなリインの事をお忘れなくですっ! リインだって、恭文さんとラブラブなんですよっ!?」

「そういう話じゃないからっ! つーか、リインも落ち着いてっ!!」

「・・・とにかく、やっさん」

「はい?」



サリさんの方に視線を戻す。・・・ちょっとだけ、姿勢を正した。

サリさんもヒロさんも、表情が真剣だったから。



「フェイトちゃんやティアナちゃん達が×たまに手出し出来ない以上、お前が魔導師組にとって、今回の一件のキーになることは間違いない。ただ・・・何時までも今のまま行けるとは考えない方がいいな」

「へ?」

「サリが今話したのは、ぶっちぎりで推測ってこと。つまり・・・どうしてアンタの魔法が×たまに通用するのか、全く分かっていないのは変わらないんだよ」



ヒロさんが言った事の意味を、頭をフル回転させて・・・考える。

つまり・・・あれですか? 僕の魔法が×たま達に・・・何時通用しなくなってもおかしくないと。



「そういうことだね。まぁ、私らの方でもデータはもらってるから、ちょっと調べてあげるよ。どこまで力になれるかは分からないけどさ。・・・あぁ、それと」

「・・・あ、あの・・・なんで二人とも怖い目で僕を見るんですか?」

「アンタ、どこの誰とも知らない猫男相手にして、倒すどころか取り逃がしたんだって? それも二度も。
それだけじゃなくて、人質取られて即時鎮圧もしなかったとか」

「まぁ、後者は色々事情込みらしいから仕方ないとして、お前・・・最近弛んでるんじゃないのか? 俺もヒロも耳を疑ったぞ」



な、なんか余計な事まで伝わってるっ!? シャーリー・・・マジでなに話したっ!!



「つーわけで、私もサリも今日は泊まりだし・・・アンタ、覚悟しときな? この1年でどんだけ腕上げたか、改めて見てあげるよ」

「あー、あとティアナちゃんもだな。つーか、やっさんとタッグで来てもらうから」

「私もですかっ!?」

「あぁ。聞くところによると、最近不覚を取ったそうだな?」



サリさんが鋭い瞳を向けてそう言うと、ティアナが固まった。

・・・まぁ、不覚と言えば不覚か。敵の戦力増加に加担した部分もあるわけだし。もちろん、ティアナ本人の意思じゃないけど。



「あと・・・セブンガンモード、どこまで使いこなせてるか見させてもらうぞ?」

「一応データ取りお願いしてる身としては、そういうのも確認しておかないといけないしね」



そうニコニコしながらヒロさんが言って来た。というか、あの・・・ほ、本気の二人とやるの?

僕とティアナは顔を見合わせる。そして・・・腹を決めた。



「分かりました。・・・アンタ、こうなったらやるわよっ!!」

「当然っ! 僕が弛んでるかどうか、見てもらって判断してもらいましょっ!!」



逃げる選択はない。ならば、撃ち貫くのみである。今この瞬間、僕とティアナの気持ちは一つになった。



「よし、いい返事だ。二人とも、これで簡単に潰されたら・・・ひどいよ?」

「・・・あ、あの・・・よろしいでしょうか」




そう声がかかった。そちらを見ると・・・置いてけぼりなガーディアンのみんなとリインとスバルとヴィヴィオがちょっとうらめしそうな顔で見ていた。



あ、あははは・・・。なんというか、ごめんなさい。マジでごめんなさい。





「あー、ごめんね皆。ちょっと忘れてたわ」

「いえ、はっきりと宣言されても・・・。あの、今の会話って・・・ようするに訓練ということですね」

「そうだね、分かりやすく言えば模擬戦闘・・・実戦形式で私とサリ、やっさんとティアナちゃんのチームに分かれて、戦うのよ」

「なるほど・・・。あの、それ・・・僕も見させてもらうわけにはいきませんか?」

「・・・え?」



見るってことは・・・唯世が僕達の模擬戦を見学? え、なんのためにですか、それは。



「僕、実は魔法の事とかについてはそれほど知識があるわけじゃないんです。
ただ、蒼凪君やリインさん、ランスターさんとこれからも行動を共にする以上、そういうわけにはいかない気がして・・・」

「あ、もしかしてそれで勉強してみようってこと?」

「はい」

「・・・うーん、夜結構遅い時間からの予定なんだけど、お家の方とかは大丈夫? 私らの方は見る分には構わないから、あとは君の都合によるけど」



唯世はそのヒロさんの言葉にうなづく。家の人には、泊まると言う形にすれば問題ないと。

そして、その言葉に乗っかってきた人たちが居た。それは・・・当然のように、ガーディアンのみんな。



「それだったら・・・俺達も行かねぇか?」

「あ、いいわね。ガーディアンの合宿も兼ねてということで」

「そのままお泊り会も楽しそうだよねー」

「・・・そうだね、あたしもちょっと興味あるし・・・行ってみようかな」



全員、なんか乗ってきたっ!? えっと・・・あの、マジですか、あなたがたっ!!



≪これは・・・無様に負けられませんね≫

「そ、そうだね・・・。よし、頑張ろうっと」

「私も、なんか気合入れないといけない気がしてきたわ」

「恭文もティアもファイトー!!」

「ファイトー♪」










というわけで・・・緊急なイベントはこうして開催の運びとなった。





あれ・・・どうしてこんなことにっ!?




















(第10話へ続く)




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