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22:《義従兄妹》




玖琅に連れられて中に入った夕喜。広い本家の中にある一室にへと連れられた。
そこに待っていたのは夕喜よりも幼い二人の少年少女だった

玖琅は夕喜をその二人の前に降ろした


「夕喜、これが私の子でお前には義従兄妹にあたる」
玖琅はスッと伯邑に目配せし、それに小さく頷く伯邑


「お初にお目に掛かります、私は伯邑と言います。こちらに居ますのは妹の世羅にございます」
伯邑の言葉に軽くお辞儀をする世羅
一方の夕喜は突然の事と始めての事にどう対応していいのか分からずに戸惑いを隠せない
思わず玖琅と百合を交互に見比べた
けれども、玖琅の表情は相変わらずに読めなくて、百合は笑っているだけだった

「さあ、夕喜も自分の事を言わなければね」
そう百合に言われて戸惑いどいながらも懸命に言葉を出す

「こちらこそ、初めまして。私は夕喜です」
夕喜は自己紹介をして気持ちが少し軽くなったのを感じた


「伯邑、邸内を案内して差し上げなさい」
「はい、父上」
横にいる世羅に一緒に行こうと言うのも忘れない

「では、参りましょうか、夕喜姉上」
それと同時に腕を引っ張られる
背中からは世羅が押してくる


そんな子供達の様子を大人たちは見ているだけだった









「夕喜姉上、こちらが書庫です」
広い邸内を丁寧に案内してくれる伯邑と世羅
けれも、夕喜は先ほどからずっと気になっている事があった

「どうかなさいましたか、姉上?」
「え・・・」
暫く思案した後に思い切って気になる事を聞いてみることにした

「どうして、私の事を"姉上"と呼ぶのです?」
その質問は予想だにしていなかったので思わす目を見開く伯邑と世羅
お互いの顔を見合わせ、伯邑がこくりと頷く



「僕たちは、ただ"姉上"と呼びたいだけなんでけど、駄目ですか?」
「それに、"姉上"は当主様の子供なのでしょ?」
その本当の意味をまだ幼くて分かってない世羅
純粋無垢の言葉が夕喜の心に刃となって突き刺さる
けれど、その事に夕喜は気づかないふりをした



「・・・分かりました。好きに呼んで貰ってもかまいません」
その言葉に満円の笑みとなる二人

「では、姉上も、その敬語は止めてください」
「ですが・・・」
「姉さまは、私達のいとこです」
「姉上は、僕たちよちも年上なのですから敬語はいりません」
ふたりの暖かい言葉に思わず笑みが零れる



「うん、ありがとう」







それから、三人は誰が見ても本当の姉弟だと思うほどに仲良くなった
三人は共に勉強し、共に泣き、共に笑い、時にはケンカをすることもあった
親族たちの醜い瞳や雰囲気、"独り"では飲み込まれていただろう

けれど、三人で居たからこそ乗り越えることが出来た
この経験が後の三人にどれ程影響するのかはまだ誰も知らない








* * *


「子供たちは、随分と仲良くなったようですね。義姉上」
盃に入っていた酒を少し飲む
「そう、ね」
窓から目を離さずに答える百合
「以外、でしたか」
その言葉に思わず玖琅の方をみる
僅かに笑い
いいえと言って首を横にふる

「正直に言えば、そこまで考える余裕がなかったの」
その言葉に軽く目を張る玖琅
「らしく、ないですね」
「そうね・・・確かにらしくなかったわ」


貴陽で既に始まっている"王位争い"
そろそろ、その城下はその余波を諸にくらい大惨事となるだろう

そして、時期に此処にも訪れるだろう



終わりなど誰も判らない
もしかしたら、明日には終わるかも知れないし
それとも、1年後なのか、3年後なのか・・・・けれど、判ることは・・・・・多くの命が失われるだろう、という事だけ



「玖琅、これから大変ね」
「そうですね」





あとがき
伯邑と世羅が原作にはまだ名前だけしか登場してないので自分なりの伯邑像と世羅像で書きました
出てきたら、書き直します


前回UPしてから丁度3ヶ月・・・ん?一ヶ月って本当は28日だから丁度じゃないか・・・・
まあ、そんなことは置いといて←
お待たせ致しました
まあ、今回も短いですね
しかも、終わりの部分意味わかんないですね・・・・自分で書いておいてなんですが

ただ単に、伯邑と世羅に主人公を"姉"と呼ばせたいが為に書いたものだったりします


09.04.12



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あきゅろす。
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