[携帯モード] [URL送信]
17:《しおどき》



夕喜が王宮に出仕するようになって早2年がたった


今年で夕喜も7才











「最近、王宮も物騒だな」



そう言ったのは仮面を被った人



その場にひらりと扇を広げる音が響き渡る




「ここは、元から物騒だろ、鳳珠」


「その名で呼ぶな、黎深」





「別に此処には私達しかいないのだから良いじゃないか」



「そう言う問題ではない」

仮面を被っているのは黄奇人こと本名“黄鳳珠”



「大体が、私が仮面を被るのも名を変えなきゃならん状況になった元々の原因はお前だろ、黎深」




「さぁなんの事だか」




「―――っ、お前という奴は!」



少しの間、拳を握り、わなわなと震わせていた鳳珠




「まぁ、いい


黎深、お前はこの状況をどう見る?」





この状況と言うのは最近の後宮で起きていることだ




現王の縉華が病により寝込み、後宮では次の王位継承について争いが起きている




今や後宮は血が流れ、今までの煌びやかな光景はもう、何処にもない



普通に死体が転がり、食事に毒を混ぜるのは当たり前

暗殺は日常茶飯事とまではいかないが酷い状況ではある




そして、黎深は遂に今朝夕喜に告げた



































「今日から王宮には行かなくていい」


「―――っ、なぜですか!父様?!」

「その言葉の通りだ」

「そんな言葉が聞きたいのではありません!」

「もう、良いから行け」

「―――っ、分かりました」




そして、夕喜は自分の部屋へと戻って行った





二人のやり取りを少し離れた所で見ていた百合

夕喜が完全に去ったのを確認してから黎深に近づいた




「黎深、あなたの気持ちも分かるけど、もっと言葉があるだろ」

「・・・」

「ちゃんと、言葉にしないと、相手には伝わらないんだ」

「………だが………」

「心配だったんだろ、夕喜の事が

後宮では今王位争いが起きていあるから」


「―――あぁ、時期にこっちまで被害が及ぶだろう

だから、嫌いなんだ・・・王というモノは








黎深自身だって今回の事は悩んだ

劉輝と遊ぶ事により今までよりも笑う回数が増えた夕喜

それを、止めさせる事により笑わなくなったら

自分の事を嫌いになったら

そんな、考えが黎深の心の中で渦巻く

だが、夕喜があのまま王宮に通い続けたら王位争い巻き込まれ命を落とさない保障はない

そんな事は絶対に避けなければならない

それならば、嫌われた方が幾分はましだろう

だから、黎深は決断した

夕喜を王宮に行かせない事を・・・








◇後書き◇
久しぶりに書きました

【〜イセカイヘ】

遂に新章です!


今回は、黎深の心の中を主に描いてみました
いかがでしょ…?

黎深自身も複雑ですよね・・・

不器用なのに更に不器用になっちゃって

主人公が大好きで大好きで仕方がないんです

だから、笑うんなら、そうさせてあげたいけど
後宮は、地獄絵図とかしているから・・・


あんな、血なまぐさい物を見せたくないし
怪我もさせたくない、死なせるなんてもってのほか

ホント、複雑



08.11.3


〔NEXT#〕

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!