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紐の種類は選ばせて
「え、なに、オレがロウソクまみれにならなきゃなんねーの?熱いじゃんか。なになに、縛ったりもしたい感じ?」


ロウソクは喜んで引き受けられません。でも、まじでりょーがしたいなら頑張ってみてもいいけど。つか、多分する。オレってりょーが相手だと最高に変態になるから。


「心配しなくても、んな事する所まで進んでねえだろうがよ!オレもロウソクは興味ねえよ、多分。つうか何でこんな事こいつらの前で話さなきゃなんねえの、ああっこのアホ!」


ぎゃいきゃいと文句を言う姿は、寝転びながら癇癪を起こす子供みたいだ。
ロウソク「は」ってことは、え、なに、縛る方は?


「たなっちー、モリーの願望はかなり危ねーから頑張れよー!つーか、オレもそういう系は無理!紐で縛るとかはいいけど」


よーくんが雑誌を眺めながらしれっと危ない発言をする。嘘、ありなの?
つか、それよりも森田さんの危ない願望ってなに。


「紐で、縛る?」


はるが固まっている。それはそうだ、好きな相手がさらっと危ない発言をしていたら、こうなるよね。
ねえ、結局下ネタトークしてるじゃんか。


「そうそう。はる、紐でオレを、縛ってみたくならない?」


甘い笑顔でよーくんがはるに囁いた。
あーあ、よーくんて悪ふざけがすきだからなー。はるはこうやって、いつもからかわれてんのかな。
はるはカチコチに固まったまま、完全に機能停止している。はるって過去に色々あったのにピュアだからねー!


「よーくんを、縛る……ネクタイで……」


はるはそう呟くと同時に、ソファーに突っ伏してしまった。なに、刺激が強すぎましたか?うわー、純情!でも待って、ネクタイってなに。なんで紐の種類指定してんの。


「お前ネクタイであのバカを縛りたいわけ?へえ、良い趣味」


りょーもおなじことに気付いたらしく、ニヤニヤしながら突っ伏したままのはるをからかっている。


「はるー!ネクタイがいいの?制服系?スーツ系?お前エロいねー!」


最高に嬉しそうなよーくんがさらにはるをからかっては頭を撫でて笑っている。うわー、よーくん幸せそうだなー。


「今から冬眠します」


羞恥の限界を越えたのか、はるがついに逃避した。
ああー可哀想。でもちょっとかわいい。
ところで森田さん、さっきの発言って本気?良い趣味ってなに?もしやりょーもネクタイプレイをご希望?まじに?


「何その顔」


相当だらしない顔になっていたらしく、りょーに笑われた。


「良い趣味ってなに」


りょーは起き上がるとゆるく微笑み、そっと顔を近付けてきた。


「そういうの、先に言ったら面白くねえだろ」


やーらしー!森田氏は南のセクシー代表だよ、オレ的にはよーくんよりも断トツトップでこのお方だ。微笑みまでがやらしく見えるのはなぜでしょーか!
はいその通り、間違いないですあなたは正しい。先に答えを聞いたら楽しみがなくなりますよね。
ああー、りょーは縛ったりたいの?興味はなし?ねえどっち?


オレ的には正直、ここだけの話、りょーならばウェルカム。むしろ縛られたい。童貞ですが、チャレンジ精神は旺盛です!
りょーがオレに「じっとして」とか言いかながら、縛るとか!縛るとかさー!
……やべー、素晴らしい。まあ、縛られてから一体なにされんの?って感じだけどとにかくやばい。


「極楽黄土だ」


堪らん。変態男のロマンだね、間違いないよ。薄々思ってたんだけど、オレってちょっとおかしい?


「死ぬ程嫌ならしねえよ」

めくるめく妄想の世界に浸っていると、りょーが不満そうにぼそっと呟いた。
嫌ってオレが?またなんか変な捉え方してません?


