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卯ノ花姉弟シリーズ
壮大な美しさ 前


俺には珍しく残業をして帰宅する時だった。


少し肌寒い風に一枚の花弁が舞う。それは静かに俺の掌に落ちた。







「さ、くら?」









そういえばそんな時期か…





一年過ぎるのも早く感じる。これは歳を重ねている証だろう。


最近はもっぱら忙しく書類整理に追われていた。十一番隊に配属されこれが少し嫌なところ。


書類整理は嫌いじゃない、むしろ相手を傷付ける戦いよりも好きだし、一角や隊長たちの書類を押し付けられるのも慣れた生活。


ただ、一気に押し付けないで欲しいと言うのが本音。

期限が半日しかない書類もあったりする。


他の隊に迷惑はかけられない、特に四番隊には。



期日迫る書類を取りに来た四番隊の隊員(主に花太郎)は十一番隊の隊員に逆ギレされ帰される。申し訳ないことこの上ない。


席官を任されている自分が責任を持って仕事をしなければ迷惑をかける、ここ連日は隊舎に泊まり込みやっとの思いで仕上げた書類。



そんな疲れた帰り際に桜を見ることができるなんて、



『結構俺、ついてる方かも』


掌の桜を見ながらそう呟くと不意に後ろから抱き締められる。


「なーにしてるの?」


『…京楽隊長?』


「さすが尊君!」



そう言って俺抱く力を強める京楽隊長。…少しお酒の臭いがする。



『京楽隊長はここで何を?』



京楽隊長に抱き付かれることを突っ込んではいけないらしい。これは伊勢副隊長から習った。(何か調子に乗るんだって、)



「尊君の香がしたからね〜、思わず」


ニコッと笑う京楽隊長に少しドキッとしてしまう。

『(大人の男性だなぁ)』


「どうしたの?そんなに見つめて」

『へ!?俺、見つめてました!?』

顔に熱が集まるのがわかる。
…マヌケ顔見せちゃった…///



そんな俺をみてクスクス笑う京楽隊長。


すると急な浮遊感。



『え!?き、京楽隊長?』


これは言わばお姫様抱っこ。



「尊君もおいでよ、ね?」


どこにかも解らず驚きで『?』を浮かべてしまう。京楽隊長はまたクスクスと笑う。



「舌噛んじゃダメだから黙っててね?」


そういうとお姫様抱っこされた俺は京楽隊長の瞬歩で移動することになった。








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