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21:《紅本家》



玖琅からの文はかなり前から来ていたものらしく、百合が言うやいなや用意は全て整っていた
黎深は分かっていたのだろう・・・百合がそれを選ぶ事を......
何が最善の一手なのかも・・・・天つ才という一言だけで済まされるがそんな人は滅多にいない
あの藍家の【龍蓮】に並びえるのだ




「ごめんなさい、夕喜」
馬車の中で百合はそう夕喜に対して謝った

「何故、母様は私に謝るのです」
夕喜にとってそれは不思議な事だった
何故、自分は謝られなければならないのか、寧ろ謝るのは自分の方なのに…あの後、部屋に戻った自分は黎深…父を責めたのだ

その事を告げると百合は
「それは貴方が悪いのではないわ夕喜あれはね、黎深が悪いのよ
言葉が足らないから
だから、気にしなくていいのよ」
そう、言って笑って許してくれた










「兄上、百合と夕喜が紅本家へ向かいました」

その言葉を聴いた邵可は「そうか」とだけ言った

「黎深、この先もっと酷い事になる。この貴陽でも多くの人が亡くなるだろう・・・いや、王の膝元だからその余波を諸に食らうのか・・・・
君は、よく決断したね」

「いえ・・・・

あの、兄上・・・・」

「何だい、黎深?」

「あの、兄上は・・・全て知っていたのですか?」

「それは、君の方なんじゃないのかなぁ、黎深

私は天つ才ではないからね」



そんな事を言っても、今回玖琅から来て文を見て、百合達に紅州行きを薦めるように黎深に諭したのはこの兄だ
だから、兄は分かっていると思っていた
この先何が起こるのか、そして、どうなるのか
そうそうに、出仕を取り止めたのその理由だと思った










それから、何日も馬車に揺られ、ついに百合と夕喜は紅本家へと着いたのだった

名門藍家と並ぶ名門の紅家
そして、紅州にあるその本家

百合としては此処は帰ってきたくない場所である
そして、その門の所には威厳を兼ね備えた一人の青年が立っていた
百合と夕喜が馬車から降りるや否や近づいて来た

二人は降りると同時に近づいてくる青年の姿を認めた


「お久しぶりです、義姉上、夕喜」
「玖琅叔父様!」

そう、百合と夕喜を紅州に来るように画策した今回の張本人である“紅玖琅”だったのだ


「久しぶり、玖琅。元気だった?」
「はい、義姉上も夕喜も元気そうでなによりです」

そして、玖琅は自分の足元にいた夕喜を抱き上げた

「やはり、まだ軽いですね」
「えぇ、でも、世羅姫よりは軽いわよ」
「確かにそうですね。
さぁ、義姉上中に入りましょう」


そして、夕喜は玖琅に抱き上げられたまま、紅本家へと入って行くのだった





あとがき


今回は、ちょっと短いですね;;
玖琅初登場!
ちなみに、管理人の中では、白邑も世羅も秀麗&主人公よりも年下だと思っております


09.01.12


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あきゅろす。
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