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18:《きおく》



あの後夕喜は自室に戻った


「どう、して・・・なん、で・・ダ、メ、な・の・・・っ、父様っ、王宮に、劉輝の、と、ころ、に、行って、は・・・行けないの・・・」



自分のベットに縋り付くように泣いていた



頭をよぎるのは先程の黎深の言葉と劉輝の笑顔


失いたくない







一 体 ど っ ち を ?




「でも、私が・・・行か、なきゃ・・・ヒック・・・また、劉輝・・・ヒック・・・独り、に・・・なっちゃ・・・う・・・よ・・・」


思い出そうとしなくても頭の中に描く事ができる
あの時の劉輝


辛そうな顔で自分の事を話してくれた


自分が行かなくなったら劉輝はまた独りだ
清苑公子の時と同じになってしまう
それだけはどうしても、避けなきゃ・・・




『紗稀様、いえ夕喜様・・・
申し訳ございません、主命背きました』




どこからともなく声が聞こえて来て吃驚したが怖くはなかった
寧ろ、懐かしい感じがした


「しゅ、めい・・・?」

『はい、そうでございます我等は王や台輔の命に背いているのです』



「あなたは、だれ・・・?」


『覚えていらっしゃらないのも無理ありません主上が全ての記憶を消されたのですから
我が名は沃飛(ヨクヒ)でございます』


「しゅ、じょう・・・よくひ・・・?」


『はい、夕喜様はこちらの人間です』


「こ、ちら・・・」



ドクン ドクン


なに・・・体が、熱い・・・



『――…き……こっち………』

『―――‐紗稀…… おまえを…』

『――…紗稀姉!』

『ねぇ、―き…大……だよ』


突然頭の中に流れてくる映像

そこには、大きくなった自分

そして、知らない人、知らない場所




「分からない、分からない!」


『夕喜様…?』



「…………ハァ ハァ…だい、じょう、ぶ………」



バタン




そこで、夕喜の意識は途切れた・・・

次に目覚めた時は、夕喜なのか

それとも・・・紗稀なのか・・・






◇後書き◇

前回からあんまり時間経たずにできたーー!


でも、当初予定していたのより大きくズレてる
というか、進み具合が早い・・・ιι


ついに分かりましたね、謎の白い腕の正体(分からない方は『 紅家での生活・2 』を読んでね
はい、あれは沃飛の腕です


今回は、主人公の気持ちです

主人公だって辛いんです
劉輝の事を考えるとね
それに更に記憶が戻っちゃう…?(←お前だろ、そうしたのは

さて、一体どちらなのでしょうかね・・・
紗稀の記憶は戻っているのか
それとも戻っていないのか



それは、また今度



08.11.5


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