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#一緒に居てね(一護/光星番外編/1前)









『いち、にい』


「あ?どした?」



『毎日来なくても僕、大丈夫だよ?』


権兵衛から突然言われた言葉に俺は目を丸くした。



「…なんだよ、来ちゃ行けねーのかよ?」

『ううん、…そうじゃなくて、来てくれるのは嬉しい』




そう聞くと速攻で返事してくる権兵衛。本気で嬉しいみたいだ。その返答ぶりに俺も、嬉しい。


「ならいいじゃねぇか」



これでこの話は終わりだな、そう思った時だった。権兵衛が必死に俺に訴える



『でも、でもね!ここの病院ってお家から遠いし…』


「…」


『遊子も夏梨も、いち兄居なくて…寂しがってるよ、』


シュンとした権兵衛







あぁ、なるほど。






権兵衛の言わんとしていることがようやく理解できた。







家から遠い病院に入院する事になった権兵衛は妹たちが心配なのだ。


俺は権兵衛が心配で学校が終わるとすぐに病院へ向かう。だが、距離がある分、遊子や夏梨は学校が休みの日に親父としか権兵衛に会いに来れないのだ。



だが日に日に弱ってきている権兵衛の見舞いに来ないなんて俺は出来ない。



親父からも聞いていた。





…権兵衛はそう長くない、と。



なら尚更、権兵衛の傍に長い時間居たいのだ。



俺が一番恐れているんだ



権兵衛を失ってしまうことを。





「あのな、権兵衛。強がんなくていいんだ。俺は権兵衛に1日でも会えないと寂しいし、悲しい。権兵衛は?俺たちが学校に行ってる間寂しくないのか?会いたいと思わない?…強がらなくて…もっと頼ってくれよ、」






俺の言葉を聞くと権兵衛の目は潤いを増しポタリと涙が零れた。




『…っく……毎日会いた、い』


「なら、無理すんな」


そう言って権兵衛の頭ポンと手をやる



『いち、にぃ…会いにきてっ…ひとりにしないでっ!』










会いに来るさ、君のためなら何処までも











(「…当たり前だろ、」)






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あきゅろす。
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