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意味とニュアンス
よーくんのはるがすきだ発言からしばらく経ったある日のこと。ただ今オレの部屋で各自まったり中


「よーくんこれ難しいわ」

携帯ゲームに熱中しているはるは、タバコをくわえながら眉を寄せる


「矢印もーちょい右だろ」

よーくんが覗いてアドバイスしている。矢印?なんのゲームだよー

あれからよーくんは特になにをするわけでもなく、本気でオトす宣言のわりに普通な毎日だ。
ただ、よーくんの顔は確実に変わった気がする。今までもはると話す時のよーくんは嬉しそうだったけど、なんか、違うんだよねー


「よーくんかわいーわ」


思わず呟いてしまうと


「眼科行けよ」


はるが持って来た写真集を熟読していたりょーが、お前大丈夫か?と眉をひそめながら見てくる


「かわいーっつったのは、顔がとかじゃなくてさ、なんつーの、最近仕草とか表情が子供みたいだなーと思ったわけですよ」


そう。ちっこい子供とか動物をかわいーなって表現するあれですよ。女の子への可愛いではない。んなわけねーじゃん、よーくん明らかにイケメンだから。

ふとゲームに夢中なはるを見れば、口にくわえられたままのタバコは灰が今にも落ちそうだ。

そんなはるのタバコをよーくんはすっとはるの口から抜き取り、トントン、と灰皿に灰を落としてから


「どんだけ夢中なんだよ」

笑いながらタバコをはるの口に突っ込んだ。


「うわ、何、ごめん」


はるは当然驚いている。そりゃ驚きますわなー、そんなことされちゃ。しかもよーくんに。つか、オレ彼女でもそんなことされたことねーって

「よーくん、はるから気遣いを覚えたねー」


思わず感心してしまう。今までならば、お前灰落ちるぞ!で終わっていたはず。つか、普通はそーだよね


「アホ!オレは元々超気が利くホストばりのモテ男ですから。なあはる?」


「うんそうだね」


ゲームに夢中なはるは、携帯を見ながら首を傾げ、もうちょい左か?と悩んでいる。返事はおざなりだ


「小西!てめえ良い度胸じゃねえか、返せ!それオレの携帯だろうがっ!」


よーくんは最新モデルの携帯をはるから取り上げピピピッとゲームを終了する


「うっわ、いい所だったのに…鬼だ」


はるは両手を開いたり閉じたりしながら悶えている


「鬼はお前だよ!オレが甲斐甲斐しく世話してやってんのにどんだけ放置すんだよこの野郎!つうか、何だよこの部屋!きったねえなー!」

よーくん、お怒りなのは分かるが、オレの部屋まで怒りの標的にしないでー


「ごめんって!話は聞いてたから!よーくんは気が利くモテ男!」


「んな事知ってる!」


はるの背中に軽くパンチ。よーくん、ガキみてえー!はる、笑ってんじゃんか


「ね、タバコありがとう。でもびっくりしたわ」


ふあっ、とアクビをしながらはるが笑顔でお礼を言う

「お前口でけえな!」


顔半分口じゃね?とはるをからかいかながら笑うよーくんは、すっかり機嫌なんて直っている。いやはや、単純ー

りょーは、オレの隣でベッドに寝転びながら、写真をじっくり一枚、一枚見ている。横から覗いてみると、色鮮やかな景色に思わずオレまで見入ってしまう

「はる、趣味いーねー」


りょーも賛成らしく、こくりと頷きページをめくる。寝転んでいるりょーを上から見下ろすと、普段のりょーってこんな目線なのか?と悲しくなる。背が高けりゃオレももーちょい短足疑惑を誤魔化せるんじゃね?
りょーのつむじを眺めながら身長と足の長さについて考えていると


「何その顔」


見上げてくるりょーと目が合う。おおっと、今なんか分かんねーけど心臓に異変が。滅多にない、りょーを見下ろすパターン。しかも近い。視線が逆って、なんか、なんつーか


「優越感だわ」


りょーのつむじをかなり力を込めて押してみる


「何なんだよ!痛えよ!優越感って何」


りょーに手を確保され、仕方なく釈明する


「普段と逆だったから。いつもは、つむじなんて見えねーじゃん。新鮮だわー」

新鮮だったんだよ、つむじが。りょーが、オレを見上げて笑うのが。


「確かに。お前下から見たら余計タレ目な」


ニッと笑うりょーに、危うくはいそうですね!と返事をしそーになるが、今のは聞き逃さねーよー


「今、なんとおっしゃいました、かね」


制裁を加えねば。オレの地味に気にしてることをー!ベッドに寝転んでいるりょーの上にダイブする。

「がっ!」


どすん、といい感じにりょーの背中の上に落ちる。イエス!変な声を出すりょーは、さすがに地雷なだけあって丈夫だなー、あんまりダメージ受けてねーし


「ねえ、はる!オレってタレ目?んなことないって言っておくれよー」


りょーの背中に体育座りをしながらやさしーはるに慰めの言葉を求めてみる。


「うん、たなっちはカッコ可愛いね」


はい?なにか会話がすれ違いな気がすんだけど。
よーくんから携帯をまた借りたらしく、ピコピコ携帯をいじりながらまたもやおざなりな返事。
はるってば、なにかしてる時は熱中して周りを放置プレーにするタイプなのか

「痛えよアホ!」


りょーが下から抗議するので、しょーがなくどいてみる。しかしオレは今少しばかり根に持っていますよー

「何、タレ目っつったの怒ってんの」


起き上がったりょーが、オレの襟足の髪を引っ張りながら聞いてくる。
ああー!なんだよそれー。首を傾げてオレを覗いてくるりょーと目が合う

こんなにでかいのに。顔だって男前だけど、どっちかっつーと無表情で怖い系なのに。
かわいーな、と思ってしまう自分にいささか戸惑う。カッコいいなら分かるけどさー。よーくんにしても、りょーにしても、最近のオレのかわいい基準は狂ってきてんのかねー


「無罪放免だよ。ああオレ基準見直すべきかも」


二人ともオレよりアダルトな雰囲気なのに、失礼だよねー。かわいい基準、まじで改定しねーとなー


「あー、無罪って事は怒ってねえの」


オレのベッドにまた寝転んで見上げるりょーはオレの手を引っ張り、囁く


「タレ目、かわいいって」

ちくしょ、なんだよオレ。タレ目バンザイ!なんて一瞬思ってしまったじゃないか。あー、息がしにくい。今のでまた心臓縮んだんじゃねーかな

しかしりょー、かわいーとかおかしくね?まあカッコいいっつー方がわざとらしいけどさ。
なんにせよ、りょーのかわいい基準も改定必須だわ。

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