目眩
私はここにいます。
ずっと貴方を待っています
貴方と同じ体を共有しながら
不死のこの身に
別離なんてものは
ないに等しいのかもしれない
けれど
貴方がいない寂しさに
嘘はない
触れ合うよりもずっと簡単に
私たちは互いの存在を
確かめることが出来る
同じ細胞を
同じ体を
共有しているのだから
それが私の何よりの幸せであり
誇りだった
けれど今は
貴方がいない今は
この体は
何よりも残酷すぎる
貴方と全てを
共有しているはずなのに、
貴方はいない
長い長い一日を
感覚だけで生きていく
生殺し―――
もはやそれに近いとさえ
感じる
…会いたい
ただそれだけ
同じように残酷な体を
共有している貴方に
早く会いたい
私はとても愚かだから
貴方の姿を見ないと
安心できないから
―――早く帰ってきて
でないと私は
どうにかなってしまいそう
（貴方の腕が声が背中が
ここにあって）
（目眩を起こしそうな
私の地面を濡らすのは
優しい雨）
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