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見れば分かる事
「たーなーっち!!聞いてんのー?」

よーくんにお叱りを受けるが、ごめんなさい今オレ世界停止中なので面白いこと言えませんです。

「どしたのーたなっち、体の調子でも悪い?」

はるが風邪でもひいた?と心配してくれる。相変わらずやさしーね、あんがとそしてごめんよー。

りょーはあれからなんとなーく静かで。オレはもっと静かで。よーくんとはるが来るまであまり会話はなかった。りょーと居て気まずいのなんて、初めてだった。それがオレのうざい発言のせいなんだろうと思うと申し訳なさすぎる。

今も、チラッとオレを見たのになにも言わない。あ、今目えそらされたー。オレもう瀕死の重体だって。りょー、ごめん。オレうざい奴だったわー


「ははー、なんかオレ風邪でもひいたかなー。ちょいと調子が悪いかも。ごめんねオレにかまわず遊んでちょーだい」


ごろりと寝転がり、目を閉じる。浮かんでくるのは、無表情なりょーの顔と、握ってもらえなかった手。後で、って言ったまま無かったことになったオレの頼み

「たなっち、オレら帰ろうか?あ、でもおばさん逹居ないなら居た方がいいのかな、とりあえずベッド行きなよ」


はるがやさしく諭すので大人しくベッドに横になる。はるみたいな兄上がほしーわー。
目を閉じるとなんだか気持ち悪くなってくる。頭、痛えー。ああなんか、まじで体しんどくなってきたかも

「なんか寒くね?」


「えっ、たなっち熱ある?よーくん、体温計どこにあるか知ってる?」


よーくんは、リビングにあるはず、と急いで取りに行く。熱?ないはずだけど。

「やっぱり。熱あるって。たなっちもっと早く言いなよ。我慢してた?」


いいえ。瀕死の重体ですが熱はないはずです。
でも、熱があると言われたら、なんだか頭ガンガンしている気がしてくる。一体どーしたよオレ


「たなっち大丈夫ー?顔熱いね。とりあえず薬と冷却シート取ってきたから、辛かったら薬飲んで、それデコに貼っときなー」


ごめんよーくんまで。心配かけて申し訳ない。

りょーはじっとオレを見ている。そしてオレの横に腰かけ、軽く手を握った。


「玄関で寝てるからだろ」

アホ、と笑うりょーはオレのデコに触ると、バサッと布団をかぶせてくる。頭までかぶせなくてもいーんじゃね?息苦しくて布団をまくると、ニッと笑うりょーと目が合う


「髪、逆立ってる」


君のせいでしょーが。ああでも、いつもと一緒だ、りょーがいつも通りだ。ああよかった。まじでよかった

「スンマセンでした」


りょーはぎゅってオレの手を握りながら、一体何に謝ってんだよって苦笑いしている。熱で朦朧としてきた頭はなんも考えれなくて、段々目が閉じそうになる


「寝な」


りょーのやさしー声を聞きながら、よかった、よかったよー、手を握ってくれてよかった、りょーがまた笑いかけてくれてよかった。それだけを思いながら目を閉じた。



「たなっちは男の心理を分かってねえからな」


「うーん、でも森田が言ってないならしょうがないよ。っていうか、たなっちも男だから」


「たなっち意外に男らしいけど、頭があれだからね!つうか、ウザ森いつから」

「…初めっから。何でお前らにんな事言わなきゃなんねえんだよ」


「ぶっ!!まじ?うっそ!お前だからずっと女居ないんだ!うわ一途!サムイ!ああでも納得だよ、お前のあつお病はヤバいもんね。たなっちと居るとただのアホだしさ」


「オレ多分そうだと思ってた。だって森田何気にすごい口説いてるって。でもまあ普通は思い付かないかもね」


「うっそ、何、はるって恋愛マスター?そうだった?オレとしたことが!」


なんだか騒がしくて目を開ける。なにか三人で盛り上がっているらしいが、りょーだけが少し苦々しい顔をしている


「オレもまぜてよ」


「うわ、たなっちいつから起きてたの?」


「なんかよーくんが男の心理とか言ってたとこから。オレが男なのは当たり前じゃないですか」


なぜか固まる三人。なになに、聞いちゃまずかった?

「たなっち、意味分かった?」

よーくんが尋ねる。途中から聞いても分かるわけねーじゃん。いつものことだよ。分かってよ


「だよねだよね!あーたなっちがアホで助かったなウザ森。こんなんで暴露とかダサすぎだろ!」


「直接言ってもこいつは分かんねえよ」


なにがだよ、話に加わろうとがばっと起きようとしてはるに止められる。


「たなっち、熱あるんだから寝ときなよ。少しはましになった?」


そうでした。頭がまだ痛いけど、だいぶましになってる。つか、喉渇いた


「ウザ森がいっぱい何か買ってきたよ」

テーブルを見るとコンビニの袋が。手渡され見てみると、オレの好きなモンがたくさん入ってた。


「りょーが買ってきてくれたの?」


まじか。まじで、りょーがわざわざオレに、買って来てくれたと。
うわ、すげー嬉しいって。オレに微笑むりょーを見るだけで、さっきまでの瀕死な気分が嘘みたいに回復する。
ホント、オレの絶対だよ。今のオレのテンション、まじでりょー次第だわ


「ありがとう」

りょーは、やさしく微笑んでから、デコを触って確かめてくる


「まだ熱あんじゃね?何か飲んだらまた寝ろ」


「何だあれ!何でオレ気付かなかった?甘い、甘いよー!バレバレじゃーん!きっもい、うぜえ!はる、嫌だオレこんな空気!」


よーくんが騒いでいる。甘い?空気?りょーがやさしーっつーことが、甘やかしてるって意味?なんなんだよ一体さあー。ああ頭ガンガンするわー

寝転びながら三人を見つめる。りょーもはるも、今ではすっかり居て当たり前の存在だ。部屋のテレビを慣れた手つきで操作しているはるになんか嬉しくなる。
弱ってる時って、こーゆーの見るとほっとするなー。
段々眠くなってくる中、世界がまた回り始めてよかった。りょーがいつも通りでよかった。と、少しだけ心に引っ掛かるチクチクは無視したまま眠りについた。

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