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*あと少し(乾)

『あ、いた!乾君!!』


「ん?あぁ、権兵衛さんか。」


最近よく俺に話しかけて来る権兵衛さん。



クラスは英二と不二と一緒で成績はいたって普通。



特別、英二と不二に紹介されたわけでもないが彼女はよく俺のクラスに訪ねてくるようになった。




俺のクラスに友達がいるらしく俺と話をするのはホンの数分。




俺のデータ上彼女は不思議に思ったことをそのままにして置けない性格らしい、



おそらく俺を訪ねてくるのは自分よりも俺のことを物知りだと思っている。



まぁその確立は89%だが・・・


今日も彼女は俺になにかを聞きに来たに違いない。





『今、ちょっといいかな?』






彼女がこう来たときはたいてい何かを聞くときだ。






「あぁ。かまわないよ。俺に答えられる範囲であればね、」

『大丈夫!絶対乾君なら答えてくれるはず!!』






彼女はそういって俺の席の前に座った。



休み時間はあと8分。




『あのね!聞きにくいって言ったら聞きにくいんだけど・・・・。

不二君から聞いたんだけど、この前のテニス部の校内ランキング戦で・・・負けちゃったじゃない?

で、それから乾君はものすごい練習量を増やして努力してるって!
しかもレギュラー陣の健康状態や練習メニューまで全部考えてるって。
・・・それって本当?』



これには驚いた。



まさか自分のことについて質問が来るとはデータ外だったな。




「まぁ、詳しくは言えないが、その通りだね。
確かにあの試合で越前と試合してから生活が少し変わったかな。
俺があのランキング戦で負けたのは俺に足りないものがあったからで、レギュラー陣の練習の倍近く俺は練習しないといけない。
それに健康状態や練習メニューは好きでやっているものだし、これらをやっていて俺も勉強になるところがあるからね。
レギュラーに入っていない今だからこそ学べることもあるし、いいデータも収穫することが出来るとおもっているよ。
だから必然的に練習量が増えてしまう。
それにこれは努力っていうほどのことじゃない。
して当たり前のことなんだから。」
『・・・』



いつもだと
『なるほどー』
『わかりやすい!』
などと声をかけてくる権兵衛さんが
説明をし終えても返事がない。



権兵衛さんを見ると俺の方を少し紅みがかった顔でポカンと見つめていた。




「(なにかまずいことでも言ったか?)」




『・・・ばい・・』


なにかを権兵衛さんが言ったが聞き取れず、俺はそれを確認しようと声をかけた



「どうかした・・『ャ、ヤバイっっ///!!!』




俺の言葉を遮りガタッと席を立つ権兵衛さん。



その顔は紅く染まっており、手で口を押さえていた。




俺はどう言うことだかさっぱり解らなかった。




この権兵衛さんの行動は俺のデータにはなかったから。




『あ、ありがとっ///!!!』

「あ!ちょ・・・無駄か・・・」




そういってクラスを小走りに出て行く権兵衛さんを見て少しばかりの不安がよぎった。



彼女のことはデータを集めても直ぐに更新されていく。



そして権兵衛さんに関わり始めたことで俺の中になかった感情が生まれてきたのも事実だ。



休み時間はあと2分。



「(部活のときにでも不二たちに様子を聞いてみるか・・・)」



この感情をなんと呼ぶ?


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ガラッ


「お帰り(微笑)どうだった乾?」

『〜〜///・・・説明してることも姿もかっこよすぎるっ///!!!
鼻血出るかと思ったー///』

「いいにゃー!乾は!権兵衛からこんなに好かれてて!」

「英二、からかっちゃダメだよ。権兵衛は真剣なんだから」

『〜〜///不二君!英二ほかに乾君情報ないっ!?』



乾が感情に気付くまであと少し・・・






-END-

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あきゅろす。
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