challenge
エガオ
いや…なんでわたし、こんなに嫌われてるの?
わたしは痛む体でヘナヘナと地面に座り込み、ウルリと目を潤ませた。
「うっ、…う」
この直ぐなくとこも、嫌だって言われた。男に媚びてるって。そんなこと、ないのに!
だって今まさに、誰も来てくれない。
誰も慰めてくれない。誰も助けてくれなかった!
声をころして廊下にうずくまる。
わたしは全校の女子生徒に嫌われている。
理由は、男子テニス部のマネージャーだから。
わたしは転校してきてすぐに、クラスメートだったブン太と仁王と仲良くなった。
それをきっかけにして、レギュラーのみんなと仲良くなっていって、それで…
アイドル的な存在だったみんなと仲が良くて、憧れのマネージャーになったわたしは、瞬く間に女子の間では嫌われもの。
女の子の友達なんて一人もいないし、教室でも男の子としか会話できない。
レギュラーのみんながいるから頑張れるけど、こうしてイジメが続いていくのかと思うと悲しくなって、涙が止まらない。
廊下に散らばった私物と、さっきできたばかりの暴力の痕に、涙が再びこみ上げた、その時。
「…どうしたの?」
かけられた優しい声に、わたしはびくりと顔を上げた。
心配そうに此方を見ているのは女の子で、その子は大丈夫?と言いながらしゃがみ込んで、散らばったわたしの荷物を集めて渡してくれた。
「怪我してるの?」
再びかけられた優しい、女の子特有の柔らかな声に、私はポロポロと涙を零して、泣いてしまった。
嬉しくて、たまらなかった。わたし、全員に嫌われてた訳じゃ、なかった…!
そう思ったら、嬉しくて感情が制御できなかったのだ。
涙を零すわたしに女の子はぎょっとして、慌ててハンカチを渡してくれた。
綺麗に畳まれたそれは、柑橘類の甘い香りがした。
前次
[戻る]
無料HPエムペ!