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13:《語り合おう!》








あれから、毎日夕喜は王宮に行って劉輝と遊んだ
時には、邵可に勉強を教えてもらい、又ある時は、宋将軍と劉輝の剣の稽古を見ていた






「じゃぁ夕喜、次は何して遊ぶのだ?」

「う〜ん  それじゃあね  お話しない?」

「いいのだ。で、なにお話すのだ?」

「お互いのこと」

「それじゃぁ、余からいくのだ」


「余の母上は、いつも怒っていたのだ。末に産まれたから、父上の愛情が薄れたと。いつも怒って、かと言えば徹底的に無視されて。地下室に何日も閉じこめられたこともあったのだ。
余には上に5人の兄上達がいるのだ。
その兄上達もだんだん加わって来て、殴ったり蹴られたりしているのだ。
でも、2番目の清苑兄上だけは違ったのだ
守ってくれたのだ。読み書きも兄上が教えてくれて・・・兄上がいればそれで良かった。
でも、兄上は流罪になってこの王宮から居なくなったのだ。それからは、他の兄上達からの暴力はもっと酷くなったのだ。
ずっと清苑兄上が流罪になったことを余は知らかったのだ、1年くらいずっと泣いていたのだ。
それから、邵可に会って兄上が流罪になったことを知ったのだ。」

そう言って俯いた劉輝
夕喜は、静かに黙って聞いていた
それから
「でも、今は邵可も夕喜も居るから一人じゃあないのだ」
そう、劉輝は笑って言った


そして、夕喜は語り始めた
「夕喜の父様と母様は本当の父様と母様じゃあないの。
夕喜は本当の両親に捨てられたの
それを今の父様が拾ってくれたの」

その事を聞いて劉輝は吃驚した
幸せそうに見える自分より3つ下の少女

そして、夕喜は明るい声で
「でもね、今夕喜は本当に幸せだよ
 だって、みんな居るし。劉輝だって居るしね」

「そうなのだ。居るのだずっと一緒に」

「そうだ、指切りしよう」

「指切り?」

「そう、母様に教えてもらったの

こう、やって

で、歌の


指切りげんまん
   嘘ついたら
      針千本飲ます
          指切った」

「ね、これでずっと一緒だよ」

そう言って二人で笑った


けれど、その時は二人とも約束が守られと思っていた
守ることが出来なくなるとは思ってもみなかった



するとそこに、邵可がやって来て
「夕喜、そろそろ帰る時間だよ」

「え、もうですか。
  時間が経つのははやいなぁ」

「夕喜、もう帰るのだ・・・」

「うん・・・ごめんね
   帰らなきゃいけないの」

暗くなる二人
そんな二人に邵可はどうしたものかと思っていた

するとそこに
「ならば、泊まっていけ」

煤I!!

「主上!」
そう、言ったのは邵可

声をした方を振り向けば一人の禁色である紫の衣をまっとった一人の男がいた

「主上、ですがそれは」

「別にかまわん。
それに、そこ娘と一度話しをしたいと思っていた」

「ですが、父親が許すとは」

「百合にはすでに了解はとった」
(いつのまに  by邵可)

「分かりました。
 ということで、夕喜。
今日は、王宮に泊まる事になったからね」

その言葉を聞いて不安そうに邵可を見る夕喜
そう、夕喜は気づいていた
黎深が王族を嫌いな事を
だから、不安そうにする
その事に気付いて邵可は
「大丈夫、黎深には私から言っておくよ」

その言葉を聞いて首を縦に小さく振る夕喜

「じゃぁ夕喜は今日、王宮に泊まるのだな」

「えぇ、そうですよ。劉輝様」

「やったなのだ夕喜。夜は一緒に寝るのだ」

「うん・・・そうだね」

そんな、夕喜の姿に内心王に怒りを持つことを抑えられない邵可
(よくも、あの狸といい、王といい、私の大事な姪にこんな顔をさせたな)

「それじゃ、行くぞ二人とも」
そう縉華王は言った

「じゃぁ、父様によろしくお願いします」

そう言って夕喜は劉輝と一緒に行った


そんな、後ろ姿を見ていた邵可
「今の、聞いていたね。黎深」

ガサ

「えぇ、聞いていました。兄上」

「そう、じゃあ言わなくても分かるね」

「ですが、あんな王の元に夕喜泊まるとわ」
忌々しいとばかりにいう黎深
いや、彼は心底嫌のだろう
そんな黎深を見て、邵可は心のうちで溜息をついた
自分だってその気持ち良く分かる
劉輝はまだいい
問題は父親の方だ
「黎深、君はもう帰りなさい。私も帰るから」
それによって黎深は渋々といった体で頷き帰っていった


「さて、私も帰るとするかな」



何もなければいい
本当になにも・・・
あの子幸せを願い、そっと祈る






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あきゅろす。
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