challenge
ヘイオン
とてもとても好きだった彼氏と別れてもう一週間もたった。
特に何も変わらずに、相変わらず普通の日々で。
「他に好きな人が出来たんだ、とか、酷いよねぇ!」
「ホント最低!元気出して、千鶴。」
「千鶴ならすぐ新しい彼氏出来るよぉ」
私を慰めてくれる友達。
そっとしておいて欲しい気分たが、心配してくれてる友達にそんな事を言うわけにはいかなくて。
「ありがと、早く新しい彼氏作らないとねっ!今度はもっと格好いい人がいいな。」
そうふざけてみせた私に、みんな安心したように顔を綻ばせる。
私も笑ってみせれば、段々と違う話題になっていって、私はほっと息をついた。
「あ、ごめん。私ちょっとトイレ」
「ついてこうかぁ?」
「やだ、ひとりで平気だって!」
そう笑って教室を出た。
放課後なので人は居ない。運動部の活動する声を聞きながら、ああ、彼も部活してるのかな…ってぼんやり考えた。
彼は、テニス部だった。平部員だったけど。
私の通う立海大附属中学で、そのテニス部のレギュラー達は絶対的なまでの影響力を持ち、実績を持つ。
そしてレギュラー達はテニスの腕前は勿論、顔まで謀ったように美しい。
全校の人間が騒ぎ立てるのも無理がなかった。
多くの人は、綺麗なものが好きだ。
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