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番外書庫
拍手御礼SS:【生徒会でお題!】狭霧和臣の場合
【生徒会役員でお題!】



▼狭霧和臣




夏休み明けに待っていた膨大な書類も、後は会長の判を待つのみになっている。

無論会長の机の上で。


「また理事長のところですかね…」

痛むこめかみを人差し指でぐりぐりと押すが、あまり効果は無いみたいだ。

空気交換の為に開けた窓の外から、金木犀の爽やかな良い香りが流れこんできた。


そういえば、昨日廊下ですれ違ったあの人も金木犀の匂いがしていた。
「また樹海で朝の散歩でもしていたのでしょうか」
想像するだけで気持ちが暖かくなる。


身も心も落ち着く


窓の外で黄色の葉が揺れたと同時に部屋のドアが遠慮がちに開く。


「あ、狭霧…もしかして邪魔した?」

ドアの隙間から頭を覗かせたのは、会長が会いに行っている筈の人だった。

「邪魔なんてとんでもない。少しぼーっとしてただけですよ」

そうなのかと少し驚いた彼は私の座るソファーの前に来た。

「初めてみた。狭霧がぼーっとするところ」


覗き込んでくる顔は興味津々で、
鼻を通る香りはやはり甘い。
この人の匂いが甘いのか、
外に咲く金木犀が甘いのか…
どちらにしろ心を奪われる。



気付けば目の前で振られていた手を引っ張っていた。

甘い匂いを離したくなくて腕を腰に手を回し引き寄せると、自ずと彼は私の腰の上に座る形になる。


理事長が上にいるのも悪くない




「…珍しい。疲れてるのか?」
目を丸くする彼は、腕の中で私の髪を梳く。

その感触が心地好く、小さく返事をすると目を閉じる。




如月の様に爽やかに手は繋げない。

萩乃の様に無邪気に背中に飛びつけない。

副会長の様に自然に髪は撫でれない。

会長の様に強引に唇は奪えない。



生まれてから自分自身淡泊な性格だと思っていたが、もしかしたら正反対なのかもしれない。






ぎゅっと金木犀の香りがする彼を少し強く抱きしめた。








NeXT》▼抱き着く



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