For all lovers in Manhattan(act.1)
どしゃ降りの雨。
二人並んで二つの傘を並べて歩くマンハッタンの通り道。
「…寒いな」
そう呟くと、彼女も、そうですね、と返した。
(実際…俺の手はこんな雨にも関わらず汗でびっしょりで、ちっとも寒くなかったわけだけど)
もう少し。
彼女の手と触れ合うまでもう少し。
でもあと一歩の所で勇気が出なくて。
「んー、あー、えーと」
「…?何でしょう、フィーロさん」
「さ、寒いよな、今日」
「え、ええ…」
「…」
「…」
寒いから一緒に手を繋がないか?
それすら言えない俺は、小学生以下なのかもしれない。
そもそも雨なんかに頼ってる時点で、俺は臆病者なんだろうけど。
マンハッタンの全ての恋人達に、幸あれ。
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