「たなっちって奥手なのかオープンなのかよく分かんないね」


どうやら復活したらしいはるがオレを見て「相変わらず不思議だなあ」と感心している。
不思議ってなに。オレは確かに一人だけアダルトの波に乗り遅れてはいますが、奥手とかではないってー!ないない!


「はるー、オレそんな純情キャラじゃねーよ?頭ん中は変態真っ盛りだから」


ま、他人に言えないことも多々考えているようなトンデモ変態男です。


「たなっちは精神的に未熟だから奥手だったね昔は。中学生にもなってAV観て『気持ち悪い』とか言ってる時点でガキだろ」


よーくん、きみはなんでそう次から次へとオレの極秘情報を暴露していくのですか。この前感謝のあまり絶賛しすぎたかな、イイ男だけどやっぱり意地悪だ。


「は?こいつ何、女が無理とか、元々男が対象かよ」

りょーが驚いた様子でよーくんに訊いている。
ん?生粋のホモってことかね?りょーの言いたいことはあまりよく分からんが、元々男が好きだったわけではない。だって、男の裸を見てにやけてしまうのはりょー限定だ。かといって女が好きだったかと言われれば、微妙なんだけど。


「あー、それは違う。たなっちは高一でやっと思春期が来たんじゃね?つーか、オレに聞くな!このバカの保護者じゃねーんだよ!」

よーくん、オレもオレがよく分からんよ。思春期到来が遅かったってこと?途中まではバスケばっかりしてたから?


「オレってホントりょーが初めてだからなー。初恋ってやつ?」


うわ、なんだか甘酸っぱい響きじゃないですか。残念ながらそんな爽やかで清らかな気持ちではないけど。色々と邪念が混ざったよこしまな気持ちです。


「至福の表情で感極まってんじゃねーよ田辺中毒が!お前本当気持ち悪い!鳥肌立つわ!」


よーくんが「キモい!」と喚きながら寝転ぶりょーを蹴飛ばしている。


「痛ってえし!お前こそネクタイで縛られる想像してにやついてんじゃねえよ!つうか、何でこんな話をしてんだよ!あつお、お前もちょっとは恥じらえ!」


はい?恥じらえって、オレそんなピュアなキャラじゃないって。オレがやたらとはにかんでたら気持ち悪いよ。


「ごめんよ。オレはそういう可愛げが足りない、下品な変態野郎だ。童貞のくせに恥じらいがないなんて、何の魅力もない奴だねオレって」


貧相な身体だし、キステクはしょぼい。キス以上はまじで未知の世界。
ああ、気付いてしまった。オレはエロテクもなければセックスアピールもない。おまけに初々しさもない。使い古した雑巾レベルにフレッシュさが足りない。
男女問わず、こんな枯れ木のような男は嫌だよね。だれだって魅力溢れる若木に群がるってもんだよ。
はあ、枯れ木か。


「モリーのせいでたなっちが半泣きになってんじゃん。モリーは純情演技系が好み?キモい」


「森田ー、男が女みたいに恥じらってたら気持ち悪くない?今時女子でもそんな恥じらわないよ」


二人がなぜかニヤニヤしながらりょーを責めている。いいんですよ、りょーが言うのはもっともだ。枯れ木でボロ雑巾なんて最悪だよね。


「お前ら黙れ!ニヤニヤすんな!事をややこしくすんじゃねえよ!」


りょーはよーくんにクッションを投げつけると、隣に居るはるの頭をぺしりと叩いた。


「あつお、よく聞け。まず恥じらい発言は冗談。お前が恥じらうとか、気持ち悪い。次に、純情系か何だか知らねえけどまったく興味はない。普段そんな感じのお前がたまに照れるからいいんだよ、なあ、あつお」

「はい終了!お前そこから先は二人の時にしろ!あわよくばイチャコラしようとすんなボケが!」


よーくんはやられたらやり返す。クッションをりょーの顔めかげて投げ返した。あ、お上手。
うーん、結局なんなの、オレはどうするべきなの?
とにかく枯れ木のままじゃダメだよね。はあ、枯れ木でボロ雑巾か。困った困った。

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