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#サンタはいるの?(一護/光星番外編/1前)




世間ではクリスマスと騒がれ街はカップルで埋まっている。
今日は権兵衛の病院でクリスマスパーティーがあった。一週間前くらいから遊子と夏梨が騒いでいたのは今日権兵衛に会えるから。
家から少し離れた場所にある入院先の病院には小学生の遊子たちは行くことが出来ない。だから冬休みで“クリスマス”という行事に権兵衛に会えるのが嬉しいんだと思う。
俺はというと病院のクリスマスパーティーには参加しなかった。
権兵衛の楽しんでいる姿をみるのは大歓迎だが、俺的には権兵衛とゆっくり居る方がいい。万年お祭り状態の親父がいて、久々に権兵衛に会えて喜んでる妹たちもいる。そこに独占欲の強い俺が行くと権兵衛も疲れる、そう思っての行動だ。
「そろそろ行くか、」
まだ18時前だというのに辺りは暗い。

病院の近くのコンビニで時間を潰していた俺は少し急いでも15分前には権兵衛の病室につく。
右手には権兵衛の大好物なプリン、左手はポケットに突っ込みプレゼントがあるかの確認。
「あ゛ー、さみぃな」
天気予報では“雪が降るかもしれない”と言ってたぐらいだ
「(権兵衛、風邪ひくんじゃねぇか?)」
考えるのは権兵衛のことばかりで頭には権兵衛に早く会いたい、という気持ちしかなかった。そのせいか入り口を入ってすぐロビーで権兵衛に声をかけられて心臓が止まるくらい驚いてしまった。
『あはは!いちにぃ、ビックリしすぎだよ!』
そう笑顔で言う権兵衛は本当におかしそうに笑っていた。
「当たり前だろ、ったく、なんでロビーにいるんだ?」
めったに病室から出ない権兵衛。いくらクリスマスパーティーが病室でなかったとしても親父たちが送っていくはずだ。
権兵衛の病室へと向かいながらロビーにいた理由を聞いた。
すると返ってきたのは思ってもみない言葉で、
『いちにぃが来る気がしたの』
『えへへ』と笑いながら可愛いことを言ってくれる弟に胸が痛んだ。
この痛みは悲しいからじゃない、嬉しいから。
その“嬉しい”の分類が普通じゃないことだって解ってる。
俺は「なんか生意気だ、」と権兵衛の頭に手を置くことしかでできなかった。
『あ!いちにぃ見て!雪降ってる!』
キャッキャとはしゃぐ権兵衛はまだガキで、権兵衛への気持ちを受け入れてはいけない、と必死な俺もガキだった。
『キレイだね!』
「ああ、親父とか裸足で外に出てそうだな」
『あはは!わかる!』
「それを夏梨が冷静に見てそうだ、」
『あきれてそう!あ、そうだ!つもったらみんなで雪ダルマ作ろうよ!』
「大きいやつ?」
『うん!サンタさんが僕の部屋って分かるくらい大きいの!』
「ああ、そうだな。でっけぇの作ろうぜ!
‥権兵衛メリークリスマス、来年も一緒に過ごそうな」
『メリークリスマス!いちにぃ!!
、来年かぁ‥うん!ずーっと一緒に過ごそうね!』
その言葉と笑顔が俺にとって、いや、俺たち家族にとっても最高のクリスマスプレゼントになった。





サンタはいるの?






「(尊が信じてればサンタもいるかもな‥、)」
家に帰って尊の言葉を伝えたらみんなはどんな顔をするだろう?
きっと最高の笑顔がみれるに違いない。






-fin-

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